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2010年 10月 21日 ( 1 )

田中重雄「実は熟したり」

 神保町にて。「みつめていたい!若尾文子」特集。59年、大映東京。
 BG若尾文子は、幼なじみといっていい川崎敬三が好き。でも、会うと、喧嘩したり、幼なじみだけに、あまりにさばさばした会話しかできない、という、まあ、ラブコメとしては、定番ですな。
 親(見明凡太郎、村瀬幸子)の手前、見合いを繰り返すが、川崎のことが頭から抜けず、その見合い相手は、次々と、同僚女子に「配給」。今日も同僚女性の結婚式に出席するが、その新郎はもともと、若尾の見合い相手。
 いかにも、源氏鶏太サラリーマン小説が原作。つまり、サラリーマンは、転勤なり配置換えなりで、代変え可能な、いわば組織の歯車。どうように、サラリーマン男女の結婚も、代変え可能。見合い相手を「配給」して、友の結婚相手に、直すことも可能だし、そもそも、仲人おばさん沢村貞子は、若尾の見合いが成功すれば、仲人100組目達成と、張り切る。
 仲人おばさんは、いわば、結婚人事部長として、さまざまな組み合わせに執心する。
 そもそも、この映画の時点で、源氏鶏太的視点、大映娯楽ドラマ的視点、ともに、若い娘、若い男には、<恋愛の自由>は、存在しない。ほぼ初対面から、「ぼくは、君に立候補する」と、結婚宣言。
 つまり、たぶん、タテマエだとも思うが、この時代の<設定>としては、<まずは、友達から、始めて>とか<なんとなく、付き合う>というのは、目の敵。
 好きになったら、とにかく、まず、結婚。しかも親の意思が、健全な家庭では、絶対の力を持つ。
 以下、完全な、ネタバレになるが、 
 結局、ビリング上位の川崎が若尾と結ばれず、新スタア・友田輝を若尾が選ぶような、結末。しかし、この新スタアに、何のスタア・オーラもないので、観客には、不満が残る。
 ビリング下位のものが、ヒロインと結ばれるのは、大映ならでは。
 また、若尾の兄に、田宮二郎。小さな小さな役で、これでは、スタア・オーラばりばりの田宮が、腐るのも、無理はない。
 ただ、単に<喫茶店のありかを聞かれる>だけの、役に、左ト全。ナイス。
 色っぽいバーのマダムといえば、この人、角梨枝子。本特集で、ぼくが見る映画に、ほぼ出ている。しかも、全部、色っぽい、バーのマダム役(笑)。

by mukashinoeiga | 2010-10-21 23:57 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(5) | Comments(0)