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渡辺邦男「あばれ行燈」

 ユーチューブにて。56年、新東宝。
 ああ、なんという映画の悦楽。
 娯楽映画のエッセンスが、ぎゅうっと、凝縮している。

あばれ行燈〈映画)鶴田浩二 香川京子

1956年/新東宝映画
原作:子母沢寛 脚本/監督:渡辺邦男
出演:鶴田浩二、香川京子、田崎潤、花柳小菊、小堀明男、田中邦衛、
↑上記田中邦衛は、田中春男の間違い。

 鶴田浩二、スタアの喜び。可憐な香川京子。婀娜な姐さん・花柳小菊。
 紋切形の、定形の、何のテライもない演出と、編集の、愛らしさ。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

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by mukashinoeiga | 2014-11-07 10:30 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

佐分利信「叛乱」細川俊夫佐々木孝丸清水将夫山形勲安部徹鶴田浩二津島恵子香川京子藤田進

 渋谷にて。「日本のオジサマⅡ 佐分利信の世界」特集。54年、新東宝。あと1回の上映。
 ほとんど記憶にない再見作。ただし、思っていたより、面白い。佳作。
 こういう話には、いたって弱いので、ほぼ涙ぐみつつ全篇を鑑賞。

叛乱(デジタル)公開:1954年 <渋谷シネマヴェーラHPより>
監督:佐分利信
主演:細川俊夫、清水将夫、山形勲、安部徹、鶴田浩二、菅佐原英一、島田正吾、辰巳柳太郎、木暮実千代、津島恵子、香川京子、藤田進
二・二六事件が起こるに至った社会情勢や陸軍内部の状況、そして青年将校たちの心理を克明に描いた一作。逆賊の汚名を被せられ処刑を待つ青年将校役の細川俊夫、丹波哲郎、鶴田浩二らの演技が素晴らしい。撮影中に病に倒れた佐分利の後を阿部豊監督が引き継ぎ製作された、二・二六事件映画の決定版!

e0178641_202255.jpg 佐分利信監督作品を、総合的に論評した、数少ない貴重な講演録★木全公彦講演「佐分利信を再見する――第3回 アナクロニズムの会」★(必読)によれば、本作は、

 実は佐分利信はほとんど監督していません。撮影の3分の1が終わったとき、佐分利信がややこしい病気に倒れて、危篤状態になったんです。佐分利信は当時、ベストテン入りの監督として高く評価されていたので、この『叛乱』は、製作は東京プロというところですけれど、新東宝の正月映画として制作されていました。それで11月になって、正月まであと一ヶ月強しかないというところで、阿部豊が代打監督に招かれます。佐分利信は監督であると同時に主演でしたから、彼の出演シーンを撮り直さなければならない。タイトルクレジットは、佐分利信が監督、阿部豊は応援監督となっています。
 しかし、阿部豊だけでも撮りきれないので、さらに阿部の助監督であった松林宗恵と内川清一郎も招集されて、A、B、Cの三班体制で撮っています。つまり、この作品は四人の監督で撮っているんです。佐分利信の役は佐々木孝丸ですべて撮り直しましたから、佐分利信が演出したのは四日分しか残っていないそうです。代表作のプリントがほとんど残っておらず、比較的見ることができる『叛乱』もそのような事情があるので、今、佐分利信の作家性を語ることは非常に危険です。(引用終わり)

 「佐分利信の役は佐々木孝丸ですべて撮り直し」たので、結果的にサブリン出演シーンは、ゼロ。だから、本作をサブリン監督&出演作とした、シネマヴェーラのくくりは、まちがい。さらに「佐分利信が演出したのは四日分しか残っていない」ゆえ、本作を、単純に佐分利信監督作品と、言っていいのか。
 ただし企画段階の監督はサブリンなのだから、彼を筆頭にするのは、正しい。
 より正確には、佐分利信・阿部豊監督、応援演出・松林宗恵、内川清一郎と、すべきだったろう。

 しかし、結果的に作品を見ると、四人の演出家がよってたかって監督した割には、本作の出来は、きわめてまとまったトーンで統一されているように、見える。真っ当に、一本の作品として、つながっている。
 ぼくには、十分に佳作以上に、思える。
 おそらく、時に、つながらない編集で、映画を活性化させるサブリンが最初から最後まで監督した以上に、一本の映画として、ちゃんと首尾一貫しているはず(笑)。
 応援監督に「脱線する余裕」が許されないことを奇貨として、サブリン単独監督作より、「まとも」には、なったはず。

 ただ惜しむらくは、鈴木清順のはるかな、奇矯演出のセンパイとして、「北一輝」の扱いを、サブリンは、どうしていたのかが、知りたい。もちろん鈴木清順「けんかえれじい」の北一輝と、サブリン版北一輝を、比較したい、という欲望は、永遠にかなわないのだ(泣)。
 なお、サブリン自身は、北一輝の盟友的参謀格というか盟友的秘書というか、そういう立場的に極めて「怪しい」役を演じるはずだったのだが、その代役に、力強い演技だが、あいまいなニュアンスに欠ける佐々木孝丸というのも、サブリン・ファンとしては、かなしい。
 後年に、右翼の大立て者などを演じるサブリンの、はるかな前駆としても、見てみたかった。
 なお左翼系インテリとして、かの国際労働歌「インターナショナル」の日本語訳者でもある佐々木孝丸が、迫力ある顔立ちから、延々と右翼の大物を演じる、そのココロと当たり役との「性同一性障害」を、どう思っていたのかにも、興味は、あるのだが。
 なお、右翼の大物は、悪役顔の役者で、という左翼思想が映画界に充満しているわけだが、結果的に、右翼より、左翼のほうが、よっぽど悪い奴だった、という現時点の「時代的事実」(ヒトラーもスターリンもチャウシェスクも、ポル・ポトも毛沢東も金日成も社会主義者という現実)が、左翼の捏造を暴いている。

 シネマヴェーラのチラシの本作スチールでは、和服の男・佐分利信と、軍服の男が、テーブルを挟んで対峙している。
 この軍服の男は、顔が暗くて、確信はないが、坂本武のように思える。
 実際に完成した映画では、佐々木孝丸と、清水将夫将校が、飲食店で、会っている。
 阿部豊が、将校役に坂本武は、合わないと判断したのか、再撮影時に、坂本は別の撮影が入っていたのか。前者の「判断」が、実情かとも、思う。
 坂本武では、青年将校の兄貴格で、後付ではあるが226事件に立会い、青年将校たちと処刑されてしまう「憂国の士」には、合わないと、誰でも、考えることだろう。
 サブリンを除いては(笑)。
 この戦前松竹以来の役者仲間で、サブリンとは一味違った無骨モノの庶民を得意役とする坂本武を「青年将校のアニキ格」に「抜擢」(だろう)した、サブリンの真意は。
 結果代役の清水将夫では、都会育ちのインテリの匂い。坂本武なら、226の青年将校が同情した、東北の農民の、二、三男坊のイメージが、出る。
 冷徹・清水将夫であれば、226の青年将校に「なぜ、利用され同調したか」が、シカとは、わからない。しかし、坂本武なら、東北農民擁護を旗印にする青年将校に、「心ならず?も利用され、引きずり込まれた、そして最後には一緒に処刑される」無骨者に、ふさわしいのではないか、とサブリンは、考えたのではないか(推測)。

 ああ、サブリン出演・監督作として、本作を見たかった。
 もっと、つまらない映画の出演のときに、病気になって、ほしかった(笑)。

 と、死んだ子の齢を数える感想になってしまったが、出来上がった映画も、佳作である。
 いかにも無謀な、結果オーライを目指した精神主義の作戦、戦略にもロジスティックにも欠けた、出たとこ勝負の、一生懸命で命を掛けりゃあ、何とかなるだろう、金がないやつぁオレんとこ来い、俺もないけど何とかなるだろう的な、「情緒的作戦」が、当然のごとく失敗し、結果アウト。のちの日本軍の戦略、ロジスティックそのものである。
 そういう「敗者の情」に、弱いんだなあ、日本人は(笑)。真っ先にぼくもなんだけど(笑)。

 中心になった安藤大尉・細川俊夫、代表作の輝き。
 北一輝・鶴丸睦彦、腹の据わった、世間知に長けた、好々爺ぶり。彼と、サブリンのコラボ、見てみたかった。
 その他の出演者たちも、グッド。
 なお下記Movie Walkerによれば、西田税(佐分利信→佐々木孝丸)の妻役に、三宅邦子がクレジットされているが、確認できず。あるいは、サブリンとともに、消えたのか。鈴木侍従長夫人役・木暮実千代も、確認できず。

◎追記◎叛乱 香川京子

 
★Movie Walker★および★所蔵映画フィルム検索システム★のタイトル検索で、詳細な作品情報あり。ただし、簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)は、前者のみ。後者はスタッフ・キャストが超詳細。

◎追記◎とはいえ、野次馬役の、小倉繁、小川虎之助、高島忠夫は、ノンクレジット。高島など、青年将校の選にも漏れたのか。のんき顔だからなあ(笑)。

◎おまけ◎あばれ行燈〈映画)鶴田浩二 香川京子

1956年/新東宝映画 原作:子母沢寛 脚本/監督:渡辺邦男
出演:鶴田浩二、香川京子、田崎潤、花柳小菊、小堀明男、田中邦衛

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by mukashinoeiga | 2014-10-16 23:35 | 佐分利信 サブリン人生劇場 | Trackback | Comments(4)

本多猪四郎「モスラ」円谷英二特撮

 京橋にて。「映画女優 香川京子」特集。61年、東宝。
 村山英治「日本の美術工芸 その手わざと美」が短編ゆえの、同時上映。ついで見だが、てっきり再見だと思っていたら、初見だった。いつもと逆パターン。たぶんリメイクのほうの印象ゆえだろう。
 特技監督は、もちろん円谷英二。
 原作(未読)は、中村真一郎・福永武彦・堀田善衛の、純文トリオとは、ちと、大げさな。
 謎の孤島を探検、<珍獣>捕獲、見世物興行、見せ場の高層建築との「からみ」(エンパイア・ステートビルが東京タワーに)など、あからさまに、メリアン・C・クーパー他「キングコング」(1933)の、パクリやないかい。
 「キングコング」の、<醜い野獣>の、美女への執着という<変態性(欲)>暗喩が、<双子の小美人>に変奏される。手のひらサイズの小美人というのが、何がしかの変態性を垣間見せる。
 アメリカお得意の大きいモノ志向から、日本の縮み志向への変奏という、わかり易さ?
 もちろん、キングコングの手の中のフェイ・レイが、そのイメージの原点だろう。
 まあ、ザ・ピーナッツが、美人、というのは、多少無理があるのだが(笑)、ちっちゃくて、ふるふるおびえていて、しかもうりふたつ双子というのが、小美人それらしさ?を偽装する。あえていえば、ジョン・ウォーターズ清潔?版の、フリークス性を感じますな。
 「モスラ」の「モスラ」たるゆえんは、いささか不細工な毛虫のお化けにあるのではなく、ふるふるふるえている、双子の小美人のヴァルネラビリティ(被攻撃誘発性、思い切り平たく言えば、いじめられっ子体質か)、愛らしく、可愛らしく、しかし、ふるふる震えている、妖精のような、小動物のような。
 ただ、ただ、モスラが、助けに来てくれるのを、確信を持って、まっている。
 男性性のキングコングから、女性性のモスラ/小美人へ。

 と、ここまで書いて、かなり有名な映画の感想を書くのに、怪獣映画にはあまり詳しくないぼくは、ひょっとして、怪獣マニアから見たら、頓珍漢な感想を書くのではないかと危惧して(笑)、「モスラ 感想」で検索(笑)。
 そうすると、リメイクや、のちのシリーズもの(の感想)ばかりがヒットして、なかなかオリジナル(の感想)にたどり着けない。オリジナルを大切にしない国だからなあ、と、ぶつぶついいつつ、ふと、ヘンなサイトを発見。
 なにがヘンかというと、映画のブログではなくて、セクシャリティに関するブログの掲示板らしい。どうやら、30代のヴァージンがどうたら、という、男性におくてな女性のブログの掲示板らしいモノに、ヒットしたようだ。
 で、男におくてで、かつ耳年増の女性が、男性の性的突起物を、初めて、実際に、目にした瞬間に、感じるのは、「意外と可愛い」(笑)というもので、どうやら耳年増な女性は、男のそれを、かなりグロテスクな外観のものと、妄想しているのが、いざ実物を見たら、「意外と可愛い」というような?ページらしい(たぶん、この掲示板の方が見たら、きわめて不適切な説明)。
 で、掲示板のある発言者が、男性の性的突起物を、「モスラ」と愛称にしたことから、ぼくの「モスラ 感想」検索にヒットしたようなのだ。男性のおちんちんの呼び方を、モスラにたとえ、意外にその掲示板で受けて、みんなが、「男のアレ」を「モスラ」と、呼び合うようになった、と。
 モスラの姿には、二種類ある。幼虫時代の芋虫状態と、成虫後の、羽ばさばさの巨大蛾。
 男性器の愛称となったのは、もちろん幼虫期の芋虫状態のほうで、成虫後は、わりと女性的な蛾の姿になる。
 ・…おお、そうか。「モスラ」という怪獣は、前期男性性、後期女性性の生きものだったのだ。つまり、この映画は、MTF怪獣モスラを主役とした、トランスセクシャル怪獣映画なのではないか(笑)。
 特に、のちのカラー・リメイク版では、成虫後モスラは、まるで、ドラァグ・クイーンのように、デヴァインのように、マツコ・デラックスのように、毒々しいまでのカラー怪獣に変貌するわけだ。
 ロリシカ国に属する孤島インファント(乳幼児の意味)島から、島の守り神である妖精姉妹ザ・ピーナッツが、日本に拉致された。もっとも、拉致したのは日本人ではなくて、ロリシカ人の悪漢・ジェリー伊藤である。
 インファント島の原住民の、妖精姉妹を助けてほしいという要請ダンスを受けて(原住民ダンス担当は日劇ダンシング・チーム)、巨大卵の殻を破って、巨大芋虫誕生。
 <母なる海>を、さながら男性器のように、ずんずん突き進んで日本へ。
 日本へ到達するも、東京タワー(これまた男性器を思わせる突起物)のところで、この東京タワーを中折れして、ここに繭を作る。東京タワーを半分に折る行為は、男性性の否定であり、繭化は、女性化の証であろう。
 と、頭の悪い(笑)通俗心理学モロダシの流れ。
 男性器そのものの似姿である幼虫モスラは、妖精姉妹の小美人に到達しようと志向して、湿潤な<母なる海>にひたりつつ、男性性を否定して、女性化していく。
 そして、日本では、巨大ダムの水中から出現することに、注目したい(笑)。 巨大ダムというのは、人工的に作られた、人工湖。男性が、人工的な<加工>ののちに、オネエになることの、暗喩なのではないか(バカ)。このダムのシーンでは、フランキー堺が、赤ん坊を危機から救う。
 人工湖のダムでの、新しい生命の蘇生こそが、女性化した新しい生命の暗喩でなくて、なんだろう(バカ)。
 通常の怪獣映画における怪獣とは、破壊神であり、男性性の象徴であるわけだろうが、本作は、珍しい、トランス・セクシャルな怪獣映画であるわけだ。

 コロムビア映画との日米合作であったようで、東宝怪獣モノとしては珍しく、クライマックスは、非日本。白人国ロリシカ国の首都ニューカーク市が舞台。白人国では、大八車で逃げ惑う庶民の姿も撮れず、本多猪四郎としても、切歯扼腕か(笑)。円谷采配の、西洋風の景観ミニチュアも、やっつけ仕事、手抜きが感じられた(ネットで調べたら、急きょ短期間で撮り直しした結果らしい。やはり)。
 と、アメリカを模したニューカーク市が舞台(日本部分でも、横田基地が出てくる)なので、ふと気付いたが、東宝怪獣映画では、なぜ、怪獣に、自衛隊とか、海上保安庁しか、対応しないのだろう。<圧倒的な日本の危機>に、なぜ在日米軍も、出てこないのか。本作なら、特にロリシカ人の悪漢も絡んで、モスラの破壊が進んでいく。ここは、当然、在日ロリシカ軍も、出張って当然の状況ではないか。
 というのも、ロリシカ人悪漢追跡には、日本の警官にMPが帯同している(あるいは、MPに日本の制服警官が帯同、か)。
 モスラが横田基地(周辺か)通過なら、当然在日ロリシカ軍は応戦すべきだろう。在日米軍がいるのは、まことに不都合な状況(自国防衛が自前では出来ないという不幸)だが、その現実を無視して、自衛隊しか、出さない東宝映画も、また、不都合だろう。
 ところで、これを見たのは、香川京子特集。最後にふれるが(笑)、人間側主演が、新聞記者・フランキー堺。その同僚カメラ記者が香川。
 美人女優なら誰でもいい、という扱いだが、香川の怪獣映画への出演は珍しく、海外での展開を考えて、黒沢・溝口など巨匠たち(国際映画祭の花形たち)に、出演した女優というプレミアム感ゆえの出演か。
 見せ場的には平凡で、特にどうこうする演技でもない。
 むしろ、生フィギュア感濃厚な小美人ザ・ピーナッツの、おたく趣味の始祖みたいな、<異様感>が、際立つようなのは、後出しじゃんけんか。
●追記●ネット検索によれば、原作のロシリカ国表記が映画版ではロリシカ国に変更されたという。
 ロシリカは、ロシア+アメリカの合成語。日米合作のアメリカ側としては、ロシアと一緒にするない、という不快感があってのことと推測するが、であるならば、後出しじゃんけん的に言えば、ロリシカは、ロリータ+ナウシカか。ナウシカの巨大芋虫?オウムは、モスラ芋虫が、発想の原点か、ともネットにかかれている。ロリータ+ナウシカ。うーん、なんとなく「モスラ」に似つかわしいネーミングで(笑)。

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by mukashinoeiga | 2011-12-28 05:09 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

青柳信雄「モンテンルパの夜は更けて」香川京子上原謙東野英治郎左幸子北林谷栄山内明

 京橋にて。「映画女優 香川京子」特集。52年、新東宝。
 香川京子が美しく、可愛らしい新鮮さ。当時の女優だから、今の女優には期待できない、美しい和服の着こなし、感情表現の適確。香川京子の素晴らしさ。その、もっとも美しい頃の香川を、無駄遣いした、凡庸なメロドラマ。
e0178641_356216.png 製作も兼ねる、凡監・青柳では、致し方ない。撮影・小原譲治らのスタッフ・ワークは、堅調な職人芸だから、安心してみていられるが、仏作って、魂入れずな。
 フィリピン・モンテンルパの刑務所で、今(映画制作当時)も囚われた、処刑の日を待つ、旧日本軍の元軍人たち。フィリピン戦場での虐殺行為の罪を問われたのだが、当時の軍事法廷が、いい加減で、まず、敗戦・日本に罪ありき、の復讐心を前提とした、21世紀の視点から見れば、とうてい法治主義とも呼べないバカ法廷であったのは、ご存知の通り。
 ここで、いい加減な証拠と証言で、無実の死刑囚、その青年の苦悩。現地で彼にアドヴァイスする日本人弁護士?が、十朱久雄(笑)なのだから、人は良くても、有能な弁護実務は、まったく期待できない。
 青年の、日本の家族が、頑固オヤジ・東野英治郎。青年の嫁・香川と二人住まい。嫁と言っても、いいなづけなのであって、青年との夫婦生活など、一日もない。一度も夫婦であったこともない<嫁>は、いつ帰ってくるのか、帰ってこない確率も高い<夫>を、ただただ、待つ。この香川もまた、頑固な舅・東野と、<家>に、囚われた虜囚なのだ。
 <家>に、囚われた、美しい虜囚、香川京子。ここから、このメロドラマは、転がりだしていく。戦犯問題は、メロドラマの肥やしだったのね(泣)。
 東野は、夫が出征中の、武士の妻の心得・女道徳を、嫁に強制するが、香川の妹・左幸子が言うように、
家事全般をまる投げした、女中扱いという面もある。これに輪をかけてひどいのが、<夫>の兄・上原謙の嫁、香川には兄嫁に当たる、北林谷栄。自分に甘く、義妹にはキビシイ、その冷酷な、偏狭な顔。北林の意地悪そうな顔が、利いている。
 上原謙と北林谷栄のカップリングは珍しいが、受けに徹する上原、責める北林といった感じで、面白い。ま、香川は、いぢめ状態で、かわいそうだけど(笑)。
 この映画に北林がいるだけで、画面に緊張感が生まれる。ついでといってはなんだが、舅の頑固親父役・東野の、演技が、この映画では、実にウロンだ(笑)。何か、演技に迷い(笑)があるような?

 交際はしていても、夫ではなかった男を待つ香川、そのこころは、だんだん、身近な別の男に傾いてくる。というところで、映画は、なぜか、香川は、ラジオ解説員・上原のラジオに、関心を示す。いっぽう、好青年・山内明は、香川に関心。ぼくは、見ていて、てっきり、
 山内は、香川に関心 → 香川は、義兄・上原に関心
という、戦地の夫を含めた五角関係と、思って、見ていた。だって、そういう描写が、いくつか、感じられたんだもん(笑)。まあ、そんな複雑な関係は、青柳凡監には、無理か。
 結局、映画は、平凡な、力ないメロに終息していく。
 同時に、モンテンルパは、やはり、ダシだった。
 香川京子の美貌と演技が、無駄に終わっただけで。 
●追記●小学校教師の山内明が、夜学で英語などを習う。ここで同じ夜学生同士の香川と知り合うのだが、なぜ、すでに教師である彼が夜学? 代用教員なのであろうか?  それはともかく、彼の小学校の女性用務員に、花井蘭子。彼女の夫もまた、モンテンルパにいる。花井蘭子も、また、素晴らしい演技だが、泣いていても天性のコメディエンヌだから、とても、明るいのね。彼女を、メロドラマに、起用しちゃダメだろう。コメディ軽視の日本で、彼女の活躍の場は、狭められている。残念。   

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by mukashinoeiga | 2011-11-27 22:31 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

大曽根辰保「流轉(るてん)」

 京橋にて。「映画女優 香川京子」特集。56年、松竹京都。
 香川京子の初のカラー作品とのこと。きれいなプリント、さすがフィルムセンター、ニュープリント同然。
 井上金太郎「月夜鴉」と、成瀬巳喜男「歌行燈(あんどん)」を、足して二で割ったような物語(井上靖原作、脚本井手雅人)。
 大快作「月夜鴉」では、高田浩吉に「杵屋」家元の娘・飯塚敏子が、三味線のスパルタ式猛特訓。本作では、香川京子に「杵屋」将来の後継者・高田浩吉が、スパルタな猛特訓。香川は、踊りと、のちには三味線も習得する。
 才あるゆえに思い上がった高田が没落、全国を流浪するドサまわり、ここら辺は、やはり大快作「歌行燈」さながら。
 思い上がりの陥穽、ドサまわりの貴種流離譚、やさぐれつつの臥薪嘗胆、そこからの這い上がり、芸道ものの王道ですな。メロドラマの風味が加わり、完璧な感動コース。
 なのに、イマイチ感動がうすいのは、というか、感動がちらりともないのは、凡匠・大曽根辰保の、凡なる手腕のゆえか。あいかわらず、コクもなければキレもない、凡庸な凡作。
 緊張感皆無。水谷浩の、完璧な美術(おそらく松竹京都のオープンセットの、いつもの歌舞伎パーマネント・セットも含めて)もいいのだが、窓の外の江戸市街が、いかにも、つくりの荒いミニチュア市街。日本映画の悪弊は、必ず窓の外に、表れる。
 さらに、高田浩吉が江戸を追われて、街道を歩くシーンに、オフで高田浩吉の歌が流れる、三流映画のつくり。ああ、凡庸を絵に描いて、歌で流して。
 これを思い切りバカにしたのが、鈴木清順「東京流れ者」
 すっかり、おばさんと化した、市川春代。うーん。
というわけで、この映画、見所はないのか。あるんですよ。絶品の香川京子。


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by mukashinoeiga | 2011-11-19 23:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

吉村・今井・山本「愛すればこそ」

 京橋にて。「映画女優 香川京子」特集。55年、独立映画。
 近代映画協会などの、当時の独立プロダクションが結集しての、三部作オムニバス。
 で、当時の独立プロは、左翼のソウクツ。左翼は、理想を語る。というのは、タテマエというか、文字通り、理想であって、82分で三話のエピソードというと、とうぜん、うわすべりした、紋切り型のタテマエしか、語られることはない。まるきり、面白くない。典型的<主人持ちの映画>。コクもなく、キレもない。
 第1話・吉村公三郎「花賣り娘」
 首になった、銀座のバーの雇われマダム・乙羽信子と、幼い花売り娘・町田よし子の、貧しい者どうしの交流。特にどうということのない掌編。銀座のバーの雇われマダムが、佃の渡しの先の、しもた屋の二階に仮住まい、という成瀬巳喜男「女が階段を上る時」の設定と同じ、まあ、そこだけは、いいんだけどね。
 なお、このエピでも、勝鬨橋が開くところがチラッと映る。勝鬨橋の開閉は、あまり意味がなくなったが、意味がなくなったからといって、開閉をやめたとたん、この地域は、ランドマークを失い、没落した。再び、この地域は新ランドマーク、東京スカイツリーを得たが、それは、勝鬨橋に変わりえるだろうか。
 役に立たない、邪魔だから、という理由でランドマークを消滅させることの不幸を、勝鬨橋は示している。
 第2話・今井正「とびこんだ花嫁」
 川崎の貧しいアパートに住む工員・内藤武敏のところに、田舎から、いきなり、花嫁・香川京子が、送り込まれる。困惑する内藤青年は、同宿の同僚、高原駿雄や井出忠彦らに相談、何とか、追い返そうとする。
 いくら、いきなり送り込まれたとはいえ、超可愛い、しかも性格の良さそうな香川京子を、追い出すことしか考えないという<左翼原理主義>に、失笑。
 第3話・山本薩夫「愛すればこそ」
 母・山田五十鈴、長男の東大生・田口計、長女・誰かしら、次女・中原早苗。長男が左翼運動で逮捕される。残された家族は、偏見のなか、生活が困窮する。長女は結婚できず、次女は、進学をあきらめる。
 家族のことも考えず、理想主義に走る左翼青年。
 いやあ、ここで、笑っちゃうのは、<語るに落ちる>とはこのことか。ちがうか。
 理想に燃える、さわやか左翼青年役の田口計。中年以降は、胸に一物、腹黒い悪徳官僚・悪徳弁護士、時代劇では悪代官などを、得意とする。理想に燃えた左翼青年も、年をへると、より、いっそう悪い体制側に組み込まれるという、ルーピー、菅、野ダメら現在の民主党政権の現実を見るような(笑)。
 田口計の思想的ガールフレンドに、久我美子。いいとこのお嬢さんで、左翼思想に、お遊びで染まるという、木下恵介「女の園」と同様の役回り。こういうのが、いちばん、始末に悪いんだよなあ。いや、現代の民主党、社民党の女性政治家で、いっぱいいるタイプ。

 吉村公三郎、今井正、山本薩夫という、面白い映画を作る映画作家たちが、短い短編だと、語るに落ちる、タテマエしか、表現し得ないという、左翼の病。
 ああ、つまらない。凡作。
 しかし、香川京子ら、出演者全員は、素晴らしい。楽しめる。 監督たちだけが、ダメなのだ。


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by mukashinoeiga | 2011-11-14 23:59 | 山本薩夫傷だらけの左傾山河 | Trackback | Comments(2)

島耕二「東京のヒロイン」森雅之轟夕起子香川京子

 京橋にて。「映画女優 香川京子」特集。50年、新東宝。
e0178641_218497.jpg 香川京子デヴュー作「窓から飛び出せ」、「君と行くアメリカ航路」の同年作。監督は島耕二、美術は河野鷹思は同じ、製作が野口久光、野口も映画ポスターで鳴らしたデザイナー、やはり戦前松竹の映画ポスター・デザインの河野を美術に起用とは、面白い。
 「窓から飛び出せ」で四人の子持ちを演じた、轟夕起子が、本作では、まだまだオールドミスには間がある独身娘、というのは、ちと、きつい(笑)。さらに、カノジョは、かなりデブっていて、劇中でも、森雅之が書くカリカチュアは、かなりのおでぶちゃん。でも、そのハンデを乗り越えて?その、エンタティナーぶりは、素晴らしい。
 つられて相手役、森雅之も、かなり無理して?ショーアップしてのはしゃぎぶり。ちょと無理がありつつ(笑)、三枚目路線のアウェイで(笑)、健闘しております。いや、よく、やっておる(笑)。

e0178641_2185223.jpg そして、のちには文芸路線一筋の島耕二も、ジョン・ランディスか、というくらいのおバカ路線を邁進。
「君と行くアメリカ航路」でも、チンピラ役で出演の、潮万次郎が、本作では、ジョン・ベルーシ並みの珍演・暴演。のちの、渋い大映専属脇役ぶりからは、信じられない暴発ぶりで(笑)。
 勘違いから、轟・森がそろって吸い寄せられていく、バー「ランボー」。アルチュール・ランボー好きゆえに命名された、伊達里子がマダムのバー。しかし、伊達マダムは、アル中。常連の笑い上戸・潮万次郎もアル中。アル中乱暴。ダジャレか。
 潮万次郎、モリマとトドロキが、いい雰囲気になるたびに、ことごとく邪魔をする。「君と行くアメリカ航路」に続く、斎藤達雄の珍演も、お上品に見えるほどの、暴走ぶり。
 港の水辺で浮かれる潮万次郎、そうなると、当然、お約束で、水にはまってしまうのだが。
ふつう「助けてー! おぼれるー!」
 と、言うところ、で・・・・。


「助けてー! 酔いがさめちまうー!」
 アル中の鑑や(笑)。 

 「窓から飛び出せ」「君と行くアメリカ航路」どうよう、ちいさな人形を使った、ほのぼのギャグも、健在。香川京子も、可愛らしい。トドロキとのガーリーな姉妹シーンの親和性、愛らしさ。このセンスは、このトリオのセンスは大林宣彦「時をかける少女」に、受け継がれるものか。あの映画でも、ちいさな人形のクローズアップがありました。
この三本、島耕二・香川京子・河野鷹思トリオの三部作と、呼びたい。
 この日の次の回、成瀬巳喜男「銀座化粧」も、美術・河野鷹思、気になりつつ、何回も見ているので、パス。
 なお、この特集、始まったばかりということもあってか、平日昼の回は、満席に近い。土日のレアもの・人気作は、ことによったら、札止めもありか。
●追記●たいへんな間違いを犯してしまいました(笑)。
 上記・潮万次郎は、すべて、「潮万太郎」の誤りでした。こんなこと、間違えるなんて。ボケもそうとう進行しておるな。
 たぶん、このミスの経緯は、きわめて簡単です。文中、ジョン・ランディス、ジョン・ベルーシと、ジョンを連呼していたため、潮・万・万・・・・、という脳内検索のときに、ふと、ジョン万次郎の名が、飛び込んできたのです! かくして、潮万次郎。ああ、お粗末。すべての潮万太郎ファン、ならびに弓恵子ファンの皆様に、お詫び申し上げます。
●再追記●上記「伊達里子がマダムのバー。しかし、伊達マダムは、アル中。」の、バーのマダムは、入江たか子の間違いでしたね。上映中は、あ、入江たか子だ、とわかってはいたのですが、駄文を書く頃になると、ころっと、忘れてしまう(笑)。かつての可憐な美人女優も、アルコールが入った躁状態を珍演するも、痛々しさが、先に立つ、不徹底ぶり。
 ちなみに、この際、書きもらしたことを、付け加えると、香川京子、かわいいんだけど、そして本作では、通常以上に、異常に、可愛いんだけれど、お鼻が、やや、大きい。そして轟夕起子は、ガタイも、ひとみも大きいが、お鼻も大きいのね、森雅之が、おふたりは姉妹と、最初からわかりましたよ、というもむべなるかな。
 映画におけるベスト・シスターの一組。
●再々追記●ぴくちゃあ氏の「ぴくちゃあ通信」を勝手に引用すれば、

>神保町シアターにて『東京のヒロイン』(新東宝1950:島耕二)を見る。「男優・森雅之」特集の1本。1200円。
 轟夕起子が雑誌編集者に扮して、東京の街を颯爽と闊歩するお話。しかし、もうかなり太ってしまった彼女をヒロインとするにはちょいと苦しい。妹役の香川京子のほうが適役である。
 森雅之との典型的なボーイミーツガール映画ではあるが、話の展開がモタモタしている。オリジナル94分から30分もカットされた63分という短縮版にもかかわらずである。
 おもしろいなと思ったのが、酔っぱらいに扮した潮万太郎。笑い上戸でその笑いがわざとらしく感じられた。しかし、何度も登場し、森雅之と轟夕起子との喧嘩シーンまでつきまとう徹底ぶりを見せられては、大笑いするほかない。
 潮万太郎の快演ぶりと、島耕二のラブコメディ演出手腕に拍手!(「ぴくちゃあ通信」2009年、引用終わり)
 
 うーん、太宰治の遺作を原作にした島耕二「グッドバイ」を、短縮版「女性操縦法」としてしか残していない、ずさんな新東宝である。平気で30分短縮したヴァージョンを、作ってしまう。しかし、オリジナル版を楽しんだぼくも、これが30分短縮された版を想像することが出来ない。 それでも、面白いのか、それは、すばらしいことだろう。見比べてみたい。


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by mukashinoeiga | 2011-11-11 23:38 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback | Comments(0)

島耕二「君と行くアメリカ航路」香川京子灰田勝彦斎藤達雄

 京橋にて。「映画女優 香川京子」特集。50年、新東宝。
 斎藤達雄絶品。三十年ぶりにアメリカから帰国した、キザでフレンドリーな絵描き紳士。会話に英語を混ぜて、大げさな身振りは、お約束。
e0178641_1983537.jpg 昔住んでいた横浜の洋館、そこをたずねれば、斎藤達雄子供時代の屋根裏のおもちゃ部屋、そこに間借りしているのが、風見章子?(いや、このひと、イマイチ、あいまいで、確信持てず、乞うご指摘)、香川京子の姉妹。香川はデザイナーの卵、そのデザインを、師匠の伊達里子?沢蘭子?に、盗まれる。
 香川の姉は、香川がミシンでお針子をしている洋品店の、地下のバーで雇われマネージャー。このバーのバーテンが<灰田勝彦似の男>、リクエストされて灰田勝彦のヒットを何曲か歌う。もちろん、演じているのは灰田勝彦本人だ。

 この映画、一種のヴァラエティー・ショーの部分もあって、実はパートカラー。灰田の何曲かの歌唱、暁テル子(当時のヒット曲「ミネソタの卵売り」歌手)の、これまた何曲かの歌唱は、そのつど、カラー映像として、挿入されていたらしい。らしいというのは、現存しているのは、プリントの白黒部分のみなので、カラーの場面になると、画面は、とたんに黒味のみ、白味のみになり、歌声だけが聞こえる仕組みの上映だ。
 当時は貴重な、最先端のカラー、いわば目玉映像が、失われていて、ラジオ状態となる。先端の技術は、先端であるがゆえに?、その実験映像は後世に残らない、かえってローテクのほうが後世に残り易い、ということか。日本としては当時先端だったカラー映像が、かえって、先祖がえりして、更なるローテクである、ラジオ状態で、音だけしかわれわれは提供されない、というのも、わかり易い歴史の皮肉である。
 特に暁テル子歌唱パートは、水着ファッション・コンテストの余興で歌われるものであり、合間合間に、1930年代からの水着をモデルさんが着ている、ショー形式。戦前の女性水着は、まあ、ドレスみたいなもので、戦前の水着は、白黒で撮られているから、今回の上映プリントでも、残っている。
 ところが、戦後の肌の露出が増えてくるカラー映像が、残っていない!
なんとも惜しいことに<1960年の水着>も、カラーだから、白味のみ! だってあなた、1950年の時点で、考えられた<1960年の水着>の、ファッションですよ。見たいじゃないですか(笑)。
 しかも美術が島耕二「窓から飛び出せ」と同じで、河野鷹思! 戦前からのモダニスト、河野の発想する(たぶん)10年後のファッション、相当モダンなはずで。うー、実に惜しい。
 たぶん河野が主導したデザインと思うのだが、「窓から飛び出せ」、本作、そして、このあとに書く島耕二「東京のヒロイン」の、実写の合成、前景と背景の合成センスの、素晴らしさ! 前景のごちゃごちゃした繁華街、あるいは駅前などと、後景の月夜の夜空の、合成センス。あるいは、本作での、水着ショーのプールの前景と、後景の青空の中の高層ホテル(青空といっても、白黒だけど)の、ほどのよいセンス。
 戦前からの名グラフィック・デザイナー河野のセンスに、にやにやするばかり。
 河野鷹思の映画美術仕事など、多分余技で、あんまり本数はないと思うが、それでも、相性抜群かと思われる島耕二の何本かが、あるのは、幸せ。それだけに、<1960年の水着>。見たかった(笑)。
 香川の姉のバー、そこにたいへん大きなポスター。島、河野、製作野口久光!のトリオの同年作「東京のヒロイン」の、巨大ポスターだ。さらに巨大な横長看板が、繁華街のガード下にもあり、島耕二「君と行くアメリカ航路」の中で、数ヵ月後公開の島耕二「東京のヒロイン」が、バンバン宣伝されている。監督・島耕二、主演・轟夕起子と。豪快ですらある、自己宣伝しかもギャグでもある。
 水着ショーで、司会者は「では、暁テル子さんに続きまして、この映画の主題歌を、灰田勝彦さんに歌っていただきましょう」とアナウンス、メタフィクションか(笑)。灰田勝彦が登場して歌う、それを観客席で見る<灰田勝彦似の男>の、腐りっぷり、という落ち。
 なんだか、現代の三谷幸喜「ステキな隠し撮り」より、60年前の島耕二の、アメリカン・ジョークのほうが、うまいセンスだなあ。現代の三谷幸喜のほうが、ローテクで。(なお「ステキな隠し撮り」は★今、そこにある映画★に感想駄文あり、とこちらも、宣伝で)

 灰田勝彦がキャッチ・ボールするシーンに、さりげなく彼のヒット曲「野球小僧」のメロディーが低く流れる、その音の小さい、センスの良さ。そのあとに展開される、コミック調のアクションもいい。今回の香川特集で見た島耕二=河野鷹思の3本、ちょっとしたアクションのセンス、ギャグのセンス、ともによく、うれしい。このあと、いわゆる文芸映画のほうにシフトしてしまう島耕二の、モダンさ、センスの良さが光る。   
 香川京子について言えば、まあ、可愛らしい。特に、夜起きだしてデッサン画を描く香川の顔が、初々しい美少女ぶりで。新鮮な美貌。


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by mukashinoeiga | 2011-11-11 06:07 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback | Comments(2)

島耕二「窓から飛び出せ」香川京子大日方傳轟夕起子小林桂樹岡村文子河野鷹思

 京橋にて。「映画女優 香川京子」特集。50年、新東宝。
e0178641_12212297.jpg 香川京子のデヴュー作。ということで、見に行ったら、なんだ、前にも見た映画じゃないか(笑)。でも、やはり、楽しめる、島耕二らしい、ほのぼのとした快作。
 香川京子は、久我美子の急きょの代役ということらしいが、それでも、素直な演技で、デヴューから早くも安定した、好感度抜群さ。
 島耕二の工夫に満ちた、愛らしい映画。戦前松竹で、さまざまなポスターを描いた河野鷹思が、戦後は美術監督になり、本作でも、そのモダンで愛らしい美術を展開し、島耕二とのコンビの相性もよさそうだ。
 ほのぼのと、愛らしい。香川京子の幸福なデヴュー作。本特集では、あと2回上映。

 大日方傳の原作・主演。発明好き・工夫好きの一家。根っから明るくて、クリスマスなどには、一家で歌を歌う。日曜には教会に行く。一家で牧場を経営している。周りに何にもないところで牧場経営、これが東京近郊、私鉄沿線、というのだから、時代だなあ。
 そういう、西洋文明にモロあこがれる、明朗一家を演じるに、祖父・汐見洋、父・大日方、母・轟夕起子、大日方の弟の大学生・小林桂樹、何たる好メンバーか。
 汐見は、成瀬映画随一の超西洋モダンな父親を演じたし(成瀬「雪崩」)、大日方は戦前モダンボーイ、小林桂樹は、いささか似合わない学生服姿ながら、戦前の傑作島津保次郎「隣の八重ちゃん」の大日方傳の役回りか。
 そして、宝塚出身で、歌って踊る轟夕起子の、明朗さは、いうまでもなく。島耕二映画との相性も抜群で、後にこのふたり、結婚までした。彼女は、この後、明朗おばさん女優となるのだが、本作では、まだまだきれいな時代、ほんのりした色香が美しい。
 さて、この明朗モダン一家の隣家が、お手かざし教なる、怪しげな新興宗教に凝る、岡村文子。この未亡人の娘が、母と似合わぬ愛らしさの、香川京子。香川は、好青年・小林と、なんだか、いい感じ。
 愚昧で愚鈍で、邪教に凝る岡村を、どう、近代的な婦人に改心させるかが、楽しいコメディー仕立てで、語られる。まあ、近代で、西洋で、明朗で、合理的な人たちが、敬虔なクリスチャンで、じゃあ、キリスト教もまた、<根拠の怪しげな邪教>では、ないの、という客観的な視点は、置いといて、ということで。
 まあ、お手かざし教は、本部から来た男が、いかにも詐欺師然とした小林十九二ですからね、邪教といわれても仕方がないやね(小林十九二が火鉢に手をかざす、そのかざし方も、お手かざしそのままなのが、笑わせる)。
 なお、大日方・轟の子供たち、四人兄妹は、クレジットによれば、大日方の実子のようだ。この四人とは別に、大日方駿介なる、長男が、弟妹たちとは別に、岡村文子の子供、香川京子の弟を演じているのだが、この子が、なかなかかわいくて、演技もうまい。
 長い前髪をさっと振る、いかにもきざなお金持ちの坊ちゃん、おそらく大日方伝の長男だから、実際もそうなのだろう。堂に入ったお金持ちの坊ちゃん役を、好演している。
 ネットで検索したら、大日方傳主演の二、三に共演しているようだ。もっと活躍してもよさそうな素材で。


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by mukashinoeiga | 2011-11-09 10:14 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback | Comments(0)

ああ、そういうことなのか(笑)

 本日集計され、明らかになった、昨日8/1分の、エキサイト検索。

検索ワードランキング
順位 検索ワード アクセス数
1位 大原麗子 実家 15
2位 大原麗子 実家 14
3位 杉本美樹 精神病 4
4位 大原麗子 ヌード 3
5位 仲間由紀恵過去の映画 3
6位 DVDラベル 暗殺 丹波哲郎 2
7位 橘雪子 2
8位 昔の映画見ています 2
9位 大原麗子 ヌード 2
10位 香川京子の腋毛 2

 これを見て、突然気付きましたね(笑)。
 なぜ、数ある女優のなかで、大原麗子の実家だけが、検索されるのか。
 つまり、大原麗子のファンが、実家の和菓子屋に行って、大原麗子のうちのお菓子を求めたい、と。
 ありていに言えば、マップが欲しい、と。
 で、検索元を逆探すると、ヤフーでも、当ブログの、へんてこりんなゴシップが、最初に、ヒットすると。いや、ほんとに<大原麗子 実家>で、検索すると、その1ページ目の、1番目に当ブログがヒットするんですよ(笑)。たぶん、ほんとは、みんな、マップとか、営業時間とか、最寄り駅とか、検索しているはずなのに(笑)。
 いやあ、今頃、気付くなんて、俺、バカ?(笑)おそっ。
 で、そういうマップなどない当ブログにたどり着いた皆さんは、「なんじゃあ、こりゃあ!」と、怒り心頭で、速攻クローズ。
 こういう検索の結果が、蓄積されて、アクセス数は、増えていくのだなあ。ま、<大原麗子 ヌード>は、行きがけの駄賃か(笑)。
 次の疑問は、<杉本美樹 精神病>の探求だな。
●追記●香川京子が、腋毛の「条件付」で、橘雪子と同点というのが、笑える。ネットの平等さか。しかし、香川京子の腋毛見て、興奮するのか。いや、とりあえず、ぼくも、何でも見てみたいけど(笑)。


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●10~20位前後を行ったりきたり

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●最近はベストテンのIN順で1~3位、OUT順で1位。
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by mukashinoeiga | 2011-08-02 23:20 | 業務連絡 | Trackback | Comments(0)