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2014年 08月 27日 ( 1 )

増村保造「音楽」

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。72年、行動社=ATG。あと1回の上映。
 再見だが、例によってぼんくらなぼくの記憶力は、ほとんど機能していない初見状態(笑)。
 しかし、うーん、こ、コレは・・・・(笑)。
 これは、ある意味、感想駄文済みの増村保造「千羽鶴」の、真逆にある映画か。
 「千羽鶴」若尾文子は、絶えず発情欲情していて、すべてのシーンにおいて、悶えまくりハアハアしている。
 いっぽう本作の黒沢のり子は、不感症である。
 おそらく「千羽鶴」と「音楽」は一対の、好対照の映画として語られるべきものかもしれない。

音楽 (103分・35mm・カラー)<フィルムセンターHPより>
大映の倒産後、増村が長年のパートナーである藤井浩明(製作)、白坂依志夫(脚本)と設立した行動社の第1回作品。音楽だけが聞こえないという女の意外な過去が精神分析治療によって明かされる。原作は、増村が大映時代にも映画化を企画した三島由紀夫の小説。自由連想を描くシュールな映像が注目を集めた。
'72(行動社=ATG)(監)(脚)増村保造(原)三島由紀夫(撮)小林節雄(美)間野重雄(音)林光(出)黒沢のり子、細川俊之、高橋長英、森次浩司、藤田みどり、森秋子、三谷昇、松川勉、夏木章、松村若代、千月のり子、伊藤千明

 なお、本作のストーリー、及び原作の三島と増村の関係性をきわめてヴィヴィッドに捉えた★フツーに生きてるGAYの日常 増村保造「音楽」●MOVIEレビュー(ATG)★は、当ブログ以上に必読、的確明晰、ぜひお読みいただきたい。と、他ブログに頼りきりの当ブログなのであります(笑)。

 黒沢のり子は、不感症と告白できない。羞恥心と自尊心による。その代わり、「音楽が聞こえない」と、当初、表現していた。
 本作は、患者の彼女と、精神科医・細川俊之の二人の、精神分析バトルを描いた、いかにもマスマスムラムラな、ストーリー。おおむね、二人の言葉のやり取り、対決を描く、増村保造ならではの、ストロングスタイル。黒沢のり子も、細川俊之も、増村的責めのせりふで相手にぶつかっていくのだ。

 ただ、問題は(笑)。いかにもマスマスムラムラらしく、「色情狂」を責めのスタイルで描くのはともかくとして、「不感症」もまた、責めのスタイルで描く。
 黒沢のり子は、姿勢としても絶えず前のめりになり、マスマスムラムラ的としか言いようのない、攻めのスタイルで、ガンガンぶつかって行く。
 精神的(かつ肉体的?)ポジティヴ?の「色情狂」と、精神的(かつ肉体的?)ネガティヴ?の「不感症」の、それぞれの描写が、ベクトルは正反対?なのに、同じ「強度」で描いていいのか?
 どうなんだ、増村。という違和感は、否定できない(笑)。

 そして、後期増村でいつも思うのは、またしても、
 黒沢のり子が若尾文子であれば、ついでに細川俊之が田宮二郎であれば、という喪失感である。
 鈴木清順が、「あなたの映画はつじつまが合わない」といわれて、
「つじつまが合わない(と、感じる)のは、(主演)俳優のせい」と、開き直った(笑)迷言ないし名言を、想起させる。
 ぼくたちは、増村と若尾のベスト・マッチングを見すぎてしまった。三船と別離した黒沢映画がまったく失速したように、若尾と身二つになった増村映画の、コクとキレの喪失。冗談ではなく、福島第一の電源喪失に匹敵する悲劇だ。後期増村を見るたびに、ああ、若尾文子がいさえすれば、とないものねだり。
 若尾文子なら、「色情狂」も「不感症」も、エブリシングオーケーなのだ!
 死んだ子の年を数えるのが、増村ファンの、かなしいサガ。

 なお、鈴木清順といえば、彼と増村の映画的「親近性」にたびたび言及せざるを得ないが、京橋HPが言及する「自由連想を描くシュールな映像が注目を集め」、そのシュールな映像は、鈴木清順を、改めて連想させる。冒頭のはさみの開閉は、鈴木清順「ツィゴイネルワイゼン」冒頭のカニさんに近似。着物を繰り広げるシーンもどうよう。
 ただし、超合理主義・増村の「シュール」さは、鈴木清順のシュールパワーとは、比較にならない。「音楽」の「シュール」描写は、「ツィゴイネルワイゼン」の、制作時期は逆だが、下手な模倣、出来損ないである。

三島由紀夫 音楽

 画質は、悪い。

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by mukashinoeiga | 2014-08-27 05:11 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(2)