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伏水修「東京の女性」原節子立松晃江波和子水上怜子

原節子絶対の魅力。映画も戦前モダン都市東京の魅力がたっぷり!
 京橋にて「特集・逝ける映画人を偲んで 2015-2016 原節子選集」。39年、東宝東京。
 まだ若く顔の左右の表情が違い、いろいろな顔が楽しめる。テキパキ歩くと、うすい服越しに軽く胸がゆさゆさ揺れるのは、戦前日本人女優としては珍しい。ハラセツだけか。
 戦前日本人女優としては珍しいのは、明確で明朗な強い意志を持ち、目的に向かって邁進する女性を、はつらつと、不自然でなく体現する、その強靭さか。ハラセツの強度よ、その美貌よ。
 戦前モダン都市東京を滑走する、時に挫折する、東京モダンガアル・ハラセツの魅力よ!

e0178641_19135458.jpg4東京の女性(82分・35mm・白黒) (フィルムセンターHPより)
1939(東宝東京)(出)原節子(君塚節子)(監)伏水修(原)丹羽文雄(脚)松崎與志人(撮)唐澤弘光(美)安倍輝明(音)服部良一(出)立松晃、江波和子、水上怜子、藤輪欣司、水町庸子、水上怜子、外松良一、鳥羽陽之助、深見泰三、如月寛多
丹羽文雄の同名小説を映画化。生活能力のない父に代わって一家を支えるため、節子(原)は自動車会社のタイピストから“セールスマン”へと転身し、次々と成功を収める。能動的で溌剌とし、男性社会を脅かしさえする女性を演じた原は、当時の映画評で「東宝入社以来おそらく最も生彩のある演技」と高く評価された。ニュープリントによる上映。

 借金まみれのクズな父に3000円で妾に売り飛ばされようというハラセツは、タイピストから、車のセールスマンに、チャレンジ。セクハラの嵐にもめげず我を通し、男勝りな性格と美貌で、トップセールスマンに。
 この強気の戦前キャリアウーマンに、当時19歳のハラセツ、貫禄的には二十代半ばな感じ。
 一方ハラセツの妹に、設定19歳の江波和子。こちらは男に甘えて、服や何やらプレゼントしてもらい、ドライブもおねだりする、天然な憎めない女の媚びを生かして、いわば楽して稼ぐタイプ。
 この江波和子が、爬虫類顔ながら、キュート。たえず体をふはふは動かして、自然の少女の愛くるしさ。
e0178641_19142435.jpg この江波和子が、のちに江波杏子の母となる。より爬虫類顔が強化された杏子がなぜ女優として一定の人気があったのか、ぼくには不明で。
 こういういい方は、いささか趣味が悪いが、女性として、和子はオーケーで、杏子は対象外。典型的に上から目線ですが(笑)。杏子、ハラセツ以上に、怖すぎ。和子は、堅気の娘さんを普通に演じられるが、杏子は堅気の娘さんは、絶対ムリ。そういう違い。
 この二人の相手役・立松晃は、東宝入社第1回の典型的美男子。絵に画いた二枚目だが、あまり活躍していないようなのは、やはりイケメンなだけじゃダメなのよの典型か。
 この彼がハラセツと外食、ご飯を口にほおばり、その直後の科白が、もごもご。飯食いドラマが頻繁な日本の役者は、ご飯を口に入れた直後もクリアなセリフ回しを要求される。そこがダメだったのか(笑)。

 モダン都市東京(ハラセツ両親の古い価値観を内包しつつ)の、モダンガアル原節子&江波和子姉妹のはつらつが快。よって下の英題は、複数形でよかったかも、と思う。

Woman in Tokyo (1939)


節子の唄 二葉あき子

蓄音機で聴く昭和の流行歌。昭和14年12月新譜。東宝映画「東京の女性」当選主題歌。

 ハラセツの役名は、君塚節子。ということはハラセツのテーマソングか。ところが、この曲、いたるところでBGMとして流れるが、歌唱曲そのものは、ハラセツと関係ない、立松晃と江波和子のドライヴシーンにのみ流れたというのは、単なる勘違いか。うーん。って、当選主題歌って、なに?

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by mukashinoeiga | 2017-11-24 19:14 | 旧作外国映画感想文 | Trackback(5) | Comments(6)

三隅研次「兇状流れドス」「新女賭博師 壷ぐれ肌」

 京橋にて。「映画監督 三隅研次」特集。70、71年、大映京都。
 この特集で、再見、再再見の三隅ばかり見てくると、作品自体はたいへん楽しいのだが、だんだんむなしくなる(笑)。
 まあ、それは三隅のせいではなくて、こちらの都合なのだが。
 で、初見の三隅2本。
 わくわくしながら、見たら、それなりに面白いものの、がっくし。70年代特有?のがっかり日本映画感が、漂う。
 主演者としては、まあまあ合格点だが、はっきり言おう。50、60年代の日本映画なら、絶対に主役を張れないような、せいぜい二番手、三番手のスタアが主役を張る残念感。オーラが、まるで違うのね。
 スタアのオーラのなさゆえか。
 60年代までは有効だった娯楽映画の作法のあれやこれやが、70年代では手垢にまみれてしまったということか。
 もちろんその、お作法は、ついには80年代では誰にも見向きもされもせず、ついには消滅してしまうのだが。

e0178641_222258.png41兇状流れドス(83分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1970(大映京都)(監)三隅研次(脚)直居欽哉(撮)武田千吉郎(美)上里忠男(音)小杉太一郎(出)松方弘樹、川津祐介、真木沙織、戸浦六宏、亀石征一郎、石山健二郎、川崎あかね、新條多久美、田中三津子、熱田洋子、伊達岳志、木村元、水上保広
流れ者(松方)が、乱暴な男たちから女(真木)を救ったことを契機に、ヤクザの勢力抗争にまきこまれる。雷蔵亡き後、東映から借りた主演俳優、松方弘樹の快活さを活かした作品。倒産前の厳しい財政事情の中、簡素なセット主体の構成や、霧を充満させたシーンなど工夫を凝らし、風俗も丁寧に描いている。


 まあ本人にもそれなりに美質もあり、親の代からなじみの東映で若手スタアの一角、松方。
 男女ともごく少数を除いて、スタア払底の大映が、特に70年代ともなると、主演を張れるスタアにも不足がち。
 つれてこられた松方を見て、大映スタッフは、
「こんなアンちゃんが、主演かい」と、鼻白らんだことだろう。
 確かに若くて、愛嬌があって、でも、こんなアンちゃんが、大勢のヤクザをバッタバッタと、ひとりでなぎ倒す主演が、勤まるのか、と。
 確かに軽量。
 そして大映リアリズムが、雷蔵なりカツシンにあったスタアオーラ(彼らなら敵をバッタバッタとなぎ倒すだけのオーラが、あった)を、感じないなら、松方は、大映カラーのなかで、浮いてしまうだろう。
 しかも、そういう、若くて、かっこよくて、しかも、めったやたらと強いなんてのを、もう誰も信じられない時代にも、なってゆく。
 霧の港町といえば、日活の代名詞だ(笑)。
 霧にまみれた港町での、男と女の出会い。つまり、東映から借りてきた若手スタアを使って、大映がやろうとしたのは、なんと日活無国籍の再生なのだ。
 何たるごった煮。都合のいいいいとこ取りは、絶対に失敗する。
 大・東・日の娯楽映画総力戦?を、図らずも計った形だが、そして霧をめったやたらと振りまいて、もはや背景が見えないレヴェル。背景を作りこまない分、美術費が浮くと、ナイスアイディアであり、フンイキも、でる、という算段か。
 しかし、背景がほのかに見える程度が、霧のロマンだろう。
 若手女優も多数投入するが、少数の例外を除いて、大映はもともと女優が、弱い。存在感が、一般美人並みを、次々登場させてもねえ。
 逃げていく松方を、汽車のなかで花札でカモる老練な詐欺師・伊達岳志に、大映の松方に対する皮肉を感じるのは、ぼくだけだろうか(笑)。


新女賭博師 壷ぐれ肌(79分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
1971(大映京都)(監)三隅研次(脚)高岩肇(撮)梶谷俊男(美)加藤茂(音)鏑木創(出)江波杏子、本郷功次郎、安田道代、渡辺文雄、水上保広、川崎あかね、早川雄三、伊達三郎、森章二、西川ヒノデ、伊吹新吾
江波杏子主演の「女賭博師」シリーズ第17作。前作から一年のブランクを経て「新」と銘打ち、ダイニチ映配から配給されたが、本作が最終作となった。昇り竜のお銀(江波)が、惚れた渡世人(本郷)とともに仇の組との大勝負に立ち向かう。江波と安田の女賭博師同士の勝負と立ち回りが見所となっている。


 こちらは自前の大映若手、江波杏子、安田道代のダブル主演だが。
 そもそも60年代後半にあっては、ちょい役専門の準大部屋扱いの江波を、ぼくは一度もいいと思ったことがない。何よりも、ごつい爬虫類系の顔が、怖い(笑)。男なら、悪役専門の顔だろう。
 チンピラ娘専門?の、安田道代は、年を取って良くなったタイプ。若手時代は、あんまり、よくない。
 こういうふたりがダブル主演でも、ちっとも映画は、弾まない。
 若い女が、大勢の男たちをバッタバッタも、大映リアリズムに合わない。きゃしゃな娘が、大勢をなぎ倒す、というのは、日本映画に通底する伝統美みたいなものだが、それを支えるリアリティが、この二人には、ない。

 かくて、大映も、三隅も、時代の流行から、静かに、消えていく。
 なお、終映後、ぼくの前を歩く観客が、しみじみ「壷振りか」と、つぶやくが、まぎらわしいタイトルに、ナニを期待していたのか(笑)。
 ちなみに見る大映映画、見る大映映画、すべてに出ている感がある伊達三郎、その出演本数って、いったい(笑)。
 日本映画データベースによれば、三郎で133本、岳志で6本だが、少なくとも200本は越えているのではないか。
 どこかに彼のフィルモグラフィは、ないものか。いや、ただ、本数だけを、知りたい訳で(笑)。
 それとも日本映画出演最多ランキングとかあるのかな。

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by mukashinoeiga | 2016-04-17 22:02 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback | Comments(2)

増村保造「恋にいのちを」感想2 藤卷潤江波杏子冨士真奈美大山健二浜村純

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。58年、大映東京。あと2回の上映。
 うーん、ビミョー(笑)。終映後、観客の「いらいらするほど、つまらない」「大根」「主題歌が・・・・」などの声が、聞こえてきた。確かに。
e0178641_2072957.jpg しかし、真性増村中毒のぼくは、実はこの「つまらなさ」が、最高に面白かった(笑)。
 「真の失敗作は、下手な傑作に、勝る」そのものの映画なのだ。

 という★増村保造「恋にいのちを」★感想駄文に続くパート2でおます。
 以下、完全ネタバレ。

 まず、冒頭クレジットに流れる主題歌(ラストにも、流れる)にアッと驚く。
 原作脚本の川内康範による作詞、松尾和子歌唱(with和田弘とマヒナ・スターズ)の、ずぶずぶのムード歌謡。
 こうした湿度100パーの、情緒性歌謡曲ほど、増村保造と無縁な曲もないというくらいのもの。
 いや、何も増村保造でなくたって、そもそも比較的クールな大映映画では、50年代の凡作メロドラマを除いて、こんなずぶずぶ高多湿な曲を主題歌には、しまい。
 アッ、まさに本作も、「50年代の凡作メロドラマ」そのものか(笑)。うーむ。

 主人公・藤巻潤の父・大山健二は、五ヶ月間行方不明の果て、不意に息子の前に姿を現すと、ほんの十秒で、瞬殺される。
 戦前松竹の常連三枚目快優・大山健二(時には準主役の活躍)は、戦後大映でちょい役専門ほぼ大部屋俳優となる。その恰幅を生かして、会社重役、裁判官、などなど。その三枚目さは健在なので、もっと出番の多い役でもイケたのに、残念な扱い。
 本作では珍しくキーマンの役だが、やはり20秒で瞬殺。戦後は某三流スポーツ紙の社長の由、社長の余技とすれば、立派なものか。
 その大山を殺したヤク中・浜村純は、この時期破れかぶれのジャンキーを演じさせたら日本一。
 野村芳太郎「最後の切札」(あ、まだ感想書いていなかった=その後感想駄文済み)ほか、記憶には残っていないが、何作かでジャンキー兼殺し屋を、顔面をゆがめて、快演。ヤク中なら浜村純。
 その浜村の娘が、江波杏子。顔が爬虫類系で、あどけない娘の演技が、まったく似合わない。むしろ、気持ち悪いくらい。
 本作の江波杏子を若尾文子、冨士真奈美を野添ひとみが、演じていたら、あるいは、マスマスムラムラ的傑作になったかもしれない。冨士真奈美も、濃い顔、濃い演技で、そのどちらも、むちむち肉感的、これで清純派的立ち位置といわれても、やや、違和感。しかも冨士真奈美、まったく非マスムラ的な、ねちねち湿度感。
 では、ありつつ、きりっと、自己主張する面もありーの、その辺の混合が、マスムラ本来の美質からは、ありえない混乱振り。
 
 いや、ぼく、好きですよ、冨士真奈美。
 なんか、若いときの清純派から、その肉感的なイメージからか、いきなり、三枚目に走った、という、イメージがあって、かなり、損して?はいるイメージか。
 いわば野添ひとみから、若尾文子への、移行期?の失敗過程か?
 野添ひとみと若尾文子の、いいとこ取りを目指して、しかし、いいとこ取りはたいてい失敗に終わり、結局悪いとこ取りに終わるのが、世の常。そういう落ちか。
 ハイブリッドならぬローブリッド・マスムラか。

雑居時代 (第1回) 石立鉄男 大原麗子 冨士真奈美 

雑居時代 (名場面) 石立鉄男 大原麗子

 美人なのに、結局は三枚目に落ち着く、という珍。あるいは、三枚目美人という独特キャラ。

 ところで、本作のもっとも凡なところは、主人公・藤巻潤が、父の失踪・殺害の真相を究明せんとて、奔走するも、まったく役立たず。主人公としての、働きを、ほとんどせず。ここら辺が、しまらないこと、おびただしい。
 黒沢明「悪い奴ほどよく眠る」60(感想駄文済み)ばりに、というか先行しているのだが、父親の悪事を暴くために、その娘と、まずは結婚(ここでは婚約)する、というプロット。これ、何かもともとモトネタがあるのかしら。
 特に根拠はないが、シェイクスピアとか、古代ローマのドラマ辺りに典拠が、ありそう。
 この父親の悪事暴露のために、犠牲にされた結婚を強いられる娘、というプロットは、何かしら興味を引かれるものがある。
 しかし凡は凡。
 ただ、そうは言いながら、本作にも、マスマスムラムラの快楽は、あふれている。
 もし、マスムラが好きだというなら、本作は、必見だ! マスムラの、マストアイテムだ。
◎追記◎マスマスムラムラといえば、早口とも言うべき台詞回し、テンポのよい展開の快楽で知られるが(特に初期)、本作の藤巻潤らは、あまりにもっさりした台詞回し、展開ももっさり気味で、とてもマスマスムラムラ映画とは思われないほど。
 中期・若尾文子時代では、スピードを減じても、のたくったような声とせりふ、しかしきわめて意思的な、あややが、快楽。
 しかし、同じく、本作の、トロい藤巻潤は、若尾レヴェルではないので、あるいは、マスムラの演出力が、若尾時代ほど、完成されていないので、単に、ドンくさい。
 結果的に、マスムラに多用されなかった、藤巻、江波、冨士などの、非マスマスムラムラな主演ばかりだったせいで、マスムラとしても調子が狂ってしまったのか(もちろん、駄目な、非マスムラ的脚本とのあわせ技で)。
 鈴木清順の名言?「映画のつじつまが合わない(と、感じる)のは主演俳優が駄目なせいだ」そのままで。
 これが、江波杏子を若尾文子、冨士真奈美を野添ひとみが、そして藤巻潤を川口浩が、演じていたら「映画のつじつま」は見事合って、傑作になっていたかもしれぬ。
 初期マスムラとしては、珍しく、テンポが、悪い。
 中期マスムラとしては、珍しく、コクがない。
 よって、マスムラ史上としては、珍しく、緊張感が、ない。
 この珍しさゆえに、本作は、初期マスマスムラムラと、中期マスマスムラムラをつなぐ、ありえたかもしれないミッシング・リンクなのだ、と。
 鈴木清順「東京流れ者」と違って、川内康範ずぶずぶメロドラマの毒にあたってしまった、感じか(笑)。
◎再追記◎ちなみに。最近見た下記映画は、設定があまりにむちゃくちゃで、つじつまがまったく合っていないのだが、トム・クルーズの主演オーラで、強引につじつまを合わせてしまう(笑)。映画とは、そうしたものなのだ。
映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』IMAX予告編

◎再追記◎しつこい(笑)。
 江波杏子が若いゆえに、あるいは爬虫類顔ゆえに色気不足なせいか、そのしぐさというか、立ち居振る舞いというか、なんだかきわめて機械的。
 互いが相思相愛なのを確認した瞬間、江波、いきなり体を後ろに倒し、藤巻にもたれかかる。そのまま、顔を仰向けにして、キス。
 あまりに唐突、かつマシーナリー(笑)な、むつみあいというより、組体操めいて、思わず失笑。
 このしぐさを若尾がやれば、しどけない色っぽさだろうが、若く、からだも堅い、演技も堅い、顔も堅い(笑)江波にはムリ(笑)。
 この種の、オンナオンナした立ち居振る舞いの完成系のマキノは、マスムラを、どう見ていたのか、まあ、見ていないだろうが。
 逆に、増村保造は、マキノをどう見ていたのか。
 日本的情緒、纏綿(てんめん)というヤツですね、そのもののマキノと、水と油のマスムラ、ああ、このふたりの互いの映画感想合戦を、見てみたかった(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-07-07 22:56 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(2)

増村保造「恋にいのちを」1 藤卷潤江波杏子冨士真奈美髙松英郎潮万太郎山茶花究

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。58年、大映東京。あと2回の上映。
 うーん、ビミョー(笑)。終映後、観客の「いらいらするほど、つまらない」「大根」「主題歌が・・・・」などの声が、聞こえてきた。確かに。
 しかし、真性増村中毒のぼくは、実はこの「つまらなさ」が、最高に面白かった(笑)。
 「真の失敗作は、下手な傑作に、勝る」そのものの映画なのだ。

e0178641_2012098.png恋にいのちを(92分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
政治雑誌の記者・加納(藤巻)は、父の友人で社長の花田(山茶花)から娘・いずみ(冨士)との結婚をすすめられるが、父の死に花田が関与していたことを知ってしまう。脚本に不満を持つ増村が会社と衝突した不幸な作品と言われるが、増村的な人物設定も見られ現在の眼にはかえって興味深い。デビュー2年目の江波杏子の存在感も強烈。
'61(大映京都)(監)増村保造(原)(脚)川内康範(脚)下村菊雄(撮)小原讓治(美)渡辺竹三郎(音)西山登(出)藤卷潤、江波杏子、冨士真奈美、髙松英郎、潮万太郎、山茶花究、神山繁、浜村純、水戸光子、倉田マユミ、村田扶実子、目黒幸子、伊東光一

 増村保造は、大映時代48本映画を撮ったという。
 実は、ぼくは、本作鑑賞を持って、大映時代増村保造の全作を見たことになる。これは、ぼく的には、ホントウに珍しいことなのよ(笑)。
 ナンセ、コンプリートが最も簡単な監督・長谷川和彦の鑑賞率50パーというくらいの男だからサー(笑)。
 で、なぜ本作がコンプリート最後になったのか、というと、少し前まで、増村保造特集、若尾文子特集が割と頻繁におこなわれ、増村映画は比較的上映されていたから、ほとんど見ることが出来た。で、本作はマスマスムラムラ映画としては、きわめて「ビミョー」なようなので、ほとんど上映されず、ということか。

 ここで、増村保造大映映画時代を、ざっくり三つの時期に、分けてみる。
1初期 川口浩・野添ひとみ時代
2中期 若尾文子時代
3後期 非(脱)若尾文子時代


 1は、明朗で純情まっしぐらな、湿度限りなくゼロな、光輝く川口、野添の特性にぴったりの青春映画。
 2は、明朗明晰と、日本的湿度を併せ持つ、ざ・オンナな若尾文子、意思はありつつ流されてしまう、流されてしまいつつ意思はある、<オンナのサガ>を、生き生きと、またはねちねちと、またはマスマスムラムラと、描く。
 3は、いよいよ屋台骨が傾いた大映プログラム・ピクチャアで、若尾文子のような「高い女優」も、山本富士子みたいな「自分から追い出した女優」もつかえず、渥美マリ、大谷直子、関根恵子など新人女優しか、使えなかった時期。

 もちろん1でも若尾は出ていたし、2でも、川口は、出ていた。
 また、このくくりでは、カツシン、雷蔵など、増村版男性ドラマについては、思いっきり、無視していているが。
 しかし、増村保造映画の申し子(の、ひとり)川口浩が、ある時期以降まったく姿が見えないのは、どうしたことか。
 という、ざっくりしたくくりのなかで本作は、1と2を橋渡しとも言うべき注目作=「過渡期」中途半端作な、いわば、増村保造メソッドのミッシング・リンクなのかも?
 しかしあまりに中途半端になり過ぎ、結果、凡作に。
  本作の江波杏子を若尾文子、冨士真奈美を野添ひとみが、演じていたら、あるいは、マスマスムラムラ的傑作になったかもしれない。
 日本映画史上最高に「ファニー・フェイス」な江波杏子は、その特異なマスクから、若い、清純な、娘の役が、徹底して、似合わない。本作でも、若い娘にありがちな、「あどけない」演技が、徹底的に似合わず、違和感、気持ちの悪さはただ事ではない。いや、この時期のほかの大映映画でも、若い娘を演じる彼女は、ひたすら違和感で、気持ち悪い(笑)。
 「これでも処女よ」というが、その発言自体が、気色悪い(笑)。
 それを、おそらく、増村保造は、意識していたのだろう、藤巻潤への性的アプローチの積極さ、その意図的な構図(藤巻に背中を預けて、あけすけトークとか)は、なかなかのもの。
 その、藤巻潤だが。あまりにつっころばし。
★本作の感想、その続き★は、長くなったので、後日に続く(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-07-03 23:02 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(4)

マキノ雅弘「女組長」江波杏子山田五十鈴佐野周二津川雅彦水島道太郎水野久美佐藤允平泉征成田三樹夫水島道太郎金子信雄

 渋谷にて。「次郎長三国志&マキノレアもの傑作選!」特集。70年、大映。
 マキノ雅弘「赤城の血祭」の、同時上映ゆえの、再見作。しかし、記憶力が、異常に弱い(笑)ぼくが再見しても、細部をはっきりくっきり覚えているのは、さすが、マキノ。 
e0178641_2172962.png 明治の頃の新橋駅、その駅前の、やや外れたあたりを大オープンに組んで、汽車は出せないものの、ちんちん電車も走る、末期大映としては、まあ、破格のオープンセット。
 まあ、その市電も、あまり早く走れないいいわけに、たびたび葬列や、火事場騒ぎで、徐行運転、ないし停止。ここら辺は、演出の見せどころか。

 江戸以来の名物・町火消し、ゐ組の頭が殺された。あとに残る、平泉征、成田三樹夫などの若者ばかりで、いささか頼りない。後見役の佐野周二も、め組の頭だから、イマイチ、片手間で。
 ここで頼りになるのは、オトコ顔・江波杏子、死んだ頭の娘。といっても、十三の年から、山田五十鈴に預けられ、今では、立派な芸者稼業、火消しの、ひの字くらいしか、知らない。
 ゐ組の頭、江波の父を殺したのは、悪徳ヤクザ・水島道太郎、悪徳代議士・金子信雄(今でいえば、小沢一郎のイメージ)と、結託して、新橋駅の鉄道貨物の荷役、駅拡張の土木関係を、ゐ組から奪い、独占契約をしようという。マキノ的典型的な、新興悪徳ヤクザと、旧弊本格ヤクザの、拮抗。
 そこへ、殺された親分の娘が、芸者という新機軸。いや、マキノ的には、ちっとも新機軸ではなく、これが、マキノ気力充実の、東映60年代の、男・高倉健、女・藤純子の、コンビなら、絶品の傑作に、なっただろう。
 しかし、おそらくマキノの映画的気力も衰え、東映とは違う、江波、成田らの、大映男女俳優独特のクールなティストは、やはり、マキノには、あわなかったか。
 しかも、高倉健に当たる流れ者ヒーローに、なんと、佐藤允。佐藤允と、その愛人(江波の先輩芸者)は水野久美(関係ないが、最初の漢字変換は水の汲み、これもダジャレネーミング?)、ともに東宝系だが、クレジットに、<山田五十鈴(東宝)>のように、東宝のカッコつかず。山田五十鈴は、舞台の関係で、東宝専属という形で重視されていたが、佐藤允、水野久美クラスだと、この時期、東宝専属を外されていたのね。
 つまり、東映の、健さん、純子にこそ、ベスト・マッチングな、この時期のマキノが、大映・江波、成田、平泉、もと東宝・佐藤、水野、もと松竹・佐野、らの、ビミョーにマキノと違うティストの、あるいは、映画文化が異なる役者を、まあ、ぼちぼちと、まとめている。
 そういうマキノの頼りは、悪役としても絶対の安定感・盟友水島道太郎! いつもはどもりの三枚目などをマキノにフラレることの多い、超身内・津川雅彦が、箱屋(いわば、芸者のマネージャー)ながら、きりりとした二枚目。このふたりの、超絶安定感こそ、マキノのしるし。
 いつもおなじみ、マキノ調と、マキノならざる部分が、混在する。
 大映最後の大作映画の輝きと、下降するマキノ演出の、時代的クロスが、交差する。
 ただし、江波杏子のヒロイン、佐藤允のヒーロー、なんか、ずっこけるんだよなー。ビミョーであるがゆえに、マキノ的快の、よって来るところが、ひしひしわかる。
 
 しかし、人間、年をへると、顔は大幅に変わるが、声は、あまり、変わらない。なのに、平泉征、この当時の低い声が、近年物まねされる平泉の声、おもいきし違うじゃない。

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by mukashinoeiga | 2012-02-24 23:25 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback(2) | Comments(0)