チェン・カイコー「空海-KU-KAI-美しき王妃の謎」染谷将太ホアン・シュアン阿部寛チャン・ロンロン松坂慶子
原題妖猫傳つまり化け猫映画なのだが、邦題は大河ドラマ風にフレームアップ、さらにサブタイはハリウッド伝奇大作風にブラッシュアップ。しょせん化け猫映画だから深みはないが、中華風の派手さには事欠かない。
18年、中国=日本、配給・東宝=KADOKAWA。
チェン・カイコー「空海-KU-KAI-美しき王妃の謎」(Movie Walker HPより)
『さらば、わが愛 覇王別姫』で第46回カンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝くなど、数々の受賞歴を誇る中国の巨匠、チェン・カイコーによる歴史ミステリー。若き天才僧侶・空海と詩人の白楽天が、長安で起きる怪事件の謎に迫っていく姿が描かれる。空海を染谷将太、白楽天をホアン・シュアンが演じる。
1200年以上前、若き天才僧侶・空海(染谷将太)は、日本から遣唐使として中国・唐へ渡る。空海はあるきっかけで、のちに白居易と名乗る詩人・白楽天(ホアン・シュアン)との交流を深めていく。そのころ、世界最大の都・長安の街では、権力者が次々と奇妙な死を遂げるという、王朝を震撼させる怪事件が起こっていた。空海は白楽天とともに一連の事件を探るうち、約50年前に同じく唐に渡ったもう一人の日本人・阿倍仲麻呂(阿部寛)の存在を知る。仲麻呂が玄宗皇帝(チャン・ルーイー)に仕えた時代には、国中を狂わせた絶世の美女、楊貴妃(チャン・ロンロン)がいた。極楽の宴、妖猫の呪い、楊貴妃の真実……歴史を揺るがす巨大な謎に迫っていく。楊貴妃の命を案じた阿倍仲麻呂が知っていたこととは? 空海と白楽天は、やがて歴史に隠された哀しき運命と対峙する……。
ほんらい本格的探偵ミステリと映画の相性は、全くよくない。延々とした説明科白が、映像の流れをよどませ、映画は延々と遅延していく。シンプルなスリラーこそサスペンスものこそ、映画的なので。
また歴史ミステリも映画としては悪手。科学的捜査も組織的捜査もまったく期待できないので、探索側は単なる勘と偶然に頼るしかない。
さらに妖怪やら魔物が絡むと、もう最悪。もう何でもありの世界だから、論理的整合性なんてえものは、論の外。
本作はこの三つのミステリ阻害要因をすべて備えているので、もう必然的にシナリオ段階からグダグダ。もうもう妄(笑)。
しかも化け猫映画なんて所詮低予算映画の宿命なんだから(猫のサイズとスケールと、そのなりわいを、考えよ!)大作映画との何たるミスマッチ!
かくて本作は金を掛ければ掛けるほど失敗作の宿命に(笑)。化け猫映画は低予算でこそ花、そんなこと大映なんかにはわかっていたとは思うが、その大映を引き継いだKADOKAWAには、伝わってはいなかったのねー(笑)。
おそらく監督および中国映画界にとっては、中国史上最盛期でもあった唐の時代を再現して、中国の威勢を誇りたい、という意思があって、それがこの原作になったのだと思う。でも、それが、結局化け猫映画って(笑)。
もっとオリジナルで楊貴妃の映画を作ってもよかったんじゃないの(笑)。
その楊貴妃には台湾フランスのハーフの女優さん。ダブルだという言い方もネットにはあるが、美人だけどオーラがない。典型的な美人なだけじゃダメなのよ女優で。
この台仏女優だけではなく、本作には日中俳優陣、それに松坂慶子など(笑)国際色豊かな東アジア俳優陣が参加。
なお当時世界最大の都だった長安を東京ドーム八個分のオープンセットで再現、というけれども、これだけCG使いまくりだと、その有難みもない(笑)。
映画『空海-KU-KAI-』予告編
まるっと32分『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』ジャパンプレミア
★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
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by mukashinoeiga | 2018-02-26 09:57 | 新・今そこにある映画2 | Comments(2)
一緒に観に行ったKAOは展開早っ!と言ってましたが、やっぱり日本語台詞だから早口で慌ただしい感じになっちゃったんですかね。私は期待してなかった分楽しめました(笑)染谷くんの不敵な笑いが似合う役でしたね(^^;
ぼくがどんな映画を見ようと自由じゃないですか(笑)。それともぼくに「くーかい」は似合わないとも(笑)。
阿倍仲麻呂にアベちゃんとはギャグですかね。ノミとり
の前にキリンを見逃しております。
染谷くんなかなか良かったですね。 昔の映画