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タグ:三船敏郎 ( 11 ) タグの人気記事

「外は雨だし映画でも観とくか。」なるブログがなかなか面白い旧作邦画イラストもグッド

森雅之をモリマと略すのがいいやね。
 ちなみにこの略称を初めて使ったのは、たぶんぼく(笑)。以降数少ない名画座女子が、この略称を使っているのが、散見される。
 同じころ、使いだしたサブリンも、ごく少数の名画座女子に汎用されておりますね(ごく少数なのに汎用というところが図太いところ)。
  このNoeさんのブログは、文章よし、イラストもよし。

e0178641_0234025.jpg「女の勲章」1961年 日本
船場ことば早口マシンガン男・田宮二郎は3人のしたたか内弟子衆を利用して事業を拡大させていこうとする。まあ内弟子たちも田宮二郎を利用する気満々なんだからお互い様なんですが。田宮二郎のセリフ回しと下半身のフットワークの軽さが素晴らしいです。清々しいほどの野心溢れるクズ。だけど時折、そのセリフからただの野心家ではない彼の暗い部分が見え隠れする。
そんなハイパークズ男田宮二郎の前に立ちはだかる、毎度おなじみのクズ男・森雅之。
田宮二郎と森雅之のクズ対決もこの映画の見所なんですが、なんせタイプが全く違うクズなので甲乙つけ難い。モリマは大学教授してて、田宮二郎や船越英二は彼の教え子。10年前に妻が若い男と心中して男やもめ。しかしその立ち振る舞いから気品と色気が溢れ出ていて京マチ子もイチコロです。お座敷であぐらかいてメシ食ってるだけでエロいのです。パリでお京さんと抱き合うシーンも表情がエロくて素晴らしいんです。溶けます。
田宮二郎とお京さんのやり取りを見ている時のモリマの情けない顔よ…するのほんとうまいね(褒めてる)(以上抜粋引用終わり。文字変色は引用者による)

 そもそも二郎さんのイラストというのが、なかなかないのだが、これはグッド、さわやかにして脂身こってり、というこのイラストは出色、多少色白な気もするが、そうゆう非アクション系色悪の二郎さんは、こんな感じか。
 船越も、何気にいい。やはりこってりな京マチ(この省略形も、いまいちヒットせず)のイラストも絶品。
 いまいちいいイラストにならない若尾、モリマもグッド。

e0178641_0243972.jpg「白痴」1951年 日本
上のあらすじは嘘です。ごめんなさい。いやでも、あながち間違ってないとも思う。
というか、これどんな話?って聞かれても非常に困ります。
「白痴」の初見は、旧作に興味を持ち始めた中学生の頃。三船目当てで。ちなみにモリマを初めて観たのもコレでした。
なんだかよくわかんないけどなんか凄い、原節子怖い、白痴の人可愛い、みたいな感想だった。
で、なんだかんだで黒澤映画で一番見返してるのはコレなんです。
あの透き通ったような瞳の色凄くないかい?「浮雲」では濁りまくった目をしてるのに、どうして役によってこんなに目の色を変えることができるんだろうか。森雅之恐るべし。
全身黒尽くめでもはや魔女にしか見えず、小津作品に出てる時の面影ゼロの原節子。情緒不安定とか通り越してあまりにもめんどくさい久我美子。ギラギラしつつも神経質な中学生男子感がプンプン漂う三船敏郎。三船は原節様が好きとか言いながらモリマとばっかり喋ってるよね。
そう、モリマと一緒にいる時の三船はまさに中学生男子。離れているとモリマが憎くて殺したいくらいなのに(一応恋敵だしね)、いざ顔を見ると優しい気持ちになってしまうらしい。
またこんなこと言うと怒られそうですが、これってBLと思って観ると案外、腑に落ちるんじゃないかと思うのよ。ていうかBLでしょこれ。←違う
モリマが三船の顔を両手で包み込んだ瞬間「チューすんのか…?」と考えてしまった自分の腐脳を叩き壊したいです。えぇ、もちろんチューはしません。(以上抜粋引用終わり)

 ちなみに、ハラセツという略称も、たぶんぼくが初めて。うぬぼれの、間違ったドヤ顔だったら、ごめんなさいね、ビシバシ指摘して、ください。
 旧作作邦画系イラストで、こんなにも似顔絵が決まったイラストは、初めて。東山千栄子!志村喬!

e0178641_0281287.jpg「二十四時間の情事/ヒロシマ・モナムール」1959年 日仏合作
実際、エマニエル・リヴァは本作の撮影に入る前に広島の街や人々を写真に撮っていて、その写真で数年前に個展も開いたそうで。その時の動画がYouTubeに出ているので興味があれば是非。映画のタイトル名で検索すればすぐ出てきます。余談ですが、これにチラッと映る岡田英次のスナップ写真が超男前です。←余談と言いながら強調
岡田英次、今まではゴツいという印象しかなかったというかそんなに気にして見てなかったんですが、どうも近頃ハマってます。肉感的な色気を感じるんですな。超美人エマニエル・リヴァと並んでも見劣りしない美しさかっこよさがある。抱き合ってても違和感がないですからねえ。(以上抜粋引用終わり)


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by mukashinoeiga | 2018-10-02 00:29 | 業務連絡 | Trackback | Comments(0)

日本のいちばん長い日 俳優名鑑大百科

日本のいちばん長い日 俳優名鑑大百科

日本のいちばん長い日(1967年 岡本喜八監督)のキャスト紹介。88人+ノンクレジット俳優46人の全134人で、全て静止画です。その他の作品はこちら mylist/8035754

 うーん。どうなのかな大村仙吉(笑)。 
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by mukashinoeiga | 2016-08-15 21:43 | うわごと | Trackback(1) | Comments(0)

キネ旬歴史的大誤植(笑)

 フィルムセンターの合間に本屋に。そこで、トンでも誤植発見。
「オールタイム・ベスト映画遺産 日本映画男優・女優100 」(キネマ旬報ムック)の表紙に、そのタイトルとは正反対の、
「私の好きな外国映画男優・女優ランキング発表」の字が(笑)。
 表紙に。表紙の誤植ですぜダンナ(笑)。

★Amazon.co.jp: オールタイム・ベスト映画遺産 日本映画男優・女優100 (キネマ旬報ムック): 本★
(画像を確認できるはず)

 これは、たぶん、本誌の前に発売している外国篇の「オールタイム・ベスト映画遺産 外国映画男優・女優100」を、そのままコピペしたものを、キネ旬校正がスルーしてしまったものかと。
 いやあ(笑)。まあ、たかが映画雑誌ですから、歴史的というのは大げさかもしれませんが。

 そもそもキネ旬のこの手の企画は何度目か。この手の企画自体が、過去に映画会社からただでもらったスチールなどに、独自撮影を加味した、一枚で何度もおいしいコピペ企画ともいえる。
 コピペは便利だが、典型的なコピペのワナ。   うーん。ぼくたちも気を付けなくちゃ(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-12-25 22:08 | うわごと | Trackback | Comments(0)

佐分利信「愛情の決算」原節子三船敏郎八千草薫小林桂樹

 渋谷にて。「日本のオジサマⅡ 佐分利信の世界」特集。56年、東宝。あと2回の上映。
 再見だが、やはり、素晴らしい傑作である。
 佐分利信、原節子、三船敏郎の、主役三人の素晴らしさ。そして、脇役の一人ひとりにも、見せ場を用意する俳優愛に満ちた映画であることは、ほかのサブリン監督作と同様。
 以下、ネタバレあり。

e0178641_2243932.jpg愛情の決算(35mm)公開:1956年 <渋谷シネマヴェーラHPより>
監督:佐分利信
主演:佐分利信、原節子、三船敏郎、小林桂樹、千葉一郎、田中春男、堺左千夫、内田良平、八千草薫
子持ちの戦争未亡人・勝子は亡夫の上官だった楢崎と再婚するがうまくいかない。そんなとき、楢崎の部下だった大平と再会し…。無能で無気力で無口、遂に妻から三下り半を突きつけられる楢崎を佐分利、社会に出て恋愛し美しくなっていく勝子を原節子が演じる。大平役の三船敏郎と原節子の大人の恋愛映画にして、戦後日本人の変化を描く社会派ドラマ。

 結果として、原節子は、内田良平、佐分利信、そしておそらくは、三船敏郎と、三度結婚することになる。
 これは、翌年の(感想駄文済みの)佐分利信「夜の鴎」のアラタマと同様。新珠三千代も、四度結婚することになる。
 これはたまたまなのか、東宝プロデューサーの要請なのか、それともサブリン好みの題材なのか。
 波瀾万丈?な女の人生、あるいは女の人生やり直し、という題材がすきなのか。
 いずれにしても、あの仏頂面?で、いわゆる女性映画に才を発揮するのは、紛れもない事実である。

e0178641_2245366.jpg 小津の聖女・ハラセツが、自分の息子の誕生日を忘れるくらいに、恋に狂う。その輝き。
 若く精悍な、男の中の男・三船、繊細な男心を演じる、数少ない現代劇の機会の三船だが、ホントウにすばらしい。
 その三船に、ハラセツを寝取られるサブリンも、うちのなかでは仏頂面だが、職場では、若い女性社員に精一杯おどける、少々ブザマな様子。頑固オヤジで、こういうの、いるよなあ、という道化ぶりに、微苦笑。
 どうせ三船には負け戦なんだから、徹底的に駄目男を演じてみようという、自虐。
 サブリン監督作の、出演サブリンの、自虐も、ここにきわまれり、という名シーンだ。

 <捨てられた息子>が、母より義父サブリンを選ぶ、ほのかなぬくもりも、いい。
 そうして、サブリン監督が本当にいいのは、サブリンの戦友たち一人ひとりの人生を、短い時間で、的確に、そして最大限に描ききったところだ。
 借金しに行った堺左千夫が、サブリンの見苦しい(笑)道化っぷりを見て、にやりと笑う絶妙。
 そして、愛らしい小林桂樹と、これまた愛らしい八千草薫のサブエピソードは、別映画としてスピンオフしてほしいくらいの、楽しさ。きっと絶妙なラヴコメに、なっただろう。垂涎。

 小林桂樹は、八千草薫が好き。八千草薫は、三船敏郎に、ほのかに片思い。三船はハラセツが好き。ハラセツは俺の妻だ、とサブリン。すべてのココロのベクトルが掛け違う。
 佐分利信監督作の代表作といっていいだろう。

 なおハラセツのバラック時代の隣人・賀原夏子が、下記Movie Walkerで、若い女と、クレジットされているのに、爆笑。下卑た、下世話な微笑を浮かべさせたら、日本一のこの女優が、シュミーズ姿で登場すると、とたんにハラセツを圧倒する存在感。
 いや、べつに、賀原夏子には、何の趣味もないが(笑)、賀原夏子のシュミーズ姿に目は釘付け(笑)。相変わらず下世話な微笑が素晴らしい。
 短い登場シーンで、各役者の個性を最大限に引き出す。これは原作どおりなのかもしれないが、案の定、ラストのシメにも、下世話に登場する。
 すべての俳優が、素晴らしい。
◎追記◎藤本真澄プロデューサー、ニックネームおねえちゃんの名物助監督・川西正純、照明・石井長四郎など、成瀬組で固められたスタッフであり、成瀬映画とも親和性が高い佐分利信が、とうとう成瀬に一度も出なかったのは、なぜなのか。
 松竹三羽烏のほかのふたり、上原、佐野は多用されているのに。
 小津が昵懇の里見弴の甥・森雅之が、とうとう小津映画に出演していないことや、松竹映画では上原を軽く扱っていることとともに、不思議。単なる掛け違いなのか、何らかの意趣なのか。
 コメディ路線で(笑)川島映画のサブリンも、見てみたかった(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-10-14 03:01 | 佐分利信 サブリン人生劇場 | Trackback(6) | Comments(7)

谷口千吉「霧笛」「夜の終り」

谷口千吉「霧笛」
 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。52年、東宝。
e0178641_20272461.jpg 某ブログの本作感想はたった一言、「なんだこりゃ」。そういう凡品。
 谷口千吉、女優をコマすのはうまいが、映画は凡作の山。さすが東宝が誇る凡匠だ。

 本作は、実は村田実「霧笛」33年、のリメイク。村田版のほうは、だいぶ前に見たので、ほとんど忘れているが(菅井一郎が、付け鼻で、外人役を怪演!ただしせりふは流暢な日本語)画面のただならぬ密度、緊張感があった。
 谷口千吉の手にかかれば、そんな黄金も、ゴミと化す一例か。
 悪質に言い寄るオトコを刺し殺し、逃げてきた女、山口淑子。
 彼女を匿い、というか手篭めにするため監禁する悪徳商人ボッブ・ブース(今度はちゃんと、モノホンの白人を100%使用)。
 その馬丁ながら、主人の囲い者のラシャメンになった山口に、思いを寄せる三船敏郎。
 この三者のドラマが、ぐだぐだに展開して、言語明瞭意図不明、といいますか、ドラマの流れは極めてわかりやすく、かつ充分に俗っぽいのに、いったい何を言いたくてこのドラマを作ったのかが、わからない、という状態に。
 要するに、酔っ払いがお話を物語るように、ぐだぐだで、言語明瞭でありつつ話のシマリがないという(笑)。
 ただし、山口淑子のアップの数々は、きわめてエロい。美貌の成熟女性の、顔そのもののエロさ横溢。
 さすが、女優については、外さない(笑)タニセンなのですね。
e0178641_20285374.jpg なお、公平を期して言えば、クライマックスに突如登場する謎の殺し屋コック(笑)上山草人の、マスクといいますか、面構えが最高に素晴らしい。ここの撮影だけがグッド。
 卑屈な、女中というか、はした女・千石規子は、いいのだが、イマイチ。タニセンだからって、手を抜いた感あり。タニセンですら、全力投球の三船を見習うが、よろしい・・・・けど、無意味だよねタニセンだから(笑)。

★霧笛(1952) | Movie Walker★

★日本映画データベース/村田版「霧笛」★

e0178641_20304227.jpg谷口千吉「夜の終り」
 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.6東宝篇」特集。53年、東宝。
 フィルムセンターのチラシ裏(笑)には「佳作」と書いてあるが、これまた凡匠タニセンならではの、超ぐだぐだ。
 そもそもフィルムセンターのチラシ作品紹介は、傑作だとか佳作だとかの評価付けは、あまりしない傾向がある。先入観を持たずに見てください、という親切心ととるか、官僚作文ならではの「責任を取らない」曖昧さととるかは、お好みだが、そもそもプラス評価を行っていたら、「駄作だけど、資料的価値はあり」みたいな本作のような凡品は、どう紹介していいのか、わからなくなる、という問題もあるからで。
 その数少ないプラス評価(いったいどんな評価基準なのだ)の、本作が、例によっての、ぐだぐだタニセンとは?
 貧しい深夜どぶさらい労働者・池部良は、仕事帰り道の早朝、路上で酔っ払ってうたた寝の保険外交員のかばんから、大金紙幣が顔を出しているのを見て、思わず強奪、目が覚めた被害者を、手近の石で殴り殺す。
 以下、必死の逃亡。これからの展開が、あまりにぐだぐだで、見ているこちらは、心理的に目を覆うばかり。いや、画面は、しっかり見てますが(笑)。
 まず、現場に、身分がばれる腕章を残す。
 恋人・岡田茉莉子の店に立ち寄り、ぐだぐだうだうだ。
 そこから逃げ出すときあわてて、肝心の強奪紙幣を岡田の店に忘れる(笑)。これが、一番の肝心やないか(笑)。
 電話で、岡田に金を待ち合わせ場所に持ってこさせる。当然刑事の尾行つき。
 恋人のところにたびたび立ち寄り、寄寓している姉(沢村貞子)宅に立ち寄り、上司(志村喬)宅に立ち寄り、そこには全部刑事が張っているところばかり。ただし、映画的「偶然」からか、志村の家には、誰も張ってはいないのだが。
 しまいには、繁華な商店街の定食屋の、店先ロウ細工見本によだれをたらしたり、犯罪者としての、あまりの素人芸を多発させ、しかし、映画的には、これは、見ていて、うんざりなんだよタニセン君。
 そして、最後の爆笑どころを、もって行くのが、ヤクザの組長・清水将夫。
 町なかを、うろうろしている池部良を、偶然見つけた清水は、池部を組事務所に連れて行く。もう警察からは、逃れられないと諭し、うちの組に入って、裏社会に生きてみないか、とリクルート。
 破れかぶれのビビリ屋池部は、仕方なく承諾。では、手始めに、こいつだ、とチャカを渡す清水。こいつである男を殺してくれ。
 で、ヤクザの組長が、殺しを依頼した対象が、なんと、詰襟学生服のセーガクだよセーガク(笑)。
 よわっちい、生っちろい大学生が、恋人を、清水に犯されたから、慰謝料を要求。
 いや、組長に堂々と金を要求する大学生も無謀のきわみなら(笑)、面倒な野郎は殺しちまえ、と殺し屋(丸きりの素人の池部だけど)を、差し向けるヤクザの組長って、どうよ(笑)。
 手下のやくざが大勢いるんだから、そのなかで一番のハンチク野郎にテキトーに指示を出して、オレを脅すとは生意気なセーガクだ、半殺しの目にあわせてやれ、とか、二三発お見舞いしてやれ、とかで、済む話じゃないの(笑)。

 つまり、コメディーとしては、かろうじて成立するだろうドタバタを、まじめにやって、これの、どこが、佳作なのか、と。
 ただし、ふらふらになった池部が、最後にたどり着いた、売春やどの老嬢・三益愛子、人情厚い交番警官・藤原釜足の、終盤エピソードは、それなりにグッド。
 前記「霧笛」どうよう、終盤になると、これはいかん、とエンジンをかけるタイプか(笑)。
 また、心ならずも人を殺して逃げる、というのも「霧笛」と同じ。そういえばデヴュー作「銀嶺の果て」「暁の脱走」など、それ以外にも記憶にあるが、「逃げる話」がタニセンのモチーフか。まあ、検証する気もないけど、タニセンだから。

★日本映画データベース/谷口千吉★

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by mukashinoeiga | 2013-12-05 09:29 | 珍品・怪作の谷 | Trackback | Comments(7)

千葉泰樹「東京の恋人」原節子三船敏郎杉葉子モリシゲ

 神保町にて。「一年遅れの生誕100年 映画監督千葉泰樹」特集。52年、東宝。
e0178641_023565.jpg きゃぴきゃぴした頃の原節子が、銀座の町の絵描き(似顔絵描き)になる。お嬢さんでない、街場の女を演じるハラセツは珍しいが、絵描きというのはあくまで取っ掛かりで、特に重要ではない。
 靴磨き少年たち、パチンコ玉製造で儲けたモリシゲ社長、ストリート・ガールの杉葉子、気になる男・三船敏郎との、やり取りがメインになる。
 気になる男。豪快かつ繊細な三船が、やはり、いい。同じ千葉泰樹「下町ダウンタウン」の三船も絶品だが、本作の三船も、ああ、いいなあ。そう、豪快かつ繊細、二枚目で二枚目半、こういう二枚目は、日本映画では、なかなかいない。三船ならでは。まさに<好漢>を具現化したのが、三船なのだ。時代劇スタアということになる彼の、数少ない現代劇は、いつも、いいなあ。
 千葉泰樹にしては、三船アクションも本気モードで、いい。
 今井正「青い山脈」の清純派・杉葉子が売春婦。さびしげな顔が、不幸な役を呼び込むのか。むしろ年長のハラセツのほうがアイドル性を持った役なのだ。
 爆妻・清川虹子の尻にしかれる森繁社長。まだ、脇役時代のモリシゲは、アドリブもさえず、やや、イマイチか。
 靴磨き少年トリオに、小泉博(少年かー?)・増淵一夫・井上大助(この時期の好感度大な東宝少年役)。なお増淵一夫が杉葉子に写真を渡すショットが、続けて二度上映される。つまり同じショットが二度焼かれたプリントなのだ。なぜ。
 シモケンさんによれば、このプリントは今年の春に(「女優とモード」特集用に)ニュープリントされたとのこと。
 元ネガに同じショットが連続していたわけは、たぶん、ない。公開当時、そんな不手際があったら、問題になったはずだ。また、同じショットが連続する必然性のない、フツーのシーンなのだ。
 千葉泰樹は、鈴木清順や大島渚や藤田敏八や山根成之のように、意図して、同じショットを連ねるテクニシャンでもない。また、そんな<時代>でもない。なぜなんだ。
 推測だが。今回?ニュープリを焼く際に、このシーンまで焼いて、休憩して、再開するときに、また同じシーンを焼いちゃったりとか(笑)。ま、たぶん、そんなレアケースもないと思いますが。

 そして、本作の主人公はハラセツと三船敏郎と勝鬨橋!
 勝鬨橋が開閉されるところを映した映画は多いが、ここまでたっぷり映したものはない。当時は、開閉は当たり前だったので、誰も、それに淫した映画は撮っていないようだ。
 しかしエイゼンシュテイン「十月」での、素晴らしいショット。きわめて映画的に処理された巨大開閉橋は、実に映画的で、素晴らしかった。
 それに習った?本作は、開閉もたっぷり、まだ橋が完全に降りきっていないのに早くもわたり始める人や、橋が上がり始めて、係員(注意喚起のための旗を持っている)に制止され、あわてて戻る人々、途中の退避地帯やら(三船も退避する)。勝鬨橋のあれこれがたっぷり堪能できる。
 そして、完全に開ききったところを、小船が通過(笑)。いや、たまたま撮影した日には、小船がほんとに数船しか通らない。いつもは、大型船が通るのか。いやいや、終戦後は少なくも、大型船は払底したのか。なんとも開きガイのない勝鬨橋というのも、わかってしまう。
 地上交通の増加、海上交通の不振、そしてなんと、橋の中央には都電も走っていて、ハラセツらは毎日、都電で川向こうから、銀座に出勤する。線路との整合性、大勢の徒歩客、拡大するモータリゼーション、ああ、毎日の橋開閉運行は、かなり気苦労の多そうなことも、わかる。
 勝鬨橋は、閉じられるべくして、もう開く必要のなくなったことも、わかるのだ。
●追記●モリシゲが勝鬨橋の下に落ちた清川の指輪(!)を探索すべく、雇った潜水夫の水中シーンのおふざけは、バスター・キートンのパクリだし、杉葉子を訪ねてくる母親のパートは、キャプラ「一日だけの淑女」そのままだし、そもそも開く橋から落ちる指輪は、エイゼンシュテイン「十月」だし、脚本井手俊郎、パクリすぎだろ。
 なお、神保町シアター制作の配役表では、本作に河村黎吉、飯田蝶子、藤原釜足とあるが、彼らの出演はなく、キネ旬などの予定稿を、あるいはそっくりそのままなので、日本映画情報システムの孫引きであろうか。
 実際は、岡村文子や、渡辺篤(かな? もはや、記憶の彼方)に変更されている。日本映画データベースには、小林桂樹まである、でたらめで。また、宝石店主(これが渡辺篤かどうか、記憶が・・・・)夫人の沢村貞子が、抜けている・・・・元ネタが、単なる途中経過の予定稿だから、その孫引きが、みんな間違える。
 ああ、渡辺篤じゃなくて、益田キイトンだったか。
●再追記●「映画流れ者」にて、なご壱さんからご指摘ありました。宝石店主は、十朱久雄。胸のつかえが取れました。なご壱さん、ありがとうございます。


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by mukashinoeiga | 2011-10-21 08:39 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Trackback(7) | Comments(4)

中島貞夫「犬笛」菅原文太竹下景子原田芳雄酒井和歌子三船敏郎川地民夫神田隆北大路欣也村野武徳岸田森小林捻侍勝野洋伴淳山村總

 渋谷にて。「中島貞夫 狂犬の倫理」特集。78年、製作三船プロ、配給東宝。ほぼニュープリント。
e0178641_0245332.png いかにも70年代邦画大作らしい、大味なつくり。
 1シークエンスのみの出演のチョイ役にも、村野武徳・勝野洋ら当時の人気者若手、伴淳・山村總ら誰でも知っているヴェテランを配す、オールスタア映画。しかも原作・西村寿行の長編のダイジェストな、幕の内弁当状態の脚本。
 あまりに知った顔ばかり、かつ大勢なので、三船プロダクション創立15周年記念作というクレジットの本作は、映画というより、周年記念パーティー(入れ替わり立ち代りの立食式)に、参加しているような趣。
 しかも、上映前の館内アナウンスでは、「なお「犬笛」の上映時間は、フライヤーで139分と告知しましたが、今回の上映は112分のヴァージョンとなります。スクリーンサイズも、特殊な東宝スタンダード・サイズですが、通常のスタンダード・サイズでの上映となります」とのこと。
 つまり27分も刈り込まれた短縮版ということか。更なるダイジェストか。
 もっとも、フライヤーなんて言葉、渋谷以外の映画館では、通用しない、一種の渋谷語(映画館カルチャーの中では)。すかすなあ、シネマヴェーラ。

 <特殊な東宝スタンダード・サイズ>には対応できないという正直な告白はよろしい。というのも、おそらく現存する映画館で、それに対応する映写システムは、ほとんどないからだ。ふつうのスタンダード・サイズは、ほぼ真四角な形状、横長TV出現前の、TVスクリーンのサイズと思ってもらえばいい。<東宝スタンダード・サイズ>は、それよりは、やや横長なのだと思う、たぶん。
 とすれば、浅草東宝閉館後、それに対応する映画館はほぼ絶無か。あるとすれば、昔からの、古い地方東宝系映画館だろうが、それすら絶滅危惧種だろうし、そういう地方映画館は、そもそも、ここ何十年もスタンダード・サイズの映画など上映していまい。
 唯一可能性のあるのは、東宝の試写室、それも本社ではなくて、撮影所の試写室だろうが、それも新設されていれば、アウトの可能性もある。ああ、フィルムセンターなら、いけるか。
 それにしても、シネスコ・サイズ全盛の70年代に、なぜスタンダード? おそらく、幅広のスクリーンサイズでは、
●屋内シーンの、セットを、より大きく作らねばならない。>予算が、かかる
●屋外シーンの、大自然描写>開発が進んで、大自然らしからぬ建造物が写ってしまう
 という、せこい理由しか、考えられない。しかも、多くの東宝系映画館では、ブローアップして、ヴィスタ・サイズで上映していた可能性も高い。

 ということで「犬笛」だ。
 西村寿行の冒険小説は、昔、愛読しました。しかし、その荒々しいヴァイオレンスとセックス描写(おそらく女性登場人物は、ほぼ全員悪党にレイプされる。見境のない悪党など、70のばあさんも、穴があるという理由でレイプ、ばあさんも、ひいひいよがっちゃう)、ところがこういう素材も、明るく楽しい東宝映画は、子供からお年寄りまで、誰でも見れる、一般映画にしてしまう。西村寿行特有の荒々しさなんか、影も形もなくなる。
 この映画でも、原田芳雄が、子分・小林捻侍に、利用価値のなくなった精神科医・竹下景子を、「好きにしていいぞ」というが、ベッドに押し倒して、シーンが変わっちゃう。
 ただしいかにも70年代だなあ、かつ監督が中島貞夫だなあ、というのは、売春に絡む殺人何件かの、女性死体が、みんな血だらけのすっぽんぽん。
 主人公・菅原文太の幼い娘が、重要な証拠のありかを知っているということで誘拐される。
 娘の安否を気づかって、母・酒井和歌子は発狂。文太は、愛犬テツを連れて、娘を探して、信州、新潟、北海道、島根、神戸、ついには海上保安庁の巡視船でインドネシア沖まで。船の船長に、御大・三船敏郎。航海長に川地民夫。原田芳雄らを乗せた、追われる船の船長に神田隆。文太とともに原田を追う外事課刑事に北大路欣也。
 映画は、娘への親子愛、けなげな愛犬との関係で、がんがん感動を盛り上げようとする。小林亜星の劇伴も、なんだか「砂の器」のパクリみたいなメロディで泣かせに走るが、無理やり過剰な、へたくそな演出と、編集のせいで、泣くもおろか。お互いに走り寄るテツと文太、そのえんえんの走りのカットバックが長すぎて、いい加減飽きるほど(笑)。
 感動も、アクションも、ヴァイオレンスもの、幕の内弁当の、一個一個の材料のうすさ。
 しかも、娘を誘拐し続ける理由のうすさ。
 文太の捜索方法の無謀さ。あれ、殺された総合商社調査課課長の家を張り込んで、怪しげな岸田森を尾行したほうが、早いんじゃね。ま、描写としては、つまらないが。
 車で移動する誘拐犯を、探すなら、車道を中心に探すべきなのに、車が通行不能な、雪の山岳原野を探し回るのは、単に吹雪く雪の山岳原野を行く、文太と愛犬、そのよろめきつつの彷徨、という<絵>と、<感動のBGM>を、出したかっただけだろう。
 誘拐される女の子の子役が、ブスなのは、まあ許すが、役柄上多発する泣き顔の見苦しさも、興醒めで(笑)。この子役の役柄上、泣き顔の見苦しくない子を選ぶべき。
 また、敵船から愛娘を救出する際、民間人の文太は、三船船長に止められ、巡視船から、救出劇を見守るだけ。アメリカ映画なら、文太は、元軍人という設定で、真っ先に乗り込むだろう。悪党・原田芳雄は、逃げ切れぬと観念し、子分・小林捻侍らを射殺し、自分も自殺。日本以外の国のアクション映画なら、クライマックスは、銃撃戦しか、ありえない。
 アンチ・クライマックスの、残念感。野ダメ政権クラスの凡作。


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by mukashinoeiga | 2011-09-20 10:16 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(10) | Comments(0)

杉江敏男「サラリーマン忠臣蔵」森繁久弥三船敏郎志村喬山茶花究小林桂樹池部河村黎吉良東野英治郎

 京橋にて。「逝ける映画人を偲んで 2009-2010」特集。60年、東宝。
e0178641_2025811.jpg 美術・村木与四郎、出演者の森繁久弥、小林桂樹、池部良の追悼として上映。
 また、例の、だらだら、グズグズの東宝サラリーマンモノか、と見に行ったら、恐れ入りました、意外な掘り出し物で佳作でした。恐るべし。
 例の忠臣蔵を、現代サラリーマンモノに換骨奪胎、安易な企画じゃないですか。由美かおるら女子たちが、忠臣蔵のパロディをするという安易な企画(あまりにつまらなすぎて、題名失念)も同じ東宝であったことだし。どうせ、ルーティンの、多少色変わりのものだろうと、へらへら見に行ったぼくが、悪かった。
 巨大コンツェルンの、一系列「赤穂産業」社長・浅野卓也社長(池部良)が、系列筆頭メガバンク頭取・吉良(東野英治郎)にいじめられ、対米レセプション会場の東京會舘・松のロビーで、怒りの鉄拳。
 謹慎処分の果てに、外車を飛ばして、交通事故死。吉良が三代目社長として乗り込んで来る。
 その時期、フランスに海外出張だった、大石専務(モリシゲ)が戻ってくると、会社は、吉良派に乗っ取られ、暗黒時代。さて、どうする、というお話。

 まず。東宝サラリーマンもの、特に森繁社長の社長シリーズは、ストーリーはあってなきが如し。へらへらした上位サラリーマンたちの処世術と浮気模様、下位サラリーマンたちの愚痴と恋愛模様、芸者を交えた料亭の宴会と、同業他社との、形ばかりのプロジェクト競争、そして単調な話を転回するつもりの、関西出張、もちろん狙いは、細君の眼を逃れた浮気、と。
 ストーリーはあってなきがごとき、モリシゲ、三木のり平などの宴会芸で場をつなごうという、ま、一種のヴァラエティー・コント。まあ、お気楽に面白いし、つまらないといったら、つまらない。
 ところが、本作は、「忠臣蔵」の換骨奪胎。ちゃんとストーリーがある(笑)。
 いわゆるヴァラエティー番組に、ちゃんと骨を一本通した面白さ。おなじみの忠臣蔵と、おなじみの東宝サラリーマンものの合体。一粒で、三度四度おいしい展開に。これほど、その転回にわくわくした東宝サラリーマンものといえば、「日本一の無責任男」「その場所に女ありて」そして本作のみ、と言っていいかもしれない。

 そして、うーん、と唸るしかない、お見それしましたの、名演の三人。
 系列社長の三船敏郎。反・吉良派の男気の硬派社長を、これでもかと。レセプション会場を、東野罵倒を目指して、ずんずんずんと進むさまには、圧倒的なオーラが全開。黒沢映画以外の三船のこの迫力は、初めて見たかも。いや、この静かな迫力・オーラは、はっきり言って黒沢映画以上。素晴らしい。
 その系列社長・三船の懐刀の、副社長か、専務か、総務部長か(映画では肩書きはっきりせず)志村喬の、冷静な迫力!
 このままでは、三船社長の東野英治郎頭取憎しの激情で、会社はつぶれてしまう、という思いからの、冷静冷徹な裏工作。東野の秘書・山茶花究を介して、東野に賄賂・お世辞攻撃。
 いや、いわゆる料亭で、おべんちゃら使いの山茶花秘書に、一見へこへこしながらの、しかし<租にして野だが卑ではない>を文字通り体現する志村喬の、絶品。その迫力。足元にも、及びません。本来卑屈な役回りなのに、けっして卑屈にならずに、冷徹にことを進める、その絶品。
 そして、その接待を受ける山茶花究秘書。心にもないおべんちゃらを駆使しつつ、自分の漁夫の利はさらりと懐にし、へらへら冷徹にことを進める男。心にもないお世辞の垂れ流し、<絵に描いた卑劣な男>山茶花究に、改めて、惚れ惚れ。いやー、卑劣は卑劣でも、極めれば、それはエンターティンメント。山茶花究、絶の品。
 実際、山茶花究と志村喬、東野英治郎が揃い踏みの、料亭密談シーン、あまりに志村と山茶花の演技がすごすぎて、あー、東野英治郎、柄と味だけの、つまんねー役者だなー、と思ってしまうもの(笑)。
 三船敏郎、志村喬、山茶花究の、ベスト・パフォーマンス。スパシーボ!
 志村の名演は、いわゆる松のロビーのシーンまで続き、そのさりげなさは、本当に素晴らしい。この年の助演男優賞に、そろって入るべき三人だ。だが、こんな、忠臣蔵パロディーのバカ・プログラム・ピクチャアということで、見向きもされない。本当に神業な演技に、思わず東野英治郎が、はみ出してしまうのだ。

 そして、この脚本も絶品(原作・井原康男、脚本・笠原良三)。最初は、東野・吉良頭取VS三船子会社社長の争いを特化しつつ、それが三船の腹心・志村の工作で改善するや、その矛先が池部・浅野子会社社長に転戦するサマの脚本が見事。素晴らしすぎる。

e0178641_20303333.jpg蛇足その1 池部良社長の社長室に、先代社長・河村黎吉の写真額が。ただ一作出た「三等重役」が、いわゆる森繁社長シリーズの嚆矢だった。その恩に報いるギャグ。河村黎吉ファンとしてはうれしい限り。

蛇足その2 なぜか、今では<名優>扱いの児玉清が、徹底的に台詞少なし。もともと、俳優としては、味がない、ほとんど挙動不審状態の胡乱さだったからなあ。藤木悠、江原達怡、八波むと志ら若手同僚らと愚痴る居酒屋風蕎麦屋(店主は金語楼、討ち入り直前の会合の蕎麦屋か)でも、ただひとり、台詞なしだったからなあ。会社をクビ=浪人の堀部安子(お姉ちゃん・中島そのみ)がこの席に酔っ払いつつ乱入すると、席を譲る役目の児玉。ああ、ただ単に席を譲るだけの役だったのか。せめて一言ぐらい台詞、ゆわせてやれよ。東宝、非人情。

蛇足その2 肝心の?討ち入りシークエンスは、後編の「続・サラリーマン忠臣蔵」に引き継がれ。かくて本作は一件落着せず。後半も、見たいぞ、フィルムセンター。


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by mukashinoeiga | 2011-08-29 02:24 | 傑作・快作の森 | Trackback(7) | Comments(2)

稲垣浩「戦国無頼」三船敏郎三国連太郎山口淑子東野英治郎志村喬市川段四郎浅茅しのぶ黒沢明

 京橋にて。「生誕百年・映画監督 黒澤明」特集。52年、東宝。
 本特集では、50本が上映されている。うち30本が黒沢監督作、残りが黒沢明が脚本に関係している作品、ということになる。
e0178641_6353914.png 本作は、黒沢と稲垣が、共同脚本としてクレジットされている。原作は井上靖。
 織田信長に滅ぼされた、浅井長政軍勢の三人(三船敏郎、三国連太郎、市川段四郎)の、その後の流転・戦場人生を追う。
 浅井軍から、武田信玄の軍へ、流転しつつ、豪快な活躍の三船。
 武田軍を責める信長軍に、乗り換える三国。どんな卑怯な手を使っても、成り上がりたい小心者が、今回の三国。ダメな小者感を三国が好演。三船の恋人(浅茅しのぶ、宝塚とクレジット)に、横恋慕。
 市川は、琵琶湖周辺で荒らしまわる野盗の親分に。といっても、映画では、なぜか気弱に、別勢力の盗賊・東野英治郎の娘・山口淑子に、恋心。
 その山口淑子は、三船に恋狂い。逃げた三船を追い求めて、戦場から戦場へ。でも三船には会えず、どうでもいい三国にばかり出会う。
「会いたい男には会えず、会いたくもない男ばかりに、会ってしまう」この山口のせりふが、可笑しい。
 黒沢が脚本にかんでいるのに、本作では、男三人と同格に、山口淑子もフィーチャー。この山口の、大きな瞳の野性味が、いい。女嫌いの黒沢とは思えない活躍だ。
 とはいえ、稲垣・黒沢の共同ぶりは不明だし、第一黒沢の脚本参加作品は、小遣い稼ぎのアルバイトと思しく、娯楽作品を流し書きしている印象が強い。自分自身の監督作と、明らかに力の入れ方が違う。まあ、稲垣浩先輩も、力のこもった脚本など渡されても、困るだろうが。
 三船が市川を「いいヤツ」といい、市川も三船を、いい男ぶりとほめる。豪快男同士の、こうした純情ぶりこそ、本領か。時々現われ、浅茅しのぶを預かったり、三国をさとす老刀鍛冶・志村喬の、志村喬ぶりにも、にんまり。
 三船も、浅茅しのぶに慕われ、山口淑子に恋慕されても、なすすべもない、豪快男、とぴったり柄にはまり。三国や市川のように、くよくよ悩まない男。
 最後は三船に加勢して、思う山口をあきらめる市川は、<表返った>「隠し砦の三悪人」藤田進を思わせる。

by mukashinoeiga | 2010-12-21 07:57 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(9) | Comments(0)

谷口千吉「ジャコ萬と鉄」

 池袋にて。「月形龍之介没後四〇年 月形哲之介没後一年・上映会」特集。49年、東宝=49年プロダクション。
 と、書いてきて、割と使われる表記だが、「四〇年」は、改めて不思議だ。漢数字の「四」と、欧文数字の「〇」との合体。「四十」か「40」か、どっちかに、せいという感じ。これも、同じゼロを表わすのに、いわば○と×というのも、面白いが。
 もっともゼロを発見したのは、古のインドゆえ、昔からの表記か。よく、わからん。
e0178641_23274511.jpg さて、「ジャコ萬と鉄」である。わりとよく名画座では上映されている、人気作ではあるのだが、これまで何回も個人的にスルーしてきた映画なのだ。
 なぜかタイトルの「ジャコ萬と鉄」が、食欲をなくさせているらしい。「萬」「と」「鉄」は、ふつうにあるから、どうやら「ジャコ」の、語感が、いけ好かないのか。よく、わかりません。
 今回、ようやく、見てみたら。
 冒頭、編集のリズムのせいか、もともと撮ってきた素材のゆえか、映画の流れが、ぶつぶつぶつ、切れて、いや、プリントがずたずたというわけではなく、話の流れやら、観客の情感やらが、数十秒ごとに寸断される感じの、編集というか、ドラマというか、要するにドラマ部分とニシン漁ドキュメント部分がうまく融合していないせいだと思うが、まあ谷口千吉は、やっぱり、へただなあ
 流れ者「ジャコ萬」こと、月形龍之介が登場すると、俄然面白くなり、安定してくる。ま、次に「鉄」こと三船敏郎が登場してくると、ふつうの<東宝男性アクション>並盛りに、落ち着くのだが。
 やはり、月形龍之介のすばらしさに尽きる映画。年齢不詳の感がある、この俳優の、男盛りの魅力に満ちている。時代劇専門俳優月形の、数少ない現代劇だが、もっと現代劇の龍之介を見たかったなあ、と強く思う。時代劇の古武士そのものの、立ち居振る舞い、その台詞回しの素晴らしさは、言うを待たないが、現代劇でも、これほど魅力的とは。
 月形の声がいいんだよね。聞いているだけでうっとりする(笑)。いや、別に性的な意味ではないのだが(笑)、阪妻とか月形の声、台詞回しは、ぼくにとって<スタアの快楽>そのものなのだ。千恵蔵まで行くと、似たようなだみ声ではあるが、なんだか、知的?で(あざとすぎる台詞回しといいましょうか)観客であるぼくを素に帰らせるものがある。
 いま、龍之介の声をだみ声と書いたが、正しくは、渋い声というべきか。
 阪妻、月形、大原麗子、声が、聞いているだけでいいのよ。あと、上田吉二郎ね。
 アイヌ娘・浜田百合子が、月形に、猛烈アタック。すげない月形に、振られても、ぶたれても、臆することなく月形に、求婚し続ける。婚活アクションか。しかし、浜田の熱演にもかかわらず、下手な谷口千吉では、熱演も、ちと空回り。
 いっぽうの三船は、教会のオルガン弾きの少女・久我美子にあこがれるばかり。
 ミサでの様子を、ただ、黙って見つめるばかり。あこがれの君だから、久我美子は、ほとんどせりふがない。三船が演じるから、さわやかな好青年だが、キモイ男が演じたら、少し、ストーカーっぽい。同じ行為でも、好青年と、そうでないものとの違いは、紙一重か。三船は、あくまで、さわやかだ。
 片目黒眼帯の月形が、にやりにやりするのも、いい。でも、最後に、泣かせちゃあいけないな。そこが、谷口千吉のだめなところ。
 もっとも、泣いている月形は、超貴重映像(笑)かもしれん。
 超貴重映像といえば、今回次の二作を見逃したことが、悔やまれる。
●「水戸黄門 海を見る娘」昭和39年・松田定次監督・東伸テレビ映画・30分
●「水戸黄門 地獄の一族」昭和39年・松田定次監督・東伸テレビ映画・30分

 月形龍之介の当たり役「水戸黄門」(もちろん、東野英治郎より、断然月形の水戸黄門のほうが、いいのだ)その、TV版だ。共演も、丘さとみ、東千代之介、近衛十四郎と、映画並み。
 ああ、見たかった。文芸坐は、一日しか、上映しないからなあ。

★【映画】ジャコ萬と鉄 - いくらおにぎりブログ★
 両作を比較して、面白い。
 
★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

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by mukashinoeiga | 2010-09-19 07:58 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)