大林宣彦「可愛い悪魔」秋吉久美子渡辺裕之川村ティナ赤座美代子佐藤允岸田森みなみらんぼう峰岸徹秋川リサ
超珍作?天才少女シリアルキラーVS変態ロリコン探偵しかも超ヘタレの対決やいかに(笑)。
しかし大林は変態ロリコンを描いても、お品がよろしい(笑)。
池袋にて「新作『花筐/HANAGATAMI』完成記念! ワンダーランドの映画作家 大林宣彦映画祭2017」特集。82年、円谷プロダクション、NTV。
(以下、ネタバレあり)
当日のトークショーでは、大林監督のコメントは、
「「異人たちとの夏」では当初は、久美子ちゃんは、名取裕子さんの役にキャスティングされていた。それをぼくがこれはちがう、と風間杜夫のおかあさんの役に変更した。
「可愛い悪魔」でも「当初久美子ちゃんが犯人役に想定されていたが、被害者役に変更した」
これはその前の秋吉の発言、
「最初「可愛い悪魔」という台本を見たら、この「可愛い悪魔」があたしの役なんだと、思ったら、違った」を、受けたもの。
可愛い悪魔 (テレビドラマデータベースHPより)
大林宣彦監督初のテレビムービー作品。美しい花嫁・フユ子が結婚式のパーティの最中に転落死した。花婿コウジの姪アリスの「死んだら、私にベールをくれる?」という不気味な言葉の直後だった。同じ頃、ウィーンでピアノの勉強をしていたフユ子の妹ヨウ子は、恋人に目の前で事故死され、そのショックから自殺を図った。日本へ連れ戻されたヨウ子は、ショックから立ち直れないまま精神病院へいれられる。
キー局 NTV 放送曜日 火 放送期間1982/08/10~1982/08/10 放送時間21:02-22:54 放送回数1 回 単発
番組名 火曜サスペンス劇場
主な出演 秋吉久美子、渡辺 裕之、ティナ・ジャクソン、赤座美代子、佐藤 允、岸田 森、みなみらんぼう、小林 亜星(特別出演)、峰岸 徹、中島 葵、秋川 リサ、明日香いづみ(明日香和泉、明日香 尚、明日香七穂)、梅津 栄
主な脚本 那須真知子 主なプロデューサ 山口 剛、宍倉 徳子
主な演出(監督・大林 宣彦)局系列 NNN 制作会社 円谷プロダクション、NTV
企画 小坂 敬、山本 時雄 音楽 木森 敏之(音楽協力・日本テレビ音楽)
主題歌(テーマ曲・岩崎 宏美「聖母たちのララバイ(マドンナたちのララバイ)」(作詞・山川 啓介、作曲・木森 敏之)
しかし実際の「可愛い悪魔」は、秋吉ではなく、8歳の小悪魔な少女にして、大悪魔(笑)。母親・赤座美代子をはじめとして、大の大人たちを、バンバン殺していく。しかも幼女にしては、スーパーテクを駆使して。まさしく天才犯罪少女というべきだろう。
演じるティナ・ジャクソンは、なかなかの名演。のちに川村ティナというタレントになったというが、ぼくはよく知らない。
秋吉トークでは、実際のティナも、しばしば秋吉を、きつい目で睨みつけていたという。嫉妬か対抗心か。
映画.com「大林宣彦映画祭2017」9月3日開幕!秋吉久美子、最初はイヤだった「異人たちとの夏」の秋吉インタヴューによれば、
「可愛い悪魔」は日本テレビ「火曜サスペンス劇場」枠で製作された初のテレビ映画。結婚パーティー中の転落事故で姉を失ったヒロイン(秋吉)が洋館で暮らす義兄の姪アリス(ティナ・ジャクソン、現・川村ティナ)のピアノ教師になるが、惨劇が続いて起こり……というホラーテイストのサスペンスだ。“小悪魔的な妹”キャラで売り出してきた秋吉が一転、8歳の少女に狙われるヒロインを演じた。未DVD化で、スクリーンで見られる貴重な機会となる。
「最初、『可愛い悪魔』って、自分のことかなと思ったんですよ。でも本を読んだら、私じゃないんだ。私がやられてしまうんだ、と思って、唖然としました。常に、少女というフォルムを通した社会的な加害者を演じてきたのに、被害者を演じたという意味で違った役でしたね。女の子は自分に邪魔なものを殺してしていくんです。私の場合は、自分が大好きなお兄ちゃんが、私のことを大好きだから、『こいつもやっちゃえ』と。私を精神的におかしくするためにいろんな罠を仕掛けるんですが、面白かったのは、吊るされたことですかね。初めての経験だったので」
2時間ドラマだったが、撮影には劇映画並の1カ月を要した。「スタッフも途中で交代して、予算的にも2、3倍かかったんじゃないですか。なぜかというと、その先には映画館でかけようという思いがあったから。全部に凝っちゃったんですね。こんなこともありました。お母さんが誰かに突き落とされて、2階から落ちていくシーンがあったんです。目を開けたまま落ちないといけなかったのですが、どうしても目をつぶってしまう。そうしたら、大林さんはまぶたの上に目を書いちゃった。えー、こんなことをするんだ、とビックリしました。でも、作品を見ると、不自然ではないんですよ。動いているから」(以上引用終わり)
ただ「お母さんが誰かに突き落とされて、2階から落ちていくシーン」は記憶にない。ぼくの記憶力は全くあてにはならないがあるいはカットされたのだろうか。
そしてみなみらんぼう演じるロリコン変質者がテレビドラマとしては史上最強の変態ぶりであり、なおかつ八歳の少女に燃え殺されるという史上最弱のヘタレぶり(笑)。
映画史上の「探偵」(素人探偵だけど)としては、おそらく極北のキャラだろう。
八歳の少女に「ぼくとキスしてよ」というという、今のテレビドラマではおそらくNGなセリフ。昔は今より表現の自由がありました(笑)。
しかしそういうロリコン趣味、変態趣味の描写であっても、大林の場合、いかにもおおらかで、さわやかで、暗い影がないんだよなあ(笑)。
天才少女シリアルキラーVS変態ロリコン探偵しかも超ヘタレの対決、ミステリとしては、きわめて珍品でした(笑)。
そして本来はヒーロー格の渡辺裕之の演技とも言えない演技で、演技も役柄も、本当に役に立たないつっころぱしで。
秋吉久美子は、渡辺とは比べ物にならない演技のうまさだが、いつも軽くイラッとさせるキャラだから、最後悲劇的なのも、あまり同情できない。
母・赤座美代子の虐待が娘の暴走を生むという、たぶんデ・パルマ「キャリー」の変奏曲、ないしパクリかとも思えるが、本来善人の大林が、娯楽映画を求められると、なぜかまったく資質に合わないホラーを作り、ビミョーなので気にさわるという典型かと。
商業映画デヴュー「HOUSE ハウス」も、その前の自主映画「EMOTION 伝説の午後 いつか見たドラキュラ」も、お子様ランチ的ホラーなので、ホラーが得意と自他ともに誤解されたのかもしれないが、お子様ランチ的ホラーはあくまでも、ファンタジーであって、ホラーじゃないから。結局大林的善人ホラーが「異人たちの夏」の中途半端で水と油な怪談ホラーを生むことになる。
なお本作についてネット検索していたら、音楽 木森敏之についてのきわめて興味深い記事を発見。そもそも木森という名前は、あからさまに大林の変名くさいなという興味から検索したのだが、[メトロ]というブログの名曲の影にこの人あり 今明かされるエピソードという記事によれば、実在した作曲家のようだ。
[今日命日!聖母たちのララバイ 木森敏之(1947~1988)40歳で逝く]
木森敏之【きもり・としゆき】は 昭和22年(1947)7月24日 北海道で 生まれました 日本大学卒業後 ロサンゼルスの専門学校 で 三年間 映像音楽の構成 作曲 編曲を 学びます 帰国してから 七年間 CMソングの作曲をしたり 編曲家として 活躍を始めます
編曲の代表曲 は ツイストの【燃えろいい女】印象深いアレンジを 加え大ヒットします
昭和54年からは テレビドラマの世界に進出テーマソングを 作り始めます そんな 木森敏之 初のヒット曲が 昭和56年(1981)に 出ます 【サンセットメモリー】木森敏之はこの一曲で作曲家として 認められました
昭和57年 爆発的な売り上げの【聖母たちのララバイ】早くも レコード大賞の 呼び声も あがってきた そんなある日 一人の作曲家が 来日します 男の名は ジョンスコット スコットは 日本で 流行っている 【聖母たちのララバイ】を 聴いて スコットが作曲した 映画【ファイナルカウントダウン】と 似ている さらに オープニングロール の メロディ さらに CM直前のメロディ まで 似ている と 詳細を 聞きに 来日したのです
木森敏之のもとに 殺到する 取材人 木森敏之は あっさりと 盗作を 認めたのです
木森は 映画【ファイナルカウントダウン】の 音楽の スコアから 一部 盗用し テーマに 使っていたのです
さらに主題歌【聖母たちのララバイ】の 歌い出しの部分も 【ファイナルカウントダウン】を 参考に 作られていたのです
しかし さびの 【この街は 戦場だから 男は みんな 傷を負った戦士…】の フレーズは 木森敏之の オリジナルでした
しかし この盗作騒ぎの波紋は 広がり レコ大の基準では 外国曲は 大賞候補曲に 選曲しないのが 決まりな ため この歌は この年最大のヒット曲で ありながら ノミネートされなかったのです 幻の レコ大の 大賞曲と 呼ばれています
木森敏之は そんな世間の厳しい言葉を 払拭するかのように 【火曜サスペンス劇場】では 同じ山川啓介作詞 岩崎宏美唄で
第二期エンディング 【家路】
第三期エンディング【橋】を 作曲
さらに アニメでは 【ダ ティベア】【伊賀のカバ丸】【キャプテン】映画では【時代屋の女房】【スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦】等を 手掛けました
しかし 死は突然でした 昭和63年(1988)4月11日 木森敏之は、急性肺炎のため 40歳の 若さで この世を去りました 木森敏之の死後 【聖母たちのララバイ】の 楽曲性の高さが 評価され 映画で使われていた メロディ と 自分の創作した メロディを 併せて これだけの 大曲にした と 木森敏之が 改めて 評価されるようになり それまで 【聖母たちのララバイ】は 作曲 ジョンスコット 木森敏之 と 書かれていたのが いつしか 作曲 木森敏之 のみ の クレジット に なりました 木森敏之は 忘れては いけません 彼は 名編曲家でも ありました すなわち 盗作では なく 人の作曲を編曲をして さらに 自作曲を つけ加えて 別の歌に 生まれ変 2008/04/12(土)00:27(以上抜粋引用終わり、文字変色は引用者)
しかし、以下のユーチューブで聞くとあからさまな盗作だが、なかったことにされたのか。権利関係に厳しいだろうアメリカ人の作曲家が、裁判をしなかったのもおかしい。レコード会社がなあなあの和解金を払ったのだろうか。
『ファイナル・カウントダウン』(The Final Countdown)岩崎宏美
ファイナルカウントダウンの1シーンのBGMが・・・
本作でも大林映画の例にもれず、全編を通じてメロウなBGMが流れ、それはホラーシーンでも変わらない。それがホラー効果を弱めるにせよ、音楽は流れ続ける。誰か善人系ホラー好き(笑)大林に、西洋肉食系(笑)スプラッタ、ゾンビ映画の感想を、聞いたのは、いないのか(笑)。
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by mukashinoeiga | 2017-09-10 01:32 | いつか見た時をかける大林宣彦 | Comments(0)