池部良・蜷川親博「ヴェトナム戦争」
2点ほど気に入った(笑)。
京橋にて「発掘された映画たち2018 Cinema: Lost and Found 2018」特集。67年、池部良プロダクション。
一つは冒頭カンパニーロゴ。これが寝そべってくつろぐ猫の動画。猫のカンパニーロゴは珍しい。この美猫は池部の愛猫か。
二つ目はアメリカ陸海空軍への食い込み様。一独立プロ風情とは思えないほどアメリカ軍内部に食い込んだ撮影。
「HAHAHAHA。日本の映画スタアとやらチャラチャラ野郎が俺たちを取材したいって? ファックユー。甘くみんなよ。おとといきやがれ」
「実はこう見えても元帝国陸軍中尉だぜ」
「オーマイガ――。同業者かよ。オーケー好きに撮影していいぜ」
かくしてアメリカ陸海空軍にディープに密着した撮影が実現、ただしいかにも素人臭い、シマリのない、映画としては全く面白くない作に仕上がってしまった。残念池部良。
19 ヴェトナム戦争(93分・35mm・カラー・日本語ナレーション付)
1967(池部良プロ)(監)池部良、蜷川親博(撮)高野潤、田島卓和、高瀬進、工藤正博(音)團伊久磨
池部良プロダクション第1回作品。本作が監督デビューとなる池部以下撮影隊は、65年末から約2ヶ月間、戦時下のヴェトナムに滞在し、米軍の協力を得て各軍事拠点での撮影を実現した。最新兵器を駆使した作戦行動への軍事ドキュメンタリー的関心の一方、米軍と現地住民の生活との乖離も随所で捉えられる。
アメリカ軍全面協力のもと、出てくる白人兵は七三分け、黒人兵は短髪、と超清潔、無精ひげも入れ墨もなし。ぼくたちがアメリカンニューシネマなどで見てきたような、泥まみれ血まみれの姿はない。終盤やっと血を流して負傷する兵も何人か出てくるけれども。
いかにも池部らしい、といっては失礼か、いわば戦争のショールームのような退屈な映画になってしまった。これではいかんと思ったのか、これまた終盤に慌てて、ヴェトコン兵の死体を何体かインサートするも、なんだかエクスキューズめいている。アメリカ軍全面協力だから、アメリカ兵の死体は遠慮してる感満載か。
そもそもプロのドキュメンタリストでも、なかなか決定的瞬間は、撮れない。だからやらせが絶えないわけで。それがドキュメンタリーの宿命でもある。ましてや素人の池部においてや。
そして、その代わり、戦争と隣り合わせた平穏な日常描写が多用されて描かれる。池部の資質としてはむしろこちらの方が本線かと思われるが、戦争をテーマにしてのこの描写が、退屈に感じられるのは、不徳の致すところか(笑)。
むしろ第三の共同監督として岡本太郎を帯同させた方がよくはなかったか(笑)。戦闘シーンは岡本太郎担当、日常シーンは池部、というのを夢想しますな。これが本当の、いーとこ撮り(笑)。
元陸軍中尉として、あるいは元映画監督志望者として、いったいどういうつもりで本作を撮ったのか、かなり読めない結果になった。もちろん俳優としても、のほほんエッセイの書き手としても、大変敬愛しているのですが。
なお、最近つくづく思うのは、このヴェトナム戦争にしても、今現在の南北朝鮮にしても、しょせん内戦じゃないですか。同民族同士が争うなら勝手に争ってもらって、他国は生暖かく見守っていればいいじゃないですか。
他国、特に大手戦争屋というべき米露中がナンで介入するんですか。むしろそれが大不幸の元でしょ。
内戦したい小国には、むしろしょぼしょぼ内戦させてやりゃ―いいんですよ。そこになぜ大国が介入するかなー。利権でしょ。石原伸晃いうところの「所詮金目」でしょ。なんだかなあ。
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by mukashinoeiga | 2018-03-07 03:28 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)