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カテゴリ:三隅剣児女なみだ川と大魔剣( 21 )

三隅研次「銭形平次捕物控 美人鮫」

 神保町にて。「娯楽の王様・時代劇黄金週間」特集。62年・大映京都。
 スーパー・パワフルにして、ウルトラ・センシィディヴな(笑)全盛期の三隅映画に比べるまでもなく、初期三隅映画は、薄味でイマイチ。文字通りの習作の気配。しかし、これは初期三隅にしては、なかなか、いい。
 江戸時代の江戸。深夜。後ろ手を縛られた町娘が、ふらふら逃げ惑い、しかし何者かに殺される。
 そこへ、夜鳴きそばの親父。簡易屋台をおろし、営業準備。客も「寒いねえ」と寄ってくる。そこへ、ヤク中の男(もちろん、ここは当然伊達三郎ですな)が現われ、屋台をぶち倒す。屋台から火の手があがる。ひぇー、あわてた客たちが、火の手を消そうと、手近の天水桶をあけると、水の中に、娘の死体。
 ここまでの、冒頭の短いショットの積み重ねが、素晴らしい。スーパーではないが、繊細かつ大胆な編集の素晴らしさ。
 長谷川一夫の銭形平次が出てくると、ふつうの水準的娯楽映画の水準になるのだけれど。おかしいのは、平時の子分・八五郎。なんと船越。ひょうきんなお調子者に、船越、似合わないぞ。船越、よく言えばひょうきん役には大物感が漂い、悪く言えば、重く、ドンくさい。いつもは名演技の船越の、わざとらしいひょうきんな小物役。見ているほうがむずむずするような、決まりの悪さ。
 長谷川一夫の平次は。まあねえ。この時期の長谷川一夫は、カンロクはあるんだけど、まあ、何やっても、カンロクだけはあるんだけど(笑)。
 そのなかで、初期三隅は、精一杯のサーヴィス。たのしい。

by mukashinoeiga | 2010-04-29 22:36 | 三隅剣児女なみだ川と大魔剣 | Trackback(22) | Comments(0)