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2011年 03月 08日 ( 1 )

森一生「槍おどり五十三次」

 京橋にて。「よみがえる日本映画~映画保存のための特別事業費による」特集。46年、大映京都。
 槍の権三(市川右太衛門)は、日雇い人足。井戸掘りから、井戸浚い、大名行列の槍持ち、など、今でいう日雇い派遣、ところが恋仲の娘・喜多川千鶴(こんにちでは、信じられない、二重あごのヒロイン)は、今は落ちぶれて長屋住まいだが、武士の娘。老父は、最低でも三人扶持五十石の武士に、娘は嫁がせたいと。
 ウタエモン、安請け合い、よし、明日には、侍になってやるさ。
 翌日から、ウタエモン、長期出張。九州の弱小藩の、大名行列に、槍持ちとして参加。
 ここで、下らぬ武士どおし、藩どおしの、いさかいに巻き込まれ、<侍にしてやるから、侍としてセップクせよ>という、悪夢ワールドへ。
 ということなのだが、その、階級による差別、という主張が勝ちすぎて、娯楽映画としては、イマイチ、工夫が、ない。民衆が、わっしょいわっしょい、と主人公を応援するという、マキノ雅弘が撮ったら、なみだ涙の展開が、きまらない。悪い意味での、森一生の、大映京都の、きまじめさが、祝祭性を邪魔したのだろうか。
 主役のウタエモンが、微妙。バンツマの絶対的快感が、ないのね。ま、バンツマは、特別か。この時期のウタエモンの魅力は、あるのだが(たとえば丸根賛太郎「天狗飛脚」)、中途半端。
 にもかかわらず、時代劇として抜群の安定感は、50年代以降の時代劇にも見られないもの。ものが違う感じ。
 しかも、この時期は、GHQによる、ちゃんばら禁止の時期かと思うが、むしろ後年より、殺陣がキマっているような。
 ウタエモンの連れ・伊志井寛も、好感度。香川良介が、やせているのが珍。主人公をさりげなく助ける月形龍之介が、しかし、見せ場、決まらず。これが、マキノなら、決まるんだがなあ。

by mukashinoeiga | 2011-03-08 23:05 | 大映京都学校 森一生佐 | Trackback | Comments(0)