野村芳太郎「五瓣の椿」岩下志麻加藤剛左幸子西村晃加藤嘉小沢昭一田村高廣岡田英次伊藤雄之助
楽しいのかこの映画。誰得な大作で。
阿佐ヶ谷にて「『石上三登志スクラップブック 日本映画ミステリ劇場』刊行記念 ミステリ劇場へ、ようこそ。2018 」特集。64年、松竹大船。
◎追記◎と、何の気なしにデータをコピペして松竹大船と書いたけれど、これって松竹京都撮影所じゃないの。それとも京撮を使った大船作品って意味なの?
五瓣の椿 1964年(S39)/松竹大船/カラー/163分(ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
■監督:野村芳太郎/原作:山本周五郎/脚本:井手雅人/撮影:川又昻/美術:松山崇、梅田千代夫/音楽:芥川也寸志
■出演:岩下志麻、加藤剛、左幸子、西村晃、加藤嘉、小沢昭一、田村高廣、岡田英次、伊藤雄之助
最愛の父を失い自らの出生の秘密を知った娘は、淫蕩な母と相手の男たちを次々と殺害していく──。山本周五郎の同名小説を映画化した壮絶な復讐譚。岩下志麻が異常な決意に燃えるヒロインを、妖艶さを漂わせて熱演している。
超ファザコンの岩下志麻が、自分の父を落としめた、実母やその浮気相手をつぎつぎに殺めるという復讐譚。
しかし、しかしだよ。
父親加藤嘉は彼らから肉体的被害を受けたわけではない。財産を盗み取られたわけではない。むしろ養子の分際で多額の隠し財産まで作っているほどだ。持病のせいで肉体的苦痛は甚だしいが、それなりの生活。
これのどこに、娘が実母左幸子や、その浮気相手を殺す理由が、あるのか。
病弱な夫に満足できず、というかその以前から淫乱なたちだった実母を、娘が憎むのは、わかる。
しかしその浮気相手たちを次々殺めるのは、筋違いでは、ないか。単なる火遊びの代償として殺害されるのは、恐ろしく筋違いではないのか。
繰り返すが父加藤嘉は、肉体的暴力を彼らから受けたわけでは、ない。財産を奪われるなどの生存権を脅かされたわけでもない。単なるコキュ(寝取られ夫)に過ぎない。
加藤嘉本人が、妻の浮気相手に何らかの復讐するのは、わかる。しかし、その娘が、復讐、しかも究極の殺人とは、理屈が通らない。
ジェネレーションが違いすぎる。まるで朝鮮人の発想だ。理屈が通らない。
岩下志麻は、情念の復讐魔として適任の怖さ(笑)。しかし彼女を垣間見て、こんなおとなしそうなお嬢さんが人殺しなどするはずがない、と真顔で語る加藤剛には、爆笑。
この映画がなければ、美女岩下と絡む機会がなかったはずの、伊藤雄之助、西村晃らが嬉々として濡れ場を演じるが、よくよく考えれば、復讐する相手に、それなりに身を任せて嬌態を振りまく岩下って、そりゃ矛盾していないか(笑)。
一種のエロ映画として売って、実態は違いますねん、という一種の野合では、ないのか(笑)。
なおこの時期の松竹の復讐好きに関しては、この一個前の感想駄文市村泰一「この声なき叫び」を参照のこと。
全然別物(笑)。ただし加藤剛にアベちゃんというのは正解(笑)。
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by mukashinoeiga | 2018-03-22 02:04 | 旧作外国映画感想文 | Comments(2)
昔「黒衣の花嫁」大好きだったんですがよく見返すとジャンヌ姐さんもうすでに「花嫁」って歳でもねぇなぁと思った記憶があります。
病床の加藤嘉と志麻さんの場面はどうしても「シャボン玉ホリデー」のハナはじめとピーナッツ思い出しちゃって・・・まぁ私が悪いんですが。
この作品とか「砂の器」とかってもう少し短くならないんですかね・・・思いっきりドライにして淡々とじゃ日本ではヒットしにくいんでしょうなぁ。
「黒衣の花嫁」ははるか昔に読んだり見たりしましたが、もはや記憶のかなた(笑)。本作へのカラミについては、なんともわかりません(笑)。ジャンヌ姐さんはいつだって、シブシブだった印象が。
基本明るいはずの「シャボン玉ホリデー」で、よくもあんなに暗いコントが人気だったのが、信じられません(笑)。
まあ「砂の器」は、日本の四季とか、フルオーケストラをたっぷり聞かせるという、長さの理由はわかりますが、本作では、どうなの、と。たっぷりの情念が、さっぱりわかりません。 昔の映画