人気ブログランキング |

2015年 05月 10日 ( 3 )

佐々木康「きさらぎ無双剣」

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。62年、東映京都。
 ヒーローが多すぎる(笑)。
 御大・右太衛門を主役とし、若手成長挌・松方弘樹、里見浩太郎を顔見世としてフィーチャー、戦前からの高田浩吉、近衛十四郎を「重厚な脇役」として遇し、若山富三郎、東千代之介にも、アシストさせる。
 全盛期東映時代劇ならではの、贅沢三昧。
 これが、盆暮れでもゴールデンウィークでもない4月8日公開というのだから、贅が過ぎるというもの。もっとも二番館、三番館では、ちょうどゴールデンウィークか。
 これが全盛期の勢いというものであろうか。もちろん、いかにも東映時代劇ならでの華やかさで、グッド。

きさらぎ無双剣 (93分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
京都新聞の連載小説を原作に、江戸の町に大混乱を起こし、江戸城を襲おうとする者たちの陰謀に立ち向かう男たちの姿が描かれる。立ち回りの鮮やかな近衛十四郎を相手に、右太衛門もキレの良い殺陣を披露しており、本人も特に気に入っていたという。
1962(東映京都)(監)佐々木康(原)五味康祐(脚)結束信二(撮)わし尾元也(美)吉村晟(音)阿部皓哉(出)市川右太衛門、松方弘樹、里見浩太郎、大川惠子、高田浩吉、近衛十四郎、若山富三郎、東千代之介、筑波久子、青山京子

 とはいえ、右太衛門の相方ヒロインに大川恵子というのは、まあ、いいとして(といっても、あまりにお年が離れていて、大川の右太衛門ラヴの熱演も、おかわいそう)、松方弘樹の相手役は日活で芽がでなくて流れてきた筑波久子、里見浩太郎の相手役は、東宝から落ち目で流れてきた青山京子、という女優陣は、いかがなものか。
 1950年代の東宝で、輝かんばかりのオーラを放つティーンアイドル女優だった青山京子が、二十代になると、なぜか地味なオーラなき若手女優になりおおせ、東映に流れてきたのは、今回の特集1&2で、初めて認識したが。
 筑波久子は日活時代よりダンゼンキュート、さらにハリウッドへ流れ、ジョー・ダンテ「ピラニア」のプロデューサーになるだけあって、のちにピラニア軍団をフィーチャーする東映の水に、あったか。
 ということで、本作の青山京子は、筑波久子にすら、完負け。

なお、敵役ゆえ最終的には右太衛門に、斬り倒される近衛十四郎、毎度おなじみ絶品の剣捌き。引いた刀を、瞬時に手のひらを返して、整える、などの、剣捌きにエクスタシー
 ちゃんばらスタア数あれど、豪快かつ繊細な剣捌きで、エクスタシーすら感じさせるは、この人だけ。近衛十四郎。

 この近衛が、相対する盗賊・五つ目小僧に、キュートな松方弘樹。「下手な侍より、よっぽどいいぜ」と近衛。でも、近衛がまじめすぎて、ギャグにならないんだけども。
 また、若山富三郎は、ぴょんと空中に高く飛び上がり、くるっと回転、斬る。
 ああ、重厚かつ豪快かつ早業の近衛十四郎と、軽快かつ早業な若富の、延々ガチンコちゃんばらも、見てみたかったなあ。
 どこかに、ないか知らん。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

by mukashinoeiga | 2015-05-10 22:15 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

山下耕作「大喧嘩(おおでいり)」

 京橋にて。「日本映画史横断⑥ 東映時代劇の世界Part 2」特集。64年、東映京都。
 まずは、下に引用した紹介文を、お読みいただきたい。

大喧嘩(おおでいり)(94分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
大川橋蔵が『関の彌太ツペ』に刺激を受け、山下監督に依頼したとされる作品。浅間山の噴煙をのぞむ甲州・小田井宿に、草鞋を履いていた勝場一家の秀次郎(大川)が3年ぶりに帰ってきてみると、行く末を誓った女(十朱)は弟分(穂高)の女房になり、一家は抗争の火種を抱えていた…。
1964(東映京都)(監)山下耕作(脚)村尾昭、鈴木則文、中島貞夫(撮)鈴木重平(美)富田次郎(音)木下忠司(出)大川橋蔵、丹波哲郎、河原崎長一郎、十朱幸代、入江若葉、松浦築枝、加藤嘉、穂高稔、徳大寺伸、片岡栄二郎、藤木錦之助、鈴木金哉、西村晃、金子信雄、阿波地大輔、川浪公次郎

 山下耕作「関の彌太ッペ」63年の、ような、しみじみと泣ける人情モノを、イメージして、橋蔵は、話を持っていったのだろうか。持ち込まれた山下は、頭を、かかえただろうね。
 つまり錦ちゃんと橋蔵は、同じアイドル・スタアでも、まったく資質が、違う。
 どちらが、いい悪いという問題ではなく、錦ちゃんは、明朗な明るさとともに、しっとりとした情緒も、かもし出せる。世話物には、絶好に、はまる逸材。
 ところが、橋蔵は、あまりにからりと晴れ上がっていて、影が、ない。天性のアイドル。
 いや本人にしてみたら、オレだって快晴一本やりじゃあ、ないぞ、といいたいかもしれないが、曇りの橋蔵も、雨の橋蔵も、橋蔵が演じたら、たちまち曇天の空に、陽の光が、さす。それくらい、橋蔵の強度は、強い。
 言葉を変えると、錦ちゃんは、サドもマゾも、どちらも、いける。橋蔵は、徹底して、マゾが、似合わない。
 錦ちゃんと違って、あまりにイケメンすぎた悲劇で。

 頭を抱えた、山下の、あるいはプロデューサーの、失策(と、いっていい)は、脚本を、「関の彌太ッペ」成沢昌茂のような、文芸映画のテダレではなく、村尾昭、鈴木則文、中島貞夫に丸投げ?したことだろう。
 村尾はともかくとして、あとの二人、特に鈴木則文が、おそらく、なみだ涙の人情モノを、徹底的に、ずっこけさせる(笑)。

 本作での橋蔵の敵役は、素浪人・丹波哲郎。このタンテツが、まるで石井輝男映画の、明日死能まんまのニヒル素浪人、いやどちらもタンテツが演じているのだから、まったくクリソツで、ニヒルを通り越して、とにかく人を斬って斬って斬りまくるクレイジー侍。
 とくに「依頼人の黒幕」金子信雄を、あっさり瞬殺するシーンには、場内に爆笑というか失笑というか。
 やはりタンテツが、調子いい軽輩やくざ・西村晃を、タンテツが蛇蝎のごとく嫌う虫けらゆえに、「ついでに」斬り殺す際も、西村晃が「やっぱり運がなかった」とか、間抜けなシにぎわのセリフで、コメディ感を増す。

 さらに、ラストに延々と続く大喧嘩(おおでいり)シーンが、本作に橋蔵が期待したであろう、しみじみ感を、徹底して、奪っていく(笑)。
 橋蔵たちが、走る走る走る。相手の組の連中も、走り回り、まるでラグビーのスポーツ感満載。
 中途ハンパながら、この年の前後に、顕著になった、東映集団抗争時代劇の様相を呈す。
 青々とした稲のの田んぼ、田植えしたばかりの、まだ下草のような稲のなかでの立ち回り。橋蔵も、エキストラに蹴りを入れられたり、大奮戦。
 ラグビーみたいなスポーツ感は、後年、中島や工藤の映画が得意としたところだから、おそらくこのシーンは、助監督の、たぶん鈴木、中島あたりが、大部分撮ったのでは、ないか。
 少なくとも橋蔵が絡まないエキストラのみのシーンは、そうだろう。
 中途半端なのは、流麗なカラー映像ゆえであり、助監督は「本気」だとしても、監督がそこまで「ノレ」なかったのだろう。

 当初の企画が、「関の彌太ッペ」由来だとしても、出来た映画は、かように、ねじまくっていく。鈴木や中島の時代になっていく。
 天性の時代劇アイドル(現代劇が、まったく似合わない)橋蔵は、お茶の間のTVと舞台に、移行していかざるを得ないだろう。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

by mukashinoeiga | 2015-05-10 09:10 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

恩地日出夫「素晴らしい悪女」団令子久保明田村奈己鹿内タカシ上原ゆかり宮口精二神山繁小池朝雄内田裕也藤原釜足

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第77弾 団令子」モーニング特集。63年、東宝。
 うーん、確かにヒロイン・ダンレイの魅力炸裂だが。シャワーシーンでは、ダンレイ。ヨコ乳を見せて、意外にボインだし(笑)。
 なんといっても、男性側主人公・久保明の役が、トコトン、どんくさい。最初から、最後まで、いろいろドンくさい。
 主人公が徹底してドンくさい映画を見るのは、はっきりいって、苦痛である。
 しかも、久保明のドンくささに対比するように、ドンくささの対極にあるダンレイの、はじけっぷり、なのだが、ダンレイ延々の長台詞。
 こんなにエンエンしゃべり倒し、言葉で説明したら、これも、また、ドンくさい。ドンくさく寡黙な久保明を補うがごとく、ダンレイに、エンエンゃべらせ続けるのだが、しかし、それは、こりにこった名セリフでもなし、単なる駄弁の連続。
 
素晴らしい悪女 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
1963年(S38)/東宝/白黒/89分
■監督:恩地日出夫/原作:石原慎太郎/脚本:白坂依志夫/撮影:内海正治/美術:阿久根巌/音楽:武満徹
■出演:久保明、田村奈己、鹿内タカシ、宮口精二、神山繁、小池朝雄、タロー関本、内田裕也、藤原釜足
人を愛さず、お金がすべて。ナイトクラブのホステス・ミカ(団)の自由な生き方に、大学生の大庭(久保)は憧れを抱き始める──。当時の俊英スタッフを揃え、モラルにとらわれない魅惑の女を鮮烈に描き出した一篇。
e0178641_729491.jpg

 脚本の白坂依志夫といえば、早口膨大なセリフで知られる増村の脚本家でもあったのだが、同じく多弁だが、増村ほどの輝きは、むろん、ない。延々空疎な長台詞をこなすダンレイの不幸よ。
 あまりに紋切り型過ぎて、これでは、ウラ青年の主張、というか、ヤンキー版青年の主張、のモンキリで、見ている(聞いている)こちとらの熱は、駄々下がりで(笑)。
 左翼映画でなくとも、(ウラ)青年の主張の、むなしさよ。
 映画なんだから、すべてを言葉で説明するなよ。冒頭の久保明が横浜の管理人室に住み込みする、その狭い管理人室を、なめるようにパンニングしての移動撮影、その素晴らしさが良かっただけに、あまりに、残念。

 ダンレイも、スケベジジイなどのアマチュアを相手に、小銭を稼ぐのには才を発揮するも、何で、プロたるやくざたちの、密輸ダイヤの取引にまで、手を伸ばすに至るのか、明らかに無謀。しかも、その前段の実験たる、どれくらい早くパトカーがやってくるか、その実験も意味なしで。
 久保明も、そのダンレイに魅了され、悪に手を染めるドンくささ。ひどさもひどし。
 こういうのが、鮮烈な若手の野心作、と喧伝するのだから、映画史は、当てに、ならない。
 なお、ダンレイの末の妹・上原ゆかりは、やはり出色の子役。
 サブヒロイン田村奈己、ダンレイの対比か、ガリガリのサブヒロインは、魅力なし。性格悪い金持ちのぼんぼん・内田裕也、出色の気色悪さ。この気色悪い奴の演技は、後の主演作の数々より、はるかにはるかにはるかに素晴らしい。
◎追記◎各部屋の鍵を管理する管理人の久保に、一千万円の預金通帳のありかを教えてしまうダンレイ。人がいいという以上に、間抜けじゃね(笑)。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

by mukashinoeiga | 2015-05-10 00:22 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(25) | Comments(5)