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2011年 11月 19日 ( 1 )

大曽根辰保「流轉(るてん)」

 京橋にて。「映画女優 香川京子」特集。56年、松竹京都。
 香川京子の初のカラー作品とのこと。きれいなプリント、さすがフィルムセンター、ニュープリント同然。
 井上金太郎「月夜鴉」と、成瀬巳喜男「歌行燈(あんどん)」を、足して二で割ったような物語(井上靖原作、脚本井手雅人)。
 大快作「月夜鴉」では、高田浩吉に「杵屋」家元の娘・飯塚敏子が、三味線のスパルタ式猛特訓。本作では、香川京子に「杵屋」将来の後継者・高田浩吉が、スパルタな猛特訓。香川は、踊りと、のちには三味線も習得する。
 才あるゆえに思い上がった高田が没落、全国を流浪するドサまわり、ここら辺は、やはり大快作「歌行燈」さながら。
 思い上がりの陥穽、ドサまわりの貴種流離譚、やさぐれつつの臥薪嘗胆、そこからの這い上がり、芸道ものの王道ですな。メロドラマの風味が加わり、完璧な感動コース。
 なのに、イマイチ感動がうすいのは、というか、感動がちらりともないのは、凡匠・大曽根辰保の、凡なる手腕のゆえか。あいかわらず、コクもなければキレもない、凡庸な凡作。
 緊張感皆無。水谷浩の、完璧な美術(おそらく松竹京都のオープンセットの、いつもの歌舞伎パーマネント・セットも含めて)もいいのだが、窓の外の江戸市街が、いかにも、つくりの荒いミニチュア市街。日本映画の悪弊は、必ず窓の外に、表れる。
 さらに、高田浩吉が江戸を追われて、街道を歩くシーンに、オフで高田浩吉の歌が流れる、三流映画のつくり。ああ、凡庸を絵に描いて、歌で流して。
 これを思い切りバカにしたのが、鈴木清順「東京流れ者」
 すっかり、おばさんと化した、市川春代。うーん。
というわけで、この映画、見所はないのか。あるんですよ。絶品の香川京子。


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by mukashinoeiga | 2011-11-19 23:26 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)