タグ:香山美子 ( 3 ) タグの人気記事

市村泰一「この声なき叫び」香山美子田村正和南田洋子園井啓介倍賞千恵子志村喬笠智衆荒木道子北村和夫

意外に魅せる小品佳作。
 神保町にて「赤川次郎と現代ミステリーの世界-映画で愉しむ謎解きエンターテインメント!」特集。65年、松竹大船。
 ミステリとしては小粒だが、見捨てりがたいものがあるドラマ。

e0178641_13414100.jpg7. この声なき叫び (神保町シアターHPより)
S40('65)/松竹大船/白黒/1時間40分
■監督:市村泰一■原作:西村京太郎『四つの終止符』■脚本:柳井隆雄、石田守良、今井金次郎■撮影:小原治夫■音楽:小川寛興■美術:熊谷正雄■出演:香山美子、田村正和、南田洋子、園井啓介、倍賞千恵子、志村喬、笠智衆
人気作家・西村京太郎の"トラベルミステリーではない"初期の傑作長編を、田村正和主演で映画化。母殺しの容疑者となった聾者の青年と、彼の無実を信じ、事件の真相に迫るホステスとの人知れぬ絆に涙する、異色の社会派サスペンス。

 まず香山美子と田村正和は、恋人同士ではない。香山が田村の無実を信じて奔走するのも、やはり聾者だった死んだ弟の面影を田村に見てのこと。
 本作から四か月後の同じ年に、同じ松竹で山田洋次「霧の旗」が公開されているが、その三年後にも、松竹で、山田洋次・加藤泰脚本の「みな殺しの霊歌」
 「霧の旗」では、兄の無実を信じて倍賞千恵子が奔走する。
 「みな殺しの霊歌」では、疑似的な弟のような少年の無垢を信じて佐藤允が奔走する。ま、奔走というより、暴走ですがな。
 この連鎖は興味深い。しかもこの三作には、いづれも倍賞千恵子が、助演、主演、ヒロイン役としてそれぞれかかわっているのも、面白い。「霧の旗」で兄想い、「みな殺しの霊歌」でやくざな兄を殺す。そんな倍賞が山田洋次「男はつらいよ」シリーズで柴又一の兄想いの妹を演じるのも面白い。
 閑話休題。

 Movie Walker解説から引用すれば、
 宝井弁護士は被告人を救う道は「母を安楽死させたと言わせることだ」と言った。無罪を信じながらも、晋一を救うために、幸子は晋一に自白をすすめた。信頼する幸子にも自分の心は解ってもらえない……そんな自分に孤独を感じた絶望感で晋一は独房で自殺をはかった。(以上引用終わり)

 本来なら無実であるという主張をしたいが、それでは裁判に勝てない。裁判に勝つテクニックとして、そういう戦術でいけば、執行猶予、あるいは極めて短期の刑、で済ませられるだろうという、裏技だ。
 しかし純情な母思いの青年に、そんな大人の裏ワザは通用しない。
 この癖のある弁護士を北村和夫が好演。というか、映画に出てくる弁護士って、ほとんど癖のある人物ばかりの印象で。一方の検事は謹厳実直の無個性派。
 まあ自称人権派の弁護士とか、福島瑞穂とか枝野とかの弁護士兼政治屋を見れば、クセダマ野郎ばかりというのは正しいかも(笑)。

 そして真犯人のあれこれも、あまりに小ネタすぎないか(笑)。ろうあの青年が関わっていたから、そういう悲劇性で映画化されたのだろうが、ミステリとしては、あまりに小ネタすぎる。うーん。 
 でもまあ、映画自体は、倍賞千恵子や笠智衆、香山美子、田村正和、南田洋子などの善良さで、救われて好印象。
 なかんづく人権派?の新聞記者を演じた園井啓介の誠実さよ。かつては新聞記者は誠実人権派の代表とみられていました。今は化けの皮がはがれて、捏造インチキ野郎の代名詞ですがな(笑)。


★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

by mukashinoeiga | 2018-03-19 01:35 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

加藤泰「江戸川乱歩の 陰獣」

うーん、微妙。77年、松竹大船。京橋にて「生誕100年 映画監督 加藤泰」特集。
 そもそも熱血派の加藤泰に、もそもそ隠微な変態世界が理解できるのか、というそもそも問題がある。
 そもそも本格探偵小説の作家を自称するあおい輝彦が、変格探偵小説作家・大江春泥を、邪道呼ばわりする資格があるのか。両者の大ファンを自称するマダム・香山美子が「先生も大江春泥並みの変格小説をお書きになって、素晴らしい」(大意)と、揶揄する始末。
 つまり、乱歩VS乱歩の、変格合戦、なの、どうでもいいわ(笑)。 

e0178641_1363885.jpg(以下、ネタバレあり)
41 江戸川乱歩の 陰獣(117分・35mm・カラー) (フィルムセンターHPより)
1977(松竹)(監・脚)加藤泰(原)江戸川乱歩(脚)仲倉重郎(撮)丸山恵司(美)梅田千代夫(音)鏑木創(出)あおい輝彦、香山美子、若山富三郎、大友柳太朗、川津祐介、中山仁、仲谷昇、野際陽子、田口久美、倍賞美津子、加賀まりこ、藤岡琢也
謎の小説家大江春泥から届く一連の脅迫状が、奇怪な連続殺人事件を呼び起こす。大胆でモダンな構図と、香山美子演じるファム・ファタルの妖しい輝き、江戸川乱歩世界の倒錯と退廃の美を表現する美術と音楽が強い印象を残す。長台詞によるクライマックスの謎解きシークエンスの演出は必見。

 おそらく加藤泰的には、今回一番の目玉は、美人女優・香山美子が、わけあって、醜女に変装するシーンだろう。
 その醜女変装する際に参照されたのが、なんと、香山美子付き女中頭の任田順好!
 美人の香山美子が、任田順好並みに変装して、美青年俳優・川津祐介と、イタす。
 しかし、この醜女版香山の役を実際に演じていたのは、おそらく任田順好だろう。
 かくて加藤泰常連・任田順好と、美人女優・香山美子とのとりかえばや物語が、成立と。
 うーん、加藤泰本人としては、あるいはダイコーフンかもしれんが、それに付き合わされる観客の身としては(笑)。

 いかに当時人気のジャニーズとしても、あおい輝彦の陽性さは、この淫靡さを目指したはずの映画に、全くミスマッチでもあり。
 香山美子の元同級生として証言する、加賀まりこの、脇役出演がいかにも、もったいない。
 地方の映画館(主?)として証言する設定は、弟子?の山田洋次がかかわる野村芳太郎「砂の器」を思わせるが、おそらく加藤泰でなければ、あるいは任田順好の代わりに、加賀を女中頭に起用して、W美人女優の、W醜女メイクとして、話題を取ることも可能だったろう。
 いや、美人女優を醜女扱いにするって、特殊すぎ?(笑)。

 なお。東映のなじみの俳優二人。
 大友柳太郎が、ある意味老醜をさらけ出したすっぽんぽんで、二階から落下って。
 晩年の大友は、確か飛び降り自殺のはず。それを思い起こしてシャレにならないが、生真面目な大友では、余計陰惨か。
 そしてコミカルリリーフ的に、女性カメラマンに、町弘子。下記ムーヴィーウォーカーでは、別の無名女優が記されているので、後からあてはめたのか。
 あるいは加藤泰的には、香山美子主演ではなく、桜町主演の企画だったのか。それが、営業的に松竹から拒否されて、香山になったと。
 桜町と大友の夫婦なら、いかにも既視感ありなのだが。

 お坊ちゃま、お子様の松竹生え抜き監督には、撮れないアダルトな映画は、社外監督に任せよ、ということでの加藤泰召喚なのだろうが、変態監督は、東映には、掃いて捨てるほどおるやろが(笑)。日活にも、おるがな。
 そこを、ほどほどの加藤泰で折り合いをつけるところが、いかにも松竹でんなー(笑)。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

by mukashinoeiga | 2016-10-02 13:06 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(4)

長谷和夫「殺(バラ)すまで追え 新宿25時」

 阿佐ヶ谷にて。「ミステリ劇場へ、ようこそ。【2014】」特集。69年、松竹。
 旧新東宝の天知茂、原知佐子、東宝の佐藤允、松竹の川津祐介、香山美子、歌手役で青江美奈はともかく、おまけに広川太一郎は<新人>とクレジットの、混成チーム。
 いわゆる五社体制の撮影所システムが完全に胡散霧消したあとの、ばらばらなキャスティングが、無残といえば無残。
 おそらく上記の彼らは、映画俳優として、選ばれたのではないだろう。TVドラマ人気者として、映画に「逆輸入」されたものと、思われる。

殺(バラ)すまで追え 新宿25時 1969年(S44)/松竹/白黒/91分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督・脚本:長谷和夫/脚本:宮川一郎/撮影:丸山恵司/美術:梅田千代夫/音楽:鏑木創
■出演:天知茂、佐藤允、川津祐介、香山美子、園江梨子、原知佐子、広川太一郎、高野真二、富山真沙子、青江三奈
同僚の刑事が死亡。未亡人の証言や周囲の状況から自殺に間違いないと思われたが、主人公だけは彼の死を不審に思い、上司の命令も聞かずに真実をあばこうとする──。天知茂が持ち前のハードボイルド的魅力を発揮したアクション篇。

 そういう事情は映画の中身にも反映されているのか、いわばプロが作った、アマチュアめいた作の印象。あらゆる紋切り型な展開が、同じ紋切り型とはいえ、大映東京サスペンスの「安心の緊密感」(笑)とはまるで違う、とっちらかった印象で。
 おそらく映画自体も、松竹は配給のみの、買取作品では、あるまいか。
 天知茂は、ほぼ終始力んだコワモテ顔で、クールガイな役回りだが、顔がいつもこわばりすぎていて、大映の高松英郎のクールさでは、ない。無理して、クールを装う、まるきり養殖モノのクールガイ。
 悪の親玉に佐藤允。って、今にも豪快にワッハッハ、と笑い出しそうで、まるきり悪役が似合わない。ごつい顔だから、悪役もイケル、というわけにはいかない。
 <新人>とクレジットの広川太一郎は、天知の部下的役回りの刑事。ただし、華はない。一応若手二枚目という役どころなんだろうが、まあでくの坊。後年声優としてその才能を開花させたが、二枚目に徹する華がないのは、致命的で。
 ただ、眉を薄くした凶悪顔の殺し屋、川津祐介がいい味。天地の奥さん役・園江梨子が、見かけない顔だけど、妙にそそる。
 原知佐子の<見苦しい女>ぶりは、そそらないが。
 香山美子は、歌手役ということでタイトルの「新宿25時」を歌うが、声量のない女優唱法の吐息ソング。昔は好きだったんですけど、妙に顔をいじったような顔で。
 気のない音楽:鏑木創も、過去の楽譜のテキトーなつぎはぎか。

 まあ、内容は各種サスペンスの要素を寄せ集めた、羊頭狗肉で。特に云々するほどのことでも。体脂肪率限りなくゼロの大映ばかり見ているので、91分をせめて80分ぐらいにすれば、と。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。 今回はおそらく、25などの半角か全角かで、タイトル検索失敗。監督検索で。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2014-11-11 09:29 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)