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瑞穂春海「すれすれ」川口浩弓恵子川崎敬三春川ますみ宮川和子

期待外れの大凡作。60年、大映東京。
e0178641_2348866.jpg 神保町にて「生誕百五十年記念 文学を映画で愉しむ-夏目漱石と日本の文豪たち」特集。
 ハンカチ・タクシー(どうやら白タクのことらしい)という、なんだか確実性のない仕事で、それなりに日銭を稼ぐ川口浩と川崎敬三。
 ということで、イロイロな客との、細切れのエピソードが、団子状態で、展開する。
 このエピソードの、ほとんどが、詰まらない。ぬるい脚本に、だるい演出。

7. すれすれ (神保町シアターHPより)
S35('60)/大映東京/白黒/シネスコ/1時間31分
■監督:瑞穂春海■原作:吉行淳之介■脚本:長瀬喜伴、瑞穂春海■撮影:秋野友宏■音楽:池野成■美術:高橋康一■出演:川口浩、弓恵子、川崎敬三、宮川和子、三宅邦子、岸田今日子、東野英治郎
『原色の街』『砂の上の植物群』など、モダンな作風で人気だった吉行淳之介の同名小説を映画化。ドン・ファンだった亡き父に憧れながらも、もぐりのタクシーで生計を立てる冴えない男の恋愛修行。川口と川崎のコミカルな絡みは絶品!

 とはいえ、上の春川ますみは、かわいすぎないか。奇跡の一枚。
 川口浩が、春川とやっちゃって、春川が、「ねえ定期券買ってー。六か月分」と連呼するのが、可笑しい。川口は「せいぜい三か月分」と、値切るのも、可笑しい。
 逆に宮川和子を、川口が「結構いい女」というのは、納得いかないなあ(笑)。
 弓恵子は、潮万太郎の娘ということだが、逆に宮川和子のほうが、潮万太郎にクリソツで、ぼくはいつも宮川和子を見ると、ウシマンさんを思い出して、萎えてしまう(笑)。

 まだまだ若い川口浩は、笑顔がさわやかではない。後年のほうがさわやかって、どういうこと。
 白タクの川口、川崎が目星を付ける、歩道にたたずむ女たちの一人として、江波杏子が、10秒ほどのエキストラ。
 なお、この日は「すれすれ」を見て渋谷へ。感想駄文済みの「色事は俺にまかせろ」「地獄」。色事師(を志向する川口と、色事師そのものの上原)と、おまけに「地獄」という奇妙な因縁で。

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by mukashinoeiga | 2017-03-19 23:52 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

島耕二「誘惑からの脱出」

 神保町にて。「にっぽん男優列伝~大映篇 キラリと光る優男たち」特集。57年、大映東京。
 神保町シアターが、珍しく、柄にもなく?レアモノを4本も、しかも同じ週に上映。とうとう1本は、見逃した。

お兄哥さんとお姐さん<神保町シアターHPより>  ←見逃した
S36('61)/大映京都/白黒/シネスコ/1時間24分
■監督:黒田義之■原作:川口松太郎■脚本:辻久一■撮影:本多平三■音楽:小川寛興■美術:内藤昭■出演:勝新太郎、万里昌代、田宮二郎、小林勝彦、小桜純子、志村喬、稲葉義男、毛利郁子
上州で謀略を巡らす熊の沢一家と争う、昔気質の玉村一家のために、渡世人・三次郎(勝)が立ちあがる。『悪名』でブレイク直後、絶好調の勝新の威勢の良さに胸がすく股旅時代劇。大映時代の田宮には珍しい時代物出演で、勝との息の合った共演は貴重。

 で、本作。

誘惑からの脱出 <神保町シアターHPより>
S32('57)/大映東京/カラー/ヴィスタ/1時間31分
■監督:島耕二■原案:原田光夫■脚本:須崎勝弥、島耕ニ■撮影:高橋通夫■音楽:大森盛太郎■美術:高橋康一■出演:根上淳、川口浩、若尾文子、角梨枝子、高松英郎、月田昌也、苅田とよみ、花布辰男
拳銃の名手の兄(根上)が刑期を終え出所し、弟(川口)と共に暮らすうち、弟が悪の道に誘い込まれていく…。知的でクールな二枚目として人気を博した根上淳が、命を賭して弟を守る兄を熱演する。弟の恋人役の若尾文子が健気な愛らしさで花を添える。

 で、50年代の大映の(別に大映に限らないのだが)文芸モノ寄り(ないしメロドラマ寄り)犯罪モノの、しまりのなさ、ゆるさから、本作も、逃れられていない。
 しまりのないモト犯罪者・根上淳は、ホントにトーシローと区別がつかない描写だし、悪の親分の、これまたしまりのない、チカラ弱い高松英郎。まるで宝塚みたいな、お子様感があふれている。歌劇の宝塚なら、何の問題もないのだが。
 愛らしい若尾文子も、何のしどころもない役で。かわいそう。
 ただ前半は、夜はキャバレーづとめの同僚に忠告していた彼女が、生活苦からその同僚の紹介で、キャバレーに。清純派と妖艶派と、二つの顔を持つあややの、変遷を一本の映画に凝縮して、その将来を予告するかのよう。
 も、相変わらずのやんちゃ感(若いときの彼にしか出せないアジ)川口浩の、楽しさではあるが、これまた、何のしどころもない役。
 ぬるい、いい加減な脚本、しまりのない演出。
 なんだけど、例によって、大映美術陣の、しまりも緩みもない、セット、情景が絶美(笑)。

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◎おまけ◎Anchin to Kiyohime 1960 [retro-trailer]

 最後に、ちょこっとだけ島耕二監督の後姿が。ホントの少し。

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by mukashinoeiga | 2014-08-15 06:22 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback | Comments(4)

増村保造「最高殊勲夫人」若尾文子川口浩船越英二丹阿彌谷津子

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。59年、大映東京。
 行きがけの駄賃的再々見。やはり傑作。すばらしい。
 プログラム・ピクチャアの範囲内での、最高のパフォーマンス。
 川口浩、若尾文子ともに最強のチャーミング。

e0178641_21463559.jpg最高殊勲夫人 (95分・35mm・カラー)<フィルムセンターHPより>
三原家と野々宮家には、それぞれ3人の兄弟と姉妹がおり、長男と長女、次男と次女は夫婦である。周囲は当然三男と三女の結婚を期待し…。他愛もない物語を、スピード感いっぱいに描いた喜劇。物語内容より語り方そのもので楽しませる、ジャズのような作品だとの評が残されている。
'59(大映東京)(監)増村保造(原)源氏鷄太(脚)白坂依志夫(撮)村井博(美)下河原友雄(音)塚原晢夫(出)若尾文子、川口浩、船越英二、近藤美惠子、金田一敦子、野口啓二、小林勝彦、北原義郎、丹阿彌谷津子、八潮悠子、宮口精二、潮万太郎、柳澤眞一、滝花久子、東山千栄子

 そう、まさに、源氏鷄太ライクな、他愛もないラヴコメを、快調に流していく、娯楽映画の王道。
 同年の同監督「氾濫」は、きわめて重厚な大傑作、その同じ年に軽快な本作と、マスマスムラムラ絶好調。

 三原商事の営業部長(社長長男の船越、現社長)と社長秘書・丹阿彌谷津子、続いて現営業部長の二男・北原義郎と、丹阿彌の妹の現社長秘書・近藤美惠子が、ゴールイン。
 となると期待される?のは、船越北原兄弟の末っ子・川口浩と、丹阿彌近藤姉妹の末っ子・若尾文子の、三度目の結婚だ?
 しかし、若い二人は、兄たち姉たちの「二の舞」は踏みたくない・・・・。というところで、すでに、ハッピイなエンドは容易に予想される・・・・という娯楽篇。
 お互いがお互いを決して好きになるまいと、誓い合いつつ、結婚への同調圧力を、共同で拒否していこうと「共同戦線」を張る、まあミイラ取りがミイラの、典型王道で。
 「やんちゃなお坊っちゃん」を演じて日本一の川口浩と、活発な張り切りムスメも最高にマッチするあややの、ベストカップルを得て、マスマスムラムラ絶好調。終映後、多くの拍手あり、さりなん。
 この「やんちゃなお坊っちゃん」最高パフォーマンスの川口が、実業家転進のため、俳優業を廃業したのは、正しかったのか、惜しかったのか、よくわからない。
 若いときだけの輝きであり、年を経ては、その輝きが減するタイプだったのか、否か、若いときの輝きがあまりに素晴らしかったゆえに、それは、わからない。
 この映画の相方であるあややが、若い明朗張り切り娘も良し、妖艶なメロメロ年増オンナも良し、というオールラウンド・プレイヤーなのに対して、やはり川口は「若いとき」限定だったのか。年取った川口浩も見てみたかった気もするが。
 ただ本作の欠点は、大勢が右往左往する多人数コメディで、一言二言のせりふのみの、若手俳優が、これまた多数出てくるのだが、プログラム・ピクチャアの悲しさ、その一言二言のせりふが、ことごとく、稚拙で、ろれつさえ回っていないのね。このパターン、本作にホントに多くて、頻出してくる若手大部屋俳優への統括が、ホントに出来ていない。こんなに顕著な欠陥が、こんなに散見する映画も、珍しい。
 マスムラ、手を抜きすぎ。あるいは、一言二言のみの俳優は、助監督マターだったのか、だとしても助監督への統括が出来ていないことは、増村保造の責任だろう。ここに、プログラム・ピクチャアの欠点が、マスマスムラムラと露呈している。
 あるいはマスムラとしても、あまりに多人数の一言二言俳優を多用せざるを得ない事態に、ずっこけたのか。同年の、やはり多人数が出てくる「氾濫」の、しかし凄腕ばかりの出演者の、絶対的安定感とは、エライ違いだ。

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 なお、後者では、テレビ・フロア・マネージャー役は、藤巻潤こと藤巻公義。本名か。

◎追記◎最高殊勲夫人(1959) 増村保造監督 冒頭部分


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by mukashinoeiga | 2014-07-24 00:22 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback(21) | Comments(0)

増村保造「親不孝通り」川口浩野添ひとみ桂木洋子船越英二小林勝彦三角八郎潮万太郎市田ひろみ

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。58年、大映東京。あと1回の上映。
 素晴らしい傑作、いかにもマスマスムラムラな最高度。世間的にはほぼ無名作にして、このマスマスムラムラ的達成度。素晴らしい。
 実は映画と映画の間が開き、ここに何かもう1本見れるかな、と探したら、これが、既見作ながら、最適かと。
 その思惑はぴたりと当たり、ご機嫌な80分であった。
 何より、川口浩が最高に、イカシている!

e0178641_21221141.png親不孝通り(80分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
銀座の飲み屋を根城に、遊興にふける大学生たちのリーダー・勝也(川口)は、姉を捨てた修一(船越)への復讐を誓い、計画的に修一の妹・加根子(野添)を誘惑して棄てるが、加根子は勝也の子供を産むと宣言する…。7本の増村作品に出演した野添ひとみは、純粋さと逞しさを合わせ持つ娘の役を溌剌と演じ、初期増村映画を支えた。
'58(大映東京)(監)増村保造(原)川口松太郎(脚)須崎勝彌(撮)村井博(美)間野重雄(音)池野成(出)川口浩、野添ひとみ、桂木洋子、船越英二、小林勝彦、三角八郎、市川和子、潮万太郎、市田ひろみ、渡辺鉄彌、橘喜久子、春本冨士夫

 姉を妊娠させて、捨てた船越英二への復讐と、船越の妹・野添ひとみに接近して、いきなり青姦レイプ、しかもその後の付き合いで妊娠させ、「兄さんに会わせてくれ、君をもらいたいと申し込む」。
 激怒する船越に、「ああ、殴りたいなら殴れ。俺も殴りたかった。加根子、別れてやるよ」。
 しかし、意外や、いや、ここがマスマスムラムラらしいところで、フツウなら大打撃な野添ひとみが、開き直るのだ!
 どんなに不良でナンパなC調大学生を演じても、川口浩、そのさわやかさに、一点の曇りなし!
 天性のチャーム。実父の原作を、最高度に、魅力的に、表現す。

 そしてマスマスムラムラ的演出。
 この濃密なドラマが、たったの80分! 驚嘆すべき凝縮度。しかし、それで欠けてる感がまるでない。
 現代の凡庸な演出家なら、軽く2時間越えだろう、濃密なドラマが、たったの80分!
 いかにもマスマスムラムラな絶好調演出のほかにも、一大特徴あり。
 登場人物全員が、悩まない(笑)。
 どんな人生の一大岐路に立たされようと、川口も野添も船越も桂木洋子も、悩まず、答えいっぱつカシオミニ。
 くよくよに1秒の時間すら消費せず、あらゆる人生の難題を即断即決!即実行!
 この超合理主義者・増村保造の、マスマスムラムラな絶好調演出の、基であり、それがひたすらエネルギッシュな映画的快感に。
◎追記◎とはいえ、さすがに、クライマックスでは、川口浩が潮万太郎(例によって絶品で)のすし屋の2階で、電気もつけずにごろ寝して、悩む(笑)。銀座のすし屋の二階座敷が、まるきりがら空きなのは謎だが(笑)、ここでちらりと悶々とする川口を見せて、すべてをチャラにするのは、見え透いてるぞ(笑)増村。

 川口も野添も船越も。もちろん最高にスバラシいが、川口の姉・桂木洋子にも、目を見張る。この松竹女優時代は、何かいつもメソメソしていて、小動物のようにふるふるしていて、あんまりいいとは思わなかったのを、珍しく大映で、しかもちっともメソメソしていない、堂々振り。この彼女が、なんともいいのだ。
 自信にあふれ、しかも、色っぽい! ずうっと大映だったら、しかも、もっと増村保造の映画に出ていたら、と、残念だ。
◎再追記◎桂木洋子が、恋人・船越に、妊娠したと告げる。フツウの日本映画の、凡庸な演出なら、うれしハズカシもじもじ告白となるのだが、もちろん増村演出は、いたってクール。
 告白されて、船越は、即堕ろすように強く求め、桂木も即応じて、一人で町の産婦人科へ。即堕ろし、即退院する。
 看護婦が「もう一時間ほど安静にして、お帰りになったら」とススメルのも聞かず、そのまま夜のチマタへ。
 この情緒もためらいも逡巡もない、ソク即ぶりこそマスムラ。

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by mukashinoeiga | 2014-06-29 10:55 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback(2) | Comments(0)

井上梅次「五人の突撃隊」藤巻潤本郷功次郎川口浩川崎敬三大辻司郎大坂志郎山村總田宮二郎

 阿佐ヶ谷にて。「娯楽の達人 監督井上梅次の職人芸」特集。61年、大映東京。
 対英軍戦を戦う、ビルマ戦線の、インパール攻撃戦は、糧食も弾薬も、切れかけている、大坂志郎率いる大隊を描く。
 撤退を主張する大坂大隊長に対し、英軍殲滅という、不可能な厳命を受けて、山村聡旅団長が、最前線に出張ってくる。
 通常の大映プログラム・ピクチャアの範囲内で(多少の予算増はあるだろう)大作戦争映画にも引けをとらない?規模を目指す、日本軍と同様負け戦かというと、最終的には、いわゆる<小隊モノ>に、収斂させたのは、お見事。
 大平原と、境界上の河、森のロケ地が見事。国内だろうが、よくこんなロケ撮影が出来たものだ。今では、まったく不可能だろう。そして5台程度の戦車(模擬車だろうが、素人目には、よく出来ていて、感心す)を使いまわして、雰囲気を出す。
 まさに最小限の効果で、最大を期す、大映プログラム・ピクチャアならではの荒業。ランニングタイムは119分と、大映にしては「大作」感をかもし出す。ナイス。
e0178641_5535995.jpg(以下、ネタバレ)
 結局、大隊は撤退をするわけだが、その最後衛、しんがりの役目を務めるのは、藤巻潤、本郷功次郎、川口浩、川崎敬三の、大映生え抜きナイスガイの四人と、大映にもたびたび助演の大辻司郎。
 しんがりは、部隊の撤退を、最前線に残って、援護射撃して、舞台撤退を確認して後、初めて自らも戦線離脱できる、出来るとは言うが、味方を助けて、しかし、自分の生存確率は低いという、きわめて過酷、かつ不公平な役回りである。命令で最後衛につくべき運命を「甘受」して、つぎつぎに、撃たれて、死んでいく若者たち。
 だからタイトルの「突撃隊」は、正しくは、ない。正確には「五人の非突撃隊」だ。
 川口浩自ら大破させた、敵軍戦車を修理して、動かない砲塔として使用する工夫、ないない尽くしの日本軍の無茶振り(短期決戦を目指して、長期戦の泥沼にハマってしまい、進むも地獄、引くも地獄の、ロジスティクス戦略皆無)そのものだ。

 大英帝国軍が、本国から遠くはなれて、この戦争を遂行するのは、もちろん既得権益たる植民地ビルマを守るため。単純だ。帝国主義そのもので、白人どもの欲望に忠実で、迷いは、そこには、ない。
 しかし、大日本帝国軍の目的は? 白人たちが支配するアジア各国を、白人たちから開放し(「戦前レジーム」からの脱却)自らの影響下に組み込み(大東亜共栄圏)日本およびアジアの繁栄を願うものだったが、その意図はあまりに壮大でありながら、惜しむらくは戦略と能力と、糧食と弾薬に、欠けていた。だから、最後は、本当にぼろぼろになってしまう。
 精神力だけでは、戦争にも、外交にも、勝てない。
 余裕がなさ過ぎて負けた日本、負けた川口浩ら、その突然の雨に身を濡れるに任せる、死屍累々のさまを見て、「やあ、雨が降ってきた、雨季だ、当分戦争はおあずけだな」と嘯く、余裕ぶっこいた英兵たち。その「差」を、映画は、静かに伝えている。

 なお、藤巻の兄に、まだチョイ役時代の田宮二郎。弟・藤巻に言いようにあしらわれる兄を、ちらりとした出番ではあるが、快演。ほんとに、いいように扱われるだけなのに、ひときわ、かっこいいんだわ、これが。さすが、田宮二郎。
 チョイ役なのに。はずさんなー。

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by mukashinoeiga | 2012-10-16 01:31 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

井上梅次「宝石泥棒」山本富士子野添ひとみ川口浩船越英二菅原謙二村上不二夫

 阿佐ヶ谷にて。「娯楽の達人 監督井上梅次の職人芸」特集。62年、大映東京。
 こちらも、ホントに、見ていて楽しい、プログラム・ピクチャア佳作。9月15日(土)まで上映中。16ミリ。
 いかにも日本的なバタ臭さの、スクリューボール・コメディ、ここまでやってくれたら、大満足の、ゴージャスな井上梅次ヴァラエティー・ドラマだ。
e0178641_223308.jpg 大財閥のお嬢様に扮した、山本富士子。そのお付きの女中に扮して、野添ひとみ。このふたりは、実は、宝石泥棒。
 レイクサイド・ホテル(ロケは、あからさまに箱根ホテルと明記)に長期滞在しているマダム(イロっぽい熟女には、このひと、の角梨枝子)の、20キャラットのダイアを、ねらう。
 ここに、やはり大財閥のボンボンに扮した川口浩、その叔父の紳士に扮した船越英二の、イケメン泥棒コンビも、参戦す。コミカルなどじっ子・山本富士子、好青年の泥棒・川口浩の、魅力全開。
 これに、怪しげな男・菅原謙二(絶対的なほのぼの感は、いつもの通り)も、くわわり、脚本・監督の井上梅次の、エンターティンメント度は、磐石で。井上梅次、日本のルビッチ、ワイルダーというべきか。スパシーボ。

 願わくば、船越、野添のサブ・キャラにも、恋愛ファクターをふりかけ、ゴージャス感を増して欲しかった。ホテル支配人・村上不二夫は、ルビッチ、プレストン・スタージェスの常連、E・E・ホートンのような、「笑一点」キャラに窯変しえたキャラ。惜しかった。菅原謙二は、村上不二夫より、一日の長ありか。
 大映通常プログラム・ピクチャアの、底ヂカラ。

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by mukashinoeiga | 2012-09-13 21:23 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)