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成瀬巳喜男「禍福」高田稔入江たか子竹久千恵子丸山定夫英百合子御橋公伊藤智子逢初夢子大川平八郎

 ユーチューブにて。37年、製作・P.C.L.映画製作所、配給・東宝映画株式會社
 2005年のフィルムセンター「生誕百年特集 映画監督 成瀬巳喜男」特集で見逃したもの。
 新文芸坐の今回の成瀬特集でも、せっかくフィルムセンターの所蔵プリントを借りられるのだから、せめて一番組でも、こういった戦前のものをやってほしかった。
 いわゆる三角関係メロドラマを、相変わらずさくさくと、流れるように流麗に描く。
 ただし、後年のスーパー成瀬では、ない。いわゆる若書きゆえの幼さ?はあるが、それでもクイクイと魅せる(笑)。

禍福 前篇(78分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
「真珠夫人」のテレビドラマ化で再び注目を集めている菊池寛。本作は彼のメロドラマ小説の映画化である。外交官に採用され前途有望な皆川(高田)は、豊美(入江)と結婚の約束を交わしていた。しかし皆川は帰郷した時に出会った幼な馴染みの百合恵に心惹かれる。
’37(東宝東京)(原)菊池寛(脚)岩崎文隆(撮)三浦光雄(美)北猛夫(音)仁木他喜雄(出)高田稔、入江たか子、竹久千恵子、丸山定夫、英百合子、堀越節子、生方明、伊東薫、御橋公、伊藤智子、逢初夢子、大川平八郎、神田千鶴子

e0178641_7443191.png禍福 後篇(79分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
皆川の子を産んだ豊美は、皆川の妻となった百合恵(竹久)と図らずも親しくなり、皆川家に居候することに。長期出張先のフランスから帰ってきた皆川は豊美と衝撃の再会を果たす。女性同士の友情と連帯によって豊美の復讐劇は大きく転換してゆく。
’37(東宝東京)(原)菊池寛(脚)岩崎文隆(撮)三浦光雄(美)北猛夫(音)伊藤昇(出)高田稔、入江たか子、竹久千恵子、丸山定夫、英百合子、堀越節子、生方明、伊東薫、御橋公、伊藤智子、逢初夢子、大川平八郎、神田千鶴子

 なお、上記では東宝東京とのみ記されているが、正しくはこちら。字数省略で仕方がないとはいえ、同じフィルムセンターのHPの、別ページで、表記が違うというのも。正規版は、以下にあり。
★所蔵映画フィルム検索システム★のタイトル検索で、詳細なスタッフ・キャスト一覧あり。

 以下、完全ネタバレあり。
black and white. Directed by Naruse Mikio
Learn from Experience, Part 1 / 禍福 前篇 (1937)

Learn from Experience, Part II / 禍福 後篇 (1937)


 戦後の成瀬は、エンエンと駄目男を描いたが、本作の主人公は、ズル男。
 入江たか子は、親友・逢初夢子の紹介で、高田稔と知り合い、両親公認の仲となる。
 高田稔は、故郷・桐生の父親から、実家の織物工場の大負債を手紙で打ち明けられ、帰郷。
 二万円の持参金つきで、同業者の娘をもらってくれ、と矢の催促だ。
 そんな政略結婚、家の犠牲になるのは、いやだい、ぼくはあくまで入江たか子を、妻にするんだと、拒否。

(注)「東北でダンスホールがあるのは、ここと新潟だけ」(竹久千恵子)。群馬県桐生も、北陸新潟も、当時は東北の一言なのか。

 と・こ・ろ・が(笑)。
 偶然、その持参金付娘・竹久千恵子に、会ったら、なんと彼女に一目惚れ(笑)。入江たか子なんか、もうどうでもよくなっちゃうんである(ここら辺帳場の山下さんパクリ風)。
 以後、入江を見捨てて、竹久千恵子に、ミノル、まっしぐら。
 と・こ・ろ・が(笑)。
 実は、楚々とした入江たか子は、おとなしい振りして、やることはちゃんとやっていて(前篇20分30秒頃(笑)の、アイマイな水の流れで超間接描写)、なんと妊娠していた、と。
 戦前ゆえの、超間接描写だが、下世話なことを言えば、布団は敷いたのだろうか(笑)。まさか、そのまま(笑)。
 ここからシングルマザー悲恋モノへと移行する。
 しかし、ミノル、竹久千恵子に一目惚れなのに、実は家庭の事情で、父親に強制されて、と言い訳一方。づるい(笑)。づるすぎる(笑)。

 前半はまだしも、娘らしくきゃぴきゃぴしている入江たか子だが、ほぼ全篇で和服で通す入江の、めそめそじとじとっぷりより、モダンガアル竹久千恵子に、イっちゃうのも、わからぬではない。
 女学生時代、柔道部!(笑)。
 でも、ぼくなら、ダンゼン、逢初夢子一択だな(笑)。
★島津保次郎「隣りの八重ちゃん」:昔の映画を見ています★34年の、そのままの闊達さ、愛らしさ。アイドル的演技。
 成瀬も師匠・島津の、この演技そのままを、逢初夢子に要求したことだろう。
 いちおう、大川平八郎の妻になったら、大人の女の演技にチェンジする聡明さ。

 主題歌のひとつが「女の味方は女だけ」と言うあからさまさ(笑)からわかるとおり、本作もまた、成瀬的シスターフッドの物語
 親友・逢初夢子が、そしてなんと、元カレの現カノ・竹久千恵子すら、入江たか子と連帯する。
 この女性性賛歌は、成瀬ならでは。女性的関係性のなかでこそ、成瀬映画は真価を発揮する。いつもの成瀬だ。
 そして、この映画は、いかにも、いつもの成瀬で、「ふたりの女が一人の男を争う」映画。
 戦前松竹メロドラマを、一言で表すと「一人の女を複数の男が争う」パターンがやたら多く主流で。
 こういう戦前松竹で真価を発揮できず、逃げるようにP.C.L.(東宝)に行った成瀬は、心底松竹メロがいやだったのだろう。
 戦前松竹としては例外的?に「ふたりの女が一人の男を争う」島津保次郎「隣りの八重ちゃん」を、おそらく成瀬は、好きだったと思う。 
 ここら辺の事情は、★成瀬る3 二人の娘、成瀬の女性性:昔の映画を見ています★を、参照されたい(笑)。
 また元カノと、現カノのシスターフッドについては、★成瀬る4 成瀬は対立をいかに回避するのか:昔の映画を見ています★を、参照されたい(笑)。宣伝ばっかやな(笑)。

(注)「女の味方は女だけ」を、フィルムセンターHPは、「友の味方は女だけ」と、意味不明の誤記。ネット情報は、当ブログも含めて、信用してはならないという一例で。

 約80年も昔の映画なのに、主要登場人物は、みんなおなじみの役者ばかり、というのも、恐るべしだが。まあ、ぼくたちみたいな極端なOLD者ゆえの特殊傾向かも知れぬが(笑)。
 その中でも特筆すべきは、後篇のみの出演の北林谷栄!
 この、若いときからおばあさん役一筋、主役を食う生涯シワ役女優、特殊女優・北林谷栄の、なんと、珍しき<若い娘>役。
 清川玉枝の洋装店で入江の同僚の女店員、入江と学生野球を見に行ったりする。精一杯の若いむすめっぷり、しぐさ、シワのない輝く笑顔が新鮮で。しみじみ見返したりしちゃいます(笑)。
 でも、ぼく的には、逢初夢子一択だけれども(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-09-21 10:09 | 成瀬巳喜男映画の正体成瀬る | Trackback(3) | Comments(4)

島津保次郎 「隣りの八重ちゃん」

 ユーチューブにて。34年、松竹蒲田。もう何回目の再見か。
 ★杉江敏男「婚約三羽烏」★と、そのオリジナル島津保次郎「婚約三羽烏」を比較していたら、そのついでの本作に、すっかりはまってしまった(笑)。

島津保次郎 - 隣りの八重ちゃん/Yasujiro Shimazu - Our Neighbor, Miss Yae


 極め付きの、島津ならではの、幸福至上主義映画、何てことない幸せのつるべ打ちの大快作
ノー天気な、大日方傳・磯野秋雄の、のんびり兄弟ぶりが、たいへん楽しいので。このふたりの、のんしゃらんが、ほんとうにたのしい。
 ニコニコしている大日方傳、同じくニコニコしている磯野秋雄、ただただそれだけで、幸せ(笑)。
 そして、このふたりの隣の家の八重ちゃん、逢初夢子のおてんばぶり。逢初夢子、超最強のアイドル・ネームだが、この映画の彼女は、まったく名前負けしておりませんね。お転婆なだけではなく、時折、かなりな美人ぶりを垣間見せる。逢初の友人・高杉早苗も、グッド。
 二つの家の母親、飯田蝶子、葛城文子も、相変わらず、グッド。お父さんの、酒飲んでの愚痴も、まったく古びないねえ。
 磯野秋雄が、兄と軽くキャッチボールしている程度で、甲子園にいけるのだから、ああ、本当に、のんびり、ノンシャラン、極まれり。
 せりふのいちいちも、楽しく。脚本・監督の島津、助監督から見た素顔は、頑固・暴力親父の暴君らしいが、その島津が、青春の男女のほのぼのを描いて、80年後のこんにち、いまだ古びていない、遜色ないのは、人間には多面性があるというか。
 いまだ古びていないどころが、こんにちでも、大いに楽しめる。こういうのを、奇跡の傑作だと思う。
 最後の落ちにいたるまでの、些細な幸せの、大いなる幸福感
◎追記◎クレジットの助監督、撮影助手にも、注目。吉村、豊田、木下から、佐藤武にいたるまで。
 山村聡「黒い潮」の助監督、鈴木清順、今村昌平、浦山桐郎に匹敵する、豪華助監督映画?か。もっとも、今に残っていないだけで、当時の島津映画は、常にそうだったのかもしれない。ノー天気に緩みきった(笑)音楽もナイス。

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by mukashinoeiga | 2013-07-06 21:44 | 傑作・快作の森 | Trackback(6) | Comments(0)

小津安二郎「母を恋はずや」

 京橋にて。「フィルム・コレクションに見るNFCの40年」特集。34年、松竹蒲田、無声、24ftp。
 <終戦時GHQに接収され、1967-69年にかけて、アメリカ議会図書館から返還された日本映画のひとつ>だが、現存する版は、冒頭とラストの巻が欠落しているという。だから、ラストは、逢初夢子がサンドイッチをパクついて、唐突にぶちきれる。
 原案・小宮周太郎は、小津のペンネーム。
 父亡き後の、母・吉川満子、大日方傳・三井秀男(弘次)の、大学生兄弟の、三人家族。
 兄は、ぐれて、家を出て、横浜のちゃぶ屋に、入りびたり。その女給の一人が、逢初夢子。美しい。
 なぜ、兄がぐれたかというと、兄は先妻と父の子、弟は、後妻・吉川と父の子。そのために、後妻は、兄に気兼ねして、弟に特につらく当たる。弟に比べ、自分の待遇だけが、良い、それがいやで、自分が家から出れば、弟が、家を継げる。
 いわゆる、松竹戦前メロを、多少ツィストしたような、ホーム・メロドラマ。
 戦前松竹ホーム・メロでは、なさぬ仲の義理の子、めかけの子、まったく血がつながらない子と、非道な継母などとの対立がテーマになっていることが多いのだが、本作では、最初は親子三人仲が良かった、家族なのだ。
 メロはメロだが、パターンから脱出しようという、試みが伺われる。しかも、メロドラマ特有のべたついた湿度は、排されている。クール。
 そして、構図のいちいちの、確固とした、美しさ。その、ただならなさ。
 ちゃぶ屋にわざわざ尋ねてきた、母・吉川と、兄・大日方の対話。二人だけで話しているはずなのに、ふいにショットを変えると、二人の背後には、大勢の女給たちと、掃除婦・飯田蝶子の、群れ。そう、まるで、エイリアンの群れのようにいきなり、画面を占めるのだ。目の覚めるような、オドロキ。
 とぼとぼ帰っていく母。そのあとを、やはり、とぼとぼとついていく、弟と、その友人の学生服姿。弟も、母と一緒に兄を訪ねてきたなら、ここは、弟も、うちに帰ってくれよ、兄ちゃん、と熱血調でかきくどく、というのが凡庸なメロドラマの定番だろう。凡庸なメロドラマ監督なら、100パーセント、そうする。
 小津は、そこは、外すのね。弟は、何も言わずに、とぼとぼと、帰っていく。
 戦前松竹メロの範囲内で、工夫する小津なのであった。逢初夢子はじめ、役者は、みんな、良い。

                                               2010・8・23記

◎追記◎
小津安二郎 - 母を恋はずや/Yasujiro Ozu - A Mother Should be Loved(1934)

by mukashinoeiga | 2009-07-17 22:55 | 小津安二郎映画の正体小津漬の味 | Trackback | Comments(0)