人気ブログランキング |

2010年 10月 10日 ( 1 )

大島渚「悦楽」

 池袋にて。「大島渚ラディカル 根源を揺さぶる」特集。65年、松竹。
 「悦楽」というタイトルではあるが、登場人物だれひとりとして、「悦楽」に浸るわけではないという、いかにも大島らしい、嫌がらせのような映画だ。
 ふつう、加賀まりこ主演の「悦楽」というタイトルなら、うひひひな、シチュが、観客に期待されるわけだが、主演といいながら、出番は少ない。要所要所で出てきて、お得意の小悪魔ぶりを盛り上げるが、いかんせんイメージ・ガール程度の役割。 
 主演は、中村賀津雄。学生時代、女子高生の加賀の家庭教師、そのとき以来、ひそかに加賀に、思い焦がれ、彼女のために、人を殺したりもした経験を持つ。って、すごい設定だな。
 実は、小生も、遠い日の学生時代、女子高生の家庭教師のアルバイトを、半年ほど勤めた経験があり、つまり大事な娘に、しかも受験期の大事な時期に、たぶん、手を出さないヤツだろう、と、主として母親に、あるいはそのアルバイトを紹介してくれた女性の教授に、<見切られた>からこそ、若い娘とふたりきりになる家庭教師に、まあ、選ばれたのだろう。
 しかし、女性の教授なら、女子高生の家庭教師のアルバイトには、ふつう女子大生を、紹介するんじゃね? ちなみに、ぼくが担当した女子高生は、それなりにかわいい子だったけど、ま、ぼくの好みの外だったので、事なきを得ました(笑)。加賀まりこだつたら、わからないけどね(笑)。
 ま、閑話休題。ようするに、小生も中村賀津雄も、人畜無害と、見切られている、やつな、わけで。 
 さて、その、中村賀津雄。人畜無害と見切ったのは、横領官僚・小沢昭一。横領した金の一部3000万円を、おそらく自分は5年収監されるから、出所するまで、預かってくれ、という無理難題。
 ふつう、貧乏学生にそんな大金預けたら、使うだろ。
 殺人まで目撃されていながら、人畜無害と確信される中村賀津雄。すごすぎる設定や。小沢昭一、その選択は、さすがに無謀すぎるだろ。
 しかし、使ったら、お前の殺人の罪を、警察に明かすぞ、そうしたら、その殺人の原因になった、加賀まりこの過去も、世間に、ばれるぞ、と脅迫。中村が殺したのは、まだ子供の加賀をレイプした男で、それをネタに両親をゆすりに来た男なのだ。その、ゆすりの結果の金を、届ける役目を両親から担わされていたのだから、中村賀津雄の、見切られ方は、さらに、すごいや。
 しかし、数年後、加賀は、さっさと結婚してしまう。
 絶望した中村賀津雄は、この3000万円を使って、使って、使いまくって、死んでしまおう、と思う。
 なにに、使うか。
 童貞の中村賀津雄は、もちろん、女だ、と。
 以下、金に飽かして、女を、札束でひっぱたくようにモノにして、いく。
 キャバクラの女、野川由美子。
 夫と、双子の子のある人妻・八木昌子(例によって、妙な色気がある)。
 そして、樋口年子?演じる、知恵遅れのストリート売春婦。
 それぞれ数ヶ月ずつ、ものにするのだが、最初は湯水のように使う金が、だんだん、しょぼくなっていく。しかし、ワイルドキャットな野川、薄幸そうな地味人妻、知恵遅れのストリート売春婦、いかにやけっぱちな中村賀津雄とはいえ、リスキーな選択過ぎないか。
 絵に、描いたように、堕ちていく。相手も、環境も、だんだんと。
 しかし、いかんせん、面白くもなく。
 結論。大島渚は、溝口健二では、なかった、ということだ。
 凡庸で、退屈な、堕落。まあ、堕落とはそういうものかもしれないが。
 ラディカルというには、ラージ軽、すぎないか。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
●にほんブログ村>映画>名作・なつかし映画
 最近は、何とか、テン中~下位に。
 

●人気ブログ・ランキング>映画>日本映画
 40位前後を、いったりきたり。

by mukashinoeiga | 2010-10-10 23:51 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)