西河克己「春の夜の出来事」若原雅夫、伊藤雄之助、芦川いづみ、三島耕、宮城千賀子、東山千栄子、夏川静江、左卜全、黛敏郎
神保町にて。「恋する女優 芦川いづみ アンコール」特集。55年、日活。
下記解説を読んで、アタマに?マーク。若原雅夫と、芦川いづみが親子役?
製作当時の基準からすれば、年の差はあるが、まだまだいづみの相手役としても通用する二枚目、確かに戦前からの二枚目だが、まだまだオーケーだろ若原。
そういう先入観で、見に行ったら。なんと(笑)。
5. 春の夜の出来事 <神保町シアターHPより>
S30('55)/日活/白黒/スタンダード/1時間33分/
■監督:西河克己■原案:尾崎浩■脚本:河夢吉、中平康■撮影:姫田真佐久■音楽:黛敏郎■美術:西亥一郎■出演:若原雅夫、伊藤雄之助、芦川いづみ、三島耕、宮城千賀子、東山千栄子、夏川静江、左卜全
中平康が脚本を手掛けた軽妙洒脱な群像喜劇。ある財閥の当主(若原)と執事(伊藤)は、身分を隠して山間のリゾートホテルに休暇に出かけるが、それが娘(芦川)にバレてしまい…。ピーターパンの仮装を披露する芦川のキュートさは奇跡!*デジタル上映
二枚目・若原雅夫は、ハゲヅラをかぶり、大ぶりのスーツの下に、いわゆるアンコというか、肉襦袢というか、とにかく、でっぷりした中年体型となる、予想外の老け役。
相方となる執事・伊藤雄之助も、ごま塩のカツラで、伊藤的には意味不明な(笑)老け作り。もともと老け顔なのだから、メイクの必要あったのか(笑)。
端正な二枚目の若原に、意味不明な老け役とは。おそらく現実離れした、ほのぼのコメディを目指したのだろうが。
財閥の何代目かの社長・若原は、系列企業の菓子メーカーの懸賞にこっそり応募。菓子の空き箱を使っての工作で、なんと懸賞2位。
その工作した飛行機を無心に操る若原。それを財閥のボンボンの幼児性と見るか、天真爛漫さと受け取るか。
懸賞のごほうびは、これまた系列企業のホテルご招待。
かくて、自分の部下たるホテル支配人たちを偽るため、若原は貧乏人に身をやつし、執事・伊藤を、金持ちの社長に擬して、お忍び旅・・・・って、ハリウッド映画で何度も見た、いわゆる身分逆転コメディを、目指した、と思しいが・・・・。
なお懸賞1位は、リアル貧乏人の三島耕、日活のホントウの一時期、二枚目として扱われ、確か鈴木清順の監督デヴュー作でも主演しているが、まったく大成できなかった。
この三島や伊藤が、ホテルでは金持ち扱い、いっぽうの若原はホテル側が身分相応と判断した屋根裏部屋に宿泊。
金持ちが貧乏人の「何にもない自由」?に、憧れ?、貧乏人が金持ちの享楽を疑似体験する。ハリウッドお得意の格差逆転コメディだが、あまり工夫もなく、最初は面白いが、だんだん凡庸に。まあ、凡作。
金持ち令嬢・芦川いづみは、そうとは知らず貧乏青年・三島と恋仲に。
まあ、ありがちな展開。芦川ではなくても、誰でもいい若手女優が、やっていい役で、芦川である必然性はまるでなく。
当時は助監督か、共同脚本の中平康が、監督すればもっとましになったのかもしれないが。まあ、西河克己なりの凡作ですかね。あるいは松竹で木下か。
なお黛敏郎が「黛敏郎と称する男」を演じている。似ていることをいいことに、どうやら有名人を詐称して、高級ホテルに泊まる男らしい。ところが、ホテルに本物の黛敏郎夫妻からの予約が入ったことから、雲隠れ。
黛は、シロウトとしてはシロウトなりに、ちゃら男を好演。しかし、そういうエピソードであるなら、最後は、本物の黛敏郎&桂木洋子夫妻と、ニセ黛とを、交差、ないし擦れ違いすべき。画竜点睛を欠いた。
桂木洋子は、当時の日活映画で主演もしていたのだから、そういうしゃれっ気が、ハリウッドとの差なんだよなあ。木下なら絶対出したよね。
って、単に桂木洋子を見たかっただけか(笑)。
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by mukashinoeiga | 2016-03-01 12:47 | 芦川いづみ:青春快談いづみ晴れるか | Comments(0)