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2011年 10月 30日 ( 2 )

井田探「拳銃野郎」

 阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優 FANTASTIC伊藤雄之助」特集。65年、日活。
 同じ日に、高橋英樹と伊藤雄之助が、ムショから出所する。行き場のない二人が、いわば成り行きで、行動を共にする。とりあえず、金もないので、チンピラたちを、やっつけて、カツ上げするしかない。
 というわけで、快調に転がっていけば、それなりに面白い映画になるのだろうが。
 残念ながら、そういうわけには、いかなかった。
 なんていうか、日活アクションのクールさと、松竹人情喜劇の(ここでは)生温かさが、まるで水と油のように交じり合わず、どっちつかず。
 さらに、時々挿入される、若い工員男女の昼休みの、横浜だろうか、工場近くの、浜辺での会話。メインの話とまったくかかわりを持たないような、この時々の挿入シーンは、まるでヌーヴェルヴァーグの、ノリ。
 このふたりも、最後には、本筋の話と合流するのだが、かっとんだ映画では<異化効果>といえるものが、この生ぬるい娯楽映画では<イカタコ効果>とでもいおうか、残念な結果に。
 脚本に斎藤耕一(+中野顕彰)、日活スチールマンから、松竹に移って監督多数の斎藤が、この日活+松竹味の珍味を、主導したのか。松竹で監督した斎藤映画には、あんまり人情喜劇味は、感じないのだが。
 悪役・滝沢修が、当時のトルコ風呂の、スチーム・ボックス(と、いうのか?)というのに入っている、絵姿も珍。
 なお、高橋英樹の別の日活仁侠映画(タイトル失念)でも、似合わない悪役、まったく迫力のないやくざのボスを演じた、名古屋章が、本作でも、やくざ組織の幹部クラスの殺し屋役。ひとかけらの迫力もない殺し屋を、例の人情オヤジ味120パーで、演じている。何、考えてるのだ、日活および名古屋章は。


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by mukashinoeiga | 2011-10-30 22:32 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

吉村公三郎「自由学校」小暮実千代京マチ子小野文春大泉滉山村總斎藤達雄

元祖文春砲?素人芸炸裂。
 京橋にて。「(再映)生誕百年 映画監督・吉村公三郎」特集。51年、大映東京。
e0178641_6114133.jpg 今では信じられないけれど、同じ獅子文六のヒット新聞小説を競作映画化、同じ年の5月5日(こどもの日!)に、松竹版、大映版が、同時公開! 松竹版・渋谷実「自由学校」は何度か見ているが、大映版は、今回はじめて。
 サラリーマンの松竹版・佐分利信、大映版・小野文春が、自由を求めて会社を辞め、松竹版・高峰三枝子、大映版・小暮実千代の妻の、逆鱗に触れ、家出。
 松竹版・淡島千景&佐田啓二、大映版・京マチ&大泉滉の、アプレ・コンビもからむ。
 実は、こうして見比べてみると、松竹版は、渋谷実だけあって、イマイチと、わかる。
 佐分利信はノホホン系として適役に見えるが、小野文春の素人芸のキョーレツさには、負ける。
e0178641_6123887.png 小野文春は、その名の通り、文芸春秋社のサラリーマンで、演技は素人らしいが、そこそこの演技にしては、いや、むしろ、素人演技の危うさが、この、自分の体をどうしていいか、もてあます役に、はまった。 子供の日公開の、(当時としては、ありえべかざる)<大人なのに、大人の義務を放棄した、子供みたいな男>、そのボンクラさが、素人演技の、いささか雑味ある小野に、はまったのだ。
 素人ゆえのビギナーズ・ラック。なお、こういうボンクラな大人は、今の日本には、ぼくを含め、大勢いる事態になってしまった(笑)。
 松竹版・高峰三枝子もいいのだが、大映版・小暮実千代の妻の、かるみの演技に、びっくり。コメディ系もやれば出来る実千代姉さんの素晴らしさ。実千代姉さんといえば、ねっとりお色気系の役を振られることが多いのだが、こんなコメディ演技も出来たのか。ああ、もったいない。
 若手アプレ・コンビを比較すると、大映版・京マチ&大泉滉のキョーレツさが、アプレにしては、いささかお上品な、松竹版・淡島千景&佐田啓二を、軽くリョーガ。
e0178641_6135797.png まだ、幼さが残る顔のお口をとがらせ言いたい放題、軽やかでアーパーな身振り、京マチ、絶品アプレガール。明らかにアタマのねじがゆるんでいるような、ぼんくらボーイを最高に演じる大泉滉の、これが代表作か。まさに、最高の<とんでもハップン>カップル。
 これに、にやけ顔で木暮に色目を使う、ニヤケ紳士に、まだ、やせていて、顔に怪しさの漂う、山村總。後年の山村にはまったく見出せない、ヘンな雑味を感じさせる顔で、「~でやんすね」と下卑た口調を連発するでやんす。山村の、アメリカかぶれの友人、斎藤達雄も、その軽薄さは絶好調。
 つまり、どんな地味な場面も、ちょっとしたセンスでどハデに変えてしまう、まさに<偽れる盛装>男・吉村公三郎の勝ち、というところか。
 時に、やる気のない、おざなりさを感じる、渋谷実は、カンロク負けというところで。
 なお松竹と競作するに当たり、松竹を追い出された?(清水宏が上層部にチクったんだっけ?)吉村を起用、木暮、斎藤、岡村文子など、松竹からフリーになった役者も使い、音楽にたびたび「旅の夜風」(松竹の往年の大ヒット作「愛染かつら」の名主題歌)の有名なメロディーをパクリ(というかオマージュか)、という大映/吉村のセンスもうれしい。
●追記●夫が家出した、美人妻・木暮には、男が群がる。大泉、山村、そして、木暮が「現代の姿三四郎だわ」と、感嘆する、柔道男・藤田進(笑)。木暮の家に入った空き巣ドロを撃退。しかし木暮の美しさに横恋慕、木暮が拒否するや、いかり狂って家屋を半壊させる、アナクロ暴力男に変貌する。
 ここで、木暮の夫批判が、生きて?くる。「みんなが自由、自由といわなくなった頃に、自由を求めるなんて、時代錯誤だわ」
 そう、戦後民主主義の熱?が冷めて、警察予備隊結成などの<逆コース>の時代に対する、軽いおちょくりなのだろう。とすれば、家出夫が知り合う、元帝国軍人にして、極右主義の殿山泰司の存在も、アナクロ暴力男どうようの、カリカチュアなのだろう。
 木暮に熱を上げる、アプレ現代青年、大泉と、ドライな現代娘・京マチ、欧米崇拝のチャラ男・山村、その友のアメリカかぶれ・斎藤、図式的なまでの配置なのだ。まあ、くすぐり程度なのだが。


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by mukashinoeiga | 2011-10-30 09:46 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(0)