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「東京物語」またまた指田文夫さんの珍論

大衆文化評論家指田文夫の「さすらい日乗」というブログをたまたまのぞいたら、「日本映画学会第12回大会」という記事があって、その一部に仰天した(笑)。以下一部を抜粋引用する。

e0178641_982320.jpg新潟大学の羽鳥隆英さんの「淡島千景資料」を使用しての五社協定下の俳優の動きは、非常に興味深い発表で、東宝の池部良、松竹の佐田啓二らが、会社を超えて俳優のつながりを作り出そうとしていたことが淡島千景さんの資料から実証された。
私もまったく同意で、戦後の独立プロ運動が、東宝を出た左翼独立プロから、1960年代の大島渚らの松竹脱退組のみで語られるのは不満で、いろいろな動きがあったことはもっと研究されるべきことだと思う。
昼食後は、小津安二郎についてが2本あり、相変わらずの小津人気の高さを知らされた。
京都大学の伊藤弘了さんは、小津作品の小道具や部屋の絵画等を手配していた北川靖記の役割についてのもので、小津の広い人脈が改めてよくわかった。
一橋大学の政清健介さんのは、『東京物語』における引き戸の音の処理についてで、大坂志郎の場面への入りの扱いが特別だったことが協調されていた。それは私の考えでは、小津は大坂志郎が嫌いで、そうしたのではないかと思った。
もし、小津が大坂が嫌いでなければ、原節子は次男の死の後、三男の大坂と結婚したはずだったからである。
戦後、男が戦争で死んだときは、その兄弟、多くは弟と再婚したものだったからである。それは、農家等では財産を家で保持するという意味も大きかったと思う。(以上引用終わり、文字変色は引用者)


 相変わらず指田さん独特の根拠不明な断定調が、ひどい(笑)。
 戦前から一貫して、家制度の崩壊を描いた小津が、仮に大坂志郎が大好きだったとして、ハラセツと夫の弟の結婚を描くはずもない。
 小津の基本姿勢は、家族が増える結婚は許さない、ということであり、現に笠智衆は、ハラセツにほかの男との再婚を促して、家族を減らそうと努力しているのだ。
 しかも、笠智衆の息子・娘は、より近代的なミニマムな家族構成を志向しつつあるのであり、指田さんいうところの「農家等」の発想とは、まさに真逆な立ち位置だろう。

 妄想も極まれり、というところか。

 なおついでに読んだ同ブログ、『「小川宏ショー」に出た兄』もまた、意味不明の珍文である。短いので全文を引用する。

アナウンサーの小川宏が亡くなったそうだが、その人気コーナーのご対面に私の兄が出たことがある。
相手は女優の高峰秀子で、彼女の小学校時代の「恩師」が私の父・指田貞吉で、1960年に死んでいるので、その代わりで当時20代の兄が出たのである。
私は家で、8ミリカメラで撮影したので、そのフィルムは今でもあるはずだが。
私たちの父が彼女の小学校時代の「恩師」であったことは、彼女の自叙伝『私の渡世日記』に書かれていて、少々褒めすぎのように私たちには思えるが、彼女のような大女優に記憶されているのは、勿論うれしいことである。
高峰秀子は、恐らく日本映画史最高の女優の一人だと思うが、このブログでも彼女のことに触れないのは、その性である。

 たったこれだけの理由で、「恐らく日本映画史最高の女優の一人」に「このブログでも彼女のことに触れない」のは、常人には理解できないクレイジーさだと、私は、思います(笑)。異常なまでの自意識過剰、以外には、わたくしの凡庸な頭では、理解できない(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-12-07 09:10 | 小津安二郎映画の正体小津漬の味 | Trackback | Comments(3)

工藤栄一「大殺陣」

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。64年、東映京都。
 傑作である。やはりキング・オブ東映集団時代劇、工藤栄一、風格すら漂う。再見。
 にこにこ笑顔が似合う、ほのぼのお父さん役者の、大坂志郎をあの役に。ベスト・キャスティング。

大殺陣 (118分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
将軍・家綱の後継に甲府宰相・綱重を擁立し実権を握ろうとする大老(大友)の企みを阻止すべく、軍学者・山鹿素行(安倍)のもとに結集した一党が綱重暗殺を計画する。『十三人の刺客』の工藤栄一と池上金男コンビによる「集団抗争時代劇」。クライマックスの襲撃シーンには、安保闘争のニュース映画の音声が加えられている。
1964(東映京都)(監)工藤栄一(脚)池上金男(撮)古谷伸(美)富田治郎(音)鈴木静一(出)里見浩太郎、河原崎長一郎、平幹二朗、宗方奈美、大木実、大坂志郎、砂塚秀夫、稲葉義男、加賀邦男、安倍徹、山本麟一、原田甲子郎、三島ゆり子、園佳也子、春日俊二、成瀨昌彦、大友柳太朗
e0178641_945468.jpg 当時の東映のポスターから、異常にかけ離れた構図。

 池上金男の脚本は、ひねりに、ひねっている。

 軍学者・山鹿素行に共鳴する同志・弟子が次々捕えられ、拷問され、殺されていく。追い詰められた山鹿一派が、採った奇策とは。
 これらの過剰警察行動の主役は、大目付・大木実であり、それを命じたのは大老酒井雅楽頭・大友柳太郎である。
 いわば幕府体制側による白色テロ、これを21世紀の今日に至るも、堂々採用しているのが、ナニを隠そう、って隠しようもないが、アフリカはさておき、東アジアでは、中国と北朝鮮の、二国もある。
 さて、警察2トッブは、警戒して、警備が厳しく、テロるワケにも、行かない。もちろん「多様な飛び道具」が充実しているこんにちでは、いかに警備がきびしくてもテロれる可能性はあるが(最近はその飛び道具に、新たにドローンなるものが加わり、ますます充実)幕末ならぬ江戸時代においては、剣のみが武器だから、かなわない。

 ここで注目されたのが、大目付のバックには大老、大老のバックには、次期将軍候補・甲府宰相綱重だ。
 次期将軍候補が、後ろ盾であるおかげで、大老酒井雅楽頭の権力は、未来的にも担保されている。綱重を「排除」できれば、その他の次期将軍候補たちと、酒井雅楽のあいだに繋がりはなく、むしろアンチ酒井雅楽、もはや山鹿一派の抹殺どころの騒ぎではない、自分の地位の心配をしなければならなくなる。
 そして次期将軍候補は、自分が殺されるという理由が存在しないがゆえに、警備は通り一遍だ。
 なんという斬新な戦略か。
 トカゲのシッポ切りというのは、世にあまたあるが、これは、アタマ切りというべきものか。
 上司による、部下切りというのは平凡だが、部下を排除するために、上司を撃つ。
 将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。これが世の常識。
 ところがこの映画では、馬を射んと欲すれば先ず将を射よ、と。
 何たる革新的戦略であることか。これこそ真の下克上ではないか。
 部下のために、殺された綱重さんも、まことお気の毒(笑)。何の罪(笑)もないのに。むろん史実ではない、史実をりクリエイトした創作だが。

 池上金男の脚本、工藤栄一の演出、ともに見事、それらを支えた撮影陣(当時の重いキャメラでの手持ち撮影の素晴らしさ)、美術も見事。
 それまでは何の活躍もしない遊び人の安旗本・平幹二郎の、ラストでの唐突さ。ここは、当然そうなるだろう、という「配置」で、「お約束感」に溢れているのだけが、唯一のカキンか。
 おそらく吉原の寝床か、酒飲みの最中に、騒動の音を聞き、窓からのぞき見る、というシーンも当然撮影したのだろうが、それがあったら、この修羅場の緊張感は実現できなかっただろう。緊張感優先で削除されたと思う。

 なお、終映後、ぼくの前を行く白髪の老人が「難しくて、よくわからん」とつぶやくが、
1 世の中には、単純なスジの娯楽映画しか、理解できない人もいる
2 映画が難しいわけでなくて、描かれた複雑怪奇な社会の闇に対する拒絶反応
 さて、どちらか。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
 
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by mukashinoeiga | 2015-05-22 09:14 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)