京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。66年、大映東京。
阿佐ヶ谷の小百合モーニングと、夜のロッテ西武戦の間に小時間が空く。再見だが、本作を見ることによって、マリンフィールド球場には、ちょうどよい時間に着けるであろう、というのが再見した理由であるが、やはり正解であった。あらためて、傑作である。
感想駄文済みの増村保造「爛(ただれ)」の、文言を、また、繰り返さざるを得まい。
再見だが、何度見ても素晴らしい。若尾文子のいちいちの表情、いちいちの演技、まさに絶品。
このフレーズは、マスマスムラムラな若尾文子主演作に、何度も、繰り返さざるをえない(笑)。
赤い天使(95分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
『兵隊やくざ』に続き有馬頼義の小説を映画化。日中戦争で大陸の野戦病院に配属された従軍看護婦が、絶望と向き合う最前線で、一人の軍医への愛を貫く。戦争の残酷さをリアルに追求した描写とともに、ヒロインの壮絶な美しさが観る者を圧倒する。フランスで高い評価を受けた作品としても知られる。
'66(大映東京)(監)増村保造(原)有馬賴義(脚)笠原良三(撮)小林節雄(美)下河原友雄(音)池野成(出)若尾文子、芦田伸介、川津祐介、千波丈太郎、赤木欄子、小山内淳、井上大吾、仲村隆、谷謙一、飛田喜佐夫、河島尚真、池上綾子
この映画は、いちおう反戦映画、というくくりになるだろうか。現に京橋8/9上映の翌日は、池袋の毎夏恒例反戦企画特集の一発目に、これまた傑作鈴木清順「春婦伝」'65と2本立て上映される。
いや、この2本立ても、へヴィーやな(笑)。暗い静かな女の情念の「青い」炎の若尾文子と、高らかにより情動的な女の情念の「赤い」炎の野川由美子と。
しかしこの2本は、左翼お花畑連中がくくりたがる「反戦映画」の枠組みを越えている、というのが、クールなマスマスムラムラと、クールな鈴木清順の、「ホンネ」ではあるまいか。
とにかく極限の非常事態、「戦場の軍隊」という、「個人の情念」よりも「大状況の危機」が優先される中で、さらに当時「完璧に男祭り」「究極のマッチョ主義」の時代に、「ちっぽけな女の情念」なんて余地のない時代精神の中で、「個人の思い」は、いかに叩き潰されていったか、という時代に、
時代反動的な女の情念を、いかに際立たせていくか、戦場という極限状況は、あくまで「女の情動」を、より、際立たせるための、体のいいシチュエーション設定だ、とは、いささか、いいすぎだろうか。
「女の情動」をフルスロットルで演じうる稀有な女優・若尾文子を得て、では、彼女を最大限に生かすシチュは、と考えて、マスマスムラムラは、戦場という究極の「女性性抑圧シチュ」を設定する。
「女の情動」をフルスロットルで演じうる稀有な女優・野川由美子を得て、では、彼女を最大限に生かすシチュは、と考えて、鈴木清順は、戦場という究極の「女性性抑圧シチュ」を設定する。
もちろんともにプログラム・ピクチャア監督であるふたりは、会社からコレをやれ、アレをやれ、と命令されて、映画を作るわけだ。
その社命とは、まさに「扇情的な戦場映画を作れ」ということだろうが、その結果、戦争映画では例外的な「女の情念」映画を作り上げた。一年違いの共時性とは、ちとオーヴァーか。
成瀬・川島の共同監督作があるなら、このふたりのコラボも、見てみたかった。まあ、贅沢すぎる夢か(笑)。
看護婦姿のあややは最強だし、軍服姿のコスプレもあり~の、若尾文子最強の一本。
赤木欄子絶品の看護婦長、まるでロボットみたい、現状を露とも疑わない官僚ロボットのごとき、無表情ぶりは、助演女優賞モノ。
また、なぜか増村の「理想的セルフイメージ」(笑)に近づきつつあるインテリ医・芦田伸介など、語りたいことはいっぱいあるので(増村の妻は歯科医、らしい。歯科医よりは、外科医、というマスマスムラムラの「妻より強い自分」願望の現れか(笑))、感想駄文パート2が、ある予定(笑)。
Akai tenshi 1966 - Trailer
しかしこの予告では、マスマスムラムラの、若尾あややの、情念は、まったく伝わらない!
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# by mukashinoeiga | 2014-08-10 11:31 | マスマス増村保造ムラムラ | Comments(2)