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池部良・蜷川親博「ヴェトナム戦争」

2点ほど気に入った(笑)。
 京橋にて「発掘された映画たち2018 Cinema: Lost and Found 2018」特集。67年、池部良プロダクション。
 一つは冒頭カンパニーロゴ。これが寝そべってくつろぐ猫の動画。猫のカンパニーロゴは珍しい。この美猫は池部の愛猫か。
 二つ目はアメリカ陸海空軍への食い込み様。一独立プロ風情とは思えないほどアメリカ軍内部に食い込んだ撮影。
「HAHAHAHA。日本の映画スタアとやらチャラチャラ野郎が俺たちを取材したいって? ファックユー。甘くみんなよ。おとといきやがれ」
「実はこう見えても元帝国陸軍中尉だぜ」
「オーマイガ――。同業者かよ。オーケー好きに撮影していいぜ」
 かくしてアメリカ陸海空軍にディープに密着した撮影が実現、ただしいかにも素人臭い、シマリのない、映画としては全く面白くない作に仕上がってしまった。残念池部良。

e0178641_326372.jpg19 ヴェトナム戦争(93分・35mm・カラー・日本語ナレーション付)
1967(池部良プロ)(監)池部良、蜷川親博(撮)高野潤、田島卓和、高瀬進、工藤正博(音)團伊久磨
池部良プロダクション第1回作品。本作が監督デビューとなる池部以下撮影隊は、65年末から約2ヶ月間、戦時下のヴェトナムに滞在し、米軍の協力を得て各軍事拠点での撮影を実現した。最新兵器を駆使した作戦行動への軍事ドキュメンタリー的関心の一方、米軍と現地住民の生活との乖離も随所で捉えられる。


 アメリカ軍全面協力のもと、出てくる白人兵は七三分け、黒人兵は短髪、と超清潔、無精ひげも入れ墨もなし。ぼくたちがアメリカンニューシネマなどで見てきたような、泥まみれ血まみれの姿はない。終盤やっと血を流して負傷する兵も何人か出てくるけれども。
 いかにも池部らしい、といっては失礼か、いわば戦争のショールームのような退屈な映画になってしまった。これではいかんと思ったのか、これまた終盤に慌てて、ヴェトコン兵の死体を何体かインサートするも、なんだかエクスキューズめいている。アメリカ軍全面協力だから、アメリカ兵の死体は遠慮してる感満載か。
 そもそもプロのドキュメンタリストでも、なかなか決定的瞬間は、撮れない。だからやらせが絶えないわけで。それがドキュメンタリーの宿命でもある。ましてや素人の池部においてや。
 そして、その代わり、戦争と隣り合わせた平穏な日常描写が多用されて描かれる。池部の資質としてはむしろこちらの方が本線かと思われるが、戦争をテーマにしてのこの描写が、退屈に感じられるのは、不徳の致すところか(笑)。
 むしろ第三の共同監督として岡本太郎を帯同させた方がよくはなかったか(笑)。戦闘シーンは岡本太郎担当、日常シーンは池部、というのを夢想しますな。これが本当の、いーとこ撮り(笑)。

 元陸軍中尉として、あるいは元映画監督志望者として、いったいどういうつもりで本作を撮ったのか、かなり読めない結果になった。もちろん俳優としても、のほほんエッセイの書き手としても、大変敬愛しているのですが。

e0178641_3285138.jpg なお、最近つくづく思うのは、このヴェトナム戦争にしても、今現在の南北朝鮮にしても、しょせん内戦じゃないですか。同民族同士が争うなら勝手に争ってもらって、他国は生暖かく見守っていればいいじゃないですか。
 他国、特に大手戦争屋というべき米露中がナンで介入するんですか。むしろそれが大不幸の元でしょ。
 内戦したい小国には、むしろしょぼしょぼ内戦させてやりゃ―いいんですよ。そこになぜ大国が介入するかなー。利権でしょ。石原伸晃いうところの「所詮金目」でしょ。なんだかなあ。

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by mukashinoeiga | 2018-03-07 03:28 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

中川信夫「深夜の告白」小沢栄山根寿子池部良月丘千秋三宅邦子東野英治郎河津清三郎千田是也青山杉作

俳優陣素晴らしく端正でさわやかな中川演出もさえる快作。
 渋谷にて「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のもっとディープな世界」特集。49年、新東宝、配給東宝。
 小沢栄太郎の老け作りの老人が素晴らしく、そのアパートの隣人の、老け作りなんだか若作りなんだかよくワカラナイ(笑)東野英治郎もグッド(笑)。
 戦前から松竹で活躍した、小沢の娘・三宅邦子も、小沢の息子の嫁・山根寿子も、おそらくキャリア最高の美貌と演技。おふたりとも娘時代は地味だったが、この年代こそ彼女らの華だったのだろう。それを中川演出が効果的にクローズアップ。
 この名演合戦に影響されたのか中川演出の故か、日ごろ演技パターンが限られている、つっころばしの池部の良ちゃんが、驚くほど多彩な顔芸ともいうべき演技の引き出し全開で攻め立てる(笑)。池部良もおそらく男の美貌全盛期、そこでこの多彩な演技は、目を見張る(笑)。
 山根寿子の愛人・河津清三郎は、ただただ突っ立っているだけで、究極の名演。素晴らしい。

e0178641_21583243.jpg『深夜の告白(デジタル)(78分)』公開:1949年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:中川信夫
出演:小沢栄、山根寿子、池部良、月丘千秋、三宅邦子、東野英治郎、河津清三郎、千田是也、青山杉作、東山千栄子、村瀬幸子
戦争中に謎の失踪を遂げ既に死んだものと思われていた航空機会社の社長早川が実は生きていた事が波紋を呼び家族らの間に動揺が広がる。早川の失踪の本当の理由は何だったのか? 新東宝を代表する名匠中川信夫監督の作品ながら永らく観ることが出来なかった作品を今回遂に発掘。苦悩を抱えた早川役の小沢栄の抑えた演技が光る。 (解説:下村健)

 いっぽう三宅の夫・千田是也は今回も演技のしどころのない役なのでいささかかわいそうなのだが、ぼくは名演技と思ったことはあんまりない。ほんとに名優なの(笑)。
 その父(三宅の義父)青山杉作は、フツーに演じていても、タヌキな元外交官なんだけどねー。
 ぴょんぴょんぴょん月丘千秋と、ぴょんぴょんぴょん池部良には、にこにこ。

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by mukashinoeiga | 2017-10-29 22:00 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

本多猪四郎「妖星ゴラス」円谷英二特撮

 阿佐ヶ谷にて。「風のように 映画俳優・池部良」特集。62年、東宝。
 こちらは、迷うことなき初見作。ああ、うれしい(笑)。
 冒頭、月明かりの湖畔沿い。トンネルから出てきた車が、急停止。
 乗っていたのが白川由美&水野久美。
久美「ね、ここで、泳いでみない?」と、脱ぎだす。
由美「えー、水着なんか持ってないわ」
「大丈夫よ、誰も見てないもの」
「それもそうね」
 東宝が誇る美形ふたりが、すっぽんぽんで、月明かりの湖畔で(笑)。
 期待が高まるなか(笑)、いきなりドカーンと、衝撃音。
由美「あ、お父さんの宇宙船。とうとう発射ね」
 と、真夜中の水泳は、置き去りに(笑)。
 脱ぎ終わって、泳いでから、発射しろよ、と(笑)。
 天空には月、湖水に裸の美女ふたり、そこへ宇宙船の軌跡。絵になるじゃあ、あーりませんか(笑)。

e0178641_19427.jpg妖星ゴラス 1962年(S37)/東宝/カラー/88分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:本多猪四郎/特技監督:円谷英二/原作:丘美丈二郎/脚本:木村武/撮影:小泉一/美術:北猛夫、安倍輝明/音楽:石井歓■出演:上原謙、志村喬、白川由美、水野久美、平田昭彦
近未来の世界で、地球の約六千倍の引力を持つ妖星・ゴラスが地球に接近。激突まであと二年。人類の危機を救うべく、いざ立ち向かう──。池部良は宇宙物理学会の博士役。壮大なミニチュアセットによる特撮シーンが圧巻のスペクタクルSFムービー。

 その白川由美の父・田崎潤艇長の宇宙船が、地球に近づきつつある巨大彗星を発見、全地球を挙げて、その衝突防止に取り組む。その、日本代表科学者が、上原謙&池部良の師弟コンビ。
 この、新旧の美男子コンビの、クールさというか、抜群の安定感の見事さよ。
 一コ前で感想駄文済みの久松静児「裸の町」では、優柔不断のダメンズを演じて、ま、それもそこそこ魅せる池部だが、上原共々の、何事にも動じないクールさは、池部ならではの良さ。

 さて、ここで、巨大彗星回避の二面作戦は、彗星爆破と、なんと驚きの禁じ手(笑)「南極大陸に原子力ジェットパイプを並べ66億メガトンの推力機関が計画され」地球の軌道を変えて、の対応。
 地球温暖化も、地球環境激変も、何のそのの、暴挙(笑)。の割には、環境激化の描写は、水没した東京とか、庭に南洋植物程度の、お粗末。現代なら、さまざまな環境破壊だの、環境激変の描写の数々になると思うが、そこまで意識がいっていないころの作品とあって、軽くスルーされているところが、時代か。
 巨大彗星回避の二面作戦のうち、彗星爆破は、軽く触れられるのみで、地球自体が逃げちゃう作戦(これを池部らが推進)がメインになるところが、いかにも専守防衛優先の日本らしい発想。

 これが、アメリカ映画なら、マイケル・ベイ「アルマゲドン」。とにかく彗星爆破のみを王道として推進。あの映画と比較しちゃうと、日本的発想の専守防衛策が、弱々しく感じてしまうのは、やむをえない。

 余談1 非怪獣系特撮映画として、いやあこういう怪獣抜きの円谷特撮も楽しいなあ、と思っていたら、やはりこらえきれなくなったらしく(笑)巨大トドめいた怪獣が、おざなりで登場。やはり、お子様観客には、怪獣は必須と見たか。
 南極への原子力過剰投入ゆえに、巨大化、って言う理屈か。といいつつ、本題ではないので、池部らが軽く怪獣処理。
 円谷ならではの、大人の特撮が、もっと見たかった。

 余談2 しかし「一九八〇年。富士山麓宇宙港から、園田艇長の第一回土星探検宇宙船隼号が離陸した」という時代設定には、ちょっとぴっくり。いかにも上登り、行け行けどんどんの60年代映画らしい。ここらへん、ちょっと韓国っぽい(笑)妄想設定。
 そのため、日本宇宙隊?に、東宝若手男優総動員。この陽性の(夏木陽介もいるし)、若さパワー炸裂の盛り上がりが、楽しい。ここらへんがいかにも東宝のよさ。

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by mukashinoeiga | 2015-07-09 01:10 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

久松静児「裸の町」池部良淡島千景森繁久彌杉村春子志村喬浪花千栄子淡路恵子山茶花究左卜全

 阿佐ヶ谷にて。「風のように 映画俳優・池部良」特集。57年、東宝。
 本特集の数少ない未見作と、わざわざ阿佐ヶ谷へ。でも、既視感ありあり(笑)。しかし、それでも新作同様に楽しめる、ぼくのボンクラ脳。って、何度同じハメに(笑)。
 そもそもこんなことをしない防止策として、このブログを書いているのに、まったく役に立たない(笑)。

 お人好しで、ボンクラ、すぐ人にだまされてしまう危機管理能力のなさ、ザ・日本人な、池部良は、そういう役。まるでぼくみたいだが、ぼくみたいな半端モノではなく、池部の役は、徹頭徹尾の男の柳腰
 あんな男はダメだ、という親の反対を押し切って、駆け落ち結婚の淡島千景、結婚してみれば、親の言うとおりのダメンズ。
 後悔先に立たず。さっさと別れたい、とは思うものの、土砂降りの雨のなかに濡れっぱなしの子犬のような風情の池部に、なかなか決断も出来ず。

 このふたりを徹底的にむしゃぶりつくす大高利貸しに志村喬、中高利貸しにモリシゲ、小高利貸しに田中春男などなど。
 騙されつくす者たちと、だまし尽くす者たち。
 この構図はいつの時代にもあり、現代でも、息を吐くように嘘をつくだまし討ちの名人・韓国と、何度だまされても、まだまだ騙されるお人よしのボンクラ・日本の、対立など、まさにそのとおりの展開。

e0178641_1130234.jpg裸の町 1957年(S32)/東京映画/白黒/113分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:久松静児/原作:真船豊/脚本:八住利雄/撮影:玉井正夫/美術:小島基司/音楽:池野成
■出演:淡島千景、森繁久彌、杉村春子、志村喬、浪花千栄子、淡路恵子、山茶花究、左卜全
お人好しのレコード店の主人(池部)が狡猾な高利貸(森繁)に騙されてしまう。だが、その高利貸もまた…。お金をめぐる庶民の狂騒を赤裸々に描いた作品で、池部良は浮世離れした優男を演じる。夫に翻弄される妻たちのドラマも興を添える一篇。

 なぜ、志村やモリシゲや韓国は、人を騙すか。真っ当に物を作って、ささやかに日銭を稼ぐより、金や物件のやり取り(それは、地道な生産活動のまどろっこしさが、まったくない)でボロイ金儲けが出来るとわかっており、それが体質に合うからである。
 こういうナチュラルボーン詐欺師にかかっては、池部や日本は、まるで、歯がたたない。

 この池部の、あまりのボンクラ、お人よしぶりにドンビキして、とうとう別れ話の淡島。しかし55年、豊田四郎「夫婦善哉」も、こちらはダメンズがモリシゲ、その腐れ縁を淡島はなかなか断ち切れない、それと同様なことが本作でも再演される。

 おなじことは、モリシゲと、その妻・杉村春子のあいだにも、言える。杉村も、兄・織田政雄のアドヴァイスに従ったあまり、全財産を失う。日本映画最強(つまりは、最弱な)ダメンズ・織田政雄の、言うことなど、聞くべきではなかった(笑)。

 ほかの役者が池部の役を演じたら、あまりのボンクラぶりに、スクリーンに向かって、モノを投げつけるような不快感があったかもしれないが、池部のさわやかさと天然ぶりで、かろうじて成立している。
 モリシゲも、いけ好かない小悪党をコミカルに演じているが、中途半端。これが久松ではなく、モリシゲと相性がいい?トヨシロだったら、あるいは、傑作または怪作になっていたかもしれない。
 まじめな久松にしては、これが精一杯、というところか。

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by mukashinoeiga | 2015-07-07 11:30 | 面白メロドラ日記 久松静児 | Trackback | Comments(0)

筧正典「重役の椅子」

 阿佐ヶ谷にて。「風のように 映画俳優・池部良」特集。58年、東宝。
 本特集の数少ない未見作と、わざわざ阿佐ヶ谷へ。でも、既視感ありあり(笑)。しかし、それでも新作同様に楽しめる、ぼくのボンクラ脳。

e0178641_2351177.png重役の椅子 1958年(S33)/東宝/白黒/104分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:筧正典/原作:源氏鶏太/脚本:猪俣勝人/撮影:鈴木斌/美術:阿久根巖/音楽:宅孝二
■出演:団令子、水野久美、淡路恵子、河津清三郎、佐原健二、柳永二郎、杉葉子、藤間紫
商社の総務部長が急死。部長の愛人と偶然知り合った次長の船田(池部)は、ふとした出来心で若い娘と浮気をしてしまい…。出世の駆け引き、色恋沙汰を巧みな演出で描いたサラリーマン映画の佳篇。愛人を演じた女優らも個性ある魅力を放つ。

 のほほんお気楽サラリーマンものが多い東宝/源氏鶏太原作としても、苦みばしった池部良が主演となると、クールな映画になるのが、面白い。
 映画自体は静かな佳作であり、池部良の落ち着きと渋みも、素晴らしい。
 池部の倦怠期気味の妻に、杉葉子。って、思い切り今井正「青い山脈」の青春コンビの使いまわしで、ちとザンコクな(笑)。
 杉が夫を求めると、池部が顔を背け、池部が妻を求めると、杉が顔をそむける。この大人びた描写が、また、面白い(笑)。
 杉葉子は「青い山脈」でいきなり頂点になったあと、その若さのない声、華やかさのない顔の故が、いきなり脇役の独りに、なってしまう。これは同じ「青い山脈」組、若山セツコも同様で。
 つくづく惜しいとおもう。
 新人とクレジットされる水野久美も、本作でこそ清楚なお嬢さんだが、そのぽってりとしたくちびるゆえか、すぐに清純派としては、路線変更せざるをえなくなる。
 その清楚・水野久美と対立的に描写される、奔放・団令子も、デヴュー時には、一応清純派だった。
 その姉貴格・淡路恵子は、黒沢明「野良犬」で16歳でデヴューした頃から、すでに大人びたダンサーの役だった。
 藤間紫は、デヴュー時から、若いのに、一貫した、やり手のおめかけさん、芸者専門女優。
 池部の部下のBG(小才サラリーマン・伊藤久哉の彼女)白石奈緒美の、コヅるい顔を含めて、「重役の椅子」という名の映画は、「東宝清純派ヒロインの椅子」に座れなかった女優たちが、ひしめいている結果に、とは、言いすぎですね、はい。
e0178641_2350221.png


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by mukashinoeiga | 2015-07-04 23:52 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

豊田四郎「風ふたゝび(ふたたび)」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第75弾 原節子」特集。52年、東宝。
 半年でバツイチになったヒロイン、ハラセツをめぐる、池部良と山村聰の、典型的メロドラマ。
 まだまだ若いハラセツの、キャピキャピした部分と、女の色香が楽しめる、一粒で二度おいしい時期だ。男前・池部良も絶品で。
 二年後の成瀬「山の音」で義父となる山村も、ハラセツを後妻に、ともくろむ。
 しかし、昔のメロドラマ系映画で、よくあるパターンだが、死んで七回忌の亡妻に、瓜二つなので、恋に落ち、後妻にと、求婚、というのは、なんとも気持ち悪いな
 いい年こいて、若い娘に惚れるエクスキューズという側面があろうし、金持ちの中年男が何の根拠もなしに若い娘に惚れるのは、ちょっと、はばかれる、というフンイキを打破する?狙いなのか。
 たぶん、ヒヒオヤジの下心では、ありませんよ、と強調したいのだろうが、余計気持ち悪い悪設定のような気もする。
 亡妻への執着であって、眼前に現れた若い女性に対する崇拝とは、まったく違うような気がする設定だ。
 いずれにせよ52年の映画で、七回忌の亡妻という設定は、戦前への回帰と言う裏目読みも、出来よう。って、ン十年ぶりに、思わず使っちゃいましたぜ(笑)裏目読み(笑)。かつて愛読した「映画芸術」小川徹の、必殺定番ターム。ああ、恥ずかしい(笑)。

風ふたゝび 1952年(S27)/東宝/白黒/88分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:豊田四郎/原作:永井龍男/脚本:植草圭之助/撮影:会田吉男/美術:河東安英/音楽:清瀬保二
■出演:池部良、山村聰、浜田百合子、三津田健、杉村春子、菅原通済、龍岡晋、南美江、御橋公
離婚したばかりの令嬢に研究者の卵と実業家が好意を寄せるが──。原節子の実兄、会田吉男が撮影を担当し、妹を美しくとらえた画で話題を呼んだ作品。純粋なメロドラマのヒロインを情感たっぷりに演じる。○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

 なお、映画はいたって普通の、定番的メロドラマ。
 美男美女の池部ハラセツが、なかなか相思相愛の情を、打ち解けて打ち明けられないもどかしさ。
 そのもどかしさのモトとなるのが、金持ち山村聰のハラセツへの執着であり、地位も金もない若い池部が逡巡する、メロドラマたる淡いの、せつない心情なワケで。
 ただし、そうはいっても、山村聰のハラセツの想いが、セクハラに、なっては、いけない。山村聰も、立派に、最終的には、池部に、ハラセツを、譲らねばならない。
 池部のハラセツへの思いは、ハラセツ本人に由来している(注)が、山村のハラセツへの思いは、亡妻に由来している。ここに勝ち負けの根拠は、はっきりしているのだ、という、当時のメロドラマ作法の時代的エートスにおける流行?が、「亡妻に似ているから、惚れた」という、ちょっと首肯しかねる、ワル設定の根拠かと、思われる。

(注)とはいえ、今は野菜市場に勤めている池部が、兵隊にとられる前は、三津田健教授のモト、化学を研究していた学徒であり、その恩師の娘であるハラセツに惚れるのは、やはり、若いころの、戦前回帰的心情の表れとも捉えることもでき、それは池部の「あなたへの想いが、ぼくの研究熱にふたたび火をつけた」という手紙にも、現れていよう。
 タイトルの「風ふたゝび」の風とは、そういう池部の戦前の研究家魂への回帰であり、ハラセツのバツイチ前の、娘としての情熱の回帰であり、と、すれば、山村の亡妻への志向と、池部の兵隊前の状態への復帰は、つまるところ、それは、ハラセツへの純粋な想いとは、いささかは、違うのではないか、と、「邪推」いたしますね。
 でも、まあ、こういう小川徹的裏目読みは、本当に「不潔だわ」(ハラセツの口調で)。

 上記ラピュタの解説にある<原節子の実兄、会田吉男が撮影を担当し、妹を美しくとらえた画>には、若干の異議を唱えたい。
 もちろんハラセツの美貌を多々捕らえたショットも、本作には数多く存在は、する。この時期のハラセツを撮って、それは普通である。
 その上で、本作では、これまで、あまり見たことのない「異貌」が、数多く散見されたように思う。
 ええっ、ハラセツって、こんな顔していたっけ、と、見たことのない表情が多々。
 普通のキャメラマンだったら、「原さん、ちょっと表情が、硬いな、もっと、やわらかく」と、NGにするようなハラセツのマスクを、次々に、撮っている、そういう印象。
 実兄としての特権というものが、もし、あるなら、「俺は、本当のハラセツの美貌を撮ってやるぜ」という思いもあったはずだろう。ハラセツも、兄には、それを許した、と思いたい。
 なお、ハラセツだけでなく、池部良の男としての美貌も撮えている。グッド。

 実業家・山村總の悪友に、菅原通済、御橋公、十朱久雄、なんだが、プロの役者の御橋、十朱に決して引けをとらない菅原通済(もちろん役名は菅原)の、融通無碍な演技力に、改めて舌を巻く。
 ワル目立ちしていないぶん、小津映画の菅原より、うまいと思う。もちろん好アシストの、杉村春子も、グッド。

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by mukashinoeiga | 2015-01-12 02:22 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

千葉泰樹「山のかなたに 總集版」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。50年、新東宝=藤本プロ。
 地方に赴任した青年教師と、生徒と、そのPTA(当然若い美人もあり)をめぐるエトセトラ。
 藤本プロ最大ヒット作今井正「青い山脈」スクールの一本。
 普通なら今井正続投の流れだが、感想駄文済みの千葉泰樹「若い娘たち」も含め、なぜ千葉の代打なのか。
 共産党・今井正は、こんな腑抜けた、問題意識の希薄な、他愛のない、青春コメディなんて、一作だけでごかんべんと言うところか。そこで使い勝手のいい千葉ちゃんの出番と。
 のちの共産党は、この「青い山脈」石坂洋次郎スクールに影響を受けたのかどうか、ハード革命路線のテロル肯定から、歌って踊って恋をして、共産党に入りましょう運動に、舵を切るわけだが。

山のかなたに 第一部 林檎の頬 第二部 魚の接吻 總集版 <フィルムセンターHPより>
(119分・16mm・白黒)
1949年、藤本眞澄プロダクション=東宝合作の『青い山脈』前後篇が作られ、大ヒットする。本作はその姉妹篇として、同様に二部作の構成で製作公開された。『青い山脈』で原節子が演じた教師役の名前をとり、島崎雪子が映画デビューしている。現存プリントは後年の再公開時の総集版。
1950(新東宝=藤本プロ)(監)千葉泰樹(原)石坂洋次郎(脚)井手俊郎(撮)鈴木博(美)中古智(音)服部良一、原六朗(出)池部良、堀雄二、若山セツコ、角梨枝子、相馬千惠子、河村黎吉、田中春男、入村直一、千秋實、藤原釜足、飯田蝶子、清川玉枝、髙山スズ子、澤村貞子、瀧花久子、島崎雪子

 さすがに池部良は学生役では「持たない」ので、若い教師。若山セッちゃんは、生徒役でオーケーだし、かわいいし。
 池部の同僚教師に、田中春男、江見渉、千秋実(陰険版)って、こんな教師に学びたくないなあ(笑)。
 その田中春男が角梨枝子が落としていったアクセサリー?の香りを思いっきりクンクンかいでいるところに、後ろから誰かがちかづくとこで、ショットはぶつ切り、当然田中の変質行為に誰かがつっこむ段取りをカット。ほかにもセリフの途中をぶつ切り、など、あまりに粗雑な再編集版。
 「愛染かつら」をはじめとして、昔の日本映画は、シリーズものがヒットすると、再編集した「総集編」などで、一粒で二度おいしいを、狙いがち。ただ、原版は原版として残すことなく、その原版にハサミを入れた短縮版を再編集する過程で、原版断片をどんどんゴミ箱に。
 総集編のみ残り、オリジナル版は消失。かろうじて両方残っているのは「青い山脈」のみか。二次利用を急いて、安く上げようとして、三次四次利用の機会を永遠に逃した。つくづく残念。
 似た話で、ヒットした作品ほど、擦り切れるまでフィルムをこき使い、ヒットしなかったプリントのほうがかえって残っている、という話もある。閑話休題。

 感想駄文済みの千葉泰樹「妻と女記者 ―若い愛の危機―」同様、角梨枝子のみ、ほかの役者のせりふのテンポから遅れるので、ちょいとイラつく。やはりひとには、その役者の最適時期というのがあって、青春が似合う人、似合わない人というのが、あるのか。いわゆる中年増になってこそ輝くのが、角梨枝子か。
 逆に若い娘時代のみ輝いたのが、若山セツコ。いや、個人的には、このひとの中年増も、見てみたかったなあ。割りと、いや、かなりよかったと思いますが。
 島崎雪子は、中盤に唐突に出てきて(いかにも途中で差し込んだ感もあり)、角梨枝子洋装教室の生徒リーダー格。神社の石段を利用した段差を演壇(というのが、いかにも戦後民主主義的石坂洋次郎)として、角梨枝子先生の危機を救うべく、アジりにアジるが、いざとなると、通りかかった堀雄二を、みこしと担ぐ。
 若山セツコ、島崎雪子ら女性とグループが、頑固オヤジの大家・河村黎吉(角梨枝子に立ち退きを迫っている)と交渉するのに、男を神輿に担ぐ。この辺が、今見ていると、ナンダカ気持ちワルイ。
 女権拡張?と、まだまだ男に頼る心情が、気持ち悪いまま融合して、時代といえば時代なんだろうが。
 その堀雄二は、元祖?伊豆肇に比べれば、凡庸。見ていて、面白くない。案の定、のちの千葉泰樹「サラリーマン 目白三平」正・続 (感想駄文済み)では、笠智衆のさえない同僚を、さえなく演じる羽目に。
 女権軍団に押しかけられる河村黎吉は、その「量」にたじたじで、いつものレイキチ節は、不発。意外とだらしないな、レイキチ(笑)。一対一の説教でこそ雄弁なレイキチも、団体交渉は苦手か。
 もっとも、完負けしたあとの、角梨枝子への対応はお見事。
 いわゆる洋次郎流戦後民主主義とは、逆の位置にあると思われる、井上大介ら年少組と、中山豊ら年長組との乱闘という、描写が長くて、ちょっと違和感。
◎追記◎かの昔、浅草東宝オールナイトで、「青い山脈」がかかった折、ラストに「前篇 終」と出て、話は尻切れトンボ。やや呆然としつつ、ロビーに出たら、なにやら気難しそうな客が、スタッフに抗議していた。全部見せろ、ってか。無茶な。
 東宝に関しては、「青い山脈」に限り、「総集編」それの元になった「前篇」「後篇」と、3ヴァージョンあり、テキトーな浅草東宝が、テキトーな東宝フィルム管理部に、テキトーに総集編を頼んだら、なぜか前篇のみが来たというところ。それとも「なんでも取って置く東宝」には、実はほかの映画も「総集編」「前篇」「後篇」と、あるのだろうか(笑)。まあ無駄と知りつつ、聞いてみたいところだ。
◎追記◎いつも役名と芸名が同じの子役井上大助、そして彼と千葉泰樹「若い娘たち」でもカップリングされていた高山スズ子が、本作でも、こまっしゃくれた魅力を炸裂。高山スズ子も役名は「若い娘たち」と同じなので、子役に関しては、そういう配慮もあったのか(笑)。

 
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 今回は、1960年リメイク版しか、紹介されていない。
 なお★『稀有な映画俳優・伊豆肇と池部良』の時代★という面白そうなブログを見つけた。右柱のコンテンツのすべてを見たくなるほどだ。
 ただ、このひと、所蔵する映画スチール写真などを掲載、禁無断転載と強調するが、単にスチールを所有しているだけで、使用権はないはず。東宝などから使用権をクリアしている、とはとても思えず、そもそもこの管理者が各写真をネットに上げること自体が、厳密には、法に触れているのではないか。
 だが、まあ、面白いブログだ。

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by mukashinoeiga | 2014-12-28 18:17 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(4)

千葉泰樹「妻と女記者 ―若い愛の危機―」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。50年、新東宝=藤本プロ。
 登場人物たちの思惑が、いくつもすれ違う。オフビートともいえるコミカルさも頻出する、ホームドラマ佳作。
 コメディ寄りシリアス・メロドラマは、やはり、千葉ちゃんの真骨頂だ。ここら辺は同僚・成瀬と重なるが、成瀬と比べると、やや深みが欠ける恨みあり。軽量級成瀬。
 しかし楽しい。

妻と女記者 ―若い愛の危機―(91分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
復員して以来、妻や両親とそりが合わない男(伊豆)が、亡くなった戦友の妹(角)を自宅の二階に下宿させたことから、家族のすれ違いがますます拡大していく…。『妻と女秘書』(1936、クラレンス・ブラウン監督)を下敷きにした物語で、千葉と名プロデューサー・藤本眞澄が組んだ最初の作品。藤本プロの専属女優第1号・角梨枝子の映画デビュー作でもある。
1950(新東宝=藤本プロ)(監)千葉泰樹(脚)久坂榮二郎(撮)小原讓治(美)松山崇(音)早坂文雄(出)山根壽子、伊豆肇、角梨枝子、池部良、若山セツコ、菅井一郎、滝花久子、よねくらいずみ、田中春男、江川宇礼雄、冬木京三、杉寛、小島洋々

 角梨枝子の映画デビューであるだけに、この「日本人離れした」美貌を最大にフィーチャー。あの角度この角度からのさまざまなアップ。まさに角梨枝子PVの、趣き。
 たいへん、きれいだし、うまい。ただ、彼女のみ、セリフのテンポが、ゆっくり。ほかの俳優たちのテンポと違い、やや違和感。しかし、デヴュー作での、このカンロクは、立派。

 池部良は角に恋するのだが、伊豆に比べて分が悪い。フラレ役な脇役扱い。だが、この生き生きとした「青年役」の、池部、たいへん新鮮。当時のアイドル的役回り。素晴らしい。
 そしてこのふたりの、雑誌社同僚・若山セツコの愛らしさ。ナチュラルボーンのいもうとキャラ。
 そしてなぜか(笑)母親役専門・滝花久子が、本作に限って、本当になぜ(笑)妙に色っぽいのがふしぎ。

 復員後、妙にイラついて、妻子や両親につらく当たる、伊豆肇。妻・山根寿子も、両親(菅井一郎、滝花)も困惑するばかり。ヴェトナムや中東戦争後、復員したアメリカ兵が、その精神的後遺症に悩まされるのと、同じ構図と、今なら理解されよう。

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by mukashinoeiga | 2014-12-17 06:17 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(0)

青柳信雄「花嫁会議」

 神保町にて。「ひばり・チエミ・いづみ 春爛漫!おてんば娘祭り」特集。56年、東宝。
 花嫁は、ダレも会議なんかしない。
 そもそも、ラストにばたばた、結婚が決まるので、未来の花嫁は多数いるのだが、現役?花嫁は、一人も、いないのだ(笑)。題名偽りありすぎ。
 それでも、本当にお気楽なラヴコメ、というよりホームコメディが楽しめる。4/20(金)までの上映。
 以下、ネタバレがあります。

e0178641_2023416.jpg 本作のいちばんの見所は、池部良の二枚目半。千秋実・司葉子の父娘の家に、押しかけ居候の池部、傍若無人の髭面ムサい男、池部のこういう役柄は珍しいが、とうとう床屋で蓬髪・無精ヒゲを剃るハメに。
「どんな風に?」という三木のり平理容師に、ヒゲ面の池部、「バサッとやってくれ。ああいう風に」と眼をやる先には、東宝スタア・池部のカレンダー写真が、という楽屋落ち。
 ははあ、これ小津安二郎「淑女と髭」まんまやないか。案の定、髭をそったら、出てきた顔は二枚目、司葉子もびっくり。
 と言うとこで、床屋ののり平の新妻が、岡田茉莉子、って組み合わせが無茶すぎだが、考えてみれば岡田茉莉子は「淑女と髭」の髭男・岡田時彦の娘ではないか! 岡田茉莉子がのり平の指導の下、池部の髪と髭を切る役。モロ、小津オマージュやないかぁ。
 でも、その岡田が、和服なのはともかく、丸髷の日本髪というのが、時代を考えると珍。この時代でも、丸髷していたのか、東京で。
 最後に、家族の集合写真を撮る。これも、小津オマージュか。
 その写真を撮る写真屋・太刀川洋一が、「上原君、真ん中のおじさん(柳家金語楼)のアタマ、光ってるから、どうにかして」。助手の「上原君」、金語楼の頭を拭き拭き。つまり、若造太刀川の助手役に、上原謙が、台詞なしのワンシーンのカメオ出演。なんか、すごい贅沢だが、よくよく考えてみれば小津安二郎「淑女は何を忘れたか」で、上原謙は「大船の上原」という役名で、台詞なしのワンシーン出演をしている。

 ラストには、兄・金語楼が浪花千栄子と結婚を約す。浪花千栄子は、別の映画でも言っていたが、「これでも、処女でおます」という、卑怯な笑いも。弟・千秋実は、お手伝いさんの相馬千恵子(千葉泰樹「花咲く家族」など)と結婚へ。千秋の娘・司葉子は小泉博と。金語楼・千秋の妹・久慈あさみは、池部と。
 金語楼の娘・雪村いづみ、その家の居候・越路吹雪の、ダブル雪は、ともに歌手。物語とは、一切関係なく歌を歌う、ヴァラエティー。越路が歌う、アジャパー、タイヤキなるいろいろ奇妙なワードを組み込んだ歌が、おしゃれ。気楽に楽しめる娯楽編。 

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by mukashinoeiga | 2012-04-20 00:07 | 小津安二郎映画の正体小津漬の味 | Trackback | Comments(0)

千葉泰樹「若い娘たち」

 神保町にて。「一年遅れの生誕100年 映画監督千葉泰樹」特集。51年、東宝。
 昨日は、千葉泰樹三昧?いたしました。
 神保町にて千葉泰樹「若い娘たち」51年、東宝。
 京橋に廻って千葉泰樹「空想部落」39年、南旺映画。
 神保町に舞い戻って千葉泰樹「アツカマ氏とオヤカマ氏」55年、新東宝。
んーん、忙しい(?)。
 で、本作「若い娘たち」。初見かと思っていそいそ行ったら、再見作で。
 がっかり・・・・では・・・・ありませんでした。
 つまり、本作は、実は、実に、二回見て正解の映画なのでして。後出しじゃんけん式に考えますとね。
 というのも、実は原作・石坂洋次郎の、二度目の映画化のほうが、一度目の映画化である本作より有名で、ぼくもそっちを先に見ていました。何回も。
 岡本喜八「若い娘たち」58年、東宝。
 当時の新人・岡本喜八が、若者たちに早口コトバ連発させ、演出も編集もリズミカルですばやいカッティング、まさに清新かつ斬新な躍動感あふれる映画で、それは今見ても、すばらしい。旧来の日本映画の、鈍で間延びした演出にNOを突きつけ、まさにアグレッシブ。
 その印象強烈かつ清新な喜八版を見たあと、本作ヤスキ版を見ると、いかにももっさり、喜八が否定した旧来の日本映画の鈍重さ、重苦しさ、凡庸さを具現化しているようで、ああ、喜八版はあんなに面白かったのに、何、このテンポのなさは。ゆったりした台詞回し、もっさりとした展開は、なんなんだ、と、なってしまう。
 ぼくも、本作を最初にフィルムセンターで見たときは、そうでした。
 だからヤスキ版「若い娘たち」は印象・記憶に残らず、今回<初見作だと思って>神保町にいそいそやって来たのでした。
 ところが、再見のヤスキ版「若い娘たち」。
 一回目の鑑賞で免疫?が出来たのか、もはや<喜八の呪縛>から逃れ、ほんらいの<ヤスキ節>を、楽しめる。鈍重・もっさりと見えた部分が、味わい深さすら感じられるほど。
 ヤスキ版もキハチ版も、ストーリーは、同じ。
 大学の近くに、母と五人姉妹の家。上の姉三人は、それぞれ、しろうと下宿の二階に泊めた下宿生と結婚、四女(杉葉子)は、「下宿した大学生と、下宿の娘の恋なんて、いかにも通俗的だわ」と、否定的。
 そこに池部良の大学生が新たに下宿。最初はお互いに牽制しつつ・…という、お定まりのラヴコメ。まあ、結末は、二人が出会った瞬間にわかるというルーティンだが、ラヴコメはそれが楽しいので。
 口げんか、のち相思相愛、でも、まだ、お互い反発しあう、という王道ラヴコメね。
 そして、石坂洋次郎モノの常として、そこには戦後民主主義と男女同権の健全な恋愛が称揚されることになるだろう。杉葉子は、まるで喜八タッチに抗うがごとく(もちろんそんなことは本末転倒で)ゆっくり、落ち着いた、はきはきした口調で、堂々と自己主張。
 その落ち着いた、はきはき口調が、いいんだよね。いかにも石坂洋次郎的だ。この<ヤスキ節>が好印象となると、今度は、あの<喜八タッチ>の、早口言葉が、落ち着きを欠いて、いかにも非・石坂洋次郎的に思えてくる。いかにも<上滑りな民主主義>に思えてくるから、あら不思議。

 杉葉子は、池部良に言う。
「あたしが結婚したら、お母さん(村瀬幸子)は、あたしたち姉妹のうちのどこかが、引き取ることになると思うの。あたしは、姉さんたちの家より、あたしたちの家に引き取ることになると思うわ」
「なぜだい」
「姉さんたちの家は、なんとなく義兄さんたちに遠慮して、窮屈なフンイキなの。その点、あたしのうちは、だんなさんに遠慮した窮屈な家庭にはならないから、母さんもきっと住み心地がいいはずよ」
 堂々と、未来の夫・池部良への宣言。これを、いかにも、落ち着いた、はきはきした口調で、さりげなく言う杉葉子。要するに、尻に敷くわよ宣言だが、池部良も、まんざらではない。
 つまり、<ありうべき、明朗な、健全な戦後民主主義>の絶対的肯定という石坂洋次郎的意思を、杉葉子と池部良の「青い山脈」コンビが、体現して、すがすがしい。
 千葉泰樹演出のもと、時に大根とも言われてしまう池部良の演技、早い引退の杉葉子の演技、ともに素晴らしい。その演技の充実は今井正「青い山脈」を軽く越えているように思う。あるいは、池部良、杉葉子、ともに、そのキャリアにおけるベスト・パフォーマンスか。ふたりの、表情のいちいちが、楽しい。
 こうなると、喜八タッチのチャラさが、むしろ、ひきたってきちゃったりして。日本映画史のチャラ男か、喜八。
 千葉泰樹、その代表作のひとつといえよう。

蛇足1 池部良、杉葉子、若山セツ子、伊豆肇、藤原釜足など「青い山脈」メンバーがメイン。「青い山脈」スクールのひとつ。
蛇足2 杉葉子の中学生の妹が、村瀬幸子の母に、「東宝の「若い息子たち」がいいらしいのよ。池田良と、須賀葉子の。学校の先生もこの映画なら、見てもいいって」。そう、学校の先生も忌避しない、穏便なホームドラマ・かつ穏便な恋愛模様、それが逆に、今、京橋でも神保町でも、いまいち、千葉泰樹に、客が来ない理由だろうか。穏便は、今は、受けないのか。
蛇足3 佐田豊が、池部の同級生で、学生服姿って(笑)。

◎追加のおまけ◎下記お邪魔ビンラディンさんコメントにちなんで
オープニング - こんにちわ20才 (1964)吉永小百合



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by mukashinoeiga | 2011-10-03 23:36 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback | Comments(4)