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豊田四郎「檜舞台」

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。46年、東宝。
 なかなかの快作。
 現代劇もやり、幕間に、鏡獅子を本格的に踊るという新旧混合の劇団を舞台にしながら、テイストは、まさにアメリカン・コメディーという。
 長谷川一夫と、山田五十鈴の、当時名コンビ。五十鈴のツンデレ振りが最強で、楽しい。
 長谷川一夫が、半ば誤解からキレて、「もう、キミとは、芝居以外では、口も利かない!」と、絶交して、芝居ではなかのよい夫婦を演じつつ、稽古が終わると、互いにつんつんしあうのが、可笑しくて。
 まさにハリウッドのスクリューボール・コメディの日本的消化に他ならない。
 長谷川としては珍しい現代劇。
 なので、時代劇のような激しいドーラン化粧ではないナチュラルメイクゆえ、左ほほの切られた傷がかすかに、見える。キャメラが隠さず、堂々と撮るのが、潔い。
 長谷川は、復員兵という設定であり、現代劇は、片足をとられた長谷川と、五十鈴の夫婦の苦悩、という反戦劇。それと、幕間の歌舞伎舞踏とが、地続きで、長谷川によって、演じられていくのに、何の不思議もないのが、珍と言えば珍だし、見ているこちらも、あまり違和感がない。
 この鏡獅子を、長谷川が黙々と稽古しているシーンが、面白い。最初は、すっぴんで、次に小道具の獅子面をもって、最後は本格歌舞伎メイクをして。長々かつ黙々の稽古シーンが、やはり魅せる。
 長谷川が、自分の演技に悩んでいると、三味線の伴奏が聞こえだす。振り返ると、稽古場奥に、五十鈴が端座して、三味線。
 私生活はツンツン絶交中だけど、稽古はアシスト。この辺の呼吸が、やはりいい。

 長谷川の「瞼の父」に、志村喬。突然素っ頓狂に笑い出したり、しんみりしたりと、戦前以来のメリハリの利いた演技。若々しいパワーみなぎる中年男を、例によって快演。パワーみなぎる志村が、渋さみなぎる志村に変貌するのは、まだまだ先の話。
 座員に、河野秋武、進藤英太郎、 田中春男、清川玉枝ら。菅井一郎は、演出家。こんな感じで、淡々と穏やかに、映画も監督していたのだろうか?
 トヨシロも、日ごろのヘンタイ路線?は捨てて、二大スタアの映画を、堅実に支えていて、堂々の演出。

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by mukashinoeiga | 2013-11-24 07:34 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

三隅研次「かげろう笠」香川京子長谷川一夫新珠三千代中村鴈治郎香川良介荒木忍清水元

 神保町にて。「娯楽の王様・時代劇黄金週間」特集。59年・大映京都。
 わぁい、未見の三隅だあ、と喜んだのもつかの間、最初から既視感あり(泣)。でも、既見ながら、楽しい楽しい。後期三隅のかっとんだショットはないながら、娯楽のつぼを押さえた、プログラム・ピクチャアの、さりげないゴージャスが、幾度も現われ、安定したエンターティンメントを堪能す。
 安い流れ者・長谷川一夫、しかしながら、腐っても鯛の、一本芯を通したオトコギ、ふとしたことで、江戸へ向かう途中の、盲目の姫・香川京子を助ける羽目に。オトコギの長谷川、助けるといったら、とことん助ける。
 このヒーローが長谷川ではなく、もっと若い男なら、香川と恋仲になるだろう、しかし長谷川は当時かなりのおっさん。ということで盲目の香川との関係は、かのチャップリンのそれを模倣していく。ひょうきんな、かるみのある長谷川も、また楽しい。
 劇中、唐突に髪結い・新珠三千代が<出現>し、二人に親切。これだけ、かくも濃密な映画なのに、上映時間は88分、サブ・キャラの<いきなり唐突出現>もやむをえないか。長時間大作には許される<贅沢な時間>は、プログラム・ピクチャアの大映、そして三隅には、許されざるもの。
 そして、中盤、これまた唐突に、夢見る香川の妄想ショー。妄想の中での香川は目が見え、夢のような美しいシチュで<恋人>長谷川に、にっこり。ただし香川は、実際の長谷川は見たことがないので、シーンごとに長谷川のシチュエーション・コスプレが変化する。ああ、夢見るお姫様。
 というエクスキューズで、長谷川の早変わりコスプレ。地味で薄汚い三度笠ものの映画で、これじゃあ長谷川先生、あまりに地味すぎる、と取り巻きから文句でも出たか。やっぱり長谷川ファンは、こういう華麗な、ショーアップされた長谷川先生が見たいのよ、とか。
 そういう無茶なリクエストも難なくクリアして、水準的な娯楽映画の一丁上がり。そもそも、初々しいアイドル・香川京子と、御大・長谷川一夫の無茶な組み合わせすら、難なくこなしてしまうのだ。
 平常運転の三隅も、また素晴らしい。それを支える、大映美術陣も相変わらずの職人芸。

e0178641_20464016.png◎追記◎
かげろう笠(87分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1959(大映京都)(監)三隅研次(脚)犬塚稔(撮)今井ひろし(美)太田誠一(音)斎藤一郎(出)長谷川一夫、香川京子、新珠三千代、中村鴈治郎、香川良介、荒木忍、清水元、杉山昌三九、田崎潤、舟木洋一、光岡竜三郎、伊達三郎、上田寛、羅門光三郎
盲目の菊姫(香川)を奸臣の襲撃から救った風来坊の弥太郎(長谷川)。2人は互いの身分を知らないまま江戸へと向かい、弥太郎は菊姫の眼の治療代を稼ぐため博打をやめ、心を入れ替えて働き始める。『街の灯』や『ローマの休日』を思わせる、身分差のある男女が織りなす股旅ロマンス。

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by mukashinoeiga | 2010-04-30 23:41 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(0)

三隅研次「銭形平次捕物控 美人鮫」

 神保町にて。「娯楽の王様・時代劇黄金週間」特集。62年・大映京都。
 スーパー・パワフルにして、ウルトラ・センシィディヴな(笑)全盛期の三隅映画に比べるまでもなく、初期三隅映画は、薄味でイマイチ。文字通りの習作の気配。しかし、これは初期三隅にしては、なかなか、いい。
 江戸時代の江戸。深夜。後ろ手を縛られた町娘が、ふらふら逃げ惑い、しかし何者かに殺される。
 そこへ、夜鳴きそばの親父。簡易屋台をおろし、営業準備。客も「寒いねえ」と寄ってくる。そこへ、ヤク中の男(もちろん、ここは当然伊達三郎ですな)が現われ、屋台をぶち倒す。屋台から火の手があがる。ひぇー、あわてた客たちが、火の手を消そうと、手近の天水桶をあけると、水の中に、娘の死体。
 ここまでの、冒頭の短いショットの積み重ねが、素晴らしい。スーパーではないが、繊細かつ大胆な編集の素晴らしさ。
 長谷川一夫の銭形平次が出てくると、ふつうの水準的娯楽映画の水準になるのだけれど。おかしいのは、平時の子分・八五郎。なんと船越。ひょうきんなお調子者に、船越、似合わないぞ。船越、よく言えばひょうきん役には大物感が漂い、悪く言えば、重く、ドンくさい。いつもは名演技の船越の、わざとらしいひょうきんな小物役。見ているほうがむずむずするような、決まりの悪さ。
 長谷川一夫の平次は。まあねえ。この時期の長谷川一夫は、カンロクはあるんだけど、まあ、何やっても、カンロクだけはあるんだけど(笑)。
 そのなかで、初期三隅は、精一杯のサーヴィス。たのしい。

by mukashinoeiga | 2010-04-29 22:36 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback(22) | Comments(0)