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田中重雄「新婚日記 恥しい夢」「新婚日記 嬉しい朝」

 新宿3丁目にて。「若尾文子映画祭 青春 アンコール上映」特集。56年、大映東京。
 感想駄文済みの木村恵吾「花嫁のため息」「新妻の寝ごと」が、遅いお正月気分のために、さながらTVドラマのノリで、公開されたように、下記Movie Walkerによれば、本シリーズは、ゴールデンウィーク狙いの、40分と45分の、添え物中篇シリーズ。添え物だから、尺を短くして回転を高めようというわけで、おそらく俳優のギャラなども、2本で1本分の計算なのだろう。
 木村恵吾「花嫁のため息」「新妻の寝ごと」との違いは、二点。
 あややの相手役が根上淳から、品川隆二に替わり、監督も変わった。
 これ、結構重要なこと。
 同じ大映の二枚目ながら、根上淳は、基本明るい。ちゃんと、ぼけることが出来る。
 一方、品川は陰性。ぼけれない。
 しかも演出のキムケイ木村恵吾は、代表作が「狸御殿」シリーズの、明るい御仁。田中重雄は、その名のとおり?重厚なドラマがお得意?
 ということで、ドラマはしゃきしゃき進まず、前シリーズから、さらに尺は縮んだのに、ゆったりとした展開となった。ただまあ、あややの愛らしさは、変わらず。
 なお、陰性一点張りの、絵に描いた「古典的」二枚目の品川隆二は、後年ナニをとち狂ったか、TVシリーズ「素浪人月影兵庫」「花山大吉」で、突き抜けた三枚目役を、近衛十四郎との名コンビで、人気を博す。
 ぼくの子供の頃は、このシリーズが大好きでした。この180度の大方向転換、人間、何がどうなるか、わからない(笑)。

e0178641_10573225.png新婚日記 恥しい夢 1956年4月28日公開 <Movie WalkerHPより>
高橋二三の原案から「頑張れゴンさん」の笠原良三と「東京犯罪地図」の池上金男が共同で脚本を書き、「浅草の灯」の田中重雄が監督した。新婚生活を描く明朗篇で、撮影は「しゃぼん玉親爺」の村井博が担当した。主な出演者は「赤線地帯」の若尾文子、「裁かれる十代」の品川隆二、「のり平の三等亭主」の藤間紫、「人情馬鹿」の潮万太郎、「しゃぼん玉親爺」の清川玉枝など。
三郎は電々公社の職員で今度、東京へ転勤するのを機会に恋人の千枝子と結婚、式後直ちに熊本から上京した。東京は住宅難だが、三郎の恩師白木博士が渡米するので、その留守番を仰せつかり心配はなかった。しかも電化設備の整った文化住宅。三郎は商売柄、電話を遊ばせておくのは勿体ないから近所の人に利用させようと到着の日に「電話ご利用下さい」の貼紙を玄関に出した。新婚第一夜があけ、二人が起きようとした時、表の戸を激しく叩く音がした。驚いて玄関に出ると、そこには近所の人が電話を借りようと大勢並んでいた。(以下略)

 渡米中の大家の博士の写真を、裏返して、キスをしようという新婚。その写真は、明らかに漱石のものだという、軽いギャグをかまして、ここに不足するものが二つ、という世情。
 ひとつは、住宅。
 今なら、何十階もの高層ビルが建てられ、坪当たりの収容人数は飛躍的に増大しているが、当時は技術不足、資材不足で、平地中心だったゆえだろうか。戦後の日本映画では、住宅不足が、一番の問題だったりする。
 あるいは、土地の所有権の流通が、旧態依然だったのだろうか。
 そこをうまくするりと利用していたのが、朝鮮人たちで、戸主の男性が、戦死したか、まだ帰還していないことをいいことに、焼け野原の駅前一等地を、戦争未亡人や銃後の妻から奪い取り、一時期、全国の駅前は、パチンコ屋ばかり、という事態に。まあ、日本人の一般庶民は、その点の抜け目なさ?が欠けていたので、住宅地探しに、うろうろする羽目になっていたわけですね。

 二つめは、情報ツールとしての電話。
 いくら電電公社に勤めているからといって、無料電話を提供するのは、いかがなものか。
まあ、かけさせるのはいいとして、かかってきた電話の取次ぎなど。若尾、その取次ぎを近所に伝えるだけで疲労困憊。せめて、一件当たりいくらと、料金を取ればいいのに。
 金を取るとなると、電電公社としては、違法アルバイトになるのかもしれないが。
 当時の風俗映画としては面白いが、新婚夫婦の、いかにイチャイチャが阻害されるかというところでは、前シリーズより、はるかに、劣る。

e0178641_10583131.png新婚日記 嬉しい朝 1956年5月11日公開 <Movie WalkerHPより>
一四四号掲載「新婚日記 恥しい夢」の続篇。スタッフ・キャストは大体前篇と同様であるが、脚本は笠原良三と高橋二三の共同担当。配役に「夕やけ雲」の東野英治郎、「残菊物語(1956)」の見明凡太朗などの追加がある。
新婚当時は、外遊している恩師白木先生邸の留守番をしていた三郎と千枝子も、今は隣家の二宮雪江の二階で間借り生活。しかし千枝子は最近、新婚当時居候に来た女学生ユリ子の寄宿舎で調理士をやり家計を補っていた。だが、その日、舎監の矢部先生にPTA推せんの調理士が決まったから辞めてくれと言われガッカリした。エリ子も半ベソになって抗議したがどうにもならず、事情を聞いた三郎は翌日、課長に残業を頼みこんだ。三郎は或る日、近所に住む月賦販売屋の北島から洋服箪笥を買ってしまったが、喜ぶと思った千枝子は、無駄使いをするなと三郎をきめつけた。(以下略)
(上記スチールだが、実際の映画でダブルストローでジュースを飲むのは、若尾と市川。スチールは完全にイメージ)

 当シリーズの俳優ビリングは、「若尾文子 市川和子 品川隆二」の、三枚看板。
 新婚家庭に居候する女学生・市川和子をプッシュするために、根上より格落ち感のある品川起用というところか。
 市川は、前シリーズの脇役女学生から、抜擢。可愛いが、オーラは、ない。典型的可愛いだけじゃダメなのよ女優。
 やはり、若尾文子クラスの女優は、そうそう生まれるわけではないということだ。
 新大屋・藤間紫も、やや、いいひと過ぎ、ドラマは、はじけない。まあ、それなりには、面白いんだけども。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

『若尾文子映画祭 青春』予告編 Ayako Wakao Film Festival Trailer

素浪人花山大吉

1965 「素浪人月影兵庫」近衛十四郎・品川隆二


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by mukashinoeiga | 2016-01-10 11:00 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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