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川島雄三「適齢三人娘」津島恵子幾島道子細川俊夫若原雅夫小林トシ子大坂志郎

 神保町にて。「昭和の原風景~太田和彦『シネマ大吟醸』より」特集。
川島雄三「適齢三人娘」津島恵子幾島道子細川俊夫若原雅夫小林トシ子大坂志郎_e0178641_19163347.jpg 51年、松竹。
 未見の川島だ、わーいわーい、と駆けつけたら、既見作だった(笑)。
ぼくのお粗末な記憶力のせいだが、しかしこのお粗末な記憶力のせいで初見同様楽しめるのだから、災い転じて眼福となる、のはいつもどおり。
 妹・津島恵子向けの見合いの代役に姉・幾島道子。
その見合いの相手・細川俊夫は友人・若原雅夫に見合いの代役を頼む。
代役同士の見合いは、お互い好印象。津島も若原に偶然出会い好印象。
これに若原に一方的にほれている小林トシ子が絡み、さらに小林には若原の助手・大坂志郎が片思い。
一方的にほれる猛烈女というのは「昨日と明日の間」の淡島千景も同じ(このタイプを洗練させたのが「貸間あり」の淡島)。忙しい人物の出入り、場の出入りというのが川島の好みみたいだ。
 津島恵子のキュートさが際立つ。斜陽族の津島を取材する、「ローマの休日」のグレゴリー・ペックばりの雑誌記者若原もグッド。

# by mukashinoeiga | 2009-07-12 21:25 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

清水宏「母のおもかげ」淡島千景根上淳見明凡太郎村田知栄子

 池袋にて。「芸能生活70年 淡島千景の歩み」特集。59年・大映。
清水宏「母のおもかげ」淡島千景根上淳見明凡太郎村田知栄子_e0178641_0261956.png 清水宏の遺作。未見の清水宏だ、わーいわーい、と駆けつけたら、すでに見ていた作品だった(笑)。ぼくのお粗末な記憶力のせいだが、しかしこのお粗末な記憶力のせいで初見同様楽しめるのだから、災い転じて眼福となる、のはいつもどおり。
 ああ、いいなあ。戦前の華やかな人気監督も、戦後は不遇のままだった、というのがこれまでの映画史における清水の扱いであるが、実際に見てみると戦後の清水も外れのない佳作ばかりだということがわかる。確かに大ヒットでもないし、目立つわけでもないお決まりのプログラム・ピクチャアの枠内の映画ばかりではあるが、小学生の息子を残して妻に死なれた根上淳が、同じく女の子の連れ子がある淡島千景と、コブツキ同士再婚するという、つつましい物語とは裏腹に(いや、しかし、その物語も誠実に語られる)狭いはずの日本家屋の室内や、給食のまかない場などを、急速に横移動するシーンの鮮やかさ。いくらセットとはいえ、和室の急速横移動なんて、清水のはるかあとの後輩鈴木清順くらいしかそんな酔狂はしないのではないか(違っていたら、ごめん)。清水は縦移動のみ多く語られるが、そういえば戦前作でも華やか鮮やかな横移動も得意だったなあ。
清水宏「母のおもかげ」淡島千景根上淳見明凡太郎村田知栄子_e0178641_041480.png 男の子と、まだ小学生にならない幼い女の子、この二人がめっぽううまくて、泣かせる。さすが子供好きの清水だ。女の子が、わからないなりに大人の会話に、じっと目を注ぐ、その目の注ぎ方が、いかにも子供の立ち位置で。今のように大型船化する前の、ぽんぽん蒸気並みの浅草の水上バスの風情も泣かせる。
 二人の仲人、見明凡太郎と村田知栄子ももちろんいい。

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# by mukashinoeiga | 2009-07-12 21:24 | しぃみず学園清水宏おぼえ書 | Comments(7)

佐藤武「ママの新婚旅行」山田五十鈴山村總三井弘次

 京橋にて。「発掘された映画たち2009」より。
 54年、永和プロ/新東宝・94分
佐藤武「ママの新婚旅行」山田五十鈴山村總三井弘次_e0178641_16502237.png 母山田五十鈴・父山村總のホームドラマ。劣化16ミリプリントからの復刻だが、画面が揺れる揺れる。一こま一こまのデジタル修正ならそうはならないのだが、まあそういう手間をかける映画ではない、ということだろう。その判断は正しい、ありきたりのホームドラマ。ただ、娘サガミチと違って、母五十鈴は、何てことない堅気の主婦役でも違和感がない。子供たちがおこずかいを出し合って、親たちをいけなかった新婚旅行に送り出す。親の片割れが山村總なのはちょっと皮肉。
 ちょっと笑うのは、山村總が三井弘次を連れて釣りに行くところ。山村の釣竿の扱いが極めてユニークで、かつ<決まり過ぎ>。これは、釣りに一家言もち、とうとう釣りに関する映画を製作・監督した山村らしいところで、監督としての手腕も並ではない山村の、釣りドキュメント映画もぜひ探し出してもらって、見てみたいもの。

# by mukashinoeiga | 2009-07-12 21:23 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

マキノ真三「暗黒街の天使」

 京橋にて。「発掘された映画たち2009」の「マキノ映画とマキノ真三」より。
 48年、マキノ映画・83分
 マキノ雅弘の弟・真三が妻・宮城千賀子を主演にした、婦人警官と少年たちの交流、この二者の協力で劣悪ウィスキー密造事件を解決に導く。兄にくらぶべくもない出来だが、それなりに手堅くまとまっている。面白いのは、子供グループのガキ大将を演じているのが、マキノ兄弟の甥っ子・長門裕之(当時は本名の澤村アキヲ)。これが中学生ぐらいで、顔も演技も大人時代と変わらず。ガキ大将だから、チンピラ風にのし歩くのだが、子役演技と大人演技は普通同じにならないはずが(特に男の子の場合)同じといっていいのだから、達者というか、なんというか。
 同時上映、荒井良平「ゴムまり」(47年・マキノ映画・15分)は、当時激増する自動車事故への啓蒙を目的とした教育映画。都会の商店街の狭い通りをびゅんびゅん走る自家用車・トラック。それをものともせず道路を公園代わりに遊ぶ子供たち。宮城千賀子たち母親は井戸端会議に夢中で子供に注意すらしない。いささか素人っぽい作りなのは、それまで劇映画しかも時代劇の作り手たちが、直球ど真ん中の教育映画に手をつけようとしたからだろうか。子供たちの中に、澤村アキヲだけでなく、澤村マサヒコ(津川雅彦)もいる。
 ちなみに最近、長門裕之が痴呆の妻を勝手に公開して、一部で顰蹙を買っているが、ご覧の通り、子供時分からずーっと、人前に己をさらけ出してきた(子供のころは、もちろん自発的ではないだろうが)のだから、一般のぼくたちのプライバシー感覚からは、相当ずれちゃった人ではあるだろう。近代日本最大の芸能一家である、マキノ/澤村一族の公私感覚をぼくたち一般人の<常識>で裁くのはどうかと思う。その一族のヨメ・南田洋子も<理解>していることだと思う。
 後日、快楽亭ブラックのコラムを読んだら、少年グループに藤田まことを発見の由。そういえば、馬面のにやけた少年がいた。あれが藤田か。

# by mukashinoeiga | 2009-07-12 21:21 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Comments(0)

千葉泰樹「杉狂の催眠術」

 京橋にて。「発掘された映画たち2009」の「バン・コレクション2」より。
 38年、日活多摩川・67分
 サトウ・ハチロー原作、古賀政男音楽は同じ、こちらは完全版。杉狂はサイトウ・八チローなる人気歌手。前半学生生活、後半の歌手人生と恩師との再会が軸になる。
 その恩師と路上で再会するシーンの、トリッキーなシークエンスがこの映画のクライマックス。実は、その前日これまた偶然再会した恩師の娘から、父は死んでいる、と偽りを聞かされていたものだから、幽霊かと勘違い、恩師の足元に目をやつつつ(足は当然ある)後じさりする杉狂と、悠然?と彼のほうへ向かいつつある恩師との切り替えしが最高に可笑しい。
 恩師役に眼光鋭い山本禮三郎。納得。
恩師の娘に村田知栄子。戦後、意地の悪いおばさんや、親切なおばさんなど、多数のおばさん役の彼女だが、ぼくが見た最若年。でも、若い娘でも、華はない。地味なおばさん顔だ。
 今回発掘された千葉作品二作は、いずれも佳作といってよい。お得でした。
 同時上映は、白井戦太郎「赤尾の林蔵」(37年・大都映画・43分無声20fps・不完全)。杉山昌三九主演のやくざものだが、まあまあ。ただ、70年前の平凡品も、今見ると新鮮な部分もあり。これだからOLD映画はやめられない。

# by mukashinoeiga | 2009-07-12 21:20 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Comments(0)