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千葉泰樹「或る夜の接吻」若原雅夫奈良光枝伊沢一郎鈴木美智子丸山修町田博子北竜二浦邊粂子

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。46年、大映東京。
 3組のカップルが出来上がる、まあラヴコメだが、ナチュラルボーン・メロドラマ俳優の若原雅夫を除く5人がことごとくジミ、主役の華がまったくないので、ギャグもそれなりにいいのに、見ていてまったく面白くない(笑)。
 ヒロインは奈良光枝で、本業は歌手、歌手志望娘、ということで、歌う必要があり、演技もそれなりにこなすが、いかんせんメリも張りも華もオーラもない、ないないづくし。顔もジミだし、主役として、登場すること自体が間違い。
 のこりふたり鈴木美智子、町田博子も、若い娘なのに、こんなにも華やかさ絶無な女優を準主役に使うのは、大映東京ならでは。他社なら、書類審査レヴェルすら通過できない女優たちが、なぜか大映東京では、主役になってしまう不思議。コネか。

或る夜の接吻 (63分・35mm・白黒・不完全)<フィルムセンターHPより>
大映募集の当選脚本を映画化した、千葉の戦後第2作。復員後、現在は詩人、建築家、発明家となっている3人の戦友が、それぞれ意中の女性と恋愛を成就させる様子が手際よく描かれる。題名通り、占領期に推奨された「接吻映画」の嚆矢の1本である。オリジナルは9巻(73分)だが、現存プリントは7巻目が欠けている。
1946(大映東京)(監)千葉泰樹(原)森眉根雄(脚)吉田二三夫(撮)長井信一(美)髙橋康一(音)仁木他喜雄(出)若原雅夫、奈良光枝、伊澤一郎、鈴木美智子、丸山修、町田博子、北竜二、浦邊粂子、加原武門、山田春夫、石黑達也、水原洋一

 男の方も、戦前から地味な無骨者を演じて、これまたオーラなしの井沢一郎が、はしゃいでも、見苦しいだけだし、丸山修にいたっては、存在感ゼロ。
 最初蓬髪、ひげぼうぼうで登場した丸山、さっぱりひげを剃っても、まるで見栄えがしない。
 ひげを剃ったら美青年、というお約束ギャグだが、丸山修の素顔自体がなんの味も素っ気もないので、むしろ逆効果、かえってひげぼうぼうで素顔を隠していたほうが、よかったくらい(笑)。
 この、ひげを剃ったら美青年というのは、千葉泰樹「若い娘たち」(快作、感想駄文済み)でも、繰り返されるが、伊豆肇は、丸山ほどでないにしても、ビミョー。若山セツコは、たちまち、のぼせ上がるが(笑)。

 本作の美点は、敗戦直後ということもあり、東京の焼け野原ぶり、瓦礫と野っ原化した東京の実写がたっぷり登場し、それとメロドラマが同居する「異化効果」か。
 なお、上記のとおり、丸々一巻が欠けているので、若原・奈良二人がクライマックスへ向けての「合図」を、示し合わせる場面や、残り二組がカップルになる経緯が、不明となったが、まあ、このデキでは、どうでもよいか(笑)。

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by mukashinoeiga | 2015-01-09 11:09 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(0)

佐分利信「あゝ青春」

 渋谷にて。「日本のオジサマⅡ 佐分利信の世界」特集。51年、松竹。あと2回の上映。
 佐分利信監督作品としては、いささかビミョーだが、そのビミョーさも含めて、見所は数多い
 なぜ、ビミョーか。
 俳優としての出身母体である松竹メロドラマを意識しすぎた結果だと思う。
 戦前松竹メロドラマの、主軸俳優の一人であったサブリンが、熟知しすぎた松竹メロのセオリーに沿った映画を作ろうとして、しかし、それは、監督としてのサブリンの個性とは、完全に水と油。
 以後、松竹メソッドより、よりクールでイケる独立プロ、東宝、東映の諸作品で、その美質を開花させていく。
 いかに監督サブリンが、松竹メロと合わないか、そのズレ具合が、いやあるいは、戦後、漸進的に、時代からズレて、取り残されていく松竹メソッドへの、意図せざる「挽歌」のひとつとして、たいへんに、味わい深い。
 そして失敗作にこそその美質、本質は、露呈する。下手な傑作より、失敗作のほうが、実は美味だったりする、その典型では、ないかと。
 監督サブリンの、あるいはまた、松竹メロの、美質と異質が、微妙に、はたまた絶妙に、交差する。
 映画ファンは、舌なめずりの幸福な時間を得られる作品だろう。繰り返すが、見所は数限りなく、ある。
 珍味にして、それゆえに美味。
 特に島津保次郎「兄とその妹」が好きな人なら、必見だ!(笑)。
 同映画の佐分利信&三宅邦子の夫婦愛が再現され、とても好ましい。
以下ネタバレ。

あゝ青春(35mm)公開:1951年 <渋谷シネマヴェーラHPより>
監督:佐分利信
主演:佐分利信、高峰三枝子、若原雅夫、三宅邦子、東山千栄子、南川直、水原真知子
母子家庭の長女で女子学生の峰子は、ダンサーのアルバイトで生活を支えていた。ある夜、尊敬する佐竹教授が店に現れ…。戦後の生活苦の中でもがく学生たちの姿を描き、キネマ旬報8位となった傑作。佐竹教授役で出演した佐分利が渋い魅力を発揮している。フィルムセンター所蔵作品。

 まず、本作の美点1。
 サブリンらしい、当時の青春像の活写。
 感想駄文済みの佐分利信「人生劇場 第一部 青春愛欲篇」の、戦前青春群像の野放図さ、闊達さに比べると、敗戦後の苦学生は痛々しいが、やはりサブリン流群像劇の楽しさ。
 特に、若原雅夫の下宿の一室に転がり込んだ高峰三枝子、遅れてやってきたナンパ学生・三橋達也との絡みは、最高に楽しい。

 本作の美点2。
 その若さと対比される大人たち。教授サブリンと、その妻三宅邦子。これが島津保次郎「兄とその妹」が、そっくりそのまま再現され、しかも同作以上に美化されたスーパー美夫婦!
 そもそもサブリンは、戦前松竹女性映画で、散々日本的美丈夫、ある理想的な男性像を演じて、人気のあった俳優であるが、それを戦後に、完璧に再現(笑)。
 しかも自監督作で、ぬけぬけと「完璧にいい夫像」を、演じ倒す(笑)。
 理想的美夫婦を、イヤミにならず演じて見せる。これこそが、戦前松竹の一側面でもあった、松竹家庭劇の美化モード。しかも、それは戦前松竹よりも、さらに強化されての、サブリン的再現だ。

 この美夫婦宅に、学生たちが、遊びに来る。
三宅「皆さんに、記念にバラを一輪ずつ、差し上げるわ。ヤギのお乳も、飲んでいただきたいわ」
三橋「じゃ、ぼくがヤギのお乳、搾りましょう」
三宅「あら、あなた、ヤギのお乳、搾れるの」
三橋「大丈夫ですよ。ぼくに任してください」
 その後、温室で優雅にバラを摘む三宅邦子のところにやってきた、三橋達也。
三宅「あら、お乳搾れまして?」
三橋「いやあ、駄目でした」
三宅「あら、あんなに自信満々でしたのに」
三橋「人間のおっぱいなら得意なんですがね。ハハハ」
三宅「まあ」
 そして「奥さん」と、セマるナンパ学生・三橋達也。
 温室から逃げてきた三宅を、佐分利、高峰が迎える。

 後日、佐分利信は、高峰三枝子に、
佐分利「うちの奥さんは手を握られたんだそうだ」
高峰「あら、そんなことまでお話になるの」

 これ以外にも、理想的夫婦像を演じるふたり。そのスチールが、本特集チラシの見開き左上にあるとおり。 

 そして、突っ込みどころ1。
 本特集でも上映の島津保次郎「婚約三羽烏」で、サブリンら松竹三羽烏から、熱い視線を浴びる令嬢に、高峰三枝子。その37年作から、約15年を経ての、本作での高峰三枝子の女子大生役は、あまりに無茶すぎる(笑)。
 おそらく真相(笑)は、こうでは、ないか(妄想モード)。
 松竹から、サブリンは監督作を撮るように打診される。条件は、この場合、高峰三枝子主演。
 当然、男性側主人公にサブリンが期待される。監督と主役が同一人物なら、それぞれに払うギャラも、割引して、監督・主演まとめて、どうだ、と言いがちなのが日本の映画会社で(笑)。
 いわれたサブリンもギャラの割引より、監督が出来るのが魅力的だ。引き受ける。
 しかし、他監督作で、さんざん恋人役を演じてきた高峰であるが、自らの監督作では、女にさんざんに馬鹿にされるダメ男を演じたい(笑)サブリンと、しては、これは、困ると(笑)。
 そこで思いついた妙手(笑)は、高峰と佐分利を、恋人・愛人関係にしない作戦。要するに、高峰の役を若くして、高峰の相手役も若手に演じてもらおう、と。
 ほのかにお互い関心を持ちつつも、教授と女子学生と「年の壁」を作り、「恋愛ドラマ」の男側、松竹的二枚目になるのを、たくみに?回避。
 しかし松竹映画では、主人公は、松竹的二枚目を演じなければ、ならない。そこだけは、松竹の伝統なんだから、守って、くれよ、と釘をさされるサブリン。
 そこで参照されたのが、自らの俳優歴でも代表作の一本、島津保次郎「兄とその妹」。アレを、さらに強化したスーパー美夫婦を、三宅邦子とともに、再現する。これなら、松竹ホームドラマ的にも、モンダイではなかろうと。
 もとより、理想的な松竹二枚目男性像は、お手の物のサブリンだ。
 あまりに理想的な松竹二枚目男性像を演じすぎたために、自らの監督作では、堂々と、そのアンチなダメ男を演じてみたいサブリンなのだが、ここは、ひとつ、それは、封印、と。しかし、その結果、

 そして、突っ込みどころ2。
 主演カップルを、学生側、大人側に分けたために、「青春映画」としては、「対比される大人の側」の比重が高まり、バランスが悪い「青春映画」に。
 サブリン&三宅が、あまりに理想的夫婦を演じたために、映画本来の主題的にはメインのはずの、学生ドラマが、相対的に貧弱に見えてしまう迷走化。
 これじゃあ高峰三枝子踏んだりけったり。

 突っ込みどころ3。
 いつもの穏やかな慈母演技の東山千栄子。しかし、愛する娘が、夜の社交酒場の、酔客相手のダンサーであることに、何の抵抗もなくサポート。これ、ちょっとおかしすぎない? 地方出の一人暮らしの女子大生でよかったのでは?

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 なお、前者Movie Walkerでは、倉持一郎役を倉持達也と表記。これは三橋達也の誤り。検索したらMovie Walkerだけでなく、映画ナビというサイトの本作紹介でも同様に倉持達也表記。このサイトには、キネマ旬報のバナーが貼り付けられており、大本のキネ旬の単純ミスを代々孫引きしている模様。
 後者は、そもそも三橋達也の名前さえなく、きわめてずさんなものだ。

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by mukashinoeiga | 2014-10-16 09:03 | 佐分利信 サブリン人生劇場 | Trackback | Comments(0)

千葉泰樹「花咲く家族」

 京橋にて。「よみがえる日本映画vol.4 大映篇-映画保存のための特別事業費による」特集。47年、大映東京。あと1回の上映。
 老母・瀧花久子は、長男・若原雅夫が、折原啓子と恋愛結婚なのが、気にいらない。いちいち、さりげなく、嫁いじめ。耐える折原啓子。けなげ(笑)。
 本当は遠縁の娘・相馬千恵子がお気に入りで、相馬を長男と結婚させたかったのだ。なので、今度は、次男・小林桂樹の嫁に、相馬を画策。
 恋愛結婚をしたい桂樹は、この母の案に大反発。妹・三条美紀や兄・若原の応援を得て、<わざと相馬千恵子に嫌われるような、デリカシーのない男>を演じるのだが・…。
 お定まりの娯楽ホームドラマのパターンだが、千葉演出もよく、登場するキャラも、みんなたいへん、ほほえましい。なので、気持ちよく見られる快作に。
 ホームドラマの快楽。
 ただし、母の大推薦する<安心して、嫁にできる、親戚の娘>が、そのさんざんのあおり文句の果てに登場する、相馬千恵子が、なんてことない、平凡娘で、がっかり。ほんと、(この当時の)大映は、女優に、華、ないよなあ。

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by mukashinoeiga | 2012-04-26 00:10 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(0)

川島雄三「適齢三人娘」

 神保町にて。「昭和の原風景~太田和彦『シネマ大吟醸』より」特集。
 51年、松竹。
 未見の川島だ、わーいわーい、と駆けつけたら、既見作だった(笑)。
ぼくのお粗末な記憶力のせいだが、しかしこのお粗末な記憶力のせいで初見同様楽しめるのだから、災い転じて眼福となる、のはいつもどおり。
 妹・津島恵子向けの見合いの代役に姉・幾島道子。その見合いの相手・細川俊夫は友人・若原雅夫に見合いの代役を頼む。代役同士の見合いは、お互い好印象。津島も若原に偶然出会い好印象。これに若原に一方的にほれている小林トシ子が絡み、さらに小林には若原の助手・大坂志郎が片思い。一方的にほれる猛烈女というのは「昨日と明日の間」の淡島千景も同じ(このタイプを洗練させたのが「貸間あり」の淡島)。忙しい人物の出入り、場の出入りというのが川島の好みみたいだ。
 津島恵子のキュートさが際立つ。斜陽族の津島を取材する、「ローマの休日」のグレゴリー・ペックばりの雑誌記者若原もグッド。

by mukashinoeiga | 2009-07-12 21:25 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(4) | Comments(0)