カテゴリ:旧作日本映画感想文( 541 )

田畠恒男「花くれないに」高橋貞二小山明子杉田弘子清川新吾雪代敬子菅佐原英一笠智衆柳永二郎

お気楽三番煎じの良さ。作中でも言及あるが「坊ちゃん」「青い山脈」の堂々たるパクリだが、そのぬるさが、心地いいんだよねー。
 ユーチューブにて。57年、松竹大船。 


 実際のランニングタイムは102分とのことだが、この動画は72分。明らかにTV放送の短縮版録画で、高橋貞二と小山明子が仲良くなるエピソードなどが省かれているが、それなりに楽しめる。
 むしろ映画としては、しまったのではないか。

e0178641_9465413.png花くれないに (1957)(Movie Walker HPより)
阿木翁助・作のNHK連続放送劇の映画化。「怒濤の兄弟」の共同脚本執筆者の一人、猪俣勝人が脚色、「「夢に罪あり」より 処女」のコンビ田畠恒男が監督し、布戸章が撮影した。主演は「逃げだした縁談」の高橋貞二、杉田弘子、小山明子、清川新吾、「お富と切られ与三郎」の雪代敬子、「「夢に罪あり」より 処女」の菅佐原英一。ほかに中川弘子、笠智衆、柳永二郎、新人山田百合子など。色彩はイーストマン松竹カラー。
朝田恵太郎はみちのくの今石東校に赴任し、早速若ムジナという仇名を貰った。この土地では男女共学が行われず、この間題をめぐって有力者や教師が二派に別れていた。共学を主張するのは佐久間教師や老町医者の若杉で、反対派には市の有力者、PTA会長の五本松や押川教頭がいて、男女合同の運動場の予定地を競輪場にしようと計っていた。

 高橋貞二ののほん演技の好ましさ。ああ、いいなあ。これがこの映画のすべて。
 琴の師匠・夏川静江の娘に、夏川かほる。娘か。なかなか好印象だが、そのあと見ないな。後のほうのクレジットで、女生徒町田祥子。由紀さおりの姉? 確認できず。
 改めて言うが、三流映画の心地よさ。

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by mukashinoeiga | 2018-05-11 09:32 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

ついに渋谷上映!日本メジャー映画初のレズビアン映画!?野村浩将「野戦看護婦」折原啓子鶴田浩二

隠れた先駆作が渋谷で!
 渋谷シネマヴェーラにて、2018/06/16 ~07/06にて「戦争と女たち」特集。『従軍慰安婦』の再映も!
 充実した特集だが、ぼくが注目するのは、無名の映画、

e0178641_1195985.jpg野戦看護婦(デジタル)』公開:1953年 (シネマヴェーラ渋谷HPより)
監督:野村浩将
出演:南風洋子、中山昭二、宮城千賀子、折原啓子、鶴田浩二、阿部徹、江川宇礼雄
日本赤十字社から華南の野戦病院に配属された恵子は、先任看護婦・雪子と姉妹のように親しくなっていくが…。敗戦の夜に襲撃される病院、そして囮となった雪子の運命は!? 戦場下の看護婦たちの愛と戦いを描いた異色のメロドラマ。

 詳しくは同作に言及した、当ブログの野村浩将「野戦看護婦」日本メジャー映画初のレズビアン映画!?南風洋子折原啓子鶴田浩二宮城千賀子日本メジャー映画初レズビアン映画&初二次創作野村浩将「野戦看護婦」1953がなぜか注目!?を検索してご覧いただきたいが、要約引用すると、

 日本初のレズビアン映画なのではないか!本作は。
 いずれにせよ、ともに宝塚男役スタアだった、南風洋子と宮城千賀子が、当時のメロドラマ・ヒロイン、折原啓子を、中山昭二をライヴァルに、競り合う。いや、それ、話、盛りすぎ(笑)。
 実際には、折原啓子に恋するのは南風洋子で、宮城千賀子は、それをいさめる役回り。(反戦映画なのに)実は女性の女性への恋愛感情を扱う映画になってしまったとは、いったい。
特に前半は、折原啓子に恋する南風洋子のパッション炸裂(当時のレヴェルで)。
 後半は普通の戦争映画(割と力がこもっている)になるが、それでも、後年華のないオバサン女優となる南風洋子の、さすがは宝塚男役スタアだった華を見せる。特に、死に行くときの美しい顔!
 また、安部徹が南風洋子を、小川に突き落としての過剰な攻撃は、女に恋する女への、男からの執拗な反撃を思わせ、異常である。
 (当時としては)きわめて異常かつ過剰な描写により、あえて傑作とする。
 男と女のメロドラマが、女と女のメロドラマに変容したのは、面白い。
 なお、Movie Walkerによるあらすじ紹介も、驚き。映画を見たあと、お読みいただきたいが、南風洋子は中山昭二を好きで、その恋のライヴァル折原啓子を見殺しにする、と。
 じっさいの映画では、折原啓子と仲のよい中山昭二を、嫉妬のあまり見殺しにしようとする。
 この逆転は、なんなのか。最初はそういう企画だったのを、映画製作の中で逆転してしまったのか。それとも、レズビアン映画であることを隠蔽しようとしたのか。謎だ。(以上抜粋引用終わり)

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by mukashinoeiga | 2018-04-27 01:21 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

木村恵吾「再会」森雅之久我美子三津田健清川玉枝木村三津子入江たか子柳永二郎三國連太郎伊藤雄之助

モリマ久我コンビのビミョーなメロドラマ。出色の悪役に三国連太郎だが、いささか甘いのは三国のせいでもないが。しかし善玉悪玉両方演じられる三国に比べ、その息子は善玉一方なのは、ちと幅が狭いか。
 渋谷にて「シネマヴェーラ渋谷的大映男優祭 坪内祐三とシネマヴェーラ渋谷によるセレクション」特集。53年、大映東京。

e0178641_17541953.png再会(1953) (Movie Walker HPより)
直木賞作家久生十蘭の原作を「煙突の見える場所」の小国英雄が脚色、「乾杯!東京娘」の木村恵吾が監督にあたった。撮影は「チャタレー夫人は日本にもいた」の高橋通夫、音楽は「雨月物語」の早坂文雄。「妖精は花の匂いがする」の森雅之、久我美子、木村三津子のトリオに、「愛情について」の三國連太郎、「日本の悲劇」の柳永二郎、「プーサン」の伊藤雄之助、文学座の三津田健などが主なキャストである。
戦争のさ中、修は兄夫婦の勧める気の進まない見合いに行く途中、日比谷公園の音楽堂で隣席の秋子と知合って心をひかれ、見合の相手田鶴子との縁談を断った。秋子は田鶴子と親しい友達で、二人は期せずして同じ男性を恋したのだが、秋子だけがこれを知った。田鶴子も修も気がつかなかった。孤児の秋子は叔父高島少将の家に育てられ、その子憲兵少尉忠雄は秋子を手に入れるため、土曜日ごとに音楽堂で会う修との間を、都下浅沼伍長に命じて邪魔させた。が、彼女の心が修を離れないと知るや、手を廻して彼を北海道の部隊に召集する。凡てを知った田鶴子は秋子を助けて、ようやく途中の駅で二人を会わせた。
出演 森雅之 三津田健 清川玉枝 木村三津子 入江たか子 久我美子 柳永二郎 三國連太郎 伊藤雄之助


 借金のかたに菅井一郎に体を汚されたからといって、やっと再会したモリマを目前に、久我美子も死ぬことはなかろう、というのは現代のぼくたちの感想だが、戦後8年、貪欲にがむしゃらに戦後を生きていた人々が、もはや残像に過ぎないあらまほしき戦前日本の、清らかな理念に殉じるものが、一人くらいは、フィクションのなかにいてもよかろう、ということか。
 パンパンたちがたくましく、あさましく米兵に抱き着くなかで、そういう大和なでしこが一人くらいいてもいいだろう、という物語的願望か。
 それが物語の効用か。

 本作の第二ヒロイン木村三津子が、チョーかわいい(笑)。というか普通にかわいい。ヒロイン女優としてオーラがある。
 これは、相当の驚きで(笑)。
 というのもこの当時の大映で、第二ヒロインは、あるいは下手したら第一ヒロインすら、華がないオーラがない地味地味女優ばかり、という印象がある。東宝や松竹日活など他社では到底主演・準主演クラスにいられないような、オーラなしの素人同然が多すぎた。この、普通にかわいい華がある女優さんは、ホントーにめずらしい。
 この木村三津子が、大映女優として「長生き」出来なかったのは、悲しいなあ。

 モリマが、いじめられる初年兵になったり、金持ちのお坊ちゃんになったり、イマイチ、似合わず。

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by mukashinoeiga | 2018-03-28 17:55 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

市村泰一「この声なき叫び」香山美子田村正和南田洋子園井啓介倍賞千恵子志村喬笠智衆荒木道子北村和夫

意外に魅せる小品佳作。
 神保町にて「赤川次郎と現代ミステリーの世界-映画で愉しむ謎解きエンターテインメント!」特集。65年、松竹大船。
 ミステリとしては小粒だが、見捨てりがたいものがあるドラマ。

e0178641_13414100.jpg7. この声なき叫び (神保町シアターHPより)
S40('65)/松竹大船/白黒/1時間40分
■監督:市村泰一■原作:西村京太郎『四つの終止符』■脚本:柳井隆雄、石田守良、今井金次郎■撮影:小原治夫■音楽:小川寛興■美術:熊谷正雄■出演:香山美子、田村正和、南田洋子、園井啓介、倍賞千恵子、志村喬、笠智衆
人気作家・西村京太郎の"トラベルミステリーではない"初期の傑作長編を、田村正和主演で映画化。母殺しの容疑者となった聾者の青年と、彼の無実を信じ、事件の真相に迫るホステスとの人知れぬ絆に涙する、異色の社会派サスペンス。

 まず香山美子と田村正和は、恋人同士ではない。香山が田村の無実を信じて奔走するのも、やはり聾者だった死んだ弟の面影を田村に見てのこと。
 本作から四か月後の同じ年に、同じ松竹で山田洋次「霧の旗」が公開されているが、その三年後にも、松竹で、山田洋次・加藤泰脚本の「みな殺しの霊歌」
 「霧の旗」では、兄の無実を信じて倍賞千恵子が奔走する。
 「みな殺しの霊歌」では、疑似的な弟のような少年の無垢を信じて佐藤允が奔走する。ま、奔走というより、暴走ですがな。
 この連鎖は興味深い。しかもこの三作には、いづれも倍賞千恵子が、助演、主演、ヒロイン役としてそれぞれかかわっているのも、面白い。「霧の旗」で兄想い、「みな殺しの霊歌」でやくざな兄を殺す。そんな倍賞が山田洋次「男はつらいよ」シリーズで柴又一の兄想いの妹を演じるのも面白い。
 閑話休題。

 Movie Walker解説から引用すれば、
 宝井弁護士は被告人を救う道は「母を安楽死させたと言わせることだ」と言った。無罪を信じながらも、晋一を救うために、幸子は晋一に自白をすすめた。信頼する幸子にも自分の心は解ってもらえない……そんな自分に孤独を感じた絶望感で晋一は独房で自殺をはかった。(以上引用終わり)

 本来なら無実であるという主張をしたいが、それでは裁判に勝てない。裁判に勝つテクニックとして、そういう戦術でいけば、執行猶予、あるいは極めて短期の刑、で済ませられるだろうという、裏技だ。
 しかし純情な母思いの青年に、そんな大人の裏ワザは通用しない。
 この癖のある弁護士を北村和夫が好演。というか、映画に出てくる弁護士って、ほとんど癖のある人物ばかりの印象で。一方の検事は謹厳実直の無個性派。
 まあ自称人権派の弁護士とか、福島瑞穂とか枝野とかの弁護士兼政治屋を見れば、クセダマ野郎ばかりというのは正しいかも(笑)。

 そして真犯人のあれこれも、あまりに小ネタすぎないか(笑)。ろうあの青年が関わっていたから、そういう悲劇性で映画化されたのだろうが、ミステリとしては、あまりに小ネタすぎる。うーん。 
 でもまあ、映画自体は、倍賞千恵子や笠智衆、香山美子、田村正和、南田洋子などの善良さで、救われて好印象。
 なかんづく人権派?の新聞記者を演じた園井啓介の誠実さよ。かつては新聞記者は誠実人権派の代表とみられていました。今は化けの皮がはがれて、捏造インチキ野郎の代名詞ですがな(笑)。


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by mukashinoeiga | 2018-03-19 01:35 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

倉本聰「6羽のかもめ」淡島千景高橋英樹加東大介栗田ひろみ長門裕之夏純子桜むつ子

裏番組は超有名作、低視聴率に泣いた、と言っても主演が当時としても、淡島千景と加東大介じゃあねー。
 そもそもサセレシアさんのコメントのレスに、DVD化もされていない、と書いた後検索したら10年前にされておりましたがな(笑)。いい加減やなあ。

 で、ネット検索したらなぜか1羽(もとい一話)だけ残っておりまして。

6WANOKAMOME #15


 当ブログに載ると、速攻で消される傾向にあるので、素早く見てくださいね(笑)。
 しかし実質加東大介主演とは、映画TV通じてどの年代でもあり得ないこと。それを、あえて、やっちゃったのは、えらい!
 のちにセスナ機特攻自殺の前野霜一郎も、加東大介を揶揄する若手役者として出演。
 若手のころの高橋英樹ものほほんとして、よろし。
 しかしこういう「教養主義」(笑)のドラマが、このころはかろうじて作られてたんだなあ。
 ラスト演劇のドラマとして、出演者のすっぴん姿が披露されるのも珍。栗田、淡島の激変ぶり。加東の哀愁。まだ若手の高橋はともかく、化粧中で逃げた夏純子はづるいぞ(笑)。

e0178641_16271168.png6羽のかもめ(ウィキペディアHPより)
『6羽のかもめ』(ろくわのかもめ)は1974年10月5日から1975年3月29日までフジテレビ系列で放送されたテレビドラマ。全26回。
団員の大量脱退により崩壊の危機を迎えた劇団かもめ座の残存メンバー6名が、芸能界で生き残ろうと悪戦苦闘するストーリー。本放送時キャッチコピーは「悲しいコメディ」。
原案は倉本聰。NHK大河ドラマ『勝海舟』を巡るトラブルによるテレビメディア不信がもとになっている。札幌市に転居後、偽名で発表した[1]。
低視聴率に終わったが、テレビ業界や芸能界の内幕を描き、同業界内で話題となった。放送終了後の1977年には、本作品のスタッフおよび出演者にエランドール賞特別賞が授与された。
高橋英樹の現代劇での連続テレビドラマ初出演作品。また、加東大介の遺作でもある。加東は本作の撮影中に体調を崩して入院したが、医師から許可を得て病院から番組収録に通った。しかし、それは家族やマネージャーの山崎洋子が加東の余命が短いことを知らされ、最後の仕事をさせたいと医師に頼みこんで実現したものだった。
本作でテレビ局の制作局長を演じる中条静夫は、それまでと異なるコミカルな役柄に挑戦し話題となった。(以上引用終わり)

 加東大介が亡くなっことにより、深夜に追悼番組が放送され、各者の思い出話や、「6羽のかもめ」の一話が再放送された。それはTVドラマとしては、異例のことだったろう。

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by mukashinoeiga | 2018-03-14 16:21 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

池部良・蜷川親博「ヴェトナム戦争」

2点ほど気に入った(笑)。
 京橋にて「発掘された映画たち2018 Cinema: Lost and Found 2018」特集。67年、池部良プロダクション。
 一つは冒頭カンパニーロゴ。これが寝そべってくつろぐ猫の動画。猫のカンパニーロゴは珍しい。この美猫は池部の愛猫か。
 二つ目はアメリカ陸海空軍への食い込み様。一独立プロ風情とは思えないほどアメリカ軍内部に食い込んだ撮影。
「HAHAHAHA。日本の映画スタアとやらチャラチャラ野郎が俺たちを取材したいって? ファックユー。甘くみんなよ。おとといきやがれ」
「実はこう見えても元帝国陸軍中尉だぜ」
「オーマイガ――。同業者かよ。オーケー好きに撮影していいぜ」
 かくしてアメリカ陸海空軍にディープに密着した撮影が実現、ただしいかにも素人臭い、シマリのない、映画としては全く面白くない作に仕上がってしまった。残念池部良。

e0178641_326372.jpg19 ヴェトナム戦争(93分・35mm・カラー・日本語ナレーション付)
1967(池部良プロ)(監)池部良、蜷川親博(撮)高野潤、田島卓和、高瀬進、工藤正博(音)團伊久磨
池部良プロダクション第1回作品。本作が監督デビューとなる池部以下撮影隊は、65年末から約2ヶ月間、戦時下のヴェトナムに滞在し、米軍の協力を得て各軍事拠点での撮影を実現した。最新兵器を駆使した作戦行動への軍事ドキュメンタリー的関心の一方、米軍と現地住民の生活との乖離も随所で捉えられる。


 アメリカ軍全面協力のもと、出てくる白人兵は七三分け、黒人兵は短髪、と超清潔、無精ひげも入れ墨もなし。ぼくたちがアメリカンニューシネマなどで見てきたような、泥まみれ血まみれの姿はない。終盤やっと血を流して負傷する兵も何人か出てくるけれども。
 いかにも池部らしい、といっては失礼か、いわば戦争のショールームのような退屈な映画になってしまった。これではいかんと思ったのか、これまた終盤に慌てて、ヴェトコン兵の死体を何体かインサートするも、なんだかエクスキューズめいている。アメリカ軍全面協力だから、アメリカ兵の死体は遠慮してる感満載か。
 そもそもプロのドキュメンタリストでも、なかなか決定的瞬間は、撮れない。だからやらせが絶えないわけで。それがドキュメンタリーの宿命でもある。ましてや素人の池部においてや。
 そして、その代わり、戦争と隣り合わせた平穏な日常描写が多用されて描かれる。池部の資質としてはむしろこちらの方が本線かと思われるが、戦争をテーマにしてのこの描写が、退屈に感じられるのは、不徳の致すところか(笑)。
 むしろ第三の共同監督として岡本太郎を帯同させた方がよくはなかったか(笑)。戦闘シーンは岡本太郎担当、日常シーンは池部、というのを夢想しますな。これが本当の、いーとこ撮り(笑)。

 元陸軍中尉として、あるいは元映画監督志望者として、いったいどういうつもりで本作を撮ったのか、かなり読めない結果になった。もちろん俳優としても、のほほんエッセイの書き手としても、大変敬愛しているのですが。

e0178641_3285138.jpg なお、最近つくづく思うのは、このヴェトナム戦争にしても、今現在の南北朝鮮にしても、しょせん内戦じゃないですか。同民族同士が争うなら勝手に争ってもらって、他国は生暖かく見守っていればいいじゃないですか。
 他国、特に大手戦争屋というべき米露中がナンで介入するんですか。むしろそれが大不幸の元でしょ。
 内戦したい小国には、むしろしょぼしょぼ内戦させてやりゃ―いいんですよ。そこになぜ大国が介入するかなー。利権でしょ。石原伸晃いうところの「所詮金目」でしょ。なんだかなあ。

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by mukashinoeiga | 2018-03-07 03:28 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

新藤兼人「花嫁さんは世界一」フランキー堺雪村いづみ乙羽信子水野久美曽我廼家明蝶東野英治郎小沢栄太郎

軽快コメディ快作。特に冒頭からの十数分は、早口の科白、素早い場面回しと、この時代らしからぬアップテンポな、川島か増村か喜八か、と絶好調。
e0178641_18495422.jpg 新藤、やればできるコなのね(笑)。こころなしか同時期の裕次郎映画、喜八映画、増村映画、中平康映画より、ハイセンスにカットんでいる気が、する。
 阿佐ヶ谷にて「歳末&新春特選 コメディ天国 It's 笑 Time !」特集。 59年、東京映画、配給東宝。
 基本的には新藤は、メジャー各社から、発注された娯楽映画の脚本を量産しつつ、資金をため、自分の監督作は、少々メンドーな、問題作、意欲作、異色作を撮っている、というイメージだ。
 ところが本作はずぶずぶのプログラムピクチャア娯楽作。いったいどうしたんだ(笑)。ふつー新藤は、こんな娯楽作監督しないやろ。考えられるのは、

1 いつものように娯楽映画脚本として流し書きしたら、あまりに出来が良いので、監督もしたくなった。→いや、そこまで出来は良くないので、これは無理筋。

2 この時期手元不如意だったので、脚本料だけでなく、監督料も欲しかった。→これは判定不能。

3 娯楽映画とはいえ、少々水と油なドキュメンタリータッチの「当時の日本社会の多々ある細部」の描写がいくつかあるので、もちかけられた新人監督、職人監督が皆、しり込みした。
「新藤はん、だーれも手―あげる監督おりませんわ。かといってベテランさんに頼むようなシャシンでもおまへん。ここは、あんた、責任取ってもらわんと、あての立場があらしまへんわ」
「うーん、しゃーない、やりますわ。でも乙羽出してくれますやろ」
「そんなのもちろんオーケーオーケーですわ。とにかく番組に穴開けたら、あての立場はあらしまへんわ。たのんまっせー」
 これが一番ありかなー(笑)。

e0178641_18504153.jpg花嫁さんは世界一 ニュープリント (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
1959年(S34)/東京映画/白黒/95分
■監督・脚本:新藤兼人/撮影:遠藤精一/美術:丸茂孝/音楽:広瀬健次郎
■出演:フランキー堺、雪村いづみ、乙羽信子、水野久美、坪内美詠子、藤木悠、藤山寛美、曽我廼家明蝶、東野英治郎、小沢栄太郎、千田是也
カリフォルニアから二世の青年が花嫁探しにやってきた!大阪・広島・名古屋と三人の候補者とお見合いをするのだが、さて運命の相手はみつかるのか──。主演フランキー堺、雪村いづみ。新藤兼人監督には珍しい、軽いコメディ。

 ラヴコメ娯楽映画としては、やや失速していくのだが、その理由であるドキュメンタリータッチの白黒描写が、あまりに素晴らしく、美しすぎる。寺の庭の砂庭園の生成、塩田、なんだかいかにも手作りのイチゴ栽培、このドキュメントな描写があまりに美しくて、これでラヴコメが失速するのは、やむを得ないな、と。
 むしろ意図的に失速させている、とみるべきだろう。
 かといって東海道線車中から見る富士山は、思いっきり書き割りの大胆さ

 旅行ガイドとしてフランキーに同行する雪村いづみが素晴らしい。喜八映画で鍛えた?早いセリフ回しの滑らかさ。そして喜八は短いカットを積み上げて編集していくが、本作では長回しのいくつかで、いづみフランキーの軽快な会話をとらえていく。
 長回しでも軽快、早口は撮れるんだぜ、喜八っつあんよ、というような、どうでぇ感(笑)。これを支えるのは、フランキーでなく、いづみである。
 そのいづみが、各出張先のホテルから、電話で小沢栄太郎社長に、報告を入れる。ははあ、ネタ元は、ハワード・ホークス「ヒズカール・フライデー」フランク・キャプラ「或る夜の出来事」当たりか。真っ当なネタ元だ。
 ただ政治的立ち位置から見ると、新藤は、どう見ても米帝嫌い?だろう。アメリカという虎の威を借る?日系二世のフランキーが、日本の娘さんを品定めっていう設定には、どうなの(笑)。
 第一候補奥村恵津子は、父東野英治郎をはじめとする日本的大家族に反発して、万事都会的なアメリカにあこがれる。しかしフランキーは家族主義者だ。奥村は当然フランキーを振る。この皮肉。
 第二候補水野久美は、父曽我廼家明蝶の没落に、好きでもない金持ちの息子に嫁ぐ、けなげな娘。というか日本的に自分を殺す娘。まれびとのフランキーは彼女を救うすべもない。

 うーん通常東宝ラヴコメと比べると、嫌がらせのように暗いネタだな(笑)。第三候補は、乙羽信子。当時としては確信犯的いかず後家? しかもイケズで半チクなインテリで。なんとなく化け物感あり。この奇妙さは、東宝プロパー監督にはなかなか出せない味か。
 浜田寅彦や天津敏、岩崎加根子や横山道代、どんな小さな役にも贅をこらした、かなりのぜいたくさ。主役陣にはともかく、脇役陣には、「一応東宝配給だけどよー、ギャラは近代映画協会価格で(笑)」というとこ?

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by mukashinoeiga | 2018-01-20 18:53 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

堀内真直「正々堂々」伊藤雄之助鳳八千代渡辺文雄千田是也三井弘次トニー谷大泉滉中村是好

クスリともできない喜劇ほど始末に困るものはない(笑)。
 阿佐ヶ谷にて「豊かに実る 松竹文芸映画の秋」特集。59年、松竹大船。
 笑えないながら、いろいろ工夫しているが、全く面白くない(笑)。
 例えば木下恵介「カルメン純情す」ばりに、画面を傾けて撮るのだが、いきなり初めて、ある時点からいきなりやめる、何の戦略も感じられず。
 字幕でも遊んでいるのも、おもしろ―もない。
 そして、最大の欠陥は、それなりに面白い役者がバンバン出てくるのに、クスリがほんの数回のみ(笑)。
 主演の市長・伊藤雄之助は全編顔芸、変顔の連発で、でも無駄に面白くないのね(笑)。

e0178641_11473041.jpg正々堂々 1959年(S34)/松竹大船/白黒/66分 (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
■監督・脚本:堀内真直/原作:源氏鶏太/脚本:川辺一外/撮影:小原治夫/美術:森田郷平/音楽:木下忠司
■出演:伊藤雄之助、鳳八千代、渡辺文雄、千田是也、三井弘次、トニー谷、大泉滉、中村是好
億万長者の帰郷で、寄付金目当ての歓迎攻めに奔走するたぬき市長、きつね助役、むじな議員たち!市会は上を下への大騒ぎを繰り広げる──。欲の塊・伊藤雄之助市長ほか名バイプレイヤーたちが絶妙の演技を競う、源氏鶏太原作のコメディ篇。

 ある事情から、三井弘次は「あ、そう」を連発するのだが、もちろん昭和天皇の真似なのだが、この連発する科白の管理が、口調の変化もまったく行き届かず、見ているこっちもイラつくほど。
 ぼんやり思ったのは、渡辺文雄&三井弘次の、都会から来たある意味詐欺師コンビが、田舎の人たちをだますコメディというと、木下恵介「花咲く港」だなあ、と。いかにも松竹のお家芸だが、監督の名前が真直ではコメディは無理か(笑)。
 先輩格の川島が撮ったらとも夢想する。
 戦前松竹の好青年磯野秋雄がおっさんメイクで市議の一人とは、いささか感慨深い(笑)。もっとも若いころから老け顔だったが(上記不鮮明な集合写真の後列右端)。
 感想駄文済みの大庭秀雄「稲妻」の、ついで見の本作だったが、ミッキー成瀬「稲妻」のリメイクを見に行ったら、ついで見もある意味リメイクだった(いささか強引な物言いだが)戦後松竹の企画不足とは、これまた牽強付会か。

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by mukashinoeiga | 2017-12-17 11:48 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

池広一夫「尼くずれ」安田道代三木本賀代中谷一郎小松方正高原駿雄

なぜ尼にこだわる(笑)。尼だけに、映画として不毛ではないか(笑)。
 渋谷にて「シネマヴェーラ的大映女優祭 小西康陽とシネマヴェーラ渋谷によるセレクション」特集。68年、大映。
 感想駄文済みの村山新治「尼寺博徒」野川由美子71年どうよう大映尼さん好きだなあ(笑)。
 お話は定番の極み。禁欲のはずなのに男とパコパコ、尼僧同士でレズり、挙句の果てに、なぜかヤクザに、いちゃもん付けられ、出入りがあり~の。東映が女博徒モノで当て、大映も江波杏子でパクったが、何か独自の企画を、となって、尼があるじゃん尼が、と安易な流れか。
 しかし尼をヒロインにしても、話の膨らみようもなく、それこそ不毛で。中途半端なエロと、御法度のせめぎあいの中で、ご法度がどんどんぐずぐずになっていく。それって面白くないよ、と。あまりに、アマい(笑)。

e0178641_1514081.png『尼くずれ(35mm)』公開:1968年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:池広一夫
出演:安田道代、三木本賀代、小林直美、しめぎしがこ、中谷一郎
春光尼(安田道代)と知り合ったトルコ嬢の三木本賀代は、ヤクザに追われる仲間たちを引き連れ尼寺に逃げ込んだ。増大する生活費を稼ぐためヌードモデルを引き受けた安田は…。美人でカッコよくてヤクザ相手に啖呵もきれるヒロインに安田道代がドンピシャ。「姿は尼だが、中身は凄い!!」というばちあたりなキャッチコピーもイカす。【小西康陽セレクション】

 僧侶兼人気作家の今東光の、いわゆる業界裏話的原作なんだろうが、そもそも今もそうだが、僧侶は妻帯も許されるのに、なぜ尼僧だけは禁欲一筋なんだと。ダブスタの極みというか、性差別か、それとも尼僧たちは原理主義者なのか。まさに二層構造だ。
 いまやダブスタ左翼の瀬戸内レモンは、若尼時代は、スタア尼として仏教界の人気者であり、若僧の塩エキスを吸い取って、瀬戸内塩レモンだったりして。←個人の完全なる妄想です。
 エロ写真家に高原駿雄、エロヤクザ親分に小松方正、そして女をレイプしまくりのあげくトルコ嬢に落とすヤクザに意外にも中谷一郎と、新劇系満載。いつもの大映おやじ連は影もなし。こういう重厚な役は大映プロパーには任せられないということか。それとも時期的に専属を抱え込めない末期になって、どうせ使うならフリーの有名脇役ということか。
 なお「尼くずれ」同様、三宅邦子が上品な庵主さま。抜群の安定感で。

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by mukashinoeiga | 2017-11-20 01:52 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

村野鉄太郎「雪の降る街に」高原巧山崎努小桜純子川口浩三津田健渚まゆみ

次の展開が読めない異色青春ドラマ?
 渋谷にて「シネマヴェーラ的大映女優祭 小西康陽とシネマヴェーラ渋谷によるセレクション」特集。62年、大映。
 都内の名画座が、大映というより、大映を吸収した角川映画に誘われたのだろう、それぞれ工夫した大映特集を展開する。面白い試みで、ファンとして歓迎したい。
 ただこの規模な特集は大映ならではの事情、多彩な作品があり、なおかつ地味で今まであまり光が当たってこなかったような点がある気もするので、次の展開はむずかしいかも。

e0178641_239305.jpg『雪の降る街に(16mm)』公開:1962年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:村野鉄太郎
出演:高原巧、山崎努、小桜純子、川口浩、三津田健、渚まゆみ
秋田の雪深い街。高校野球のエース・信夫の家をプロ野球選手の辺見が訪ねてくる。信夫は辺見の妹・久美子に一目で恋するが、彼女は信夫の兄・一郎に惹かれ…。雪深い街を舞台に、都会から来た娘をめぐる兄と弟の相克を『雪の降る街を』のメロディに乗せて描いたドラマ。スキーの選手生命を断たれ屈折した一郎を山崎努が演じる。【小西康陽セレクション】

 確かに本作は紛れもなく青春ドラマなのだが?
 まず第一に、大人のドラマに絶対的な安定感を持つ大映は、だからか、青春ドラマが、苦手。
 本作も、映画自体に青春感がないし、いかにも昔の田舎の高校生らしいジャガイモ顔の主人公にも青春感がないのだ。
 ジャガイモ君はある場面では、ふてぶてしいまでに大人っぷりなゲスさを発揮し、いかにも大映で。
 最後の大泣きは小学生っぽい。ジャガイモ君は、青春だけが、ない、とは言いすぎか。

 そもそも地元出身のプロ野球スタア投手の大瀬康一が肩を壊し、秋田の温泉で療養中。そのいもうと小桜純子に、ジャガイモ君は、一目惚れ。
 一切のタメもなく、彼女にアプローチ。ここには自分の田舎者でジャガイモ顔に対するコンプレックスが一切ない。まるでこの少年は、思春期の悩める少年ではなく、中年成金のスケベおやじのようだ、とはいいすぎですねはい(笑)。
 ジャガイモ顔の無名俳優と、華のない地味地味な新人ヒロイン。こんな組み合わせは、絶対に大映でしか、ありえない。
 地味地味カップルの主演ゆえ青春感はどんどん低減し、話をぼやけさせていく。
 それに湯をかけて、もとい、輪をかけて、話をボケさせていくのが、ジャガイモ君の兄・山崎努だ。
 世間では山崎努や緒方拳、仲代を名優扱いだが、ぼくはこの三人をうまいと思ったことはない。このハンチクな引きこもり君(というのも不正確だが。家族とも子供たちとも普通に接しているし)を繊細に演じるには、山崎の演技力では、はっきり不足。
 この複雑な彼を楽々演じきれるのは、この時期おそらく市川雷蔵ただ一人か。ただこんな低予算ノンスタア映画に雷蔵は出せまい。
 ド定番の定食番組を得意とする大映が、下手に文芸映画に手を出したというところかな。
 なおそれなりに余韻のあるラストも、ダークダックスの同名主題歌が流れ、すべて雰囲気ぶち壊し(笑)。

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by mukashinoeiga | 2017-11-17 02:39 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)