斎藤武市「白い夏」青山恭二、芦川いづみ、中原早苗、高友子、近藤宏、柳谷寛、西村晃、織田政雄、坪内美詠子
神保町にて。「恋する女優 芦川いづみ アンコール&リクエスト」特集。57年、日活、デジタル上映。
あああああ(笑)。なんという素晴らしさ。
もちろん傑作とか、問題作とか、そういうモンでは全くないが、ささやかな日常の、ささやかな幸せを描いた、つつましいプログラムピクチャアの、好ましさ。
純朴な青年がいて、肉食系女子に翻弄されつつも、清純な乙女にひかれつつ、素朴かつ粗野な田舎町にたたずむ。
結局は、何ができるわけでもないが、そう、石坂洋次郎系なら、田舎町の旧態依然の悪弊に、風穴を開けるのか、開けかけるのか、そういう問題提起など考えもしないまま、ただ、たたずみ、敗れて、田舎町を、去っていく。
そこには、清純な乙女との、あえやかな思い出だけが、残っている。
そういう乙女を演じて、芦川いづみは、唯一無二の絶品さ。
映画 白い夏(青山恭二 中原早苗 芦川いづみ)

S32('57)/日活/白黒/スタンダード/1時間31分
■監督:斎藤武市■原作:新田次郎■脚本:寺田信義、斎藤武市■撮影:藤岡粂信■音楽:斉藤高順■美術:坂口武玄■出演:青山恭二、芦川いづみ、中原早苗、高友子、近藤宏、柳谷寛、西村晃、織田政雄、坪内美詠子
『八甲田山』の原作者としても知られる直木賞作家・新田次郎の小説を映画化。海辺の田舎町にある郵便局に就職した青年(青山)の恋と挫折を軽やかに描いた青春ドラマ。潮風に吹かれる芦川の爽やかな横顔に胸キュン必至!*デジタル上映
つつましい映画の、つつましいヒロインを控えめに演じる、まさに芦川いづみならでは。
一方の、青山恭二をガンガン攻め立てる肉食系というか、中原早苗も、別種のすばらしさ(笑)。
あたしの一番大切なものをお餞別にあげる、という元祖山口百恵な。振動でダルマ人形がゴロンと転がるが、やられちゃったんだろうな青山恭二。翌日の中原早苗の元気な見送りを見ると、そうなんだろう(笑)。
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by mukashinoeiga | 2016-07-20 11:19 | 旧作日本映画感想文 | Comments(5)

>つつましい映画のつつましいヒロイン
いいっすねー
わたしも以前は郵便局員でした。
芦川いづみや若尾文子は周りにいませんでしたが…。
斉藤武市で斉藤高順ですか…
観てみたかった。
芦川いづみ様の映画って白黒が多いですよね。
もっとカラー作品が多ければ良かったのにって
思うのはわたしだけ?
>わたしも以前は郵便局員でした。
昔の、田舎の、数人程度の局員の、郵便局の描写が、たっぷりと。
田舎町の名士の、織田政雄が、局長で、というありがちな郵便局で、その娘が芦川いづみ。いづみは、電話の交換手。昔は、郵便局がNTTの役割を果たしていたのね。
副長が天草四郎で、禿げ頭をすりすりするのも、うれしい。
こんな局に新人が配属されたら、惚れてしまうやろ、いづみに(笑)。
斉藤高順は、手抜きというか、安定感というか、例の小津調サセレシアを、ぬる~くぬる~くした劇伴をよりぬる~く展開。そのぬるさも、大変心地よく(笑)。
芦川いづみの、はかない感じは、カラーより、白黒のほうが、気分なんですねー(笑)。 昔の映画

近藤宏、柳谷寛といった役者のよさをちゃんと引き出しているのはさすがです。
「お姉さんのお嫁入り」見たいなあ。
>近藤宏、柳谷寛
柄に合った好演。彼らだけでなく、この映画全員そう。もちろん芦川いづみも。
まるで小津張りの、全員あてがきの脚本みたい(笑)。
そうそう郵便局の副長・天草四郎も、忘れちゃいけません。責任感が強いんだか、無責任なのか、そこら辺のおじさんを、やらせたら、とても良い人。
で、柄に合わない派手な芸名は、もともと大衆演劇なんかの出身なんかですかね(笑)。 昔の映画
昔の記事ですが動画を見つけたので貼っておきます。 昔の映画