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島耕二「末は博士か大臣か」

 楽しい佳作。63年、大映東京。阿佐ヶ谷にて「稀代のエンターティナー! フランキー太陽傳」特集。
e0178641_71252.jpg プログラムピクチャアの範囲内で、だからホームランは打たないが、こつこつヒットを飛ばすイチロータイプ? 島耕二は、もっと評価されていい。
 知っている人は知っている島耕二。映画監督としては、8、9割?の高打率
 本作もたいへん楽しい。

 そして島耕二映画のお楽しみは、あの二人を、どう使うか、というおまけの楽しみがありまして。
 二度目の実の妻・轟夕起子は、きっと聡明で明朗な、ある種理想的な婦人だろう。
 実の息子・片山明彦は、頭はいいが、やや根が暗く、そういう意味で主人公と対比される役柄だろう。
 本作も、まさにその通りの楽しさで。

 フランキー境が、菊池寛にふんし、学友・船越英二や、芥川龍之介(ちょっと色悪めいているが、ほぼほぼジャストフィットな?仲谷昇)との友情物語が泣かせる。あるいは、大いに笑わせる。
 大映初代社長の伝記映画を大映が作る。文芸春秋を創設し、友人芥川の名を冠した文学賞を作る山っ気。
 この頃は、寄る年波か、あるいは劣化したゆえの涙目状態なので、チョットしたことで泪目(泪は、おそらく和製漢字なのだろうが、まさにドンピシャ)になる。本作でも、たいしたことない場面でも、泪目状態。
 そう、たいしたことない場面で、本領を発揮するのが、プログラムピクチャアの魅力なのだ。
 新妻・藤村志保と、戯曲「父帰る」の、読み合わせをする場面の楽しさ。
 やや、舞台調を模した画面に突如変化し、最初はたどたどしいセリフの志保(一応素人の役だから)が、だんだん女優のせりふ回しになっていく。
 シーンの要請によって、適切に歌舞いていく、つつましいが、やるときにはやるよ、という島耕二の楽しさ。

 ただ、執筆当時は「新しい芝居」らしい「父帰る」も、現在の視点からみると、相当古色蒼然たる紋切型で。
 これはある意味仕方がない。その後多数の模倣者が出れば出るほど、「原点」は陳腐化していく。「最初の開拓者」は、常にそのフォロワーたちによって、上書きされ、「原点の栄光」など摩滅していく。
 「父帰る」は陳腐化したが、本作は、今でも、楽しい。

 なお冒頭旧制とはいえ、中学生を演じるフランキーと船越は、相当無理やり(笑)。これを見たら、鈴木清順「けんかえれじい」の旧制中学生高橋英樹が、ナチュラルに見えるほど(笑)。

●島耕二・片山明彦の代表作
【KSM】風の又三郎 原作 宮沢賢治 監督 島 耕二 1940年(昭和15年)日活多摩川作品 著作権消滅 編集 KSM WORLD

●こんなところにも菊池寛が。しかし新人オーディションの拍付けとしては、なんという豪華なメンバー!
【KSM】坊っちゃん 原作 夏目漱石 1935年 宇留木浩 著作権解除作品 P. C. L映画製作所


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by mukashinoeiga | 2016-09-26 07:01 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback | Comments(2)

三隅研次「なみだ川」藤村志保若柳菊細川俊之戸浦六宏藤原釜足安部徹玉川良一

やはり快作傑作、何回か見ていて、今回見て。
 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。67年、大映京都。
 藤村志保、やはり、素晴らしい。代表作というべき。
 藤村志保と三隅のコラボ、絶品はいくつもあり、今回は見れなかったが、 「斬る」「古都憂愁 姉いもうと」なども、絶の品。

e0178641_0465593.png34なみだ川(79分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1967(大映京都)(監)三隅研次(原)山本周五郎(脚)依田義賢(撮)牧浦地志(美)内藤昭(音)小杉太一郎(出)藤村志保、若柳菊、細川俊之、戸浦六宏、藤原釜足、安部徹、玉川良一、塩崎純男、春本泰男、水原浩一、町田博子、本間文子、花布辰男
三隅・依田の演出脚本コンビで、藤村志保と若柳菊(のちの菊ひろ子・奈月ひろ子)が姉妹を演じる文芸物の第2弾。今回も藤村演じる姉は妹の結婚に気をもむが、おっちょこちょいなのでロマンティック・コメディ的な展開も。三隅は悪役を根っからの悪人としては描かず、作品世界に繊細なニュアンスを与えている

e0178641_0512887.png 何度も見ているだけに、今回は細部にも注目した。
 オープンセットの、道向こうの二階家の屋上に着物が干してあり、青空。
 もはや、とてもオープンセットとは思えず、リアル江戸時代
 志保と細川俊之がはじめて結ばれる川沿いの二階家の、絶景。
 その他その他、なんと素晴らしい。絶品の大映美術。
 ただし本作の唯一の欠点は、妹役の新人女優が、あまりの一本調子の、あまりに固すぎる演技。
 全然味わいなし。うーん。

e0178641_0523382.png しかし、全体は、笑わせ、泣かせての、絶品の人情劇!
なお上記解説だが、兄・戸浦六宏は、貧しい庶民のために、時の政府にたてつく、いまで言うシールズみたいな若者。しかし妹たちから大金を奪おうとする。
 左翼的主張のためなら、貧しい妹たちのなけなしの金を奪ってもかまわない、という左翼擁護のフィルムセンターの立場は、あまりにあくどすぎるぞ(笑)。
 しかも姉は小唄の師匠、妹は御大家の娘の嫁入り衣装のお針子、という特権階級の御用を承る庶民というベタな設定に、左翼インテリ(笑)フィルムセンター諸君が、反応したというのも、面白い(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-02-28 23:59 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(6)

隠れた傑作「巨人 大隈重信」に、しびれよ!

 ただいま、京橋フィルムセンターでは、三隅研次特集を3月まで、上映中。
 この特集に、傑作、快作は数多いが、14日の三隅研次「巨人 大隈重信」は、絶対に、見逃すな!(笑)

e0178641_2044174.jpg ということで、三隅研次映画のオススメを、簡単に。
 まず、一隅目
 三隅を語るに、欠かせないのは、いわゆる「剣」三部作。「剣」「剣鬼」「斬る」。
 しかし、これは後付で、どこぞの映画評論家が、命名した、というかカテゴライズしたもの。
 監督も、主演者も、三部作なんだ、という意識は、ない。
 しかし、主演は雷蔵以外ありえなく、監督は三隅以外は、ありえない、超絶美の映画だ。この二人のどちらかが、違ってもありえない、奇跡のコラボと言うしか、ない傑作だ。
 特に「剣」など、主演が雷蔵であったればこそ、監督が三隅であったればこその、奇跡。まさしく天の配剤というべきだ。
 同様に雷蔵「眠狂四郎」シリーズ、「大菩薩峠」シリーズ、カツシン「座頭市」シリーズ、ワカトミ「子連れ狼」シリーズも、素晴らしい!

 そして、二隅目。
 三隅といえば、こういったストイックなちゃんばらモノばかりが注目されるが、意外と言っては失礼か、実は女性映画にも、傑作が多い。
 場内大爆笑必須の「女系家族」は言うに及ばず、藤村志保が超絶によい「なみだ川」「古都憂愁 姉いもうと」、「白木屋駒子」「婦系図」の、なみだなみだの傑作たち。
 ヘタな女性映画専門監督たちが、はだしで逃げ出すクオリティ。特に藤村志保主演作は絶の品。

 さらに、三隅目。 
 そして異色の傑作「巨人 大隈重信」。感想駄文済み。 この、きわめて非日本的な、非日本映画的な、ロゴスと政治言語の怒涛は、いったいナンナンダ。
 雷蔵と三隅のベストカップリングも素晴らしいが、ウツケンと三隅の、奇跡のコラボも、また、素晴らしい。
 また、本作は、大隈の多彩な交友関係もあって、特に、男性大映脇役が大量出演。まさに大映脇役辞典というべきで、その意味では大映ファン、もーおなか一杯(笑)。

 結論だ(笑)。
 三隅、隅に置けないねー。

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by mukashinoeiga | 2016-01-11 20:45 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback(4) | Comments(4)

田中徳三「手錠無用」

 神保町にて。「音楽から映画を愉しむシリーズ 作曲家・小杉太一郎の仕事――名優・小杉勇と映画監督・内田吐夢との絆に導かれた映画音楽の道」特集。69年、大映京都。
 いまは自動振込みの給与を、昔は車で運んでいた。某工場の給料三億円を運ぶ車を襲撃。って、どっかで聞いた話だが、その遺留品のマッチから、カツシンの指紋が出てきた。
 地元では有名な金庫破りだから、カツシンに罪を着せようという。
 やはりプログラムピクチャアの範囲内で、なかなか見せる小品佳作。要は、カツシンのやんちゃ振りを見せればいいのだから、作り手も観客も、気楽な気分で、作ったり、見たり出来ようというものだ。

e0178641_0531040.jpg12. 手錠無用 S44('69)/大映京都/カラー/シネスコ/1時間29分 <神保町シアターHPより>
■監督:田中徳三■原作:樫原一郎■脚本:池田一朗■撮影:牧浦地志■美術:内藤昭■出演:勝新太郎、藤田まこと、藤村志保、佐藤友美、成田三樹夫、吉田日出子、渚まゆみ、大川修、財津一郎
三億円強奪の疑いをかけられた金庫破りの名人(勝)が、濡れ衣を晴らすため自ら真相究明に乗り出す。丸坊主の勝新が、警察を向こうに回して大暴れする痛快アクション篇。
♪小杉の遊び心炸裂のタイトル曲。《Take 5》のパロディ?と思いきや、実は7拍子の《Take 7》!

 デカチョウ藤田まこと、留置場シークエンスのみに財津一郎と、てなもんや組が出て、大映京都だから、てっきり関西の話かと思うと、関西弁は藤田のみ、東京の話と、ちと、とち狂うが。
 カツシンとつるむ不良グループがいい。片腕に大川修、何気なさがいい。
 ちょっと不思議ちゃん入ったすりに、吉田日出子。そんなそぶりはちっとも見せないが、何気にカツシンに惚れている。でも、年も若いし、色気はないので、佐藤友美や、藤村志保には関心を示すカツシンも、ガン無視なのが、ちょと切ない。
 それ以上でもそれ以下でもない、定食映画の好ましさ。

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by mukashinoeiga | 2015-11-17 00:57 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

田中重雄「密告者」田宮二郎藤村志保江波杏子滝田裕介早川雄三夏木章

 神保町にて。「横溝正史と謎解き映画の快楽」特集。65年、大映東京。
 未見の田宮二郎映画を見に行くときは、とてもうきうきする。本作もそうで、見る前も楽しいし、見ているあいだも楽しい。
 ということで、神保町シアターでは、来る5月に、「生誕80年記念企画 よみがえる田宮二郎――昭和を駆け抜けた狂熱の俳優人生」という特集を組んでくれるようで、うれしい。個人的には、例によって未見作極少なのが、難ではあるけれども。
e0178641_22513836.jpg

 以下、ネタバレあり。
密告者 S40('65)/大映/白黒/シネスコ/1時間21分 <神保町シアターHPより>
■監督:田中重雄■原作:高木彬光■脚本:高岩肇■撮影:森田富士郎■音楽:古谷充とザ・フレッシュメン■美術:上里忠男■出演:田宮二郎、藤村志保、江波杏子、滝田裕介、泉かおる、早川雄三、夏木章、毛利郁子
独特の色気とダンディズムで人気を博した田宮二郎主演の推理アクション。借金苦から裏社会に身を落とした男が、自分を罠にはめた密告者の正体に迫る。清純派の藤村とヴァンプ派・江波、妖美を競う二大女優も絶品。

 原作:高木彬光ながら、本作が、なぜ「横溝正史と謎解き映画の快楽」特集で上映されるのか、イマイチぴんとはこない出だしなのだが。
 新人とクレジットされる泉かおる(例によって、その後とんと聞かない、新人だけで終わった女優さんか)演じるヒロイン?の、姉という一見地味な役に、新人とは比べ物にならないヒロイン女優・藤村志保が。
 その後新人女優より、藤村の比重がどんどん増してきて、ははん、そういうことか、と(笑)。
 一見地味な役に大物女優を起用、ということは、そいつが真■人という、横溝正史映画の原点?ともいうべきで、改めてこの特集の一本であることに、納得(笑)。

 冤罪で、殺人犯(容疑)で警察に追われ、同時に真■人の一味に狙われる逃亡者を演じて、田宮二郎日本一(笑)。サマになるなあ。
 大映東京映画で楽しみなのは、脇役陣の充実。TVドラマの人気者・滝田裕介を、ニヤニヤ笑いつつ、田宮をだます役に起用する、このセンス。いつも出番が少ない地味地味大映専属脇役・夏木章(独特なふわっとした、しゃがれ声が大好き)を、ヒロイン?の夫(つまり田宮の恋敵)という大役にフィーチャー、夏木章の出番が多い、というだけで、ただただうれしい。
 夏木章大フィーチャーは、ほかの田宮二郎映画でも、ありました。
 なお、刑事役に、早川雄三。このひとの声も好き。いやあ、大映脇役陣は、みんな、いいなあ。

★大映宣伝部・番外編の番外 (52) 早川雄三さん、夏木章さん、藤山浩二さん - 映画が中心のブログです!★
早川雄三さんは兵庫県の出身で、大映演技研究所は四期生ですから北原義郎さんと一緒です。長い長い脇役生活が多い俳優さんでしたが、大映での出演は優に200本を超えていると思います。会った時にお互い生活苦の話になり、彼から生活費稼ぎのためアルバイトで夜間のタクシー運転手をやりました・・・と聞かされたことが強い思い出として残っています。とても真面目で仕事熱心な方でしたが、大映後テレビでの活躍の方が目覚ましく、時代劇・現代劇を問わず悪役で活躍されました。平成22年に85歳で亡くなったと聞きましたが残念です。
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夏木章さんも最近亡くなったと聞きました。たしか昭和3年生れだったと思いますので今年で87歳の筈ですが、亡くなったのが本当だったらまたまた寂しい思いが続きます。この人の役柄も早川さんに似ていて、本数も負けないくらい出ています。特にガメラ・シリーズにはほとんど出ていて、私の頭の中に自衛隊司令官・新聞記者・博士役の夏木さんの顔が浮かんできます。私の友人に福岡大映劇場の支配人をしていた田中淳一(故人)という人が居ました。永田雅一社長が競馬の馬を持っていてこの世界でも有名でしたが、社長の持馬は田中厩舎に委託飼育されていた、その厩舎の息子です。夏木さんと田中支配人は、たしか大映演技研究所の同期だったようで、3人で食事をしたり飲んだりしたこともありましたが、わざと詳しいことを聞くのをやめた思い出があります。
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by mukashinoeiga | 2015-04-19 09:47 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)