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工藤栄一「やくざGメン 明治暗黒街」松方弘樹千葉真一近衛十四郎月形龍之介久保菜穂子小川知子

クールスタイリッシュな快作。65年、東映。
 池袋にて「追悼 松方弘樹 演じた! 作った! 撮った! 映画をこよなく愛した最後のスター」特集。
 明治時代の映画なのに、なぜかご機嫌なモタンジャズ(典型的バッタもんの津島利章)が全編に流れ、それはそれで楽しいのだが、なぜに明治に、とは思う(笑)。
 「やくざGメン」という、いわゆる角書きがタイトルについているが、実際のフィルム上のタイトルに、それはついていなかったと、思う。いや、実際はついていたのを、見逃したのかもしれませんが、おそらく「明治暗黒街」として完成して、しかし営業的には地味だから「やくざGメン」と、つけたのかもしれぬ。
 しっかし「やくざGメン」とは、モダンジャズに続き、明治的ではないぞ(笑)。
 さすがいい加減な東映や。だが映画は軽快で。


e0178641_141689.jpgやくざGメン 明治暗黒街 (レッツエンジョイ東京HPより)
監督:工藤栄一
出演:松方弘樹/月形龍之介/小川知子/千葉真一
製作年:1965 配給:東映
明治三十四年。日本は露国との開戦をひかえ、政府と軍部は奉天に情報機関を設けるべく、資金として莫大な金塊を用意したが、郵送の途中、何者かに奪われてしまった。警視庁では藤川部長を主任に活動を開始したが、捜査は暗礁に乗りあげ、この捜査から警視庁内部にスパイがいて大きな組織が背後にあるらしいと推測されたがその正体は不明であった。ただ郵送車襲撃に暴力団の人間が加わっているらしいことが、わかっただけだった。
「明治侠客伝 三代目襲名」でコンビの村尾昭と鈴木則文がシナリオを執筆、「大殺陣」の工藤栄一が監督したアクションもの。撮影は「蝶々雄二の夫婦善哉」の鈴木重平。

 かつて80年代に「野獣刑事」「ヨコハマBJブルース」「逃がれの街」と、一種の工藤栄一再ブームという形になり、盛り上がったが、この3作、スタイリッシュでクールな工藤流ハードボイルドと、当時もてはやされたが、じっさい公開時に見て、ああ、なんだか、盛り過ぎだなあ、と。それなりにいいが、でも大したことないじゃん、とがっかりしたものだ。
 それに比べて、本作の快作ぶりよ。
 クールもしつこいと、クールじゃなくなるのよ。タイリッシュも、度が過ぎると、田舎じみて、が入る。

 東映の義理と人情の仁侠/やくざ映画の、湿っぽさ(もちろん、それも大好きなのだが)とは、完全に隔絶したクールさが、この映画にはある。
 東映仁侠映画の名物脇役の天津敏が、本作でもやくざのボスなのだが、本作での天津敏は、体脂肪率を絞りに絞ったというか、限りなく湿度ゼロの悪役を演じ、新鮮だ。
 いつもの分厚さとは違う、妙なクールさ。新鮮な天津敏。
 渋い月形龍之介を脇役に配したら、その映画は文句なく光り輝く。その典型例。
 そして悪の黒幕に近衛十四郎。まあ父子対決を演出したのだろうが、ただ単に父子共演しただけでは、いささかギミックに欠けるのではないか。
 近衛十四郎の黒猫の演出はグッド。
 久保菜穂子は、天津敏と近衛十四郎の二股の悪女を演じて、絶品…と、言いたいところだが、工藤栄一は、女優の扱いが下手だからなあ(笑)。まあ水準。しかし久保菜穂子は、こういう路線でいいなあ。
 小川知子も硬すぎで。まあ、ハードボイルドな工藤には、清純派は、こんな扱いか。
 なお「警察内部に裏切り者がいる」という設定で、刑事の一人に菅貫太郎、って、そりゃ卑怯やないかい(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-03-25 01:10 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

隠れた傑作「忍者狩り」にシビれよ!

 池袋新文芸坐で、3/7(月)〜12(土)に、「華麗・優美・颯爽・豪快 東映時代劇を沸かせた新星たち」特集。
 って、ひばり橋蔵千代之介錦ちゃんは、ともかく、戦前から出演の大友、近衛十四郎が、なぜ新星なんだ(笑)。
 ま、それはともかく、上映される作品は定番中の定番の面白さ。
 そのなかで当ブログが注目したいのは、感想駄文済み★山内鉄也「忍者狩り」:昔の映画を見ています★という、隠れた傑作。

e0178641_8131942.jpg忍者狩り (87分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
外様藩取潰しを進める将軍家光の命を受け、伊予松山二十万石の蒲生家から家督相続のお墨付きを奪うため集められた忍者・闇の蔵人(天津)とその一味。一方、蒲生家城代家老会沢・土佐は藩を潰された4人の浪人を雇いこれを迎え撃つ。新鋭・山内鉄也の監督デビュー作。
1964(東映京都)(監)山内鉄也(脚)高田宏治(撮)赤塚滋(美)井川徳道(音)津島利章(出)近衛十四郎、河原崎長一郎、山城新伍、田村高廣、北条きく子、園千雅子、藤山直子、高森和子、加賀邦男、沢村宗之助、尾形伸之介、松風はる美、国一太郎、中村錦司、穂高稔、佐藤慶、安部徹、天津敏

 詳しくは、上記感想駄文をお読みいただきたいが、ホラー映画と見まがうばかりのえぐい描写も含めて、その圧倒的の迫力は、あまりに素晴らしい。
 そして、近衛十四郎の、絶対の素晴らしさ
 ただただ、アゼンとしていただきたい(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-02-28 01:00 | 業務連絡 | Trackback | Comments(0)

三隅研次「座頭市血煙り街道」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。67年、大映京都。
 絶品のカツシンと、豪快近衛十四郎。
 そのクライマックスに向けて、娯楽映画の王道をひたはしる。
 ふたりの対決場面の音楽は、なんだかゴジラっぽくて、笑えるが、音楽はもちろん伊福部昭だ(笑)。

e0178641_11502922.png35座頭市血煙り街道(86分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1967(大映京都)(監)三隅研次(原)子母沢寛(脚)笠原良三(撮)牧浦地志(美)下石坂成典(音)伊福部昭(出)勝新太郎、近衛十四郎、髙田美和、朝丘雪路、坪内ミキ子、中尾ミエ、伊藤孝雄、小池朝雄、磯村みどり、松村達雄、小沢栄太郎
シリーズ第17作。旅の途中で病に倒れた女から、その男児を託された市。実は、この子の父は禁制品を使った悪事に利用されていたのだった。勝の要望で出演した近衛十四郎が、素性不詳の浪人役で市に匹敵する存在感を見せる。三隅の演出が、晩秋の季節感を際立たせている。

 コミカル演技と迫力演技と、融通無碍なカツシンもカツシンなら、いきなり中尾ミエに歌わせたり、その前はカツシンも主題歌。高みに立った巨匠にはならない(なれない、のかもしれないが)三隅演出も、ユーズームゲなり。
 目が見えないから、段差に転んでみせ、それを奇貨として、地面に寝ながら、敵の足を振り斬る。
 近衛に押されて、木柵で倒れながら、近衛を仕込みで突き斬る。
 ドンクササ丸出しの、アクションの素晴らしさ。
 眉毛を切られて、顔にお絵かきの田武謙三も、相変わらずグッド。

座頭市 勝新 VS 近衛十四郎


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 なべおさみは、壺振りの半三ではなく、トンマな大工。座頭市に、してやられる。

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by mukashinoeiga | 2016-02-14 11:47 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback(1) | Comments(0)

佐々木康「きさらぎ無双剣」

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。62年、東映京都。
 ヒーローが多すぎる(笑)。
 御大・右太衛門を主役とし、若手成長挌・松方弘樹、里見浩太郎を顔見世としてフィーチャー、戦前からの高田浩吉、近衛十四郎を「重厚な脇役」として遇し、若山富三郎、東千代之介にも、アシストさせる。
 全盛期東映時代劇ならではの、贅沢三昧。
 これが、盆暮れでもゴールデンウィークでもない4月8日公開というのだから、贅が過ぎるというもの。もっとも二番館、三番館では、ちょうどゴールデンウィークか。
 これが全盛期の勢いというものであろうか。もちろん、いかにも東映時代劇ならでの華やかさで、グッド。

きさらぎ無双剣 (93分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
京都新聞の連載小説を原作に、江戸の町に大混乱を起こし、江戸城を襲おうとする者たちの陰謀に立ち向かう男たちの姿が描かれる。立ち回りの鮮やかな近衛十四郎を相手に、右太衛門もキレの良い殺陣を披露しており、本人も特に気に入っていたという。
1962(東映京都)(監)佐々木康(原)五味康祐(脚)結束信二(撮)わし尾元也(美)吉村晟(音)阿部皓哉(出)市川右太衛門、松方弘樹、里見浩太郎、大川惠子、高田浩吉、近衛十四郎、若山富三郎、東千代之介、筑波久子、青山京子

 とはいえ、右太衛門の相方ヒロインに大川恵子というのは、まあ、いいとして(といっても、あまりにお年が離れていて、大川の右太衛門ラヴの熱演も、おかわいそう)、松方弘樹の相手役は日活で芽がでなくて流れてきた筑波久子、里見浩太郎の相手役は、東宝から落ち目で流れてきた青山京子、という女優陣は、いかがなものか。
 1950年代の東宝で、輝かんばかりのオーラを放つティーンアイドル女優だった青山京子が、二十代になると、なぜか地味なオーラなき若手女優になりおおせ、東映に流れてきたのは、今回の特集1&2で、初めて認識したが。
 筑波久子は日活時代よりダンゼンキュート、さらにハリウッドへ流れ、ジョー・ダンテ「ピラニア」のプロデューサーになるだけあって、のちにピラニア軍団をフィーチャーする東映の水に、あったか。
 ということで、本作の青山京子は、筑波久子にすら、完負け。

なお、敵役ゆえ最終的には右太衛門に、斬り倒される近衛十四郎、毎度おなじみ絶品の剣捌き。引いた刀を、瞬時に手のひらを返して、整える、などの、剣捌きにエクスタシー
 ちゃんばらスタア数あれど、豪快かつ繊細な剣捌きで、エクスタシーすら感じさせるは、この人だけ。近衛十四郎。

 この近衛が、相対する盗賊・五つ目小僧に、キュートな松方弘樹。「下手な侍より、よっぽどいいぜ」と近衛。でも、近衛がまじめすぎて、ギャグにならないんだけども。
 また、若山富三郎は、ぴょんと空中に高く飛び上がり、くるっと回転、斬る。
 ああ、重厚かつ豪快かつ早業の近衛十四郎と、軽快かつ早業な若富の、延々ガチンコちゃんばらも、見てみたかったなあ。
 どこかに、ないか知らん。

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by mukashinoeiga | 2015-05-10 22:15 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

河野寿一「暴れん坊一代」

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。62年、東映京都。あと1回の上映。
 極めて「面白い」意欲作。
 東映時代劇なのに、予測不可能な展開、というのが、珍しいし、面白い。
 普通東映時代劇というのは、歌舞伎や講談や大衆小説由来のおなじみのストーリーを、ご存知の大スタアが、余裕で演じるヒーロー芝居である。その、定食感は、ハンパもなく、ゆるぎない。
 というものであろう。
 既定路線のレール感は、一瞬も一寸も揺るぎなしの、抜群すぎる安定感、といったところか。

 ところが本作は。
 おそらく、そういう東映時代劇の、ベルトコンベアーの大量生産に飽き足らない、意欲的な新人監督(と推察する)が、彼なりの、東映時代劇なりの、予測不能作を、あるいは、非ジャンル映画を、作ろうとした試みでは、あるだろう。
 その、意欲は、買おう。東映時代劇にあって、ジャンル分類不可能映画を作ろう、という試みに。

暴れん坊一代 (88分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
斎藤弥九郎の道場で麒麟児と謳われながら出世を阻まれた柏十三郎(大友)は、その後、東海道を行く大名行列を次々と止めて評判を集めるようになった。だが、桜田門外の変をきっかけに、その心中にも微妙な変化が生じる。悲哀感溢れる「行列十三」を大友柳太朗が熱演。
1962(東映京都)(監)河野寿一(原)尾崎士郎(脚)結束信二、高橋稔(撮)森常次(美)塚本隆治(音)鈴木静一(出)大友柳太朗、大川恵子、山東昭子、近衛十四郎、品川隆二、本郷秀雄、小田部通麿、津村礼司、北龍二、三島雅夫、水野浩、安井昌二、堺駿二、清川荘司、国一太郎、加藤浩、矢奈木邦二郎

 さて、そういう異色作に、大友柳太郎主演というのも、きわめて真っ当な選択というべきであろう。
 豪快な剣戟スタアであるにもかかわらず、なぜか、奇妙に「大物スタア」らしからぬ異質感をかもし出す。
 晩年には、なぜか(笑)鈴木清順「陽炎座」に客演し、清順ごとき(笑)映画にふさわしからぬ重厚演技で(笑)。そして、自殺した。まあ、それは、別の話。
 ちなみに、やはり、同じく「陽炎座」に出演した、同じく旧東映時代劇スタア中村嘉葎雄は、撮影終えて帰宿したホテルで、その清順撮影に激怒して、ホテルの壁をガンガン蹴りまくったという。
 やはり、大友の自殺には、清順映画出演に、その一端があったのだと、推察したい(笑)。抜群の安定感を誇る東映時代劇スタアは、清順ごとき(笑)異端の映画に、出てはならなかったのだ(笑)。閑話休題。

 咸臨丸出航メンバーに選ばれなかった、軽輩の直参旗本が、出世の道を閉ざされて、やけを起こして出奔。→実例があるのか。未詳。
 幕末の、窮余の一策のひとつ(同時に、きわめて賢明)が、咸臨丸であり、この「バスに乗り遅れ」なければ、徳川幕府内における出世の糸口になる、という発想は、現代の視点から見ると、きわめて奇妙に見えるが、当時としては、そういう理解は、ありだったのか。
 早々に倒産する会社での、出世の糸口、というのは、当事者(その後の歴史を知りえないわけだが)としては当たり前だが、いささか皮肉だ。
 さて、流れ流れて、桑名の宿。
 偶然渡り舟で見知った大川恵子に目を留め、女郎に売られる身の彼女を「身請け」する。
 このときの女衒というか人買いが、やたらと喋り捲ってウザイ堺駿二。東映時代劇常連の中で、ぼくは唯一、こいつが出てくるとうんざりなのだが、まあ、とりあえず早々にいなくなるので、許す。
 大川恵子も、東映お姫様女優の中でも、あまりに癖がなく、ただの美人女優。典型的美人なだけじゃダメなのね女優。
 だから、どうでもいいのだが、そこからヤクザの親分・近衛十四郎に、大友は見込まれ、直参旗本からヤクザへの転進、と、物語は、ここから予断を許さなく、転がってくる。

 おそらく、ずぶずぶのジャンル映画を、まるでベルトコンペアーに乗って量産していく東映時代劇に飽き足らず、新鮮味を目指したのだろうが、結局は、ずぶずぶの人情モノに落ち着いてゆく。
 意欲は意欲のままで、不発気味。あまりにカキカキとソリッドな紋切り型。そこは残念。

 若い大川恵子が、人気のない夜の道を帰っていく、シーン。その、あまりに丁寧な描写が、かえってサスペンスを生む。
 東映時代劇でそういう描写をされたら、かならず高確率で悪党に襲われる。しかし、結果不穏な夫婦喧嘩に至るも、惨事は、起こらない。
 「フツーの映画」の「フツーな描写」すら、違和感というかサスペンシフルに映ってしまうのだから、東映娯楽時代劇というジャンル映画の強度も、また恐るべし。
 あまりに物語性が高いがゆえに、「丁寧な日常描写」すら、何らかの「物語への奉仕」があると、見られてしまうわけだ。

 東映娯楽時代劇としては、奇妙なまでにちゃんばらシーンも少ない異色作であり、ゆえに白黒。ジャンル映画からの逸脱を計ったものの、それは中途半端におわった。しかし、その試みは、とても面白かった。
 まあ、出番が少ないながら、いつも肝心なところででてくる(笑)近衛十四郎の便利屋扱いは気になるところだが。

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by mukashinoeiga | 2015-05-06 03:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

長谷川安人「十七人の忍者」近衛十四郎大友柳太朗里見浩太郎三島ゆり子東千代之介

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。63年、東映京都。
 うーん「面白い」。いや、作品本来もそうなんだが、それ以上に、直前に見た、感想駄文済みの★山内鉄也「忍者狩り」★ との対比において、「面白い」。
 同時期東映京都の新人監督たちによる、本作「十七人の忍者」と、その翌年作、山内鉄也「忍者狩り」は、きわめて酷似だ。
 ある、いわゆるマクガフィン文書の争奪戦。ある地方の城の一角に、それは、ある。それを伊賀忍者たちが、文字通り死に物狂いで、奪いにかかる。
 そして、それを阻止すべく雇われたのが「十七人の忍者」の根来忍者・近衛十四郎であり、「忍者狩り」の浪人・近衛十四郎だ。この、兄弟のように類似の設定は、何を、意味するのか。
 以下、ネタバレあり。

十七人の忍者(99分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
二代将軍秀忠の死期が迫る中、家光の弟・忠長が集めた謀反の連判状を奪うため、駿府城に潜入を試みる伊賀の甚伍左(大友)率いる忍者たちと、それを迎え撃つ根来忍者才賀孫九郎(近衛)の攻防。脚本の池上金男と新人監督長谷川安人が、任務遂行に命を捧げる忍びの非情な世界を描き、「集団抗争時代劇」ブームの先駆けとなった。
1963(東映京都)(監)長谷川安人(脚)池上金男(撮)わし尾元也(美)富田次郎(音)鏑木創(出)里見浩太郎、三島ゆり子、薄田研二、原田甲子郎、品川隆二、阿部九州男、花沢徳衛、堀正夫、大邦一公、加賀邦男、近衛十四郎、東千代之介、大友柳太朗

忍者狩り (87分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
外様藩取潰しを進める将軍家光の命を受け、伊予松山二十万石の蒲生家から家督相続のお墨付きを奪うため集められた忍者・闇の蔵人(天津)とその一味。一方、蒲生家城代家老会沢・土佐は藩を潰された4人の浪人を雇いこれを迎え撃つ。新鋭・山内鉄也の監督デビュー作
1964(東映京都)(監)山内鉄也(脚)高田宏治(撮)赤塚滋(美)井川徳道(音)津島利章(出)近衛十四郎、河原崎長一郎、山城新伍、田村高廣、北条きく子、園千雅子、藤山直子、高森和子、加賀邦男、沢村宗之助、尾形伸之介、松風はる美、国一太郎、中村錦司、穂高稔、佐藤慶、安部徹、天津敏

 推測である。
 長谷川安人「十七人の忍者」は、たいへん面白いが、いくつか欠点、甘さが、あって、傑作に、なり損ねた。本作を、同期の新人監督・山内鉄也なり、脚本家・池上金男と好一対の脚本家・高田宏治なり、プロデューサーなりが、見て、「オレなら、もっと、面白い映画にしてみせる」、と、思ったのではないか。
 事実、「十七人の忍者」の欠点は、いくつも修正されて、結果、翌年作「忍者狩り」は、傑作と、なった。この二作を比べれば、明らかに前車の轍を踏まない、傑作「忍者狩り」の後出しじゃんけん的勝利、なのである。

 その証拠は、明白である。
 「十七人の忍者」は二代将軍秀忠の死期が迫る中、その三代目襲名が家光に確実視されるも、家光の弟・忠長が将軍の座を奪い取ろうとして、各藩から集めた連判状を、結果として幕府側の忍者たちが、必死に奪ったことから、三代将軍に家光が納まった、という設定である。
 「忍者狩り」は、その三代将軍に、成った、家光の政策・外様藩おとりつぶしの、物語である。
 まさに「忍者狩り」は、「十七人の忍者」狩りであり、「十七人の忍者」への挑戦状を、たたきつけたもの、といっていいのでは、ないか。
 では、「十七人の忍者」の欠点は、「忍者狩り」において、いかに、修正されていったのか。それを見てみよう。

 「十七人の忍者」の欠点。
 ある一部屋に、謀反の連判状、いわゆるマクガフィン文書があり、その同じ部屋に座敷牢的なものが、なぜか、あり、甲賀忍者首領・大友柳太朗が、捕えられている。
 大友は、わざと捉えられたのであり、事実、最終的にマクガフィン文書の奪取に、成功している。
 なぜ、ネコとマタタビを、同じ部屋に、置くのか。ただのひとりの見張りも、つけずに。木製の牢の柱を、隠し持った折りたたみのナイフで切り分け脱出する牢の大友に、なぜひとりの見張りも、つけない?(笑) (注)
 あまりに脱力する設定に、失笑しないものが、どこにいる(笑)。
 理由は、明白で、ある。
 「十七人の忍者」の物語は、難攻不落の城から、最終的に、マクガフィン文書を奪取する物語で、ある。ネコの子一匹、ねずみ一匹も、見逃せないシチュエーションから、文書奪取を阻止するには、敵失というもおろか、どう見ても考えられないずさんさ、無能でもいいふたり三人の見張り役、一人は大友を看視し、何かあれば、通報する連絡班をつければ、いいだけではないか。
 なぜ、肝心の文書と、敵首領を「二人きり」にする(笑)。
 まあ、ネコとマタタビを、同じ部屋に置き、しかもひとりの見張りも存在しない、というのは、ミニマムな設定という点では、わからないでもないが、あまりにも芸がない。
 これは、難攻不落の城から、最終的には文書奪取に成功する、という設定に、物語上の要請から固執した、ゆえだろう。
 最初に難攻不落と設定し、そこに磐石最強の近衛十四郎が、ディフェンス。これで、奪取できるとしたら、
1 なんとも呆然とせざるをえない、ポカミスが必要欠くべからざることになる
2 圧倒的に素晴らしい戦術

 の、どちらか。で、2を考え出せなかった「十七人の忍者」チームは、失笑覚悟の1を選択せざるを得なくなり、結果、文字通りの失笑を誘うことになる。
 「忍者狩り」チームの聡明さは、難攻不落であるならば、しかも磐石最強の近衛十四郎が、ディフェンスするならば、最終的には、マクガフィン文書奪取には、成功しなかった、で、いいじゃないか、という。そのほうが、より、無常観は、高まるのでは、なかろうか、と。正しい。

(注)その前段で、大友が捕縛される際、大友妹・三島ゆり子が里見に渡したかんざしを、必死に隠す大友の描写があり、ああ、このかんざしが、大友脱出の際に生かされる小道具なのだろうな、と思ったら、まったくその後かんざし登場せず(笑)。なんなの、あのかんざし隠し描写の丁寧さは(笑)。
 かんざしでは、牢の木枠を切れない、と、あとで悟った、とか、そういう落ち(笑)なのか。

 「十七人の忍者」の欠点。
 実質的には、本作は近衛十四郎VS大友柳太朗の、ガチンコ勝負を描く、ダブル主演作。
 しかし営業的には、若手スタア・里見浩太郎の主演作としなければ、ならない。そこで、若手スタアに花を持たせる意味でも、甲賀忍者・里見は、あの、近衛十四郎に、勝つ。
 もちろん感想駄文済みの佐々木康「きさらぎ無双剣」でも、大スタア・市川右太衛門は、どう見ても強そうな近衛十四郎に、勝つ。それは、近衛が、相対的に脇役スタアであるからである。
 どう見ても強い近衛に、勝つには、どうしたら、いい。
 右太衛門なら、顔のデカさで勝つ、でいいかもしれないが(笑)、里見VS近衛では、三島ゆり子のちゃらちゃら手裏剣が、里見をアシスト。それでも、近衛が、負ける気がしないのに、負けているのが、失笑す。
e0178641_6155428.jpg
 営業上のスタア強弱は、このポスターに明らか。近衛は、明らかに添え物で。近衛だけ白黒って、わかりやすすぎ(笑)。

 どう見ても強い近衛なら、近衛勝たせればいいじゃん、というのが「忍者狩り」チームだ。
 かくて、そういう意味でも「忍者狩り」に、近衛以上の大スタアは、出てこない。「大人の事情」で近衛が勝てないのなら、そういう大人の事情を抜いて、すっきりしようぜ、というのが「忍者狩り」。
 当時はまだ若手スタアだった山城新伍の、ブザマさよ。

 「十七人の忍者」の欠点。
 どう見ても、最後がぐだぐだの人情話の泣きになるのは、この種のクールな話と、合わない。
 大友・三島兄妹と、里見の、泣きの別れの長さが、この映画に失速感をもたらす。甘い甘すぎる。この甘さは、いわゆる東映集団抗争時代劇と、もっとも水と油の部分だろう。
「忍者狩り」は、この種の甘さを、切り捨てた。

 「十七人の忍者」の欠点。
 中途半端なアマチュア・三島ゆり子が、最終的に生還するって。アマチュア=甘ちゃん=アマ(=女)ちゃんが、不用意に修羅場に参画し、生き延びるのは、何らかの戦術的戦略的聡明さがなければ、あるいは映画のみに許される楽天的偶然によらなければ、それは、許されるべきではない、甘さだ。
 しかし「十七人の忍者」は、その種の聡明さ、あるいは、突き抜けた楽天性を、周到に用意することもなく、三島ゆり子を、生還させる。
 このカキンを、「忍者狩り」は、若い女たち、腰元・北条きく子、尼僧・高森和子を、次々あやめる非情さで、切り抜ける。

 「十七人の忍者」の欠点。
 近衛VS大友の、バトルは、心理戦、言論戦に、とどまる。
 この、稀代の、二大剣豪俳優に、本格的なちゃんばらをさせなくて、どうする(笑)。
 激高する近衛に、冷静な大友。
 いや、大友柳太郎に、冷静な演技をさせても、まったく面白くないだけだろう(笑)。事実、面白くもなんとも、ない。

◎追記◎「十七人の忍者」の欠点。
 城代家老は、近衛の反対を押し切って、マクガフィン文書を、本丸から遠ざける。連判状だけでなく、本丸の藩主も守らなければならないゆえ。ところが、大友一派には、藩主暗殺に力を裂く余裕も、発想もない。
 「忍者狩り」は、文書奪還の目的は、外様藩お取り潰しにあるのだから、文書奪還が不可能なら、幼君暗殺に切り替えるクレバーさ。
 また、最後やすやすと大友は文書を入手するのだが、「忍者狩り」では、白紙の偽物を用意。普通、それくらいは、誰だってするだろう、という話だ。
  「十七人の忍者」の17人の意味は、ダブルミーニングだ。16人の大友忍者軍と、員数に入っていない女1人の三島ゆり子。根来忍者では、女も員数に入れる、女性に優しい(笑)一派。だから、近衛もころっと、だまされる、と(笑)。
 もうひとつの意味は、16人の大友忍者軍と、それに対抗する根来忍者の近衛1人。
 これじゃあ孤立無援の近衛は、圧倒的に不利、かつ不用意、ということで「忍者狩り」では、河原崎長一郎、山城新伍、佐藤慶をサポートにつける。山城のみ東映プロパーだが、ほかは独立系的な脇役。
 里見など若手スタアを混ぜないせいで、プロVSプロのガチンコ対決が出来る。
 さらに、「十七人の忍者」の突っ込みどころは、老忍・花沢徳衛が、いざとなったら、忍者どころか、一般人以下のヘタレっぷりで、里見らの足を引っ張るところか。
 「忍者狩り」は、隠し玉老忍に、柄に合った活躍を用意。捨て玉で、殺されるべくして殺される役目。ここがナイス。里見が、若くない老練さなら、花沢徳衛も、そういう捨て玉に割り切るべきだったのだ。
 なにからなにまでプロVSプロのガチンコ対決に持っていった「忍者狩り」の聡明さよ。 

 次に、これはカキンに加えたくないのだが。
 大友の部下の一人・品川隆二が、敵の雑兵をやっつけ、高笑いをしたのち、次のシーンでは、乱兵戦ののちの死体として、いる。これは、死んだふりかと、当然思うのだが、その後登場せず、死んだ口に数えられる。おそらく尺の関係で乱兵戦が、カットされ、その間に死んだのだが、死んだ忍者の人数(この映画では、それが重要)の関係で、死んだシーンのみを、残さざるをえなかったのだろう。
 同様なことは、品川ととともに、城郭上方にいたはずの、里見、東が、次のシーンでは、なぜか、平地の塩貯蔵庫に、隠れている、という不用意さ。この前の戦闘シーンが、大幅カット、と思われる。プログラムピクチャアとしては、不用意。
 切りに切って99分とは(笑)。見事に87分に収めた「忍者狩り」の聡明さよ

 その塩貯蔵庫に隠れた里見、隠れ忍者を探そうと、次々塩の俵を刺していく探索方、近衛が槍を俵に刺すと、里見の足にずぶり、無言で耐える里見。当然抜いた槍に鮮血、で気づくはずが、そこへ伝令が急報、近衛は鑓を抜かずに、立ち去る、って。
 普通、こんなシーンは、より格下の忍者の鮮血で、塩が真っ赤に染まる、という描写でしょう。なんなの、この近衛のずさん。刺した槍を、抜きもしないって。

長谷川安人VS山内鉄也、池上金男VS高田宏治、近衛十四郎VS近衛十四郎、この勝負、後者のことことくの勝ち、と、見た(笑)。たとえ後出しで、あろうと。

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by mukashinoeiga | 2015-05-05 22:57 | Trackback | Comments(0)

山内鉄也「忍者狩り」近衛十四郎天津敏河原崎長一郎山城新伍田村高廣

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。64年、東映京都。
 冒頭の描写の連続は、かなりもっさりしていて、特に幕府側重臣・安倍徹の描写は、あまりに下手すぎ(笑)。
 これは、この部分、順撮りだったのか。この冒頭の下手さに比べて、後は、だんだんよくなる法華の太鼓だ。
 山内鉄也というと、後年の作品にあんまり感心した覚えがないので、このデヴュー作の緊張感は、きわめて新鮮だ。
 ちなみに、助監督は中島貞夫。後には、こちらのほうが人気監督になった。
 デヴュー作で、この脚本と演出の、緊張感(ただし、繰り返すが、冒頭はお間抜け)の持続は、ただ事では、ない。

e0178641_8131942.jpg忍者狩り (87分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
外様藩取潰しを進める将軍家光の命を受け、伊予松山二十万石の蒲生家から家督相続のお墨付きを奪うため集められた忍者・闇の蔵人(天津)とその一味。一方、蒲生家城代家老会沢・土佐は藩を潰された4人の浪人を雇いこれを迎え撃つ。新鋭・山内鉄也の監督デビュー作。
1964(東映京都)(監)山内鉄也(脚)高田宏治(撮)赤塚滋(美)井川徳道(音)津島利章(出)近衛十四郎、河原崎長一郎、山城新伍、田村高廣、北条きく子、園千雅子、藤山直子、高森和子、加賀邦男、沢村宗之助、尾形伸之介、松風はる美、国一太郎、中村錦司、穂高稔、佐藤慶、安部徹、天津敏

 本作では、三人の男優が極絶品。近衛十四郎、田村高廣、天津敏。

e0178641_814119.jpg 近衛十四郎。相変わらず、どのシーン、どのショットでも、絶品。
 ぼくはとても大好きなのだが、東映時代劇における、近衛の扱いは、きわめてビミョー。
 右太衛門、千恵蔵などの、大御所、月形、大友などの中御所、錦ちゃん、東千代之介、橋蔵、山城などの若手、松方、里見などの、更なる若手、の、なかに、あって、近衛十四郎の、立ち位置は。
 戦前からの役者だが、弱小映画会社の「若手」であったため、大御所、中御所の後塵を拝し、しかも若いときにその魅力を発するタイプではなく、中年以降に文字通りいぶし銀の魅力を発するタイプ。
 大御所中御所と、若手のあいだに挟まれ、さらに、難点なのは、女優とのカラミが、まったくない(笑)。
 右太衛門、千恵蔵などかなりお年を召してからも、若手女優との絡みあり。なのに、どの年代においても、近衛十四郎、女優との絡み一切なし(笑)。ぼくは近衛びいきなので、現代劇時代劇問わず、近衛のラヴコメなど見てみたいと思うヘンタイだが(笑)。そういう作品、どこぞに、転がっては、いまいか(笑)。
 かくて東映時代劇にあっては、大友の、スケジュールがあいていないときの代役?的立ち位置(ちょっと言いすぎだが)になったのは、きわめて残念。
 大友も、激しく好きだが、近衛にも、大友と同くらいの、活躍をしてほしかった。
 そして近衛映画は、ガチンコのちゃんばらが売りの白黒映画、という感じか。ようするに2本立ての添え物のほう。
 本作でも、ザ・近衛十四郎の魅力炸裂だ。
e0178641_8145867.jpg
ネットで拾ったイラスト。ちょっと目元が優しげだが(笑)。

 一切感情を見せない非常/非情の城代家老に、田村高広。あるスタンドインについても、お涙頂戴にすれば出来るのを、さりげない、短い二つのショットのみ、で見せる映画の/田村のクールさが、いい。

e0178641_8161824.jpg そして天津敏だ。
 仁侠映画における、ナチュラル演技の悪役ぶりも最高だが、時代劇的悪役演技の、しつこいまでの、憎々しげな顔の、すばらしさ。悪役になるために生まれてきたような、最高のマスクと、演技力。彼に比べれば、その子分・汐路章など、ただの不細工なおっさん顔に過ぎない。
 本作は、かっと睨んだ力み顔の近衛と、酷薄そうな悪の顔の天津の、ガチンコ顔面対決だ。すばらしい。
 そして脚本と演出の勝利。東映時代劇シリアス路線と、東映集団抗争時代劇の、ベストミックス。
 なお、朝霧の森の中に、姿を現す騎乗武士団といえば、工藤栄一「十三人の刺客」63年の、ベストショットだが、本作でもそのミニチュア版が登場。よほど衝撃のショットだということが、うかがえる。
◎追記◎当感想駄文のあとに、すぐ書いた★長谷川安人「十七人の忍者」 ★ でも、本作について、超メチャクチャに言及しておりますので、ゼヒ御参照のほどを。

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by mukashinoeiga | 2015-05-01 03:16 | Trackback(1) | Comments(2)

倉橋良介「忠臣蔵 暁の陣太鼓」

 「嵯峨三智子」阿佐ヶ谷モーニング特集にて。58年松竹京都。主演森美樹。
 前半は中山安兵衛の「血煙高田馬場」、後半は堀部安兵衛の「忠臣蔵」。一粒で二度おいしいはずだが・・・・まあ、それなり。
この監督はマキノの極め付きを見ているのかどうか知らないが、それなりに健闘しているというべきか。サガミチはこの両方の安兵衛にからむ、あだっぽい姉御。ゴージャス。
 俵星玄馬役・近衛十四郎が豪快に助演する(この時期の松竹京都時代劇では、近衛十四郎のだんながなにげに脇役出演しているので楽しい)。

by mukashinoeiga | 2009-07-19 09:08 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)