江崎実生「七人の野獣 血の宣言」丹波哲郎宍戸錠岡田真澄小池朝雄山本陽子弓恵子青木義朗高品格郷鍈治小高雄二

驚きの大爆笑快作。いやあ笑った笑った。頭からしっぽまでの爆笑作。
 今年のシネ初めにして、初笑い。67年、日活。
 阿佐ヶ谷にて「ピカレスク スクリーンで味わう〈悪〉の愉しみ」特集。
 無名な初めて聞いた作なれど、なんだかやたらにシリアスなタイトルにかかわらず、なんともおバカコメディ。
 本日池袋の初笑いコメディ特集では、たまたま鈴木則文「伊賀野カバ丸」石井輝男「直撃地獄拳 大逆転」が上映されているが、充分それに、匹敵するおバカ傑作。
 そういえば郷鍈治も丹波も「直撃地獄拳 大逆転」にも出てるなあ。
 来年の初笑いは「直撃地獄拳 大逆転」「七人の野獣 血の宣言」の2本立てで、観客の腹筋崩壊を図るべし(笑)。

e0178641_20365425.jpg七人の野獣 血の宣言 (ラピュタ阿佐ヶ谷HPより)
1967年(S42)/日活/カラー/91分
■監督・原作・脚本:江崎実生/原作・脚本:山崎巌/撮影:安藤庄平/美術:千葉和彦/音楽:山本直純、坂田晃一
■出演:丹波哲郎、宍戸錠、岡田真澄、小池朝雄、山本陽子、弓恵子、青木義朗、高品格、郷鍈治、小高雄二
丹波哲郎扮する元刑事が、一癖も二癖もある野郎たちを集めて大スケールの現金強奪を画策。他人の競馬場襲撃に便乗して、売上金約三億円の横取りを狙う──!スリルとユーモアがいっぱいの娯楽アクション。

 格別すごいギャグがあるわけでも、圧倒的なアイディアがあるわけでもないのに、とにかく、ぼくも場内は笑いっぱなし。
 小悪党どものせこい裏切りの連続技が、とにかく笑いの波状攻撃を生む。一致団結を皆の前で誓い合っては、その一分後に裏切り合う。その繰り返し。
 まるでやんちゃな小学生同士レヴェルの、合従連衡、つばぜり合いの数々が、卑怯な笑いを次々呼び込む。幸福な映画
 少し前に、昨年末に、ほぼシネ納めかなあ、中平康「危(ヤバ)いことなら銭になる」を再見して、こんなソコソコの映画がなぜみんなに評価されるんだ、と疑問に思っていたのだが、今ならはっきり言える。
 無名の「七人の野獣 血の宣言」は、有名な「危(ヤバ)いことなら銭になる」なんか問題にならないくらい、はるかに面白い。断言する。

 とにかく日活アクション末期らしく、岡田真澄ら二線級日活スタアやら、高品格ら大物なれど脇役級、子飼いの大部屋俳優を準主演格に据え、それでは花がないので、フリーの丹波を主役に、ヒロインに元大映の弓恵子で、華を添えさせ、って、実際コケティッシュな魅力で次々男を篭絡させる不実な女って、遠い昔の筑波久子以来トンといないのが日活女優たちだから、この役回りは、外部から、特に大人の映画を量産した大映女優を召喚しなければ、務まらないわけか。

 ポスター写真や俳優ビリングでは、丹波哲郎と同格の宍戸錠が、実はラストの数分にしか出ていなく、山本陽子も、数分のみ出演という、苦しい布陣なのだが、その苦しさを、かつての日活映画の栄光を、体験して、そして逆境の、倒産直前ともいうべき現在に、仲間たち、上記にはないが、浜川智子鈴木清順「東京流れ者」で、オバQを読む女、吉永小百合にも北川景子にも似ている美人女優だが、大成しなかった)、女装姿の深江章喜、悪ボス富田仲次郎の子分どもも、いずれも顔に見覚えあり。
 水増しといえば水増しオールスタアだが、それでも、よく出てきてくれました、と。
 ただただ感謝感謝。
 ただし刑事小林昭二、署長河上信夫、富田の部下木島一郎が、ムーヴィーウォーカーにあるが、出演していなかったような?
 刑事は小高雄二が演じており、50年代から60年代初期にかけて日活の主役級だった小高が、クレジット上は大部屋扱いの位置にあるのが、しかも小林昭二の代役扱いというのが、時代を感じさせるなあ。
e0178641_1184562.jpg 美術・千葉和彦は、木村威夫の弟子格ではなかったか。キムタケ愛用の「波系の窓文様のドア」が多用されて、ああキムタケだ、日活だ、とうれしい。
 また天井がガラスになっていて、そこでキャバレーダンサーが踊っているのが、下からのぞける、というのは、鈴木清順「東京流れ者」中平康「危(ヤバ)いことなら銭になる」でもおなじみ。ああ日活だなあ、と。
 いずれにせよ、オールザット日活映画というべき、日活ファンとしては、末期ながら夢のオールスタアキャストでは、ないか、と。爆笑しつつ、実は、泣いているのですね(笑)。

 アジトにしているのが、港に係留された、敵所有のヨット。
 まさに日活映画の残照で。
 そのヨット上でギター爪弾き唄うのは裕次郎…ではなくて、かっこつけているが調子外れの郷鍈治(笑)。ついでに小林旭ならぬ小池朝雄もギター弾き語りって、おいおい(笑)。
 まだ数日上映する絶対のおススメ(笑)。
 単純にドタバタコメディとして期待以上の面白さだし、日活ファンとしては必見の面白さだし。
◎追記◎しかし上記ポスターのジャックは、素人芸以下。右下の弓恵子?写真は、なんだか素人っぽい。うーん、レイアウトのプロっぽさとの、この落差。

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by mukashinoeiga | 2017-01-09 01:18 | 傑作・快作の森 | Trackback | Comments(2)

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Commented by お邪魔ビンラディン at 2017-01-09 22:58 x
これはたしかに傑作コメディで、ハワード・ホークスの映画におけるケーリー・グラントのエスカレートする悪ノリ芝居と並んで、お正月に鑑賞するにふさわしい幸福な作品です。ふたむかしぐらい前に話題になったインドの娯楽映画から歌と踊りが抜けた分だけ短くなって1時間半に収まったという感じでしょうか。
この映画の2か月半前に「七人の野獣」という映画があって(未見なれど、下の方の左側のポスターは、正篇の方のですね。)、おそらく前作の好評を受けて急遽作った続篇なので、正篇の方で活躍していた宍戸錠はスケジュール調整の関係から「直撃殺人拳大逆転」ラストの大スター一瞬出演と同じような出し方しかできなかったのでしょう。しかし、続篇制作決定から脚本執筆、撮影、編集までが2か月ぐらいでできてしまうという機動性は、すでに失われて久しくなります。
「天井がガラスになっていて、そこでキャバレーダンサーが踊っているのが、下からのぞける」という構図は、たしか中川信夫の「地獄」の最初の方で、天知茂が小野彰子(自動車事故で死んだ泉田洋志の情婦役)と出会う酒場のシーンが最初であったような気もしますが、いずれにしても、これをパロディとして用いているのも楽しいかぎりです。
それから、河上信夫は小高雄二の上役として(署長か否かは分からずじまい)、木島一郎は岡田真澄を担ぎ込んだ寝室のとなり部屋で、睡眠ガスで眠らされる子分のひとりとして出ていました(他の出番もけっこうありましたが)。
江崎監督は、デビュー後、年5本のペースで水準の高い娯楽作品を撮っていたのに、70年になると「喜劇女もつらいわ」(なんと森川信も出演!)「一度は行きたい女風呂」「喜劇男の顔は人生よ」のような愚作を連発しているのは、江守清樹郎がやめたあとの日活で、何人かの有能なプロデューサーが干されてしまっていたからではないかと推測されます。
Commented by mukashinoeiga at 2017-01-13 00:26
江崎実生「七人の野獣 血の宣言」へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。
 この感想を書いた後、ある映画系ツイッターを覗いたら、「タイトルを聞いた事すらないし、1967年と日活が凄い勢いで坂道を転げ落ちている時期なので、どうせろくな映画ではあるまいとは思ったものの、まあ話の種にでもなればと、ラピュタのピカレスク映画特集で観ましたが、想像以上に酷い代物で観た事を後悔。」「七人の野獣などと黒澤を意識したような肩タイトルを付けた上、血の宣言と謳い上げるのですから、ハードなアクション物をイメージしますが、山崎巌と監督の江崎実生が書いた脚本は笑える所が皆無のコメディで」なととあり、いささか自信を喪失していたのてすが、強い援軍を得た思いです。
中川信夫「地獄」は何回か見ているのですが、そのシーン覚えていません(泣)いずれにしましても、中川と日活の近親性?は、ありうる話で。

>それから、河上信夫は…

 おお、そうでしたか。まだまだいけませんな。
 江崎グリコの奥も深そうですね。
 あるネット情報によれば、江崎実生というのは、じっせいと呼ぶのではなく、みおと呼ぶペンネームと知り、びっくり。うーん、ナウい(笑)。 昔の映画
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