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井上梅次「女は夜化粧する」山本富士子川口浩森雅之叶順子上原謙田宮二郎清水将夫

大人大映らしい夜メロ快作。再見。
 神保町にて。「女たちの街「色」と「花」に彩られた文芸映画の世界」特集。61年、大映東京。
e0178641_1327741.png 大人な大映らしく、と言っては変だが、大映は青春映画が苦手で、大映のほぼすべての若手俳優は、青春の気が感じられない。実年齢は若くても、みんな妙に「大人の事情」に精通しているように見える。
 その中にあって、川口浩だけがゆいいつ、やんちゃ坊主のまま、青春を体現している。大映にとっては貴重な存在だ。
 その浩の父、松太郎は大映の重役でもあったから、おそらく大映から、「センセ、今度は山本富士子主演映画になるような原作お願いしまっせ」などと言われていたに違いない。
 脚本のアテ書きはよくあることだが、これは何と原作からすでに、アテ書きだったと思われる。やんちゃな若者には息子を、気障な紳士にはモリマを、妖艶なやり手には山本富士子を、といった具合に、きわめてシステマティックな、企画→原作→脚本化→イメージ通りの配役。安定したシステム。
 小説家川口松太郎は、今でいう、大映のPB(プライヴェートブランド)だったのね(笑)。そりゃあ効率いいわ。
 ところで、この映画を見た女子の疑問は、あれだけエロかっこいいモリマを差し置いて、山本富士子が、なぜ川口浩に、なびくのか、ということのようだ。まあ、原作者の息子だから、息子可愛さの親バカ、という点もあるかもしれないが(笑)それとは別に…。

e0178641_13281321.png16. 女は夜化粧する S36('61)/大映東京/カラー/1時間41分 (神保町シアターHPより)
■監督:井上梅次■原作:川口松太郎■脚本:斎藤良輔■撮影:中川芳久■音楽:鏑木創■美術:下河原友雄■出演:、川口浩、森雅之、叶順子、上原謙、田宮二郎、清水将夫
赤坂の歓楽街でギター芸者として人気の登子(山本)は、その美貌と手腕を買われ、ナイトクラブを任されることになり…。衣装も雰囲気もゴージャスな山本と、彼女を誘惑する色男たちとの恋の駆け引きも楽しい娯楽作。




 山本富士子は、男を手玉に取る女である。それを商売にして、その適応能力は抜群なのだ。
 彼女はあらゆる客たち、そしてパトロンのモリマでさえ、手玉に取る。
 モリマも、ある程度は押すんだけど、きっぱり富士子に拒否されると、あきらめちゃう、本当の紳士。
 普段はオトコ山本富士子というべき押しの強さで鳴らす田宮二郎も、チャンスを人に譲る、おっとり加減。上原謙も清水将夫もやさしいやさしい。
 そうこの映画では、男たちは、みんな優しい。誰も富士子を不幸な目にあわすようなセクハラ男では、ない。

 その例外が、川口の浩。劇団をやめる当夜に、酒を飲んだ、最後の青春の同士でもあった。 
 富士子がゆいいつ手玉にとれない男。もしくは、手玉に取りたくない男。
 ぐいぐい押してくる浩に、富士子は抵抗できない。むしろぐいぐい押してくる浩に、ついに抵抗しきれず、自分から浩の顔を抱き寄せ、キスしてしまう始末。
 オトコを手玉に取る女は、結局手玉にとれない男に弱い。だから、モリマより川口浩。
 最後、歓楽を期待した富士子を、モリマは店に送る。究極のアッシー君か、「お前、日銭を稼げよ」という共同経営者か。まあモリマは紳士だから、どっちもどっちか。

 この映画は、画質が暗い。クレジットで確認できなかったが、アグファか、偽アグファか。いや、アグファじゃないだろう、もっと美麗なのが大映アグファだ(吉村公三郎「夜の河」)。とにかく画面が暗く、荒い。夜のシーンが多く、室内でも室外でも暗い。
 この当時は、町中のネオンサインも少なく、住宅地も街灯が少なかったろう。
 ということで、今ほど明るくもなかった当時の世相を反映しているのが、明るく楽しい東宝映画に対して、暗くて楽しい大映映画の面目躍如。
 なおクレジットで、特殊撮影というのがあったが、まず気になったのが富士子の控室で、富士子が写る三面鏡での的確な配置。これ、たぶん三面鏡と本人、全部にピントを合わせるのは、相当困難だよね?
 あと、クライマックス付近でうつる、富士子の豪華なラメ入り和服。ピカリピカリ光るのだが、これ暗いなかで実際にピンスポ当てたら、その周りも明るくなるよね。このラメの明り自体が、全部均一の光十字で。

シネマ・パラダイス 山本富士子特集


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by mukashinoeiga | 2018-11-29 13:06 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(46) | Comments(0)

大庭秀雄「京化粧」佐田啓二山本富士子岩下志麻千之赫子浪花千栄子清川虹子山田百合子川津祐介

 阿佐ヶ谷にて。「日本映画紀行 花街のともしび」特集。61年、松竹京都。
 そういえば、だいぶ前に見て、ついつい書き漏らしていたもの。
 珍作というほどのことはないが、珍品気味(笑)。
 俳優序列トップが佐田啓二。普通なら大映から招いた山本富士子と2トップの、二枚看板だろうか。
 なのに山本は、一番最後、トメの位置。
 ここに、山本富士子の微妙な立ち位置が(笑)。

京化粧 1961年(S36)/松竹京都/カラー/96分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督・脚本:大庭秀雄/原作:近松秋江/脚本:斎藤良輔/撮影:石本秀雄/美術:芳野尹孝/音楽:池田正義
■出演:山本富士子、佐田啓二、岩下志麻、千之赫子、浪花千栄子、清川虹子、山田百合子、川津祐介
祇園の芸妓、園(山本)には、旦那と愛人がいたが、東京から訪れた山岡(佐田)と出会い、心が乱れていく──。風情ある京都の街並みを背景に、哀愁ただよう大人の恋愛を巧みに描き出す。脇を固める役者らも絶妙な配役で楽しませてくれる。
e0178641_8494514.jpg

 京都を訪れた佐田は、ふとしたことから山本と出会い、恋に落ちる。
 遠距離恋愛を楽しみつつ、将来に思いをはせる。芸者の山本を身請けして、結婚というわけだが、佐田には、あいにくまとまった金が、ない。
 あるときを境に、山本は姿を消し、探しても、探しても、逢えない。思いが募る佐田。
 とうとう見つけ出すが、いかにも因業そうな山本の母・浪花千栄子が妨害する。
 浪花の考えは、こうだ。佐田が金持ちなら、もちろん娘の想いを遂げさせるに、何の支障もない。しかし、佐田には、金がない。母子二人が食っていくためには、安泰な暮らしをしていくには、金持ちの年配者の妾にするしかない、と。
 因業な(しかし、本人としては、娘に寄生するのは、しごく当たり前)浪花千栄子が母ゆえに、それを否定できない、泣く泣くの山本富士子。
 とうとう、山本のストーカー?と化す佐田。この佐田の沙汰描写が、ちょい失笑する。
 佐田みたいな正統派二枚目のストーカー行為というのは、なんとも、しまらない(笑)。
 中盤、失踪しているせいで、山本の出番は、まったく、ない。その微妙さが、山本富士子トメの真相か?
 山本富士子の妹芸者に、岩下志麻。その後大きな展開に関与するのか、というとそうでもなく、大映から人気女優を呼んじまったので、子飼いの岩下は、ちょいと軽い役だが、我慢してくれ、というところか。
 山本富士子は絶美。こういう失走気味の松竹メロではなくて、出てほしかった。

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by mukashinoeiga | 2015-04-14 08:52 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

五所平之助「猟銃」

 渋谷にて。「日本のオジサマⅡ 佐分利信の世界」特集。61年、猟銃プロ、配給・松竹。
 サブリンが年若い妻・岡田茉莉子には、「食指」を動かさず、茉莉子のいとこ・山本富士子とは、愛欲不倫の日々。
 茉莉子のどこがよくなくて、富士子のどこがいいのか、映画は一向に明らかにしないので、いまいち、ノレない映画。茉莉子が、いつものように、女としては、ぎすぎすしていて、富士子が、いつものように、愛らしいせいだろうか。
 それなら、まったくサブリンと同意だが、そういう「女優の質」だけに頼るのも、なんだか映画としては、情けない。
以下、ネタバレ。

e0178641_22592863.jpg猟銃(35mm)公開:1961年 <渋谷シネマヴェーラHPより>
監督:五所平之助
主演:山本富士子、鰐淵晴子、岡田茉莉子、佐田啓二、乙羽信子、柳永二郎、田浦正巳、佐分利信
離婚後も元夫の愛人が生んだ娘・薔子を育てながら、従妹の夫・礼一郎と不倫関係を続ける彩子は…。愛憎渦巻く大人たちの穢い世界を、薔子の視点から描いたメロドラマ。礼一郎役の佐分利が男の色気を醸し出す。山本富士子と岡田茉利子の演技合戦も見もの。

 自虐的にダメ男を演じたがるサブリン監督作のサブリンを、この特集で見慣れていると、本作における異様なモテモテぶり、茉莉子と富士子を両手の花のサブリンも、また、面白い。
 ただサブリン監督作の、揺れと風格の絶妙な配合、俳優の配置の素晴らしい俳優愛、それらを見たあとで、この五所平映画を見ると。
 男女の心の葛藤と揺れを描きつつ、映画が一向に「揺らがない」のが、俳優たちの演技が一向に「弾まない」のが、歯がゆく見えてくる。
 「堂々とした文芸映画」の、その「堂々」が、紋切り型過ぎて、物足りない。
 「巨匠の王道映画」の凡庸と、食い足りなさを、感じてしまう。
 たいへん愛らしい可憐な鰐淵晴子を、本作で見ていても、一向に、輝いて見えない、という俳優愛のなさも。
 すっかり監督作のサブリン菌に毒されているのかもしれない。

 そして、唐突にあらわれる、あっと驚く落ち。
 山本富士子は、離婚後、長いあいだ独身だった前夫・佐田啓二が、ようやく再婚したときくや、さっさと自害。
 遺書によれば、佐田啓二は「分かれても好きな人」で、サブリンのことは大して好きでもなくて、単なる心と体の飢えを満たすための、佐田啓二の「代用品」だった、と!
 その遺書を、ボー然と読むサブリン。
 いい年こいた大人が、好きな人が再婚したから、自殺というのもトートツだが、これまでの愛欲描写を、通り一遍に裏切る落ちも、なんだかなあ。
 まあ、それほど好きでもない相手と、ずるずる付き合うというのは、ありがちかもしれんが、じゃあ、それまでの愛欲描写を、別の視点から、再構成する作業が、必要だろう、というのは、現代のだらだらした、どんでん返し&再構成描写を見慣れてしまった、現代の映画ファンの不幸かしらん。

 本特集でも上映済みの、感想駄文済みの島耕二「渇き」58年では、同年公開の小津「彼岸花」で、サブリンの娘の友人役・山本富士子を、サブリンの妻役とした。
 その三年後の本作では、その山本が愛人、前年60年の小津「秋日和」で、サブリンらをやり込めていたハツラツお嬢さん・岡田茉莉子を、サブリンの妻に。
 まるで、「女性にウブ」で、なおかつ「すっかり女に枯れ果てた」小津映画の「お子様ぶり」を「揶揄する」かのような、島耕二と、五所平なのであった(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-10-19 05:36 | 佐分利信 サブリン人生劇場 | Trackback | Comments(12)

島耕二「都会という港」山本富士子菅原謙二小川虎之助品川隆二

 阿佐ヶ谷にて。「千客万来にっぽん暖簾物語」特集。58年、大映東京。
e0178641_7454473.png ナイス。まあ、そこそこ凡庸なコメディから出発しているのだが、お邪魔ビンラディンさん言うところの、大映そこそこコメディの素晴らしさ。
 大坂の船場の綿布問屋の長女・山本富士子の、老舗再建を描きつつ、その瓜二つの妹(山本富士子当然の二役)の、駆け落ち問題も、扱う。
 大輪の花のように華やか、かつゴージャスな美貌、そして天然コメディエンヌの生まれ持った、愛くるしいおかしみ、山本富士子の絶品。山本富士子が歩く大阪の街、その背後に「富士フイルム」のネオンサインさえ、ほほえましい(ただし、本作は絶美な大映アグファカラー)。
 有り勝ちなドラマを軽々と展開、その楽しさ。そして、ある意味予想の範囲内とはいえ、<驚きの結末>が、ドラマの<オンナ前>を、さらにアップ。そのオドロキを体現する興信所の探偵・菅原謙二も、図々しさゼッコーチョー。いいなあ。
 山本富士子の「ちんまりとした父」小川虎之助も、いつもながら楽しい。出てくるだけで、ニコニコ。
 のちのTVドラマで、近衛十四郎の相方として爆発的人気のコメディ演技とは真逆の、<暗い二枚目>時代の品川隆二。まるで監督島耕二の役者時代の木村荘十二「純情の都」 (感想駄文済み)で、自身が演じた色悪を髣髴とさせ、面白い。

 島耕二演出もゼッコーチョー。
1 山本妹の家出を菅原謙二に語る、山本姉と虎之助父の回想シーンが、世界回想シーン史上?でも、一二を争う?POPさ。タランティーノなんてメじゃないってーの。しかも、本当は山本姉の回想なハズなのに、父・虎之助に主に語らせる、という、どこまでもの、トリッキーぶり。
2 菅原の、ちんけな雑居ビルのちんけな興信所事務所、山本妹のアパートなど、別の島耕二大映映画でも特徴的だった、ほの暗いシーン、時には人物も真っ黒、顔も表情もわからないような暗さ、その演出の確かさ、華やかさ。
 そう、真っ黒なシーンでも、島演出、華やかなのだ。大映美術陣の重厚かつ華やかな美術、アグファフィルムの重厚かつ華やかな艶めいた発色。真っ黒な暗色のシーンでも、格段な華やかさは演出できるのだ。素晴らしい。
 アグファカラーのすばらしさは、小津だけじゃないぞ。大映、なかんずく島耕二のすばらしさは、どうだ。
(といいつつ、ご本家ドイツ映画のアグファカラーをほとんど見ていないのが、残念)
 ちなみにこの興信所事務所の雰囲気、何とはなしに「純情の都」の、チバサチのオフィスと、なんとなく似ているのが、にやり。

都会という港

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by mukashinoeiga | 2013-12-30 23:52 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback(23) | Comments(3)

三隅研次「女妖」船越英二山本富士子野添ひとみ叶順子

 神保町にて。「時代劇の粋と美学 大映京都の二枚看板 田中徳三と三隅研次」特集。60年、大映東京。
 大映京都での、三隅時代劇の素晴らしさは、いまさら言うまでもないことだが、実は数少ない現代劇の三隅も、いいのだ。 「女系家族」なんて、超最高クラス。
e0178641_1101883.jpg で、本作は、長編映画ではなくて、それぞれ、山本富士子、野添ひとみ、叶順子、大映三女優を主演にした、中篇三本のオムニバス。長編映画のコクはないが、キレは期待したいところ。
 主演は、船越英二の風俗小説家。
ここら辺は原作者、西条八十の投影か。この船越が、さまざまな女たちに、出会っていく。
 第1話。わけありの女・山本富士子との、一夜のアバンチュール。
 第2話。その、しばらくして後。天然系ギャル詐欺師・野添ひとみに、だまされる。
 第3話。生き別れの実の娘と称する若い娘・叶順子に翻弄される。
 つまり、スケベ心横溢の船越が、さまざまな女たちにだまされ、翻弄される物語。これが一本の長編として作られていれば、どれほどの充実した映画だったろうか。しかし、三隅は、律儀に、オムニバスとして映画を、細切れに、作っていく。残念。
 それぞれの物語は、オムニバスという形で、ブツ切れで提供されていて、せいぜいが、トータルで、おしゃれな映画、というところしか、目指せない。三女優は素晴らしいが、トータルでは、輝かない。あくまでも愚直な三隅は、こういう、おしゃれな趣向=オムニバス、では、輝かない。
 ちなみに、第3話で、若い娘と楽しむ船越は、都内に仕事部屋のマンションを持っているが、鎌倉の実家の奥様とは、別居状態。この奥様が、第1話の、山本富士子かしらん。そこらへんの言及は、されていない。が、大映のことだから、おしゃれな恋愛映画で、第3話の、シカトされる本妻が、実は、第1話の、山本富士子の、成れの果て、というのは、十分、ありえる話かも。
 <大人の事情>が、得意な大映としては、もっとへヴィーに、話を展開して言ってほしかったところか。
 80分の映画では、天性の実力を発揮する三隅も、3話86分では、いまいち、トチ狂ったか。 

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by mukashinoeiga | 2013-03-12 00:13 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback(2) | Comments(0)

井上梅次「宝石泥棒」山本富士子野添ひとみ川口浩船越英二菅原謙二村上不二夫

 阿佐ヶ谷にて。「娯楽の達人 監督井上梅次の職人芸」特集。62年、大映東京。
 こちらも、ホントに、見ていて楽しい、プログラム・ピクチャア佳作。9月15日(土)まで上映中。16ミリ。
 いかにも日本的なバタ臭さの、スクリューボール・コメディ、ここまでやってくれたら、大満足の、ゴージャスな井上梅次ヴァラエティー・ドラマだ。
e0178641_223308.jpg 大財閥のお嬢様に扮した、山本富士子。そのお付きの女中に扮して、野添ひとみ。このふたりは、実は、宝石泥棒。
 レイクサイド・ホテル(ロケは、あからさまに箱根ホテルと明記)に長期滞在しているマダム(イロっぽい熟女には、このひと、の角梨枝子)の、20キャラットのダイアを、ねらう。
 ここに、やはり大財閥のボンボンに扮した川口浩、その叔父の紳士に扮した船越英二の、イケメン泥棒コンビも、参戦す。コミカルなどじっ子・山本富士子、好青年の泥棒・川口浩の、魅力全開。
 これに、怪しげな男・菅原謙二(絶対的なほのぼの感は、いつもの通り)も、くわわり、脚本・監督の井上梅次の、エンターティンメント度は、磐石で。井上梅次、日本のルビッチ、ワイルダーというべきか。スパシーボ。

 願わくば、船越、野添のサブ・キャラにも、恋愛ファクターをふりかけ、ゴージャス感を増して欲しかった。ホテル支配人・村上不二夫は、ルビッチ、プレストン・スタージェスの常連、E・E・ホートンのような、「笑一点」キャラに窯変しえたキャラ。惜しかった。菅原謙二は、村上不二夫より、一日の長ありか。
 大映通常プログラム・ピクチャアの、底ヂカラ。

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by mukashinoeiga | 2012-09-13 21:23 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)

田中重雄「夜はいじわる」山本富士子中村鴈治郎船越英二川崎敬三北林谷栄

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン63・山本富士子」モーニング特集。61年・大映東京。
e0178641_6481739.png タイトルから想像される、セクシー・ピンク・コメディーではまったくなくて、和風ラヴコメ快作、なかなか面白い。4/21(土)までの上映。
 京橋で1940年代の田中重雄を見つつ、同時に阿佐ヶ谷モーニングで、60年前後の田中を見る、また楽しからずや。な~んてね。
 老舗鰹節屋の跡取り娘・山本富士子は、いい加減な父(現在の社長)中村鴈治郎の不渡り対策に追われる。鴈治郎は婿養子で、山本の祖母・北林谷栄会長に頭が上がらず、不渡りの責任を取らされて、会長に社長職を解任される。解任されても、娘よ、後は頼む、といい加減な鴈治郎。この鴈治郎が、なぜか、いつもの、関西弁では、ない。調子が狂ったのか、いつもの闊達さが鴈治郎に、ない。無理した?標準語の鴈治郎、不自然で、面白くともなんともないぞ。
 やはり田中重雄「東京おにぎり娘」では、なんと、関西弁の江戸っ子(幼い頃から長年、関西に丁稚奉公ゆえ)、本作でも、どうせ婿養子なんだから、東京の老舗の社長でも、関西弁でも、よかったのでは。とにかく、どんな映画に出ても、必ずザ・鴈治郎ワールドを展開する鴈治郎の、生彩が、ない。恐るべし、標準語効果?
 それはともかく、山本富士子VS船越英二VS川崎敬三の、和風ラヴコメの、素晴らしき可能性をかいま見させる快作ではある。コメディエンヌとしても、絶品の山本富士子。
 なお田中重雄「旅情」どうよう、山本富士子が挿入歌を熱唱するも、平凡な、かつ古臭い歌い方で、感興を殺ぐ。最後はあからさまにフランク・キャプラ「或る夜の出来事」のパクリ、というか、モロのいただきと言うか。芸がなくて、すいやせん、で。
 しかもドライなキャプラ版が、父親の一発の捨て台詞(「この結婚は、金で片がつく」とかの)で爆笑させたのに比べると、ウエットな日本映画では、エンエンつまらない説明シーンを連ねるという違いはあるが。

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by mukashinoeiga | 2012-04-21 01:33 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(46) | Comments(0)

島耕二「渇き」

 神保町にて。「監督と女優とエロスの風景」特集。58年、大映東京。
 このところ、すっかりご無沙汰、久しぶりの神保町シアター。だって、このところ、ぼくにとっては既見作ばかりだったもので。
 結婚6年目、倦怠期の夫婦、佐分利信と山本富士子、って・・・・、おい!
 本作は58年、6月公開とのこと。ところが、なんと小津安二郎「彼岸花」では、友人・有馬稲子の父・佐分利信を、だます娘世代の山本富士子。「彼岸花」は、「渇き」三ヵ月後、同年9月公開とのことだ。
 まあ、いろいろな役を演じる、それが役者といってしまえばそれまでだが、ちょいと極端だあね。
 「彼岸花」では、父親世代として余裕の眼を、娘世代の山本に向けていた佐分利も、本作では、酔っ払って、妻・山本富士子に、ねっとりと欲望の目を向ける。でも、「あなた、およしになって。女には、準備というものがありますもの」と、これも久しぶりでまんざらでもない山本富士子、別室でその準備を、うきうき整えて戻ると、当のサブリンは、待ちくたびれて高いびき。

 あるいは、他社では、とっくに人妻女優の山本富士子を、行き遅れではあるが、いまだきゃぴきゃぴの娘として扱う、小津の、女優感覚といいますか。これは小津の後輩、しかも小津「東京物語」リメイクを画策している山田洋次「男はつらいよ」シリーズが、言っちゃ悪いが、常に、他社のお古女優(失礼)を、ようやくマドンナに迎えるという、時代感覚に引き継がれている、松竹の伝統芸なのかしらん。妄言多謝。

 「彼岸花」では、ちょいと嫁に行き遅れの、しかし娘。本作では、倦怠期の、佐分利信の妻。若い大学生・川崎敬三にメロメロとなり、ついには婚外妊娠。
 こういう、佐分利・山本・川崎の三角関係メロドラマには、まったくどうでもいいのだが、まあ、水準的なメロドロマ(ドロドロな関係のメロドラマは、当ブログでは、メロドロマと呼んでいる、って、本当かい)というしかないが、なんと、本作は「彼岸花」どうよう、とても美しいアグファ・カラー! しかも「彼岸花」のスタンダードに対し、本作はシネスコ・サイズ。
 ああ、やっぱりカラーはアグファに限るなあ、とため息。撮影・小原譲治の美しい映像。
 そして、島耕二は、ほの暗い照明を多用して、人物を真っ暗に映すのが、やはりスキなんだねえ。ほとんど真っ黒なシルエットに、一部顔が、光を浴びて、輝く。山本富士子の美貌と、黒は黒ではっきり写るアグファ・カラーの素晴らしきコラボ。そして、そのアグファで最高に映える、大映美術も、グッド。
 男女が密会する、ほの暗い喫茶店が多用されるのも、色事の雰囲気作りもあるだろうが、アグファカラーの、くっきりとした黒を出すためではないか。
 川崎敬三の友人大学生に、まだ柴田吾郎時代の田宮二郎。さわやかな川崎もいいが、どうせメロドロマなら、ねっとり田宮で、見たかった。
◎追記◎小津は、確か、大映から山本富士子を借りるに当たって、やはり山本の華やかさはカラーでこそ、と自身初のカラー映画「彼岸花」を撮った、ということのようだ。ということは、山本富士子こそ、ザ・アグファカラー女優というべきか。冨士フィルムは、お呼びでなかったのね(笑)。「あたしにも、写せます」でも、「あたしを撮るのは、十年早いわよ」というところか。
◎追記◎サブリンが宴席に行くと、上座に座るは、大山健二。もちろん戦前松竹で、何十回も共演したふたり。大山健二は、この頃、大映専属の脇役、いい年のオヤジふたりのツーショットに、こっそりうれしがるのは、戦前松竹ファンのみの特権?(笑)か。

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by mukashinoeiga | 2012-03-05 00:09 | 島耕二と行くメロドラ航路 | Trackback(19) | Comments(0)

小津漬の味7『彼岸花』あるいは紳士は何を忘れたか

  「明日、モーニング、どうなさいます?」
  「何だっけ」

 紳士は何を忘れたか。
e0178641_495985.png 『お茶漬の味』が『淑女は何を忘れたか』の変奏的リメイクであることは、誰もが知るところではあるが、まさか『彼岸花』でさえそうであることは、知らなかった。それとも小津ファンの間では周知の事実なのであろうか。
  『淑女は何を忘れたか』『お茶漬の味』で、その振る舞いを批判されるのは栗島すみ子、小暮実千代であるが、『彼岸花』では、もちろん佐分利信である。男女逆転版のリメイクといってよいだろう。
 では、たしなめる側といえば、『淑女は何を忘れたか』では<大阪から来たモダンガアル>桑野通子。『彼岸花』では<京都から来た母娘>山本富士子と浪花千栄子の二人体制。佐分利のポン友、中村伸郎・北竜二らは、『淑女は何を忘れたか』栗島の友人、飯田蝶子・吉川満子に対応する。『彼岸花』では淡島千景、上原葉子らだ。友人たちの交友も、男女逆転しているわけだ。
  『淑女は何を忘れたか』で味方されるのは斎藤達雄だが、『彼岸花』で味方されるのは、有馬稲子(と間接的に田中絹代)、娘を送っていって叱られるのは『淑女は何を忘れたか』で佐野周二、『彼岸花』で佐田啓二。 そしてもちろん『淑女は何を忘れたか』で珍しく頭のよい子を演じて、笑わせてくれる突貫小僧・青年版とも言うべき高橋貞二も『彼岸花』にはいる(「いつもの、普通の、国産の、安いの」高橋の快演が一番印象に残る。ああ、小津で、この突貫青年をもっと見ていたかった)。

 この、まったく同じ話を偽装するために、笠智衆・久我美子親娘の話を紛れ込ませているというのは考えすぎか。しかし、このエピソードはあまりにとってつけたようだし、短いし、もう一人のヒロイン・有馬稲子は肝心のシーンになると、しくしく両手で顔を覆ってしまうし、この二人ヒロインとしてはあまりに弱いのだ(しかも終盤にはまったく顔を見せない)。
 どうしても真のヒロインは、山本・浪花コンビになるだろう。(と、言うことを書いたあと、里見弴の原作を読むと、意外なことに原作では笠智衆・久我美子父娘の話がメインでありました。しかしこの暗いエピソードをメインに映画にするとコメディにならない、それこそ『東京暮色』タッチになってしまうだろう)

 ラストの、長い列車シーンの佐分利は『お茶漬の味』のこれまた長い小暮の列車シーンを思わせるし、『お茶漬の味』の津島恵子の仮病騒ぎは、『彼岸花』の浪花の偽りの人間ドッグ入院騒ぎに対応する。『お茶漬の味』の女たちの温泉旅館での宝塚合唱も、『彼岸花』の男たちの同窓会の合唱に通じている。してみれば『彼岸花』は『淑女は何を忘れたか』と『お茶漬の味』の合わせ技(で、なおかつ男女逆転版)と言うべきか。
 じじつ『淑女は何を忘れたか』には小津大船映画としては珍しく上原謙がちらりと出ているが、対して『お茶漬の味』にも珍しく上原謙夫人が出ている。そして『淑女は何を忘れたか』ヒロイン・桑野通子遺児みゆきが『彼岸花』には出ている。この珍しき連鎖的キャスティングこそ、小津の目配せと強弁しておこう。

 そうして佐分利信。『お茶漬の味』といい『彼岸花』といい『秋日和』といい、女にとっちめられるときは必ず佐分利信。とっちめられ役としては笠智衆ではしゃれにならなかったのだろう。女にとっちめられることがサマになる男、佐分利。『戸田家の兄妹』で理不尽に兄姉をとっちめたことのたたりなのであろう。あのとっちめる佐分利は、かなり後味が悪いものであった。<戦後>の小津は、それを反省して、佐分利を永遠のとっちめられ役にしたのだろうか。
 「彼岸花」の花言葉は「悲しい思い出」「感傷に浸る」であるという(珍しく、まともなシメだ)。

『彼岸花』予告編


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by mukashinoeiga | 2009-07-19 10:55 | 小津安二郎映画の正体小津漬の味 | Trackback | Comments(0)