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阿部豊「マダム」月丘夢路左幸子葉山良二金子信雄岡田真澄二谷英明細川ちか子キムタケ木村威夫

水準的なバーのマダムもの。水商売だけに。
 神保町にて。「女たちの街「色」と「花」に彩られた文芸映画の世界」特集。57年、日活。
e0178641_15394737.png 夫オダサクもすなる小説といふものを、妻もしてみむとてするなり、とばかりの織田昭子の原作。
 オダサクも、あの世で苦笑いというところか。このオダサクを演じるのがネコさんこと金子信雄。こういう女たらしの役なら、常にモリマのほうがいいんじゃね、と思ってしまうのが、モリマジャンキーの、サガ(笑)。
 オダサクも太宰も、全部モリマにやってほしかった(笑)。そうすれば、父親トラウマも解消するんじゃねぇの、と(笑)。
 なお斉藤高順音楽は、限りなく小津調に近い。手抜きか、夜のネオン街の絵面がそうさせたのか。

9. マダム S32('57)/日活/白黒/1時間34分(神保町シアターHPより)
■監督:阿部豊■原作:織田昭子■脚本:沢村勉、中村信■撮影:峰重義■音楽:斉藤高順■美術:木村威夫■出演:月丘夢路、左幸子、葉山良二、金子信雄、岡田真澄、二谷英明、細川ちか子
波瀾曲折の後、流行作家の愛人から銀座のバーのマダムに落ち着いた秋子(月丘)。かつて愛した男たちを思い出し、人生を憂いていたが…。作家・織田作之助の未亡人が、自身をモデルに書き下ろした小説の映画化。*デジタル上映

 ちなみに、この日は、神保町で本作、そのあと京橋のキムタケ特集に回ったので、3本ともキムタケ美術。
 あっ、さらにちなみに、木村威夫のことをキムタケと呼び始めたのは、たぶんぼくが初めて(笑)。ごく少数の名画座女子の間で、今も使われているようだ(笑)。映画美術における、ある種のポップアイコンにふさわしい愛称だと思っている。
 そのキムタケ美術だが、肝心のバーのセットなどは、水準的なもので、のちに実店舗の設計をいくつも手掛けたという安定感。
 ただそのバーの楽屋というか、ホステスの控室に通ずるドアが、キムタケが日活映画でさんざん使いまわす、なんていうんだろう、小さな柱が林立する模様の独特なもの。
 そのドアを開けて女給控室に入ると、もうバーとは別世界だ(というのがキムタケの思いだろう)。
e0178641_15403992.jpg 画面奥(ドアを開けた右)が全面金網。その奥には何やら衣装がつるされてはいるが、衣装庫としては、きわめて使いづらそう。
 おそらくキムタケとしては、バー部分の内装は、予算をかけるが、楽屋には予算をかけず、元の建物構造を生かす、という発想かしらん。しかしなぜ金網。
 部屋の奥には、金網で区切られた異世界があるということかしら。この映画以外にも日活のキムタケ美術で、奥の金網というものを見た記憶もあり、何よりも鈴木清順「東京流れ者」でこのショット、この画像では見にくいかもしれないが、渡哲也たちの奥にあるのは、まごうかたなき金網であり、ビルの一室にこのような衝立があるのは、明らかに不自然極まりない。(下の予告動画のラストのほうが、金網であることが鮮明)
 ふすま、戸板に連なる、キムタケ美術と鈴木清順コラボの一つ、薄い堺、衝立を隔てた別世界ということか。

 月丘夢路の友人役左幸子が、いつになくしどころのない役で。いつも、あらゆる方向にはじけまわっているか、意味深な役ばかりの彼女なのに、なにこの低温な役どころは。妄想するに、当初は彼女が本作のヒロインに想定されていた。しかし営業的に華がないと判断されたか、もっと妖艶さが求められてたか、彼女がはじかれて、月丘ヒロイン、左は脇に回された、と。うーん、邪推かしらん。

東京流れ者


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by mukashinoeiga | 2018-11-24 15:40 | 清順の光と影すべって狂ってる | Trackback | Comments(0)

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