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増村保造吉村公三郎衣笠貞之助「嘘」滝瑛子叶順子川崎敬三山茶花究喜頓乙羽信子森光船越滝沢修

濃密な大映空間のコクとキレ。
 渋谷にて。「映画は大映、ヴェーラも大映」特集。63年、大映東京。
 2コ前の感想駄文佐藤武「帰国 ダモイ」で、
 そもそもどのオムニバス映画でも、各エピソードの食い足りなさが残る仕組みになっており、本作もそう。それぞれ独立した中篇、長篇にすれば感銘を与ええるものになる可能性があるものをも、ぶつ切りにして、すぐに次のエピソードに移っていく。
 と、書いたが、本作感想駄文で、早くも裏切る(笑)
e0178641_2523675.jpg 3話オムニバス映画なのに、このコクとキレ! しかも圧倒的大映空間の濃密。
 各話それぞれ余韻を持っているのがいい。大映ならではのダークな照明の統一感。いかに明るく明細感ある照明を目指すのではなく、暗み重視の大人照明。

『嘘(16mm)(99分)』公開:1963年
監督:増村保造、吉村公三郎、衣笠貞之助
出演:滝瑛子、ジェリー藤尾、江波杏子、叶順子、川崎敬三、山茶花究、益田喜頓、乙羽信子、中田康子、森光子、船越英二、滝沢修、杉田康
「嘘」をテーマに増村保造、吉村公三郎、衣笠貞之助が競作したオムニバス。処女を守りつつ男たちを手玉に取る短大生の「プレイガール」、2号を持て余して別れを画策する社長の「社用2号」、1人の男をめぐる3人の女の虚勢の張り合いを描く「女体」。豪華俳優陣の技が光る!【小西康陽セレクション】

e0178641_840419.png 第一話。短大生滝瑛子は、何十人ものボーイフレンドとデートを繰り返す。相手はいずれも金持ちのお坊ちゃん。いわゆる玉の輿結婚を狙う。しかし体は許さない。
 処女を高く売るのが戦略。典型的プロフェッショナルヴァージン。
 19才だが一つさばを読んで、あたし18よ、って細かいな、おい。19じゃ処女感減るんかい。
 いかにもマスマスムラムラの増村らしいエネルギッシュさ。
 滝瑛子の弟の中学生男子も、姉と大人の会話。大映は、中学生男子もスケベ中年男並みの発想、会話、徹底的に青春が似合わない大映ならではの(笑)。しかも姉もまだ未成年なのに、この大人の女感満載。ああ面白い。

e0178641_2594063.jpg 第二話。新劇上がりの苦労人女優叶順子は、精力剤が大ヒットの製薬会社社長益田喜頓を、パパにゲット。優雅にマンション暮らし、しかもその製薬会社がCM提供の連続ドラマの主演もゲット。
 ところがこの役が女子高生役なものだから、トウが立った叶ではだめだ、ということで早くも第四話で交通事故で死ぬ羽目に。
 いやでも映像を見る限り、叶順子の女子高生はぎりぎりセーフだろう(笑)。
 TVドラマの役も、愛人の座も切られようとする叶のドタバタを、吉村ハムハム軽快に描く。
 叶の新劇仲間の大辻司郎、この時期の大映では欠かせない脇役で、決してうまくはないんだけど、味で際立つ。

 第三話。冒頭いきなり船越が銃殺される。殺したのは愛人乙羽。
 その裁判に船越本妻モリミツや証人中田康子が絡む。
 本妻モリミツ、愛人乙羽、中田康子、殺される色摩船越、ちょっとした黒い三人の女だ。
 ダメダメな男女そろい踏み、ああいかにも大映。そしてこれらグダグダ男女を裁くのが、ザ正義感・宇津井健! キヌサダ余裕の演出の好ましさ。

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by mukashinoeiga | 2018-10-21 02:53 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(0)

三隅研次「巨人 大隈重信」再見

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。63年、大映東京。
 一年前に神保町で見た際に、感想駄文★三隅研次「巨人 大隈重信」★を書き、さらに★隠れた傑作「巨人 大隈重信」に、しびれよ!★で、アジったが、今回再見して、もっと書きたくなったので、この「最高」作を「再考」します(笑)。
<以下、ネタバレあり>
1/31(日)に、もう一度上映があるので、未見の人は読んじゃだめよ(笑)。
e0178641_443158.png 巨人 大隈重信(103分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
1963(大映東京)(監)三隅研次(脚)八尋不二(撮)小林節雄(美)間野重雄(音)斉藤一郎(出)宇津井健、坪内ミキ子、三條江梨子、藤巻潤、船越英二、内藤武敏、小池朝雄、神山繁、北原義郎、千波丈太郎、岡田真澄、本郷功次郎、髙松英郎、根上淳、石黒達也
大隈重信生誕125周年記念作品。明治元年から明治35年(東京専門学校20周年、早稲田大学開校)までが語られる。大隈役は早大出身の宇津井健。会話演出主体だが、二度の大隈暗殺未遂シーンでは印象的なアクション演出が見られる。剣をふるって大隈を助ける畑剛造役は石黒達也。

 なお、本作が、いかに隠れた傑作かというと、ウィキペディアの大隅の項の、

関連作品[編集]映画
日本暗殺秘録(1969年、日本、役者:矢那木邦二郎)
商魂一代 天下の暴れん坊(1970年、日本、役者:芥川比呂志)

に、一目瞭然。どう見ても一番重要、かつタイトルロール、かつ傑作が、ガン無視状態(笑)。

 本作は、史実に基本的にはモトづきつつ、しかし、その細部は、当然ながら、かなりフィクションと想像される。

大隈の下には伊藤博文や井上馨といった若手官僚が集まり、木戸孝允とも結んで近代国家の早期建設を謳って大久保利通らを牽制した。当時、伊藤や井上らが集って政治談義にふけった大隈の私邸をさして「築地梁山泊」と称した。(以上、ウィキペディアより)

 仲の良かった伊藤、井上らと、国会開設などの夢を語っているうちは、よかったが、だんだん政治の本丸に取り込まれるに連れ、かつての同志にも裏切られ、下野したり、しかし井上の後任で外相になったり、早稲田開校式では、伊藤の祝辞を受けたり、昨日の友は今日の敵、昨日の敵は今日の友を繰り返す、政界アラベスク。
 それを、快活に恬然と受け入れる、ウツケン大隅の、好ましさ。
 実際は、ドロドロの政治的魔界を、これは宇津井健主演だからと、明朗に乗り切る三隅の手腕。
 これが、大映京都、仮にサゲチン(失礼&笑)雷蔵が、大隅を演じたら、どれほどダークかつニヒルな「政界裏話」になったかと思うと(笑)。三隅なら、やりかねんよ(笑)。
 雷蔵が大隈なら、その夫人は中村玉緒、母は目黒幸子(ないし浦部粂子、陰険版沢村貞子)、伊藤井上は、見明凡太郎、伊達三郎か。陰謀渦巻く、うーん、ダークや。

 ことに井上馨なんて、無類の女漁り、貪官汚吏的イメージがあるが、好漢・藤巻潤が演じることで、さわやかさ200パーアップ。
 複雑怪奇、権力権勢のドロドロ血液が、さらさらに、これぞウツケン効果か。
 さらさらも、ドロドロも、思いのままの三隅。スパシーボ。

 本作には、明治政界のさまざまな有名人が登場するが、ある時期以降の大作日本映画に必ず採用される字幕による人物紹介が、一切ない。
 しかも、大隈以外の有名政治家なども、一切苗字のみが、語られる。伊藤、井上、山県、西郷。
「伊藤さん、西郷さんが、お見えになりました」と、案内。普通西郷といえば、あの兄のほうかと思いきや、実は弟・西郷従道だったりする。
 ウツケン大隈とにこやかに談笑する船越英二。まだ、名乗らないので、誰の役かは、わからない。そこへ若者たちが来て、「先生、先生」という。しばらくして、「福沢先生」と、わかる。
 これが、現代の映画なら、説明過剰なまでに、
 「慶応義塾塾長 福沢諭吉」と字幕が出て、
学生たちも「先生、先生」とは言わずに、「福沢先生」「福沢先生」と、言うに違いない。
 岡田真澄演じるアーネスト・サトウも、アーネスト・サトウというフルネームでこそ、カレの存在感を示せると思うのに、ただのサトウだけ(笑)。

 この、こつこつとした、下の名前などの省略が、大映ならではの、三隅ならではの、ランニングタイムの短縮に繋がっているのだと、思う。
 そして、大山健二だ(笑)。Movie Walkerの、本作項目では、医官、としてクレジット。
 しかし、一回目の神保町では、見逃した。あの、目立つ、おなじみの顔なのに。
 今回はじめてご覧になったお邪魔ビンラディンさんも、見逃したようだが、2回目のぼくは、さすがに、目視しました(笑)。
 医官というからには、あそこのシーン、つまり、爆弾を投げられて臥せっている大隈を取り囲む大勢の人のなかにいるに、違いない、と当たりをつけて、そのシーンで、話の筋は無視して、人々の顔をねめ回していたら(笑)、いました。画面中央、やや右寄りの白衣の大山健二が。
 戦前松竹では、三枚目スタアとして、大活躍、戦後大映では、出番は毎度少ないながら、きわめて印象的な脇役の大山健二が、たった十秒弱、ワン・オブ・ゼムとして、ぼんやり顔を見せるだけ、とは、考えにくい。
 おそらく、セリフも二言、三言は、あったに、違いない。じゃなきゃ、単なるエキストラで十分、大山健二を呼ぶまでもない。
 おそらく脚本では、大山の出番は、あった。撮影も、実際に、された。
 しかし、全部、カット。なぜ。もちろん、ランニングタイムをカットしなければならない、大映なり三隅の事情。映画のシマリを、ヨクするために。

 ここで、面白いインタヴューが、ある。大映の編集者の証言が、三隅好きには、たまらない。
★コラム『日本映画の玉(ギョク)』谷口登司夫が語る三隅研次 Text by 木全公彦★
 三隅は、谷口の編集が、長過ぎる、キレキレ、と絶えず言っていたらしい。
 たとえば、谷口は、三隅の「座頭市」で、街道を画面奥までエンエン歩いていくカツシンの後姿を、長く長く残す編集をすると、三隅は、長い、切れ、という。
 この後姿のカツシンがいいのに、と渋る谷口に、なおも切れ、という。だったら、こんなに長く撮影してくるなよ、と、心の中で、少し切れた谷口。
 ああ、70、80分で終わる三隅映画の「完全版」が、見たい(笑)。

 さて、下野していた大隈に、かつて山県有朋(高松英郎)とともに、大隈を蹴落とした黒田清隆(小池朝雄)が、訪ねて来て、頭を下げる。 「いろいろ対立はあったが、おいどんの内閣の外務大臣になって、不平等条約を改正してくれ」と。 (実際は、伊藤内閣の外務大臣を、続く黒田内閣でも引き継いだらしい)
 当時、「不平等条約」を改正できない内閣に対し、国民の不満は、大変なものだった一方、それに比例して、政府批判の言論人・大隈の人気は大変なものであった。
 ところが、大隈が、条約のほとんどの改正に成功するも、国内で外国人犯罪者を裁くために、裁判官判事に、外国人を登用する、としたために、可愛さあまって憎さ百倍の、売国奴呼ばわり(笑)。
 大隈の反論は、
1 世界中のすべての国の対外条約で、百パーセント満足なものは、ありえない。何らかの妥協が必要。
2 多少の妥協によって、不平等条約が、全体として改正出来るなら、それを良しとせねばならない。
3 しかも外国人が日本で裁判官になれるのは、まず彼が日本国籍を取得してのちのことで、それなら彼は立派な日本人だ。(当時お雇い外国人は多数いても、わざわざ日本国籍を取得する心理的ハードルはかなり高い)

 こう、大隅は、国民からの売国奴呼ばわりに、反論するのであるが、この光景は、つい最近も、見られるもので、この映画、なかなか、古びていないなあ、と(笑)。

【反日韓国】日韓合意絶対反対、明日、官邸前緊急抗議活動へ起て![桜H27/12/28]

慰安婦問題での日韓合意を糾弾する国民大行進2016/1/10デモ前

【2016/1/10】慰安婦問題での日韓合意を糾弾する国民大行進2


★映画監督 三隅研次 | 東京国立近代美術館フィルムセンター★
 クリックすると、Not Foundと表示されますが、その上の黒いメニューバーをクリックすれば、大丈夫。

 なお、どうでもいいことだが、上記貪官汚吏が、自動変換されないのでネット検索したら、正式には「たんかんおり」という読みで、ぼくの知っている「どんかんおり」は俗読みらしい。しかしタンカンでは、なんだか、淡々としたいい人みたいで、ドンカンの貪欲そうで、薄汚そうで、そう、貪じたいは、タンともドンとも読む、らしいが、語感から、ドンに変化した、ようだ。

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by mukashinoeiga | 2016-01-18 11:02 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(5)

田中重雄「共犯者」

 阿佐ヶ谷にて。「ミステリ劇場へ、ようこそ。2014」特集。58年、大映東京。
 感想駄文済みの田中徳三「誘拐」という、緊迫感たっぷりサスペンス快作の直後に見たものだから、余計、そのまったり感が倍増(笑)。
 一応、探偵役となっている船越英二、彼が素人丸出しの調査員で、調査には、その奥さん・八潮悠子を帯同。千葉に、岡山に、下関に、船越が調査におもむけば、船越以上にのんき者の彼女も必ずついていく。
 というのも、奥さんの実家に間借りしていた失業者夫婦なので、一種の「家なき夫婦」。一応全国をまたにかけて?調査する船越についていけば、その安宿に同泊出来て、「家なき」状態も解消できる、という発想だ(笑)。
 こんな夫婦探偵見たこともない(笑)。
 しかも、船越、奥さん得意のトランプ占いで、ターゲット高松英郎を探す方角を決めたりする。
 江戸時代じゃないんだから(笑)。

共犯者 1958年(S33)/大映東京/白黒/95分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:田中重雄/原作:松本清張/脚本:高岩肇/撮影:渡辺公夫/美術:柴田篤二/音楽:古関裕而
■出演:根上淳、高松英郎、船越英二、叶順子、宮口精二、倉田マユミ、八潮悠子、町田博子、多々良純、山茶花究
強奪した金を元手に事業に成功した男・根上淳は、五年前に別れた共犯者の動向が気になって仕方なく、私立探偵を雇って身辺調査を開始した──。疑心暗鬼から自滅していく男の姿を描いた松本清張の同名短篇小説を映画化。

 探偵仕事を船越に依頼した根上淳、こいつが映画史上最弱といっていい臆病者。いつ過去が露見されるか、常にびくびくしている。婚約者・叶順子の、何気ない過去への質問にも、きょどりっぱなしで。
 こんな根上と、のんびり探偵船越が、交互に描かれて、まあ、サスペンスのサの字もありませんな、というのんびりっぷり。
 同じ田中姓の大映専属監督、徳さんと重さん、偉い違いで。
 ちなみに池広一夫によれば、当時の大映京都には三一ローテーションというものがあった、という。
 は、田中徳隅研次、は、森生、池広夫の、監督が交互に「座頭市」や「眠狂四郎」のヒットシリーズを、まるでローテーションを組みように、担当していたという。
 まあ、この中では新人監督である池広一夫の証言は、ちと眉唾だが(笑)。
だいいち安田公義などの立場は(笑)。閑話休題。

 相変わらずエロキュートな叶順子の魅力は当然のことながら、問題は高松英郎と、倉田マユミだ(笑)。
 高松英郎。ゴツイ顔のせいか、この時期の大映では、渋い小悪党を担当。
 前記田中徳三「誘拐」の、職能一点張りの主任刑事などでは、スマートささえ感じる好演を見せる彼も、小悪党役では、いいところなく、ずっこける。
 第一に笑顔を見せたら、もうだめ。悪党らしい「凄みのある笑い」も、小悪党らしい「卑屈・卑劣な笑い」も、出せない。
 素の「純朴な笑顔」一点張り。それ以外の、演技が、出来ない(笑)。
 高松英郎、一度でも笑顔を見せたら、演技終了。史上最強の笑顔がサマにならない役者なのだ。

 倉田マユミ。田中徳三「誘拐」と同様に、挙動不審な「謎の同居人」が出色で。
 もちろん「誘拐」では、実は主人のモト妾の、今では女中頭扱い。本作では、根上の世話をする女中、という「謎」でもなんでもない「同居人」なのだが、二作とも、あのウロンな顔で、いかにも謎めいた、挙動不審な登場、行動。
 ドアを開けると、いつも彼女が立ち聞きしている(笑)。
 「謎の同居人」女優と呼ぼう。この時期の大映で、そんな彼女をいく本か見た気がするぞ。別名「究極の出落ち女優」というべきか。
◎追記◎そうそう増村保造「恋にいのちを」(感想駄文済み)でも、出落ちとも言うべき挙動不審者の印象で。

 ラスト、根上と高松、船越が一瞬交差して、そこに小サスペンスはあるが、基本はのんびりサスペンスだ。
なお、九州の根上が、何の面識もない上州高崎の失業者・船越を、いかに知って手紙を出し、高松捜査を依頼したのか、映画を見ているあいだわからず、そこが不思議。

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by mukashinoeiga | 2014-10-02 00:29 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

三隅研次「女妖」船越英二山本富士子野添ひとみ叶順子

 神保町にて。「時代劇の粋と美学 大映京都の二枚看板 田中徳三と三隅研次」特集。60年、大映東京。
 大映京都での、三隅時代劇の素晴らしさは、いまさら言うまでもないことだが、実は数少ない現代劇の三隅も、いいのだ。 「女系家族」なんて、超最高クラス。
e0178641_1101883.jpg で、本作は、長編映画ではなくて、それぞれ、山本富士子、野添ひとみ、叶順子、大映三女優を主演にした、中篇三本のオムニバス。長編映画のコクはないが、キレは期待したいところ。
 主演は、船越英二の風俗小説家。
ここら辺は原作者、西条八十の投影か。この船越が、さまざまな女たちに、出会っていく。
 第1話。わけありの女・山本富士子との、一夜のアバンチュール。
 第2話。その、しばらくして後。天然系ギャル詐欺師・野添ひとみに、だまされる。
 第3話。生き別れの実の娘と称する若い娘・叶順子に翻弄される。
 つまり、スケベ心横溢の船越が、さまざまな女たちにだまされ、翻弄される物語。これが一本の長編として作られていれば、どれほどの充実した映画だったろうか。しかし、三隅は、律儀に、オムニバスとして映画を、細切れに、作っていく。残念。
 それぞれの物語は、オムニバスという形で、ブツ切れで提供されていて、せいぜいが、トータルで、おしゃれな映画、というところしか、目指せない。三女優は素晴らしいが、トータルでは、輝かない。あくまでも愚直な三隅は、こういう、おしゃれな趣向=オムニバス、では、輝かない。
 ちなみに、第3話で、若い娘と楽しむ船越は、都内に仕事部屋のマンションを持っているが、鎌倉の実家の奥様とは、別居状態。この奥様が、第1話の、山本富士子かしらん。そこらへんの言及は、されていない。が、大映のことだから、おしゃれな恋愛映画で、第3話の、シカトされる本妻が、実は、第1話の、山本富士子の、成れの果て、というのは、十分、ありえる話かも。
 <大人の事情>が、得意な大映としては、もっとへヴィーに、話を展開して言ってほしかったところか。
 80分の映画では、天性の実力を発揮する三隅も、3話86分では、いまいち、トチ狂ったか。 

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by mukashinoeiga | 2013-03-12 00:13 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback(2) | Comments(0)

田中重雄「夜はいじわる」山本富士子中村鴈治郎船越英二川崎敬三北林谷栄

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン63・山本富士子」モーニング特集。61年・大映東京。
e0178641_6481739.png タイトルから想像される、セクシー・ピンク・コメディーではまったくなくて、和風ラヴコメ快作、なかなか面白い。4/21(土)までの上映。
 京橋で1940年代の田中重雄を見つつ、同時に阿佐ヶ谷モーニングで、60年前後の田中を見る、また楽しからずや。な~んてね。
 老舗鰹節屋の跡取り娘・山本富士子は、いい加減な父(現在の社長)中村鴈治郎の不渡り対策に追われる。鴈治郎は婿養子で、山本の祖母・北林谷栄会長に頭が上がらず、不渡りの責任を取らされて、会長に社長職を解任される。解任されても、娘よ、後は頼む、といい加減な鴈治郎。この鴈治郎が、なぜか、いつもの、関西弁では、ない。調子が狂ったのか、いつもの闊達さが鴈治郎に、ない。無理した?標準語の鴈治郎、不自然で、面白くともなんともないぞ。
 やはり田中重雄「東京おにぎり娘」では、なんと、関西弁の江戸っ子(幼い頃から長年、関西に丁稚奉公ゆえ)、本作でも、どうせ婿養子なんだから、東京の老舗の社長でも、関西弁でも、よかったのでは。とにかく、どんな映画に出ても、必ずザ・鴈治郎ワールドを展開する鴈治郎の、生彩が、ない。恐るべし、標準語効果?
 それはともかく、山本富士子VS船越英二VS川崎敬三の、和風ラヴコメの、素晴らしき可能性をかいま見させる快作ではある。コメディエンヌとしても、絶品の山本富士子。
 なお田中重雄「旅情」どうよう、山本富士子が挿入歌を熱唱するも、平凡な、かつ古臭い歌い方で、感興を殺ぐ。最後はあからさまにフランク・キャプラ「或る夜の出来事」のパクリ、というか、モロのいただきと言うか。芸がなくて、すいやせん、で。
 しかもドライなキャプラ版が、父親の一発の捨て台詞(「この結婚は、金で片がつく」とかの)で爆笑させたのに比べると、ウエットな日本映画では、エンエンつまらない説明シーンを連ねるという違いはあるが。

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by mukashinoeiga | 2012-04-21 01:33 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(46) | Comments(0)

森一生「怪談 蚊喰鳥」絶品!船越英二中田康子

 京橋にて。「生誕百年 映画監督・森一生」特集。61年、大映京都。
 森一生の、隠れた傑作。再見しても、その面白さ素晴らしさは、まったく色あせない。
 フィルムセンターのスケジュール表に、森の傑作は「吐く嘔気」もとい「薄桜記」「不知火検校」「ある殺し屋」の3本とあるが、実にこれも、あなどれない。かの3本と同等か、それ以上?
e0178641_247312.jpg 「怪談 蚊喰鳥」などというと、「蚊喰鳥」なる怪鳥が活躍するホラーかと思うが、出てくるのは人間だけ。だいいち蚊を食う鳥なら、人間にとっては、益鳥?だろう。「蚊喰鳥」とは、どうやら、こうもりのことらしいが、でも、そのこうもりも、映画には出てこない。出てくるのは、人間だけ。
 色と欲に絡めとられた人間たちばかり。
 江戸時代。常盤津の師匠・中田康子、それに群がる(笑)按摩兄弟(船越英二・二役)、ボンボンの遊び人(小林勝彦)。男たちが蚊で、群がる男たちを食いまくる、中田康子が、蚊喰い鳥なのか。
 とにかく、やっぱり、船越英二が絶品。中田康子に恋焦がれるあまり死んじまった兄按摩、そのきまじめさ、兄を言い訳に中田に近づく、図太い弟按摩、この弟が、すごんだあとは、へらへら誤りに来る多重キャラ野郎、しかもきまじめなあまり、ユウレイになった兄も演じわけ、まさにオールザット船越、凄み、愛嬌、傲慢、低姿勢、あらゆる人間の業を演じ、まあまあ、目の快楽。船越、すごすぎる。絶品、以外の賛辞が、思い浮かばない。
 それを受ける中田康子。東宝ではイマイチだったが、大映に移って、この快演。色っぽくて、あだっぽくて、はなやか。裏でいろいろ考えている、悪女。この中田が、季節は夏とて、蚊帳を吊って、うとうとお昼寝の図。
 その蚊帳の中に、男たちを、次々、連れ込む。白黒シネマスコープの画面に、蚊帳、その蚊帳に男をくわえ込む中田の色っぽさ。この絵も素晴らしい。
 このふたりがとにかく素晴らしく、しかも、怪談独特のけれんみの演出も素晴らしい。怪談ホラーの頂点とも言うべき描写。とにかく、弟船越が映るたびに爆笑、兄船越が映るたびに、ぞぞぞーッ。きちっと怖がらせて、背筋を寒くする、素朴だが、理屈抜きの怖さ。やっぱり、ホラーに白黒は、似合ってるわ。
 そして限定された、小寺の裏の墓地、そこにしつらえられた古井戸、そのさらにうにらに当たる、常盤津の師匠の、家。このセットも素晴らしい(美術・西岡善信)。
 やはり怪談ホラー、怪談ユーモアの頂点とも言うべき、傑作。
 そして78分のタイム・コスト・パフォーマンス。これもいかにも大映。短くても、濃密。無駄に長くて、まったく怖くないどこぞの「怪談」なんて、問題外。森一生と、大映のよさ、船越の素晴らしさが、渾然一体となった。


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by mukashinoeiga | 2011-07-17 22:36 | 大映京都学校 森一生佐 | Trackback(22) | Comments(0)

三隅研次「銭形平次捕物控 美人鮫」

 神保町にて。「娯楽の王様・時代劇黄金週間」特集。62年・大映京都。
 スーパー・パワフルにして、ウルトラ・センシィディヴな(笑)全盛期の三隅映画に比べるまでもなく、初期三隅映画は、薄味でイマイチ。文字通りの習作の気配。しかし、これは初期三隅にしては、なかなか、いい。
 江戸時代の江戸。深夜。後ろ手を縛られた町娘が、ふらふら逃げ惑い、しかし何者かに殺される。
 そこへ、夜鳴きそばの親父。簡易屋台をおろし、営業準備。客も「寒いねえ」と寄ってくる。そこへ、ヤク中の男(もちろん、ここは当然伊達三郎ですな)が現われ、屋台をぶち倒す。屋台から火の手があがる。ひぇー、あわてた客たちが、火の手を消そうと、手近の天水桶をあけると、水の中に、娘の死体。
 ここまでの、冒頭の短いショットの積み重ねが、素晴らしい。スーパーではないが、繊細かつ大胆な編集の素晴らしさ。
 長谷川一夫の銭形平次が出てくると、ふつうの水準的娯楽映画の水準になるのだけれど。おかしいのは、平時の子分・八五郎。なんと船越。ひょうきんなお調子者に、船越、似合わないぞ。船越、よく言えばひょうきん役には大物感が漂い、悪く言えば、重く、ドンくさい。いつもは名演技の船越の、わざとらしいひょうきんな小物役。見ているほうがむずむずするような、決まりの悪さ。
 長谷川一夫の平次は。まあねえ。この時期の長谷川一夫は、カンロクはあるんだけど、まあ、何やっても、カンロクだけはあるんだけど(笑)。
 そのなかで、初期三隅は、精一杯のサーヴィス。たのしい。

by mukashinoeiga | 2010-04-29 22:36 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback(22) | Comments(0)