伊藤大輔「明治一代女」木暮実千代、北上弥太郎、田崎潤、杉村春子、藤木の実、市川小太夫、殿山泰司、浦辺粂子、井上大助、高堂国典
雰囲気最高の江戸情緒!
最高の美術、演出、役者の風情。素晴らしい。
渋谷にて「追悼特集 成澤昌茂 映画渡世」特集。55年、新東宝。ついで見の再見作。
完璧とも思える明治ワールド。
ただねえ(笑)。明治一代女というより、明治ぽんこつ男(笑)。
『明治一代女(111分/デジタル)』1955年(シネマヴェーラ渋谷 HPより)
監督:伊藤大輔/共同脚本:成澤昌茂
出演:木暮実千代、北上弥太郎、田崎潤、杉村春子、藤木の実、市川小太夫、殿山泰司、浦辺粂子、高堂国典
歌舞伎役者と恋仲の芸者・木暮実千代は、襲名披露のための金を田崎潤から引き出そうとするが…。憎き女将・杉村春子の存在が木暮の情念を更に燃え上がらせ、吹き荒ぶ風の中で男と女の意地がぶつかる。木暮と田崎の立ち回りを流麗な移動撮影の素晴らしさ。和製ノワールの傑作!
後年急速に、赤ら顔のガハハおじさんになる、田崎潤が、なんと二枚目。これまた江戸情緒を、様式美として、体現した名演技。顔もセリフも演技も。
そして、相方の木暮実千代もまた、絶品の明治情緒。顔もセリフも演技も。
ただねえ(笑)。
田崎潤、弱すぎ(笑)。丸腰の小暮に襲い掛かって、自分は包丁持ち。
何度も何度もアタックしても、するりするりと逃げられ、ついには包丁を奪われ、逆に刺される。
二枚目であっても、ガタイの良さは、同じなんだから、くねくね女しぐさの小暮に、競り負ける、とは、どゆこと。このシークエンス(映像的には大変緊密感あふれる、美しいものだが)ぼくは、見ている微苦笑のしっぱなしで。
これが、すでにけがしてるとか、泥酔しているとか、あるいは大いに小暮に未練があり強気に出られないとか、ならいいのに、田崎の演技には、そういう演技は、一切、ない。
あまりに様式美過ぎて(襲う男、襲われる女の、演技もまた様式美の極み)襲う男、襲われる女の、リアリズムには、程遠い描写となっている。
あまりに様式美が過ぎると(それがこの映画の美点であるのだが)同時に欠点でもあって、脱力レヴェル。
そして、さらに言うと、ないものねだりなのだが、この映画には、妹的視点が、ない。
弟的視点(本作に数少ない明朗さをもたらしている、井上大輔)は、あるのだが。マキノだったら、当然そういう配慮はしただろう。
★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
★にほんブログ村日本映画(邦画)★
by mukashinoeiga | 2021-08-02 22:32 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)