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マキノ雅弘「人形佐七捕物帖 めくら狼」

 神保町にて。「横溝正史と謎解き映画の快楽」特集。55年、滝村プロ、配給東宝。
 うーん、ビミョーだ(笑)。と言うか、マキノにしては、あまりに凡作駄作。しまりなし。

人形佐七捕物帖 めくら狼 <神保町シアターHPより>
S30('55)/滝村プロ/白黒/スタンダード/1時間41分
■監督:マキノ雅弘■原作:横溝正史『人形佐七捕物帳』■脚本:毛利三四郎■撮影:三村明■音楽:紙恭輔■美術:清水喜代志■出演:小泉博、田崎潤、志村喬、水島道太郎、瑳峨三智子、進藤英太郎、新珠三千代
五大捕物帳の一つに数えられる横溝の人気シリーズの映画化。美男の岡っ引き・佐七(小泉)は手裏剣による連続殺人事件の謎を追う。『次郎長三国志』の直後、マキノ一家勢揃いの賑々しさも楽しい快作ながら、なぜか上映機会が少ないレアな一本。
*本作の表題に、現在一般的に用いられない表現が含まれていますが、製作された当時の社会的認識によるものです。作品を当時のまま再現するため、表題を変更することなく上映いたしますことをご理解ください。

 という、神保町の紹介を読むと、本作はタイトルのせいで上映の機会が少ない、とミスリードされてしまうだろうが、上映の機会が少ないのは、本作があまりに駄作なせいと見た(笑)。
 マキノにしては、あまりのとっちらかりっぷりに、ワタシは、何度も何度も失神しました(笑)。
 おそらく情のひとマキノには、理詰めのミステリは、一向に興味がないのだろう。
 理詰めったって、たかだかお江戸の捕物帖だ。擬似ミステリというべき、理詰めの真似事の真似事みたいなもんだが、それでも情より、論理の結構を優先するミステリに、マキノの感性が呼応しないのは、致し方なし?

 小泉佐七とその恋女房・瑳峨三智子の夫婦ドラマ、佐七の子分、本郷秀雄&田中春男(例によってお江戸が舞台なのに関西弁)コンビの、つまらないコント会話、野良犬を連れて歩き回る水島道太郎の素浪人、伊藤晴雨みたいなあぶな絵師・石黒達也、女曲芸・新珠三千代の、ストーリーが、すべて、かみ合わない。凡の庸。
 両替商・志村喬が殺されても、その番頭が進藤英太郎なら、何のミステリですらない(笑)。
 ただし絵のフンイキは最高で、横溝怪奇趣味は横溢。さすが撮影:三村明。
 凡庸以下の、投げているとしか思われない、マキノ演出のみ不可。
 ただし、R・テンプルとクレジットされる、女曲芸師、たどたどしい素人な台詞回しは別にして、その柔軟な身のこなし、曲芸は、きわめて映画的。
 冒頭、まだ若くてその顔がいまだ不安定な新珠三千代と、進藤英太郎の会話を、盗み聞いている、からだをくねくねさせる準備運動のままの彼女は、素晴らしい。
 このR・テンプル(といいつつ顔は東洋人)に「影響」されて、小泉佐七、聞き込みの相手の前でぐっと、寝そべったりは、グッドなマキノ演出だが。ただし、つっころばし演技の小泉博は、曲が、ない。
  恋女房・瑳峨三智子も、意外や以外、実はマキノ的曲が、ない。
 本作では、例外的に、マキノこそ映画的めくら狼な(笑)。残念。
◎追記◎常々ぼくの疑問は、カラーワイドの東映時代劇全盛期に、マキノ作品が少ない印象があるところだ。そのあとに東映任侠モノでは、大活躍なのに。
 もちろん他社に出張、というか、いろいろ契約関係が複雑多岐な方であり、義理と人情に縛り縛られ、映画各社を渡り歩いた、日本映画史上最強(笑)の流れ者でもあった方だから、時代劇全盛のころは、東映ではなかったという大人の事情もありそうだ。
 しかし本作の駄作ぶりを見るにつけ、東映時代劇の大部分は捕物帖の印象があるので、ことにヒーローもの、アイドルものは、そう。あとはお家騒動とか、旅がらすモノとか、過去の因縁の復讐モノとが、ぱらっぱら。
 で、アルならば、マキノ、あいつは捕物帖だけは、ダメだ、と周囲も自分も思っていたのではないか。
 で、アル、と、するならば、東映ファンとしても、マキノファンとしても、駄作が減ったことになり、実に幸いというところか。
 また、伊藤晴雨的あぶな絵師・石黒達也が、女を縛り付け、鎖で巻き、という団鬼六的SMの、アブな絵を描くのだが、そのモデルとなるのが、軟体の曲芸師R・テンプル。無理な体勢を取らされ、苦悶の被虐に耐える女、という設定に、軟体曲芸師を当てる発想は、マキノ、とことんヘンタイがわかってないな(笑)。

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by mukashinoeiga | 2015-03-22 04:28 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Trackback | Comments(0)

本多猪四郎「マタンゴ」円谷英二特撮

 池袋にて。「没後40年 特技監督・円谷英二の世界」特集。63年、東宝。
 「ガス人間第一号」の同時上映ゆえの再見。再々見か。
 「ガス人間」同様、<ゴジラのような巨大怪獣を出さずによりリアルな?特撮映画を>というコンセプトだと思う。大人向けの特撮映画、ということか。あるいは、ゴジラ映画より、より低予算で円谷特撮チームを活用できないか、つまり、「ゴジラ」シリーズほどの予算をかけずに、そこそこの映画が出来ないか、大作怪獣映画だけなら、特撮チームを遊ばせることになる、ということか。
 そこで恋愛要素、文芸映画要素を加え「ガス人間」、青春・冒険映画要素を加え「マタンゴ」。
 しかし「ガス人間」も大人向けに徹しきれず(?)、身についてしまったお子様ティスト、残念でしたね。もう、ちょっと、だったのに。でも、こっから、TV「ウルトラQ」へ、いけたのだ。
「原水爆に被爆して、巨大化したゴジラ。そろそろマンネリだ。次の企画を考えろ」
「原爆といえば、きのこ雲ですよね」
「そうだな」
「じゃ、きのこの怪獣ってのは、どうです?」
「おっ新発想だね(笑)。植物の怪獣ってのも、新機軸じゃないか」
「じゃ、巨大化したきのこ怪獣が、町を襲うと」
「いや、今回の予算では、ミニチュアはそうそう組めんよ」
「じゃ?」
「だからぁ、等身大よ等身大」
 てな、感じか(笑)。
 小泉博・久保明・土屋嘉男、水野久美、などの二線級で固め、矢代美紀なる新人もなかなかいい。
 きのこを食ったら、きのこになる、コンセプトが、いい。
 無人島モノとしても大駄作「東京島」のスタッフ・キャストに、見てから、作って欲しかった。「東京島」が、まるで民主党政権並みに、こんなミスしたらあかんやろ、というミスを数限りなく犯した、そのミスを、「マタンゴ」は、ほぼ、回避していく。
 もっとも、民主党も「東京島」も、はたから見ればミステークなのに、当人たちはしれっとして、むしろ功績と思っているフシもあり、ああ、鈍感な人はどこまで鈍感なのか、と自分を棚に上げて、思う。
 きのこを食って、丸々超え太って、肌の艶も美しい、水野久美の、ベスト・イメージ。
 飢餓の中の、妄想的飽食の幸福。やっぱり、きのこ、だよね(笑)、妄想のキモは。

by mukashinoeiga | 2010-12-18 00:02 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(2) | Comments(0)