鷹森立一「従軍慰安婦」中島ゆたか緑魔子三原葉子小松方正室田日出男由利徹たこ八郎石井輝男脚本

デタラメ原作を超えた奇跡のキワモノ快作(笑)。
 渋谷にて「戦争と女たち」特集。74年、東映。
e0178641_16371232.png 冒頭一発目解説ナレの最後で「軍は集めた娘たちに従軍慰安婦の名称を付した」(うろ覚え)。嘘つけー(笑)。
 「従軍慰安婦の名称」というのは、戦後に出版された千田夏光「従軍慰安婦」(本作の原作)で、初めて披露された千田の新造語であることは、今でははっきりしている。戦争当時はそんな「名称」は確認されていない。タイトルそのものが捏造でっち上げの映画なのだ。
 しかし石井輝男脚本経由で、軍医に由利徹、衛生兵にたこ八郎の、テリー石井映画常連のコミカルリリーフの、艶笑喜劇にしてしまう東映商法。捏造でっち上げにしろ、一応マヂメな原作をそのように改変することを原作者は、是としたのか。
 もともとが捏造でっち上げだから、嘘でもなんでも、自説が広まればいいというのか。
 それとも海千山千の千田も、それを上回る海千山千の東映に騙された、ということか。もっともウィキペディアで千田の多彩な著作リストを見ると、彼が東映同様のお下劣ネタの作家であることがわかる。驚くべきことだ。 
 千田夏光「従軍慰安婦」信奉者は、ウィキペデアの千田夏光著作リストの「多彩さ」に、あっと驚け(笑)。まさにインチキ三流通俗ルポライターの面目躍如。

e0178641_16375582.png『従軍慰安婦(35mm)』(渋谷シネマヴェーラHPより)
公開:1974年 監督:鷹森立一
出演:中島ゆたか、緑魔子、叶優子、三原葉子、小松方正、室田日出男、由利徹、たこ八郎
昭和十三年春、中国へ向かう船上には千円で買われた貧村の娘たちがいた。お国のためと信じて一日数十人からの相手をした慰安婦たちの姿を通じて戦争の虚しさを描いた傑作。結核持ちの娼婦・緑魔子と先輩娼婦・三原葉子が魂の熱演!小松方正、由利徹、たこ八郎といった脇役たちも素晴らしい。c東映

 さて本作の驚きは、いくつかあって。
 中島ゆたかや緑魔子らの、先輩売春婦・三原葉子のベストパフォーマンス。これまたテリー石井映画の常連である、彼女の代表作の一本といっていい。彼女は慰安婦では、ない。根っからの売春婦。ただ、彼女の母性が売春婦から、慰安婦に昇華させる。素晴らしい。

 千三つの千田は「従軍慰安婦」という言葉を捏造した。いっぽう石井輝男脚本の本作は慰安婦たちを、本当に「従軍」させて、本当に「従軍慰安婦」にしてしまう(笑)。
 中国軍に襲撃されて、形勢不利となった日本軍。思えば兵隊たちは、みんな自分たちを抱いた男たちでは、ないか。
 ということで中島ゆたかや三原葉子たちは、率先して戦場に飛び込み、重い弾薬箱をひきずったり、負傷した兵隊の看護をしたり、何人かは撃たれて、本当の意味で戦死してしまう。
 千田原作本は、タイトルに偽りありだが、本作は、まさにタイトルに偽りなし(笑)。

 本作の慰安所には「なでしこ慰安所」の看板。
 ところが本作の同時上映が、石井輝男「戦場のなでしこ」。「従軍看護婦」(こちらは正式な用語)たちが、中国人女衒、ロシア軍によって、慰安婦にされてしまう。
 本作では逆に、慰安婦たちが兵隊を看護する。
 慰安婦も、日本赤十字看護婦も、通底しあっている、というのが、東映マインドなのだろう。

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by mukashinoeiga | 2018-07-01 16:39 | テリー石井 恐怖奇形番外地帯 | Trackback | Comments(0)

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