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工藤栄一「日本暗黒史 情無用」安藤昇桜町弘子山城新伍遠藤辰雄潮健児佐々木孝丸加賀邦男藤岡重慶渡辺文雄

漢安藤昇の妻に桜町最強だわ。
 京橋にて「国立映画アーカイブ開館記念 アンコール特集」。68年、東映京都。
 無表情のこわもて顔の安藤に、ほのかなユーモアが漂う演出がグッド。
 相方に、ヤンキー純情派?の桜町弘子を当てるとは、抜群のセンスや。
 渡辺文雄ら関西大物の外来やくざを夜ごとの性接待をするのに、資金がショートして、「(今までの)五千円の子を、三千円の子に変えるのはダメかしら」、平然と言いきって、なおかつ純情派(笑)。
 それを平然と受け止める安藤昇。本職の俳優にはない、ワン&オンリーの堂々っぷり。
 コメディリリーフ担当の、山城新伍や遠藤辰雄のような役者さんが、今はいないんだよなあ。

e0178641_056574.png日本暗黒史 情無用(90分・35mm・カラー) (国立映画アーカイブHPより)
1968(東映京都)(監)工藤栄一(脚)佐治乾、小野竜之助(撮)古谷伸(美)井川徳道(音)鏑木創(出)安藤昇、桜町弘子、山城新伍、永山一夫、遠藤辰雄、潮健児、佐々木孝丸、加賀邦男、藤岡重慶、渡辺文雄、小池朝雄、安部徹(解)黒沢良
「特集・逝ける映画人を偲んで2015-2016」より
同じ工藤栄一監督による『日本暗黒史 血の抗争』(1967)に続くシリーズ第2作。温泉町を舞台に、新旧やくざ組織の対立をハードボイルドに描く。夫婦役を演じる安藤昇と桜町弘子のコミカルなやりとりも見もの。『博奕打ち 総長賭博』(山下耕作監督)と2本立てで公開され、共に当時の若者たちから熱い支持を受けた。

 ↑そう、70~80年代までは、映画は若者のメディアでもあったんですね。

しがらみのない映画評論#64 日本暗黒史 情無用
梶俊吾映画監督チャンネル

↑検索で見つけたが、全然面白くないな(怒)。

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by mukashinoeiga | 2018-08-06 00:57 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

加藤泰「江戸川乱歩の 陰獣」

うーん、微妙。77年、松竹大船。京橋にて「生誕100年 映画監督 加藤泰」特集。
 そもそも熱血派の加藤泰に、もそもそ隠微な変態世界が理解できるのか、というそもそも問題がある。
 そもそも本格探偵小説の作家を自称するあおい輝彦が、変格探偵小説作家・大江春泥を、邪道呼ばわりする資格があるのか。両者の大ファンを自称するマダム・香山美子が「先生も大江春泥並みの変格小説をお書きになって、素晴らしい」(大意)と、揶揄する始末。
 つまり、乱歩VS乱歩の、変格合戦、なの、どうでもいいわ(笑)。 

e0178641_1363885.jpg(以下、ネタバレあり)
41 江戸川乱歩の 陰獣(117分・35mm・カラー) (フィルムセンターHPより)
1977(松竹)(監・脚)加藤泰(原)江戸川乱歩(脚)仲倉重郎(撮)丸山恵司(美)梅田千代夫(音)鏑木創(出)あおい輝彦、香山美子、若山富三郎、大友柳太朗、川津祐介、中山仁、仲谷昇、野際陽子、田口久美、倍賞美津子、加賀まりこ、藤岡琢也
謎の小説家大江春泥から届く一連の脅迫状が、奇怪な連続殺人事件を呼び起こす。大胆でモダンな構図と、香山美子演じるファム・ファタルの妖しい輝き、江戸川乱歩世界の倒錯と退廃の美を表現する美術と音楽が強い印象を残す。長台詞によるクライマックスの謎解きシークエンスの演出は必見。

 おそらく加藤泰的には、今回一番の目玉は、美人女優・香山美子が、わけあって、醜女に変装するシーンだろう。
 その醜女変装する際に参照されたのが、なんと、香山美子付き女中頭の任田順好!
 美人の香山美子が、任田順好並みに変装して、美青年俳優・川津祐介と、イタす。
 しかし、この醜女版香山の役を実際に演じていたのは、おそらく任田順好だろう。
 かくて加藤泰常連・任田順好と、美人女優・香山美子とのとりかえばや物語が、成立と。
 うーん、加藤泰本人としては、あるいはダイコーフンかもしれんが、それに付き合わされる観客の身としては(笑)。

 いかに当時人気のジャニーズとしても、あおい輝彦の陽性さは、この淫靡さを目指したはずの映画に、全くミスマッチでもあり。
 香山美子の元同級生として証言する、加賀まりこの、脇役出演がいかにも、もったいない。
 地方の映画館(主?)として証言する設定は、弟子?の山田洋次がかかわる野村芳太郎「砂の器」を思わせるが、おそらく加藤泰でなければ、あるいは任田順好の代わりに、加賀を女中頭に起用して、W美人女優の、W醜女メイクとして、話題を取ることも可能だったろう。
 いや、美人女優を醜女扱いにするって、特殊すぎ?(笑)。

 なお。東映のなじみの俳優二人。
 大友柳太郎が、ある意味老醜をさらけ出したすっぽんぽんで、二階から落下って。
 晩年の大友は、確か飛び降り自殺のはず。それを思い起こしてシャレにならないが、生真面目な大友では、余計陰惨か。
 そしてコミカルリリーフ的に、女性カメラマンに、町弘子。下記ムーヴィーウォーカーでは、別の無名女優が記されているので、後からあてはめたのか。
 あるいは加藤泰的には、香山美子主演ではなく、桜町主演の企画だったのか。それが、営業的に松竹から拒否されて、香山になったと。
 桜町と大友の夫婦なら、いかにも既視感ありなのだが。

 お坊ちゃま、お子様の松竹生え抜き監督には、撮れないアダルトな映画は、社外監督に任せよ、ということでの加藤泰召喚なのだろうが、変態監督は、東映には、掃いて捨てるほどおるやろが(笑)。日活にも、おるがな。
 そこを、ほどほどの加藤泰で折り合いをつけるところが、いかにも松竹でんなー(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-10-02 13:06 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(4)

加藤泰「剣・縄張(しま)」「虱は怖い」

 京橋にて。「生誕100年 映画監督 加藤泰」特集。67年、C.A.L=NTV。デジタル上映。
 加藤泰唯一のTVドラマとのこと。
 本作の製作体制に不満で、二度とTVドラマは作らん、と思ったのか、加藤泰。
 いや、TVドラマなのに、本編並みにやりたい放題の加藤を、TV局、ないしドラマ制作会社が、拒否ったのか。
 それとも単なる偶然、単なる行き違いか。
 うーん。
 出来を見てみると、加藤、TV局、ドラマ制作会社が、それぞれ少しずつ、拒否った結果か、と推測される。三方一両損というやつか。いわゆる、ケミカルが合わない、というもんですかね。
 加藤にしてみれば、ホンペンこそが本妻であり、ちょっとTVに浮気してみたが、やはりホンペンほどは具合がよろしくない。
 加藤が、まるでインバイを見るように?TVを見ているように感じたTV側は、「今更映画が王様なんて旧弊な差別意識丸出しのロートルは、使えねー。同じ映画監督でも、TVに積極的に取り組む深作など、俊英はいっぱいいるんだ。TVに協力的な映画監督は、掃いて捨てるほどいるんだ。戦時中からの、たかが三流監督の、ご道楽になんて、付き合っちゃいられねえ。野良犬一匹撮るのに、地べたに穴掘って、俯瞰撮影なんて、ふざけやがって。借りたオープンセットだから、また穴を埋め戻さなきゃならないんだ。穴を掘ったり埋めたりする若手からは、たかが犬一匹撮るのに、なんでこんな苦労しなきゃいけないんだ、あのくそ爺、という怨嗟の声も上がっている。単にキャリアが長いだけで、さして有名でもない二流監督に、もう、そういうご道楽を許すなんて、現代的じゃないぜ、もっとスピーディに、もっと軽く、やっていくのが、ナウな60年代の俺たちTVマンだぜ」(無根拠な当ブログの推定)
 
 確かに、本作は、素晴らしい。加藤泰的傑作と、言っていい。
 しかし、それがそのまま、一般的な傑作として、見られるかどうか。
 現在のぼくたち映画ファンが絶賛するファクターが、そのまま、当時のナウでヤングな(笑)TV局にとっては、否定的に見られたのも、あるいは、仕方ないことかもしれない。

剣 縄張しま(50分・HDCAM・白黒) (フィルムセンターHPより)
1967(C. A. L)(監)加藤泰(脚)野上龍雄(撮)宮西良太郎(美)服部展宏(音)小森昭宏(出)緒形拳、河村有紀、ジェリー藤尾、沢淑子、菅井きん、宮本信子、小林昭二、土方弘、関口銀三、南佑輔、安達俊枝、阿美本昌子、中村てるみ(解)小沢栄太郎
加藤が唯一テレビ演出を行った作品。「剣」はのちに「水戸黄門」シリーズなどで知られるC.A.Lが最初に制作した一話完結型のシリーズで、全46話が日本テレビ系列で放映された。第28話の本作では、やくざの幸吉(緒形)と彼を堅気に戻そうとする妻いち(河村)のすれ違いが描かれる。

 この「剣」シリーズ、小国英雄、菊島隆三、橋本忍、井手雅人などそうそうたるメンツが企画に名を連ね、「黒澤映画を支えた4人の脚本家が企画、豪華スタッフにより映画なみの制作費をかけて作った、伝説の時代劇のテレビシリーズ」(テレビドラマデータベースより)とのこと。全46話。他のも、見てみたい。
 しかし、ずばずば人が斬れる、名剣だか邪剣だかが、次から次へと人の手を渡る一話完結なんて、よっぽどすっとぼけた落ちでない限り、基本的に、ハッピーエンドは、作りえないだろう。パターンを、かなり限定してしまう設定だ。
 これを全46話やるのも、信じがたい。そういう意味でも、残りのシリーズを見てみたい。
 
 ちなみに、剣の声としてクレジットされる、小沢栄太郎だが、今回の上映素材には、出てこないが、shimomovさんアップの、
テレビドラマ『剣』(1967) オープニングタイトル


 と、長々書いてきて、やっと本題?に、入れる。本作の感想駄文だ。
 いちいちのローアングル徹底にこだわった、まさに加藤泰的快作。
 本作は、根拠不明の自信過剰やくざ・緒形拳が、たった一人で、50人からの中規模やくざの組に、たった一本の剣を頼りに、その制圧を期する、いわばドンキホーテ。
 その根拠不明な自信は、さながら緒形の脳内お花畑か。
 しかし異形のフェミニスト・加藤泰が、この男の横暴を、許さない(笑)。
 あいまい宿?の、沢淑子は、緒形をけしかけるが、妻・河村有紀は、夫婦二人の幸せにこだわり、緒形の暴挙に徹底的に、抗う。
 つつましい幸せを築こう、血なまぐさい暴挙はやめて、それが高じるあまりに、ついには、緒形愛用の邪剣の機構を破壊、女の執念が、男のマチズモの象徴たる剣の、戦闘中の中折れを、もたらす。
 なんたる、異形のフェミニズム。

 しかし、これは、おそらく60年代においては、反時代的な反動と、映った可能性がある。 圧倒的な体制に、一人挑む緒形は、さながら全学連か。それを阻止しようとする妻・河村有紀は、生ぬるい日常の幸福を墨守しようとして「現体制」を結果的に延命させる反動か。
 全学連においては、反体制でありつつ一般女子学生は、立てこもりの炊き出し要員、世話係、性的欲望の対象として、扱いがちだったという(根拠不明の、後発世代からの、推測)。
 また、大島渚「絞死刑」(本作翌年の1968年)では、在日朝鮮人のアイデンティティ確立のためには、日本人女性をレイプ殺害しても、何の問題もないんだ、というお話で、反体制であっても、女性の人権など歯牙にもかけなかった時代で(それを今でも露呈しているのが、お花畑左翼の鳥越)、そういう意味でも、反体制を拒否しつつ異形のフェミニストである加藤は、ナウでヤングなTVマンに、拒否されたのだろうか。うーん。
 とはいえ、本作は、妻・河村有紀と愛人・沢淑子が、緒形を争う女の戦いという側面もあるのだが、この二人の加藤組常連脇役が、はっきり言って、二人ともブス。しかも、華が、ない。画面を見ていても、ちっとも楽しくないのね(笑)。
 フェミニスト加藤泰の行き着く先は、華のない女優の演技合戦て、それ、映画的に、あるいはTVドラマ的に、どうなのよ、と。
 ブスなのはともかくとして、華がない役者を見ているほど味気ないことは、ない。しかも沢淑子の妹分として出てくる若い女優が、宮本信子で、これまた華っ気なし女優。
 加藤泰、徹底的に、枯れてるなあ(笑)。商業ベースも、全く無視で。
 これが東映映画であったら、河村有紀の役は、華のある町弘子だったろう。それなら、納得。しかし、加藤映画のミューズ、桜町も、東映の中では、色気のない部類で、それを愛用する加藤、あんまり女に関心がないのかも?

 なお、同時上映されたのが、
虱は怖い(14分・Blu-ray・白黒・日本語字幕なし)可怕的虱子 (フィルムセンターHPより)
1944(満洲映画協会)(監)加藤泰通(脚)今井新(撮)吉田貞次(音)金城聖巻(アニメーション)笹谷岩男、森川信英
加藤が満映で撮った文化映画。実写部分のさまざまな映画技法や水準の高いアニメーションの駆使によって、興味深い作品になっている。なお、満映時代のもう1本の作品『軍官学校』(1944)は現存が確認されていない。

 なる「教育」映画。特にいうべきこともないが、すべての登場人物たちが、走る走る。締りのある短編となった。ただ、当然のことながら、ローアングルは無し(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-08-07 20:48 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(0)

京橋の夏・加藤泰の夏

e0178641_0444914.jpg 7/12~9/4と、夏を通して、大特集されます。
「生誕100年 映画監督 加藤泰」
 暑苦しい夏に、狂騒する加藤泰映画を見るのも、また一興かと。
 大体は見ているのですが、未見作も多い。
 と、言うことで、当ブログで加藤泰に言及している本数自体は、いまだ少ないのですが、だんだん増やすことにして、加藤泰突入せよ炎のごとくを、カテゴリとして、新設しました。

 加藤泰映画には、いくつか、謎がありまして。
1 世間的?(映画評論家や映画史では)やたら評判の高い「真田風雲録」やら「皆殺しの霊歌」やら「明治侠客伝 三代目襲名」やら「炎のごとく」が、ぼくには一向に面白いようには見えないのは、なぜなのか、とか、

2 「車夫遊侠伝 喧嘩辰」とか「骨までしゃぶる」とか、なぜか主演作が少ない町弘子が主演すると、必ず傑作になるのは、なぜなのか、とか。

3 今回加藤泰のTVドラマが一本上映されるが、彼のTVドラマは、これ一本きり。
 加藤がTVを嫌がったのか、TVが加藤を嫌ったのか。
 映画会社を変わるたびに、監督から助監督身分に戻ること何度か。映画界には、マキノ正博など、山中貞雄にゆかりの映画人も数多くいたはずなのに、山中貞雄の甥という「七光り」を、なぜ生かせなかったのか(笑)とか。

 まあ、ぼちぼち、再見、初見などしていきます。
 
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by mukashinoeiga | 2016-07-04 00:44 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(0)

佐々木康「旗本退屈男」「右門捕物帖」沢島忠

京橋にて。「日本映画史横断⑤ 東映時代劇の世界」特集。ともに59年、東映京都。
 それぞれのシリーズものから、今回一本ずつ見たわけだが、いずれもミステリとしては希弱な、謎ともいえないような謎の連続殺人を、プログラム・ピクチャアの時代劇ならではの浅薄な捜査と推理で、暴いていく。どちらも既見作(笑)。
 典型的な例を申さば、旗本退屈男なりむっつり右門なりが、怪しい男を尋問していると、どこからか矢が飛んで来て、その容疑者を殺し、証言を封じるのだが、ならなぜ、もっと効率的に、退屈男や右門を射殺さない(笑)。
 すべてがお約束の世界で、要はヒーロー役者のかっこよさ、スタア性を楽しむ映画。
 誰も、厳密なミステリなど言うものは、求めていない。それが東映時代劇の捕物帖モノの楽しさであり。
 この二作、ランニングタイムもともに、87分、まさに安価な、出来物の、ベルトコンベアの、加工食品、ジャンクフードだ。
 でも、それが、また、一時の娯楽として、楽しいのも、確かなんだよね(笑)。
◎追記◎とはいえ、旗本退屈男 謎の南蛮太鼓冒頭の、山根サーカス、松竹歌劇団を大動員した清国曲芸団シークエンスのモヴシーンの圧倒的すばらしさ。この贅(勢)は、映画史上に特筆すべき快挙だ。

e0178641_15384980.png旗本退屈男 謎の南蛮太鼓 (87分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
将軍綱吉の湯島聖堂建立を祝して清国から招かれた曲芸団の周囲で起こる奇怪な連続殺人。『旗本退屈男』に続くシリーズ第24作で、山根サーカス、松竹歌劇団が総出演。右太衛門好みの大仕掛けで、佐々木康監督自身もシリーズ中のお気に入りと語る1本。
1959(東映京都)(監)佐々木康(原)佐々木味津三(脚)池上金男(撮)伊藤武夫(美)吉村晟(音)山田栄一(出)市川右太衛門、北大路欣也、櫻町弘子、山東昭子、佐久間良子、三浦光子、山形勲、柳永二郎、上田吉二郎、加賀邦男、進藤英太郎




e0178641_1540715.png右門捕物帖 片眼の狼 (87分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
長らく嵐寛寿郎の当たり役だった江戸の同心「むっつり右門」を、東映で大友柳太朗が継いだ第1作。おしゃべり伝六に堺駿二、あばたの敬四郎に進藤英太郎が扮し、掛け合いも賑やかに主役の大友の魅力を引き立てている。脚本の鷹沢和善は沢島忠とその妻・高松富久子の共同ペン・ネーム。
1959(東映京都)(監)沢島忠(原)佐々木味津三(脚)鷹沢和善(撮)伊藤武夫(美)桂長四郎(音)鈴木静一(出)大友柳太朗、堺駿二、進藤英太郎、里見浩太郎、桜町弘子、雪代敬子、藤本二三代、花園ひろみ、原健策、三島雅夫、山形勲
◎追記◎上記ポスターの比較も、面白い。
 右太さんは、文字通りの一枚看板。柳太朗は、女優陣の顔写真や場面写真をコラージュ。東映の考えるスタア性の違い。

 たとえば早乙女主水之介(右太衛門)が、重要証人が発狂して施薬院にいると聞き込み尋ねると、見舞い客の女が名物団子を差し入れしたことを知り、その団子屋へ。すると「重要証人」桜町弘子と、すぐにすれ違う。
 むっつり右門(柳太朗)も、凶器の弓づるの販売店を訪れると、そこの番頭の怪しさに遭遇。
 すぐわかる、よくわかる。安易というもおろか(笑)。
 この手の映画に、徒労捜査というものは、なかなか存在しない。
 ちなみに、怪しい番頭に、漫才のいとしこいしの、やせたほうの喜味こいし単独出演。お笑いがシリアスな役をやると、味があっていい、の典型。やせこけた顔がシリアスに、ぴったり。もっと、活躍してほしかったレヴェル。

 こういう、捜査側にとっては、夢の展開というシチュが、江戸市中で展開されると、現代の視点から見て、当然冤罪の可能性も考えられるのだが、対象となるのが、誰の目で見ても怪しい、当人たちも堂々悪事を働く黒覆面の強殺集団だったりするので、その心配はカケラもないというもの。

 退屈男の、親戚筋の若者か、家事見習いならぬ武事見習いの若者・京弥に、北大路欣也。一見お稚児さん風のかれは、退屈男のナニなのか、とヤオイなら思うであろうが、退屈男・妹の山東昭子が、ぞっこんの様子。
 本作は、謎?の一味・櫻町弘子、妹・山東昭子、支那娘・佐久間良子、婀娜な女スリ・三浦光子と、美人女優も充実。
 いっぽう「右門捕物帖 片眼の狼」では、桜町弘子、雪代敬子、藤本二三代、花園ひろみと、何気に二線級。主演・大友の立ち位置か。そして、そのどちらにも関係する桜町弘子(笑)。

 旗本退屈男の家老に、堺俊二。ぼくは、東映時代劇レギュラー役者の中で、唯一こいつが嫌いで嫌いで(笑)。本作では、まだましなのだが、「右門捕物帖 片眼の狼」では、手下の十手持ち・おしゃべり伝六での、堺は、まさに破壊力炸裂。
 むっつり右門との対比で、さらにそのおしゃべりは破壊級のものとなり、かん高い声で、性急に、爆発的にしゃべり続け、しかもまったく面白くもなんともない。むっつり右門も、明らかにウザがって「少し黙れ」とか言って、背を向けるのだが、大友柳太朗の、豪快な一閃により、堺駿二、斬り殺してほしかった(笑)。
 コメディリリーフという立ち位置にもかかわらず、でしゃばってもでしゃばっても、一度として、クスリともできない。本特集のほかの映画でも、錦ちゃん橋蔵ひばりの、家老、いわゆる大大名や幕閣の家老職ではなく、せいぜい小大名、旗本の家老職、明治以降の言葉で言えば家令だろうか、そういう役ばかり演じた数は日本一だろうが、いかに東映及び東映ファンに愛されての多用だろうが、嫌いなものは大っ嫌いだ(笑)。
 とんびが鷹を生む、というのか、若いころの堺正章の映画的はじけっぷり演技は大好きなので、正章のほうには、老家老を演じて、親父の不出来振りの汚名を注いでもらいたい、というのは、ひそかな願望として、昔からあるのだが、それが一向にかなわないのは、やはり堺俊二の爆発的破壊力を、みなが記憶しているせい?なのか、堺正章の、オヤジに反抗するがごとく?のやせっぷりが似合わないのか。うーん。
 津川雅彦がマキノ雅彦を名乗ったように、堺正章にも、堺俊二的役割を、冗談にしても、演じてほしかった。かなわない夢なのね。

 ぼくの感想駄文では、主役のスタアのことは後回しになるのだが、陰の豪快、陽の豪快ともに、絶品の大友柳太郎、カツゼツがいいんだかわるいんだかの、あの絶妙なエロキューションで、いつもニコニコ。
 なお、大友の友の字に半濁点なのはいつものことで、これは大友の拘りだろうが、これもいつものこと、同じ年の映画で、片方は櫻町弘子、もう一方は桜町弘子、との混在は、どうも解せない。クレジット指示の俳優担当、または当の書き屋さんの、テキトーな自己判断、だと思うが、お飾り女優要員の桜町の軽量さかも知れぬが、櫻町ファンとしては、二階の女が気にかかる(笑)。

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by mukashinoeiga | 2015-03-08 15:43 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(18) | Comments(0)

沢島忠「お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷」

 京橋にて。「日本映画史横断⑤ 東映時代劇の世界」特集。59年、東映京都。3月に神保町シアターで1週間の上映あり。
 うーん、案外と横溝正史趣味横溢の楽しさ。まだまだ軽快だった頃の、錦ちゃんの楽しさ。
 モト役者ゆえ、いろいろ変装しての捜査なのだが、特に顔に大きくあざのある素浪人の凄絶なる美よ。

 錦之助の父・時藏、兄弟の歌昇、芝雀、賀津雄など一門の歌舞伎俳優も多数出演。
 時藏、芝雀の「女暫」の舞台が、物語の効率適用性を超えて、長尺で登場し、楽しい。芝雀、錦之助をさらに美形にした面立ちで、これは人気あったろうなあ、と思ったら、人気が出すぎて過労のあまり、睡眠薬に頼って、若死にしたという。時蔵の自由闊達な役者ぶりも、素晴らしい。

お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷 (98分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
名代役者の子に生まれながら勘当されて遊び人暮らしをしている文七が、変装を駆使して怪事件の真相を暴いてゆく。主人公の境遇をなぞるように錦之助の播磨屋一門が総出演した豪華な一篇で、この年に他界した父・三世中村時蔵が演じる「女暫(おんなしばらく)」も見所。
1959(東映京都)(監)沢島忠(原)横溝正史(脚)比佐芳武(撮)坪井誠(美)井川徳道(音)鈴木静一(出)中村錦之助、中村時藏、中村賀津雄、中村歌昇、中村米吉、中村芝雀、桜町弘子、雪代敬子、花園ひろみ、日髙澄子、喜多川千鶴、進藤英太郎、山形勲、薄田研二、片岡千惠藏

 大好きな薄田研二、出てきた瞬間に、単に歩いているだけなのに、悪役とわかる、わかりやすいマスク。錦ちゃん、出てきた瞬間にベビーフェイス(善玉)。こういうわかりやすさを、馬鹿にしては、いけないよ。確実に説明を省略でき、ランニングタイムを数分~十分は、省略できるエコ設定。ああ、快なるかな東映メソッド。
 しかし、これは映画にのみ通ずるシステムであり、どう見ても悪役である小沢一郎が、悪役なのに(笑)当選し続けるなど、現実は映画的とは参らないのは、残念だ(笑)。

 のちに、オキャンな姐御役を得意とする雪代敬子が、おとなしいおひい様役というのも、ちょっと(笑)。錦ちゃんのガールフレンド、桜町弘子は相変わらずグッド。

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by mukashinoeiga | 2015-02-24 02:46 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

石井輝男「網走番外地」「同・望郷篇」高倉健南原宏治桜町弘子

 池袋にて。「さらば健さん! 銀幕に刻んだ男の生き様 追悼 高倉健 第二部・東映編」特集。両作とも65年、東映。
e0178641_14251686.png モチロン、いまさら言うまでもなく、ぼくはヒーロー役者・高倉健が大好きだ。
 本特集でこれから上映される、たとえばマキノ雅弘「侠骨一代」をはじめとして、繰り返し繰り返し、見ている。
 特にマキノ、高倉健、藤純子の、絶対の、奇跡の黄金トリオの諸作など、ぼくにとっては猫にマタタビ状態だ(笑)
 日本侠客伝シリーズ、いいですなあ。昭和残侠伝シリーズ、最強ですぜ。高倉健のすごいところ(笑)は、持ちネタと言うべき人気シリーズに「日本」と「昭和」という、ある意味最強ワードをクレジットしている唯一無二のスタアである点か。こんな人は、ほかには、絶対に、いない。
 しかし、マキノも、藤純子も同伴しなくなった70年代後半以降、つまり東映専属を解消してのち、高倉健は迷走に迷走を続け、この40年間、凡作駄作の山を築き上げてきた。この間、高倉健は、かつての、あれほど光り輝いていたオーラを、一度として発することは、なかった。とは、言い過ぎかもしれない、確かに「瞬間的」にはかつてのオーラは発したが、だからといって作品全体を光り輝かせてはいなかったように思う。
 
 というのが、ぼくの高倉健イメージなのだが、なぜか高倉健のもうひとつの人気シリーズ「網走番外地」は、実は、一本も、見たことがないのだ(笑)。これで、健さんファンといえるのか(笑)。
 「網走番外地」は、ぼくにとっては、健さん番外地だったのだ、とつまらない駄洒落を言っていたら、今回、シリーズ第一作と、「当シリーズの中で傑作の声が高い一本。必見!」(新文芸坐のチラシの解説)の、ぼく的絶好の組み合わせの2本立て。ということで、見てまいりました。

石井輝男「網走番外地」
 うーん、なんだろな、これ(笑)。
 面白いといえば、面白い。つまらないといえば、つまらない。
 つまり、東映プログラムピクチャアの水準作で、可もなく不可もなし。映画の勢いと高倉健の魅力で、ヒットはしただろうが、所詮は小ヒットの類か。
 遅れてきた高倉健フォロワーの視点で見れば、この映画は、天性のヒーロー役者・高倉健の魅力を、ことごとく相殺しているように思う。
 まず、刑務所の囚人たる高倉健は、看守などの「お上」には、絶対に、逆らえない立場。
 次に、新入り囚人が、自己紹介をする場面で、なんと、健さんは、一言のセリフすらなしの、エキストラ状態。
 さらに「手錠のままの脱獄」(本作は明らかに、そのパクリ)も、南原宏治に、ひきずられっぱなし。
 つまり、健さん、この映画では、常に受け身の立場。
 受け身に次ぐ受け身では、ヒーロー役者としての、自己決定権は、まったくなし。
 健さん、形無しで、かれ独特の魅力を、まったく発揮できないシチュエーションばかり。まさに「網走番外地」というよりは、健さん番外地というべき映画では、ないか。

 健さんを、手錠につながれているゆえに、無理やり脱獄させるのが、南原宏治。極寒の荒野ゆえ、ムクツケキ男ふたりが、ごしごしからだを「愛撫」して「抱き合い」からだを暖め合うシーンが、石井輝男のゲイティストを思わせる。
 なお二年後、鈴木清順「殺しの烙印」で再度、南原宏治はライヴァル宍戸錠と、敵同士の同棲生活を演じ、清順ないし誰かは絶対に本作を見ていただろうキャスティングだったような?

石井輝男「網走番外地 望郷篇」
 終映時に、数人の客が拍手。まあ、健さんに対して贈られたと、信じたい。それほどの凡作。
 なーにが「当シリーズの中で傑作の声が高い一本。必見!」だか。
 これだから、人様の評価は、あてにならない(笑)。ま、自戒も含めてですが。
 おそらく本作の「評価が高い」一番の理由は、黒人とのハーフの子役を使った「泣かせ」にあるのだろう。本当に日本人は、子役に弱いなあ。
 しかしマキノの健さんでガン泣きするぼくには、全然泣けず。正統派の人情モノが、石井演出は、まったく下手すぎて、失笑する程度だ。
 郷里の長崎に帰ってみれば、幼なじみの桜町弘子は、中谷一郎の妻。母が眠る寺で再会した健さん・桜町は、寺の門にいたずら書きされた、かつての相合傘マーク(ふたりの名入り)を前にする。
 こんな情緒纏綿なシーン、マキノなら涙涙の展開になるだろうが、石井演出は、何の感情も乱さない。
石井映画が、だんだんカルトのほうに行ったのも、納得の不出来ぶりで。
 しかし桜町、息が長い女優さん。50年代の東映時代劇、60年代の仁侠映画、どちらでも活躍、しかも90年代の三池Vシネでも、姐さん役で。

網走番外地(予告編)

網走番外地 望郷篇(予告編)

高倉健「網走番外地」全10作ダイジェスト (24分42秒)

殺しの烙印─BRNDED TO KILL ,STYLE TO KILL─ 予告篇


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by mukashinoeiga | 2015-02-19 16:17 | テリー石井 恐怖奇形番外地帯 | Trackback | Comments(2)

チョー気になる東映時代劇で・・・・

 フィルムセンターなどで東映時代劇特集を見ていて、チョー気になって、ドラマに集中できない事態が発生(笑)。
 それは、女優さんのつけるカツラの問題といいますか、彼女たちの耳とほほのあいだが気になって、気になって(笑)。
 たとえばの、画像。

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 画面が不鮮明で、よくわからないかもしれませんが、大スクリーンで見ると、耳とほほのあいだの髪が、明らかに、上の髪を伸ばして垂らした質感には、見えないのです(笑)。
 もちろん女だから、モミアゲでは、ないでしょう。
 どうみても、耳とほほのあいだに、生えている毛としか、見えないのです。
 つまり、横方向にクシですいた形が見えて、垂らしたのではなく、そこに髪が、生えている、ようにしか、見えない(笑)。
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 男の場合は、女優よりは、まだナチュラル。
 男の場合はモミアゲかもと思い、よくよく見ると、やはり髪の毛の延長にしか、みえない。
e0178641_2241175.jpg

 初期の頃には、わりとナチュラルなヅラを使用しているかと思われますが。ある時期から、そうなった、のでしょうか。
 おそらくヅラを安定的にかぶるには、耳とほほのあいだもぴったり固定したほうが、ずれにくいということで、粘着面を延長し、それを隠すために、ヘアスタイルもまた延長したということでしょうが。
 毛果、いや結果、現代女性より、より毛深くなった(笑)印象で、東映お姫様女優、その耳とほほのあいだが、気になって気になって、映画に集中できない(笑)。

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by mukashinoeiga | 2015-02-01 22:55 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

加藤泰「明治侠客伝 三代目襲名」

 池袋にて。「検証日本映画Vol.10 加藤泰 あるいは屹立する情念」特集。66年・東映京都。
e0178641_947797.jpg 二本立て上映のあと、桜町弘子トークショーがあるためか、池袋新文芸坐は、満席。トーク時は、超満席。
 本作の上映、イマイチピントが甘い。加藤泰特有のメリハリのある焦点深度、メインの人物たちにピントくっきりあてて、その後景の人物たちを、よりぼかす加藤泰映画にとっては、ピントの甘い映写は致命的。いや、どんな映画でも、そうなのだが。

 一家の二代目・嵐勘寿郎が夫婦そろって祭り見物。おだやかないい表情。
 それへ、三下・汐路章が、大勢の祭り見物客の間を縫って、間合いを詰めてくる。こちらは、ウロンな凶状顔。
 案の定、汐路がアラカンの背中をドスで刺す。加藤泰映画、汐路章で幕が開く。
 アラカンが怪我がもとで死ぬ。三代目を襲名するのは、誰が見ても、「誠実なヤクザ」鶴田浩二だが。ひとり異を唱えるのは、二代目のバカ息子「ボンボン」津川雅彦。
 そして、一家そのものの消滅をもくろむ、自称「俺はヤクザは嫌いだ」自称「青年実業家」大木実と、「ヤクザは嫌い」なはずの大木の手下格の、安倍徹「やくざの親分」。
 これに芸者・藤純子(鶴田と相思相愛ながら、安倍徹に身請けされてしまう)、芸者・桜町弘子(津川に惚れているとだます、実は大木の女)、毎度コミカルながら、今回はなぜかかっこいい「旅人」藤山寛美、「いいほうの顔役」丹波哲郎、などがからみ、いつもの東映仁侠映画を彩っていく。

 ドラマは、抜き差しならないまでに、東映仁侠映画の定番を、典型として、つむいでいく。
 文字通り、義理と人情(恋情)の板ばさみに苦しむツルコウ。怪我で寝たきりの老親分アラカン。いわば「江戸時代」そのものの、旧弊なやくざたち。
 ぱりっとした洋装で決める、近代的な、つまりは「中国化された明治」の、義理や人情なんだそれ、冷酷実力主義者の大木実。
 立派な洋館に住み、愛娘は頭におリボン・ハカマの「ハイカラさん」スタイルの女学生、近代的でありつつ、義理と人情も忘れない、和洋折衷大親分・丹波。ピストルもドスも、どっちもいける旅人・寛美。このふたりもは、「中国化された明治」より「江戸時代」の側につく。

 ウーン、だが、イマイチ、心に響かないぞ。あまりに、典型過ぎるのか。
 ツルコウと、藤純子が、相思相愛の純愛って。ツルコウ50代か、藤純子、まだはたちそこそこの、まだ幼い顔で。絵ヅラ的に、抱き合う二人は、ちょっと無理がないか。まあ、恋敵が安倍徹(笑)だからねー。
 年代的、絵柄的には、ツルコウ/桜町、津川/藤純で、いいのでは。しかし、イキオイのある新進女優・「東映仁侠映画の華」藤純と、見る影もなく消滅した「東映時代劇」時代のお姫様女優・桜町では、待遇に差も出るのも、仕方なしか。
 加藤泰映画と、なぜか相性抜群の桜町が、加藤泰の初期構想では、ヒロインであった、それを東映仁侠映画最強プロデューサーにして、藤純子実父の、俊藤浩滋が、「おいおい、もう桜町じゃねーよ、客を呼べるヒロインは、純子だろー」ということなのではないか。そのリベンジ?が、本作の翌年の、低予算白黒映画桜町単独主演加藤泰「骨までしゃぶる」では、ないか、と妄想。本作は、もちろんカラー。

◎追記◎どうやら、上記記述には重大な誤解があるようです。下記コメント欄でktoy3さんにご指摘を受けました。詳しくは下記コメント欄をご覧ください。申し訳ない。

 なお桜町弘子トークでは、本作撮影中、加藤泰と「鶴田のお兄様」が、反目対立、ついには「鶴田のお兄様」が、子分もろとも、スタジオから、出て行ったという。
 桜町によれば、どんなスタアでも、何回も何回も稽古を繰り帰す加藤。稽古の繰り返しに、スタアも、エキストラに毛が生えた三下俳優でも、差をつけなかったらしい。
 東映仁侠映画でスタアになったツルコウが、面倒な稽古は弟子にスタンドインさせて、自分は楽するのが、東映スタアのしきたりと、加藤式スパルタを嫌ったせいとか。「鶴田のお兄様」、映画ほどには、耐える男ではなかったのね。まあ、当たり前だけど。結局、俊藤浩滋が仲に入って、加藤・ツルコウを手打ちさせ、撮影再開と。さすが、仁侠映画の父だけのことはあり。

 だから、なのか、最初からの趣向なのか。
 鶴田が、寛美形見のピストルと日本刀を持って、たった一人の討ち入り。蒸気鉄道の列車の屋根に乗って、近づく。
 線路沿いのせまっくるしい小屋に、なぜか大木実、安倍徹、子分たちが、すし詰めで、討ち入りを、待っている。
 列車の屋根から跳躍、イキオイで窓を突き破り、小屋になだれ込む鶴田。そしてなぜか、最初に、大木実を、突き刺す。
 あまりに、簡単すぎて、思わず、笑ってしまった。
 ふつうの東映仁侠映画では、健さんなどが、悪い親分の屋敷に殴りこみ。広い屋敷内をさんざん移動して、さんざん子分たちを斬って斬って切りまくり、最後に、やっと親分を、討ち果たすのが、定番中の定番では。
 いきなり最初に親分、刺殺、ショートカットのしすぎだろう、ツルコウ。

 もっとも。
 体制的には、実行犯グループの組・安倍徹親分、それを裏で操る黒幕・大木実という構図なのだ、が。システム上は、黒幕の大木がラスボスなのだ、が。
 ラスボス・大木が死に、しかし、安倍徹は、線路沿いに、逃げていく。それを追うツルコウ。安倍が逃げ帰った自宅で、囲われている藤純の前で、ツルコウは安倍を刺す。義理の上では、大木がラスボスだが、人情(恋情)の上では、安倍がラスボスだったのだ。
 ウーン。この辺のあいまいな複雑?さが、純情一本どっこの東映仁侠映画には、複雑すぎたのか?
 義理と人情と男伊達の三位一体、目指す仇はただ一人、この討ち入りジャマするヤツは、どんなヤツでも、かかって来い、と、たった一人の討ち入り、こそが、純正品東映仁侠映画の心意気ではなかったか。
 本作、キネ旬選定仁侠映画ベストワンとのことだが、残念な雑味あり。なぜ、マキノ雅弘/高倉健/藤純子映画が、仁侠映画ベストワンに、ならない? あまりに傑作が多くて、票が分散したのか。うーん。

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by mukashinoeiga | 2012-07-15 09:15 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(4)

加藤泰「骨までしゃぶる」桜町弘子久保菜穂子夏八木勲宮園純子三原葉子

 池袋にて。「検証日本映画Vol.10 加藤泰 あるいは屹立する情念」特集。66年・東映京都。
 二本立て上映のあと、桜町弘子トークショーがあるためか、池袋新文芸坐は、ほぼ満席。
 東映は。男性スタア中心の映画が、多かった。女優は、添え物扱い、華やぎ要員という映画も、多数あった。その中でも、桜町は、女優陣の二番手、三番手扱いのことが多い。
 その桜町ゆいいつの完全主演作が本作だ。先月のラピュタ阿佐ヶ谷の「桜町弘子」特集でトップバッターで上映されたさい、おそらく製作当時はこの映画の完成品を見ることなく、約45年後にはじめてラピュタで見たら、自分の名前が大きくクレジットされていたので。びっくりしたのだという。それで、上映中、何回も見に行ったらしい。
 おそらく、本人としては、最初のクレジットに、たとえば、

 桜町弘子
 久保菜穂子
 宮園純子 

 夏八木勲(新人) 

と、連記されているのだろうと、思っていたようだ。いつものように。
 それが、堂々「桜町弘子」と単独表記の一枚看板。居並ぶスタアのなかで、二番手、三番手、たまに、男性スタアさんの相手役であったとしても、一枚看板の主演スタアのあと、二枚目に筆頭であっても、連記されがちだった彼女の、人生唯一の一枚看板。
 それが桜町と相性抜群の監督・加藤泰であることが、うれしい。

e0178641_843295.jpg さて、本作は、時は明治、15才見当の、貧農の娘・桜町が、女衒・汐路章によって100円で売られてしまうところから始まる。
 これまた加藤泰映画に重用された汐路章によって、幕が落とされる。汐路は、女郎屋主人・三島雅夫に、娘を、131円ナニガシで売り渡して、31円の儲けか(含む、旅費などの経費)。
 それまで白いコメの飯などほとんど喰ったことのない桜町、女郎屋で出されたご馳走、うな丼弁当に感激する。もっとも、このうな丼も、結局は、桜町の借金に付け加えられてあるのだが。
 最初は、こんな好待遇、生まれてはじめて、と女郎稼業に邁進する彼女だが、すべて経費に回され、前借(借金)は、働けば働くほど、へることなく、むしろ増えていく。
 桜町は、徐々に、主人・三島、女将・三原葉子に、立て付くようになっていく。
 暗くなりがちな話にユーモアを交え、コミカル演技を得意とする天然・桜町の、楽しさ素晴らしさ。明治的雰囲気を直接知る最後の世代であろう、加藤泰初めとするスタッフ・ワーク。素晴らしい。

 新人・夏八木とのからみが、何回やってもNG。とうとう昼休憩で中断。桜町と夏八木は、おひる時間の間も、ふたりで練習したという。「お昼抜きで稽古したのは、たった一度、この映画だけの経験でした」と、お嬢さん女優だった桜町は、語る。昼休憩後、得意然と加藤泰らスタッフをスタジオで迎えた桜町ふたりに、フフン、と加藤泰。ほめてもらえるかと思っていたのに、とお嬢さん女優は、回顧する。練習のせいかどうか、その後は一発オーケーだったとのこと。
 なお、相手役はどんなのがいい?と加藤泰に聞かれた桜町、「普段はジャガイモみたいな顔でも、笑うと、白い歯の笑顔が美しい人」と答え、その結果連れてこられた新人が、夏八木勲だったという。どんぴしゃ。そう答えた桜町も桜町なら(東映男性スタアには、あまりいないタイプ。しいて言えば、桜町との共演が多かった大友柳太郎くらいか)、夏八木を連れてきた加藤泰も加藤泰だ。
 その夏八木勲、デヴュー時から、例の豪快さ。
 東映ヒロイン映画としては例外的に(たいてい悲恋に終わる)、ハッピーエンドなのが、うれしい。それが、陽性な桜町的でもあり。
◎追記◎懐の賄賂金を覗き見る桜町、あごがぷっくら膨れて、とても女優とは思えないような不用心なブス顔になるのは、桜町弘子ならでは(笑)。

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by mukashinoeiga | 2012-07-12 06:32 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(0)