タグ:丹波哲郎 ( 4 ) タグの人気記事

渡辺祐介「桃色の超特急」大空眞弓(真弓)松原緑郎坂本武花井蘭子鳴門洋二若宮隆二丹波哲郎

よく出来たラヴコメ快作。お気楽楽しい。
 渋谷にて。「玉石混淆!? 秘宝発掘! 新東宝のまだまだディープな世界」特集。61年、新東宝。
 イッコ前の感想駄文「契約結婚」と、同じ年、同じ監督、同じヒロイン女優、快作なんだけど、演技もうまい新人男優たちが、その後伸びなかったのは、うまいしイケメンだけど、整いすぎて、いわゆるスタアオーラが足りなかった、というところか。
 また音大声楽科出身の大空が主題歌を歌う、うまいのだが、これが絵にかいたような学校で習ったすっきり歌唱で、何の味もない。当然ヒット歌手には、なれなかった。ヒットする流行歌の歌手には、声に何らかの引っ掛かり、いわゆる「魅力」「雑味」がなくちゃね。歌詞も曲も関係ない、ただその声自体が人を魅了しなければ、ヒット歌手にはなれない。
 もちろん大空のせりふ回しは、大変甘い声なんだが、歌唱は、そうではなかった。

e0178641_13343049.png『桃色の超特急(デジタル)(87分)』公開:1961年(渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:渡辺祐介
出演:大空眞弓、松原緑郎、坂本武、花井蘭子、鳴門洋二、若宮隆二、丹波哲郎、杉山弘太郎、西一樹、小高まさる、国方伝、水原爆、松原由美子
ショーを目前に人気モデルが失踪。替え玉探しを買って出た吾郎だが、瓜二つのストリッパーは鼻を整形してしまい…。やっと見つけたそっくりさんを騙して、ショーが開催される大阪行きの特急列車に乗り込んだ吾郎の運命は!? テンポも良ければ主題歌も楽しいロマンチック・コメディ。モデル、ストリッパー、水商売風の女、吾郎の隣人と、大空眞弓が一人四役を演じる。


 日本型スクリューボールコメディとして、あからさまにロープに毛布を垂らして、男女を分かつという、フランク・キャプラ「或る夜の出来事」をそのまま援用したり、まああからさまなんだけど、かえって狙いがわかって、好ましい(笑)。
 坂本武社長が珍しく関西弁。ネィティヴとは言えないが、それなりに柄にあっている。
 二人を乗せるトラックの運ちゃんに丹波。この時期としては珍しい、こわもてではない三枚目。晩年に山田洋次作品(題名失念)での爆発的三枚目の丹波を見て、丹波もっとイケたんじゃないか三枚目、なんとも惜しいことを。日本映画の損失とさえ思う。
 後出しじゃんけんで言えば、二代目寅さんも、何代目かのおいちゃんも、丹波でよかったんじゃないかと(笑)。
 この映画は、その三枚目丹波の片鱗を見せてくれた。
 ちなみにおいちゃん役は、初代森川信はともかくとして、二代目もその次も面白みに欠け、山田洋次としては、党員とは言わないが、共産党シンパの商店主というイメージで、キャスティングしたのだと思う。「おめえ、さしずめインテリだな」の、つまらないおいちゃんたち。


e0178641_13351952.jpg西郷輝彦@teruhikosaigo
石井ふく子さん92歳のお誕生日会。
71歳の私がガキのように、
あれこれお説教頂いたのでした。
男優陣も当然ながら、女優陣のすごいこと。

 中央石井ふく子の左右が、長山藍子と大空真弓かな。前列香川京子のほかは、よくわからず。このなかでは超若い薬師丸ひろ子の可愛さが目立つのみ。
 このなかでは若手の薬師丸、高島が最後列にいる中、三田佳子が先輩香川を脇に従え?、ちゃっかりメインの位置に。うーん、これでは息子もはみ出すわけだ?
◎追記◎どうやら上記薬師丸ひろ子云々は、ぼくの見誤りで別人のようです。詳しくは下記コメント欄にて。皆さん、ありがとう。
 ★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

by mukashinoeiga | 2018-09-12 13:35 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(11)

江崎実生「七人の野獣 血の宣言」丹波哲郎宍戸錠岡田真澄小池朝雄山本陽子弓恵子青木義朗高品格郷鍈治小高雄二

驚きの大爆笑快作。いやあ笑った笑った。頭からしっぽまでの爆笑作。
 今年のシネ初めにして、初笑い。67年、日活。
 阿佐ヶ谷にて「ピカレスク スクリーンで味わう〈悪〉の愉しみ」特集。
 無名な初めて聞いた作なれど、なんだかやたらにシリアスなタイトルにかかわらず、なんともおバカコメディ。
 本日池袋の初笑いコメディ特集では、たまたま鈴木則文「伊賀野カバ丸」石井輝男「直撃地獄拳 大逆転」が上映されているが、充分それに、匹敵するおバカ傑作。
 そういえば郷鍈治も丹波も「直撃地獄拳 大逆転」にも出てるなあ。
 来年の初笑いは「直撃地獄拳 大逆転」「七人の野獣 血の宣言」の2本立てで、観客の腹筋崩壊を図るべし(笑)。

e0178641_20365425.jpg七人の野獣 血の宣言 (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
1967年(S42)/日活/カラー/91分
■監督・原作・脚本:江崎実生/原作・脚本:山崎巌/撮影:安藤庄平/美術:千葉和彦/音楽:山本直純、坂田晃一
■出演:丹波哲郎、宍戸錠、岡田真澄、小池朝雄、山本陽子、弓恵子、青木義朗、高品格、郷鍈治、小高雄二
丹波哲郎扮する元刑事が、一癖も二癖もある野郎たちを集めて大スケールの現金強奪を画策。他人の競馬場襲撃に便乗して、売上金約三億円の横取りを狙う──!スリルとユーモアがいっぱいの娯楽アクション。

 格別すごいギャグがあるわけでも、圧倒的なアイディアがあるわけでもないのに、とにかく、ぼくも場内は笑いっぱなし。
 小悪党どものせこい裏切りの連続技が、とにかく笑いの波状攻撃を生む。一致団結を皆の前で誓い合っては、その一分後に裏切り合う。その繰り返し。
 まるでやんちゃな小学生同士レヴェルの、合従連衡、つばぜり合いの数々が、卑怯な笑いを次々呼び込む。幸福な映画
 少し前に、昨年末に、ほぼシネ納めかなあ、中平康「危(ヤバ)いことなら銭になる」を再見して、こんなソコソコの映画がなぜみんなに評価されるんだ、と疑問に思っていたのだが、今ならはっきり言える。
 無名の「七人の野獣 血の宣言」は、有名な「危(ヤバ)いことなら銭になる」なんか問題にならないくらい、はるかに面白い。断言する。

 とにかく日活アクション末期らしく、岡田真澄ら二線級日活スタアやら、高品格ら大物なれど脇役級、子飼いの大部屋俳優を準主演格に据え、それでは花がないので、フリーの丹波を主役に、ヒロインに元大映の弓恵子で、華を添えさせ、って、実際コケティッシュな魅力で次々男を篭絡させる不実な女って、遠い昔の筑波久子以来トンといないのが日活女優たちだから、この役回りは、外部から、特に大人の映画を量産した大映女優を召喚しなければ、務まらないわけか。

 ポスター写真や俳優ビリングでは、丹波哲郎と同格の宍戸錠が、実はラストの数分にしか出ていなく、山本陽子も、数分のみ出演という、苦しい布陣なのだが、その苦しさを、かつての日活映画の栄光を、体験して、そして逆境の、倒産直前ともいうべき現在に、仲間たち、上記にはないが、浜川智子鈴木清順「東京流れ者」で、オバQを読む女、吉永小百合にも北川景子にも似ている美人女優だが、大成しなかった)、女装姿の深江章喜、悪ボス富田仲次郎の子分どもも、いずれも顔に見覚えあり。
 水増しといえば水増しオールスタアだが、それでも、よく出てきてくれました、と。
 ただただ感謝感謝。
 ただし刑事小林昭二、署長河上信夫、富田の部下木島一郎が、ムーヴィーウォーカーにあるが、出演していなかったような?
 刑事は小高雄二が演じており、50年代から60年代初期にかけて日活の主役級だった小高が、クレジット上は大部屋扱いの位置にあるのが、しかも小林昭二の代役扱いというのが、時代を感じさせるなあ。
e0178641_1184562.jpg 美術・千葉和彦は、木村威夫の弟子格ではなかったか。キムタケ愛用の「波系の窓文様のドア」が多用されて、ああキムタケだ、日活だ、とうれしい。
 また天井がガラスになっていて、そこでキャバレーダンサーが踊っているのが、下からのぞける、というのは、鈴木清順「東京流れ者」中平康「危(ヤバ)いことなら銭になる」でもおなじみ。ああ日活だなあ、と。
 いずれにせよ、オールザット日活映画というべき、日活ファンとしては、末期ながら夢のオールスタアキャストでは、ないか、と。爆笑しつつ、実は、泣いているのですね(笑)。

 アジトにしているのが、港に係留された、敵所有のヨット。
 まさに日活映画の残照で。
 そのヨット上でギター爪弾き唄うのは裕次郎…ではなくて、かっこつけているが調子外れの郷鍈治(笑)。ついでに小林旭ならぬ小池朝雄もギター弾き語りって、おいおい(笑)。
 まだ数日上映する絶対のおススメ(笑)。
 単純にドタバタコメディとして期待以上の面白さだし、日活ファンとしては必見の面白さだし。
◎追記◎しかし上記ポスターのジャックは、素人芸以下。右下の弓恵子?写真は、なんだか素人っぽい。うーん、レイアウトのプロっぽさとの、この落差。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★
[PR]

by mukashinoeiga | 2017-01-09 01:18 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(2)

深作欣二「ジャコ萬と鉄」

 京橋にて。「特集・逝ける映画人を偲んで 2013-2014」特集。64年、東映東京。高倉健の追悼による上映。
e0178641_23222782.jpg 感想駄文済みの★谷口千吉「ジャコ萬と鉄」★のリメイク。
 冒頭、編集のリズムのせいか、もともと撮ってきた素材のゆえか、映画の流れが、ぶつぶつぶつ、切れて、いや、プリントがずたずたというわけではなく、話の流れやら、観客の情感やらが、数十秒ごとに寸断される感じの、編集というか、ドラマというか、要するにドラマ部分とニシン漁ドキュメント部分がうまく融合していないせいだと思うが、まあ谷口千吉は、やっぱり、へただなあ。(自ブログ引用終わり)

 オリジナル谷口版より、本作フカキンリメイク版のほうが、はるかに面白い。
 もともとタニセン版は、いろいろな要素がイギタなく不統一に、アンバランスに編集されていて、どうにも統一感が取れない凡作で、これがなぜ評価が高いのか丸きりわからない、さすが天下の凡匠・タニセンだけのことはあるという、力作だが、凡作。
 一方本作は、これぞバランスが取れた、快調な小傑作。
 やはり黒沢脚本のタニセン映画「暁の脱走」も、そのリメイク鈴木清順「春婦伝」に、及ばず。
 常に映画史的には評価は高いが、後発の意欲的新人にはボロ負けの、さすが天下の凡匠・タニセンだけのことはあるなあ。
 いっぽう同じ黒沢脚本を使っても、段違いの統一感と躍動感を示すフカキン版なのだ。

 とはいえ、タニセン版では、はるばる会いに行く美少女・久我美子は、教会に通う都会の乙女であり、フカキン版の美少女・入江若葉は、健さんの亡き戦友の妹で、牧場の娘である。これでは、まるきり同じ脚本というわけにはいかないのではないか?
 もちろん入江若葉版のほうが、ドラマとしては、良。

e0178641_2323771.pngジャコ萬と鉄(99分, 35mm, 白黒)1964 (東映東京)<フィルムセンターHPより>
(監)深作欣二 (原)梶野悳三 (脚)黒沢明、谷口千吉 (撮)坪井誠 (美)近藤照男 (音)佐藤勝
(出)高倉健、丹波哲郎、江原眞二郎、高千穗ひづる、南田洋子、入江若葉、山形勲、大坂志郎、浦辺粂子、小川守、石島房太郎、岡部正純
1949年の谷口千吉監督作品の再映画化。前作で月形龍之介が演じたジャコ萬を丹羽哲郎、三船敏郎が演じた鉄を高倉健が演じる。漁夫たちの元締め・九兵衛(山形)の前に復讐を誓うジャコ萬が現れ、さらにそこに行方不明だった九兵衛の息子・鉄が戻ってくる…。高倉が「俳優として欲が出る転機になった」作品。

 タニセン版の進藤英太郎・三船敏郎父子と、ジャコ万・月形龍之介は、明らかにバランスを失していて、こちらの山形勲・健さんと、丹波のコラボに、はるかに及ばず。月形はいい役者だが、三船との対比において、ガタイの細さは否めず、苦しすぎる。進藤はコミカルすぎ、三船は、健さんに比較して、徹底的に、青年のさわやかさに、欠ける。
 若き日の健さんは、本作でも、その若さ、さわやかさ、明朗さを、映画に刻んで、圧倒される。そのいちいちの言動が、素晴らしい。重厚すぎて、ムスコ感、青年感がない三船とは、もう問題外であった。
 まあ、フカキンとしても、タニセン版より面白い、といわれても、なんともうれしくはないんだろうけれども(笑)。
 なお高千穗ひづるが、エンエン丹波に迫るも、丹波ガン無視に、黒沢の「オンナ嫌い」を垣間見るが、「あたしを嫌いなのは、あたしにアイヌの血が混じってるから?」と高千穗は、迫るが、ワイルドなジャコ萬が、そんな些事を気にするわけはないじゃないか。
 ここに、左翼・黒沢の、勇み足を見た(笑)。

★【映画】ジャコ萬と鉄 - いくらおにぎりブログ★
 両作を比較して、面白い。
 
★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2015-08-31 23:25 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(2)

山下耕作「大喧嘩(おおでいり)」

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。64年、東映京都。
 まずは、下に引用した紹介文を、お読みいただきたい。

大喧嘩(おおでいり)(94分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
大川橋蔵が『関の彌太ツペ』に刺激を受け、山下監督に依頼したとされる作品。浅間山の噴煙をのぞむ甲州・小田井宿に、草鞋を履いていた勝場一家の秀次郎(大川)が3年ぶりに帰ってきてみると、行く末を誓った女(十朱)は弟分(穂高)の女房になり、一家は抗争の火種を抱えていた…。
1964(東映京都)(監)山下耕作(脚)村尾昭、鈴木則文、中島貞夫(撮)鈴木重平(美)富田次郎(音)木下忠司(出)大川橋蔵、丹波哲郎、河原崎長一郎、十朱幸代、入江若葉、松浦築枝、加藤嘉、穂高稔、徳大寺伸、片岡栄二郎、藤木錦之助、鈴木金哉、西村晃、金子信雄、阿波地大輔、川浪公次郎

 山下耕作「関の彌太ッペ」63年の、ような、しみじみと泣ける人情モノを、イメージして、橋蔵は、話を持っていったのだろうか。持ち込まれた山下は、頭を、かかえただろうね。
 つまり錦ちゃんと橋蔵は、同じアイドル・スタアでも、まったく資質が、違う。
 どちらが、いい悪いという問題ではなく、錦ちゃんは、明朗な明るさとともに、しっとりとした情緒も、かもし出せる。世話物には、絶好に、はまる逸材。
 ところが、橋蔵は、あまりにからりと晴れ上がっていて、影が、ない。天性のアイドル。
 いや本人にしてみたら、オレだって快晴一本やりじゃあ、ないぞ、といいたいかもしれないが、曇りの橋蔵も、雨の橋蔵も、橋蔵が演じたら、たちまち曇天の空に、陽の光が、さす。それくらい、橋蔵の強度は、強い。
 言葉を変えると、錦ちゃんは、サドもマゾも、どちらも、いける。橋蔵は、徹底して、マゾが、似合わない。
 錦ちゃんと違って、あまりにイケメンすぎた悲劇で。

 頭を抱えた、山下の、あるいはプロデューサーの、失策(と、いっていい)は、脚本を、「関の彌太ッペ」成沢昌茂のような、文芸映画のテダレではなく、村尾昭、鈴木則文、中島貞夫に丸投げ?したことだろう。
 村尾はともかくとして、あとの二人、特に鈴木則文が、おそらく、なみだ涙の人情モノを、徹底的に、ずっこけさせる(笑)。

 本作での橋蔵の敵役は、素浪人・丹波哲郎。このタンテツが、まるで石井輝男映画の、明日死能まんまのニヒル素浪人、いやどちらもタンテツが演じているのだから、まったくクリソツで、ニヒルを通り越して、とにかく人を斬って斬って斬りまくるクレイジー侍。
 とくに「依頼人の黒幕」金子信雄を、あっさり瞬殺するシーンには、場内に爆笑というか失笑というか。
 やはりタンテツが、調子いい軽輩やくざ・西村晃を、タンテツが蛇蝎のごとく嫌う虫けらゆえに、「ついでに」斬り殺す際も、西村晃が「やっぱり運がなかった」とか、間抜けなシにぎわのセリフで、コメディ感を増す。

 さらに、ラストに延々と続く大喧嘩(おおでいり)シーンが、本作に橋蔵が期待したであろう、しみじみ感を、徹底して、奪っていく(笑)。
 橋蔵たちが、走る走る走る。相手の組の連中も、走り回り、まるでラグビーのスポーツ感満載。
 中途ハンパながら、この年の前後に、顕著になった、東映集団抗争時代劇の様相を呈す。
 青々とした稲のの田んぼ、田植えしたばかりの、まだ下草のような稲のなかでの立ち回り。橋蔵も、エキストラに蹴りを入れられたり、大奮戦。
 ラグビーみたいなスポーツ感は、後年、中島や工藤の映画が得意としたところだから、おそらくこのシーンは、助監督の、たぶん鈴木、中島あたりが、大部分撮ったのでは、ないか。
 少なくとも橋蔵が絡まないエキストラのみのシーンは、そうだろう。
 中途半端なのは、流麗なカラー映像ゆえであり、助監督は「本気」だとしても、監督がそこまで「ノレ」なかったのだろう。

 当初の企画が、「関の彌太ッペ」由来だとしても、出来た映画は、かように、ねじまくっていく。鈴木や中島の時代になっていく。
 天性の時代劇アイドル(現代劇が、まったく似合わない)橋蔵は、お茶の間のTVと舞台に、移行していかざるを得ないだろう。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
[PR]

by mukashinoeiga | 2015-05-10 09:10 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)