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2014年 03月 30日 ( 2 )

高嶋達之助「お嬢お吉」溝口健二補導

 京橋にて。「よみがえる日本映画-映画保存のための特別事業費によるvol.7松竹篇」特集。35年、第一映画。
 冒頭、松竹株式会社、日本映画配給株式会社、映音(音映?)トーキー、第一映画と、4枚のカンパニー・ロゴが出る。昔日の日本映画としては、珍しい。
 胴元(黒幕)、差配師、トーキー・サポートの叔父貴、下請け、といった、按配、だろうか。
 さらに、新人監督の「補導」とクレジットされるのが、溝口健二って。クレジットが、多すぎる(笑)。
 なお、録音にマキノ正博とクレジット。トーキー技師時代。「おしゃべり」なマキノが、現場にいながら、録音のみに徹していたとは、思えないが(笑)。

お孃お吉 (64分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
第一映画社で溝口健二作品の脚本を担当していた高島達之助の監督デビュー作。溝口は応援監督として参加している。船宿の女将・お吉(山田)は、「お嬢お吉」の異名を持つ、強請の常習犯である。足を洗おうと決心したお吉は、見合い相手の材木問屋の若旦那(林)にすべてを告白するが…。1934年に第一映画社が創設されてすぐ、松竹は「日本映画配給株式会社」を興して同社作品の配給を開始した。
'35(第一映画)(監)高嶋達之助(原)(脚)川口松太郎(撮)内炭吉四郎(美)久光五郎、斉藤權次郎、花谷数雄(音)福田蘭童(出)山田五十鈴、原駒子、梅村蓉子、林敏夫、小泉嘉輔、雲井竜之介、芝田新

 まだ可愛い頃の山田五十鈴が、ぶりっ子お嬢様のフリをして、大店の若旦那とのお見合い、結納金を騙し取り、さらに結婚式当日は、年増の似ても似つかない花嫁が現れ、破談、始末料をもらって逃げきる、二重取りとはいい条、なんだかコスト・パフォーマンスが悪そうな、美人局。
 ブリっ子の五十鈴もいいし、アバズレな五十鈴もいい。
 ただし、モンダイは、若旦那役の林敏夫。下加茂からの特別出演とクレジット。当時の人気スタアらしい。 
これが、なよなよした男のなよなよ演技で、つまり、演技に感情が、こもっていない「旧劇」調。
 感情の表現としての演技、という現代の演技ではなく、まるで舞踏のように、演技の型を墨守した、今の目で見て、それは、出来損ないの人形芝居だろう、というギクシャクブリ。
 イヤー、醜態(あくまで、現代の視点で見て)な、なよなよ演技、無感情な木偶人形演技。

 ミゾケンが「監督補導」、果たして名義貸しだけに過ぎなかったのか、かなりフォローしてたのか、いざ知らず、この林敏夫の、演技のひどさは、ないだろ。厳密厳格な演出者(と、される)ミゾケンが、「補導」作品とはいえ、林敏夫のダボハゼ演技をフィルムに定着させた事実は、大きい(笑)。
 女優の演技にはきつく当たるが、男の役者の演技は、ダボハゼでも、いいのかミゾケン。
 あるいは、逆に「忖度」すると、林敏夫を出演させる企画が起こったとき、自身はからくも逃げ切り、その代わり子飼いの脚本家(助監督ではなく)に「押し付けた」のかも、しれない。
 まあ、考え過ぎか。

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by mukashinoeiga | 2014-03-30 22:40 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(1) | Comments(2)

大森一樹「トットチャンネル」

 京橋にて。「自選シリーズ 現代日本の映画監督2 大森一樹」特集。87年、東宝。
 初上映時、TV放映時に見たものの、再再見。

トットチャンネル(97分・35mm・カラー)<フィルムセンターHPより>
いずれも高評価を得た斉藤由貴3部作。その2作目で、「窓ぎわのトットちゃん」の青春篇とも言える黒柳徹子の同名エッセイの映画化である。テレビ草創期のNHK放送劇団に採用された若者達の青春群像の中で、斉藤の個性豊かなコメディエンヌぶりが弾ける。
'87(東宝映画)(監)(脚)大森一樹(原)黒柳徹子(撮)五十畑幸勇(美)薩谷和夫(音)かしぶち哲郎(出)斉藤由貴、渡辺典子、高嶋政宏、村上里佳子、網浜直子、堀広道、寺田農、高橋長英、久野綾希子、内田朝雄、三浦洋一、植木等

 東宝の、いわゆる斉藤由貴=大森一樹3部作のなかでは、やや、弱いのに、なぜ、大森一樹は、他の2作を差し置いて「自選」したのか。
 上映後のトークで斉藤由貴も不思議がっていた。なお、このトークでの斉藤由貴は、胸の谷間を見せる黒のドレス姿。顔も、往時のアイドル時代と違い、ほっそりしていて、軽妙なトークも楽しい。もっとフィーチャーされるべき<大人の女優>を期待させるものだった。
 意外なことに、トーク能力はTVのヴァラエティ(ただし大人向き)にも、立派に通用するくらい。びっくりした。
 なお、トーク会場には「十朱幸代」役の林優枝(むしろ大林映画で印象的)も、顔を見せていた。

 主演女優にさえ不振がられる自選に、大森は、この3部作の中で一番評価が低く、まあ、出来の悪い子ほど可愛い、という心理か、出来のいい2作を差し置いて、自選したのだという。
 さらに、おそらく、TVドラマで描いた映画女優の大森一樹「女優時代」(主演はもちろん斉藤由貴、感想駄文済み)が今回の目玉(久しぶりのレアもの上映という意味で)、これに映画で描いたTVタレントの話を、好一対のものとして、対比させたかったのだろう。
 映画もTVも、本当に「他人の芝生は青い」を実践しているのね。

 さて、監督本人が、主演女優に不思議がられつつ、出来の悪い子を溺愛?しているというのも、ナットクの不出来(笑)。特に前半、TV創世記の、面白いエピソードてんこ盛りの展開、のはずなのに、演出、編集が、もっさり。
 各ショット、各シーン、各シークエンスが、確実に数秒ずつ、ないし数十秒ずつ、つまめるのではないか、というダルダルぶり。まあほのぼの映画が身上の大森としては、このゆるさが、トレードマークなのかもしれないが、それぞれのショット、シーン、シークエンスの、ことごとくのユルサが、見ている当方を、軽くイラッとさせるのは、否めない事実だ。
 これに「80年代青春映画特有」のぬるさが加味され(仲間の別荘に繰り出すシーン)、これでは主演女優の斉藤由貴が可愛そうだ、とさえ、思う。
 斉藤由貴らを教える、まじめなNHK講師の役に植木等。しかし、自然なおかしみが前面に出てしまう植木は、完全なミスキャスト。もっと慇懃無礼な感じが、出たほうがよかった。たとえば、先ごろ亡くなった、宇津井健とか。
 出来売れば、オーディション審査員に、大林宣彦など(笑)。あ、大林では、NHK的にちゃら過ぎるか(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-03-30 01:51 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(6)