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k・メーツィヒ「金星ロケット発進す」谷洋子

日本人女優主演56年前のSF映画、しかも主舞台はロシアで、それに米ロ冷戦が絡み、しかし製作は東ドイツ=ポーランドで、日本人もロシア人もアメリカ人も全員ドイツ語を、しゃべるという。
e0178641_1250554.jpg これだけでもかなり珍品だが。あと1回の上映。
 60年、東ドイツDEFA=フィルム・ポルスキ=イリュージョン。京橋にて「DEFA70周年 知られざる東ドイツ映画」特集。
 金星に有人ロケットを飛ばすという、楽観的だった当時としては近未来、しかし、現時点ではかなり遠未来かな。何しろ楽観的な当時としては、2001年には、宇宙旅行が可能というと想定していたのだからねー。
 しかも、そういう未来にも、熾烈な米ソ冷戦が続いているという、現在から見れば無茶ぶりな設定。
 SFを「夢見る」者は、つねに「現代人」であるという、これは皮肉ね。
 以下のムーヴィーウォーカーによれば(すなわちキネ旬資料によれば)なんと1970年設定。これは2001年設定を超える、まさにお花畑志向という以外ありませんな。

e0178641_12513691.jpg6 金星ロケット発進す(94分・DCP・カラー) (フィルムセンターHPより)
DER SCHWEIGENDE STERN
2016年12月14日7:00 PM@大ホール 2016年12月24日1:00 PM@大ホール
1960(DEFA=フィルム・ポルスキ=イリュージョン)(監・脚)クルト・メーツィヒ(原)スタニスワフ・レム(脚)ヤン・フェトケ、ヴォルフガング・コールハーゼ、ギュンター・ライシュ、ギュンター・リュッカー、アレクサンダー・ステンボック=ファーモア(撮)ヨアヒム・ハスラー(美)アルフレート・ヒルシュマイヤー、アナトール・ラジノヴィチ(音)アンジェイ・マルコフスキ(出)谷洋子、オルドリッチ・ルークス、イグナーチ・マホフスキ
ポーランドとの合作による大作で、DEFA初のSF映画。日本でも61年に公開された。原作はS・レムの最初のSF小説。西欧のSF映画と同様に原子力への恐怖が語られるが、世界各国の乗組員が一致団結して金星調査を敢行するさまは、共産圏ならではの理想に溢れている。谷洋子は『風は知らない』(1958、ラルフ・トーマス)等で国際的に活躍した。


e0178641_12521240.jpg金星ロケット発進す (Movie Walker HPより)
ポーランドのSF作家スタニスラフ・レムの原作を東ドイツのクルト・メーツィッヒ監督が映画化した空想科学映画。脚色に当ったのはメーツィッヒ自身とポーランドのヤン・フェトケ。撮影は東ドイツのヨアヒム・ハスラーが当っている。音楽はポーランドのアンジェイ・マルコフスキーが受けもった。出演するのは日本の谷洋子をはじめソヴェトのミハイル・ポストニコフ、東ドイツのギュンター・シモン、中国のタン・ファ・タなど国際キャスト。アグファカラー・トータルビジョン。
一九七〇年、人類は月に基地を設営した。この年、ゴビ砂漠で隕石が発見された。研究に当った国際惑星調査連盟は、金星と同質の隕石内部に磁気録音コイルを発見した。世界翻訳連盟が解読にあたったが内容は不明。科学者会議で金星訪問が決定し、ソ連が宇宙船コスモクラトール号を提供した。乗組員は八名、隊長はソ連の科学者アルセニエフ(ミハイル・ポストニコフ)、隊員はポーランドの電子技術者ソウティック(イグナチー・マホフスキー)、アメリカの原子物理学者ホーリング(オルドジフ・ルーケシュ)、ドイツのパイロット、ブリンクマン、インドの数学者シカルナ、中国の言語学者チェン・イー、ケニア人タルア、日本人女医荻村すみ子(谷洋子)。宇宙船は金星に向け発進、大気圏を抜け無重力圏に入り、金星への双曲線軌道に乗った。途中で隕石音声の解読に成功した。内容は金星の地球攻撃計画の一部だった。金星の引力圏に入り、月基地との交信も絶えた。(以下略)


 ヒロイン谷洋子は、ビミョーな美人顔。美人といえば美人だが、少なくとも日本人ウケしない美人。スター・オーラもなし。
 よく街中で、在日外国人と日本人女性のカップルを見かけるが、この日本人女性の顔が、ことごとくビミョー(笑)。また、アメリカ映画などで活躍する東洋人女優も、ルーシー・リューなど、ことごとくビミョー。
 これは審美眼が、外国人と日本人では違うということか。よくわからない。

 谷洋子。男ばかりの宇宙飛行士の中の、紅一点。なのに人工睡眠の時は、男どもと一室で裸でシーツ。発想がいかにも共産主義的お花畑で。
 共産主義的(当時としては)健全エロ(笑)。
 というか宇宙飛行のための体力温存で、出発直前の数十時間の人工睡眠て、ほとんど意味不明。一種の、古式なSF的様式美か。あるいはレム睡眠的な楽屋落ち?(まさかね)。

 ついでに言えば、谷洋子が開発したという、宇宙食は、ソフトビニール製っぽい、500ミリリットルのペットボトルみたいなモノに入った、チョコレートドリンクみたいな感じ。無重力の宇宙に対応している宇宙食(というより完全な飲料)という設定らしいが、こりゃ完全に無重力では、空間に拡散ヒャッハー飲料ではないか。
 しかもあるボタンを押すと、宇宙船内は完全に無重力を脱し、通常生活を営めるという。

(以下、ネタバレあり)
(以下、ネタバレあり)

 どうやら、金星人のロケットが地球に来たようだ。
 遺棄されたデジタルデータを解析すると、地球調査資料で、地球侵略の意図が確信される。
 ソ連が火星探査を目的に発射しようとしていたロケットの目的地を金星に変更して、金星人との和睦を目的に、金星に向かう。
 一切の武器をロケットに積まずに。
 そしてこれはソ連一国の問題ではないと、東西冷戦中ではあるが、アメリカ人も日本人も中国人もケニア人ポーランド人もも同行させる。
 いかにも社会主義的理想論なお花畑志向だが。

 谷洋子は、広島の原爆で祖母をなくしている。ここでアメリカにチクリ。
 そして、なんと、いざ金星についてみると、


(以下、ネタバレあり)
(以下、ネタバレあり)

 なんと、金星に、金星人が、人っ子一人いない。
 宇宙遠征して、地球を侵略しようとしていた、高度の文明を持つ金星人は、なぜ、死滅した。
 なんと、巨大核爆発事故があったらしく、金星人の姿は、壁に焼き付いた影のみ。
「広島と同じだわ」谷洋子は、茫然とする。
 なんなの、このクライマックス感のない落ちは。
 ま、いかにもレム原作らしい、非娯楽映画的な「無常観」なのだろうけれど。
 ヘドロ的異物攻撃も含めて、現代文明に対する警鐘ってやつですかね。
 まあ、この原爆イメージゆえに、日本人女優が召喚されたということだろうか。

 いずれにせよ左翼的お花畑感満載の映画で、この映画の、ぬいぐるみみたいな、フード付きジャージの宇宙服みたいに、おまぬけでした。
 まあ、珍品。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

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by mukashinoeiga | 2016-12-21 12:53 | 旧作外国映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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