人気ブログランキング | 話題のタグを見る

瑞穂春海「明日の幸福」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和家庭日乗 わたしのかぞく」特集。55年、東京映画=東宝。
 この特集も、ほとんど見ているので、数少ない作を落穂ひろい。
 頑固親父がいて、息子夫婦がいて、孫夫婦がいる。
 頑固親父が中心となる、三世代同居の大家族モノ、絶対の安定感。
 こういうホームドラマ・コメディは、日本映画の絶対的安定感や。ナイス。

瑞穂春海「明日の幸福」_e0178641_2318464.jpg明日の幸福 1955年(S30)/東京映画/白黒/87分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:瑞穂春海/原作:中野実/脚本:長瀬喜伴/撮影:三村明/美術:小島基司/音楽:斎藤一郎
■出演:上原謙、木暮実千代、小泉博、久我美子、小堀誠、水谷八重子、天津敏、三宅邦子、賀原夏子
三世代が住む大物政治家の邸宅で、家宝のハニワが欠けているのを発見。壊したのはまさか…ワタシ!?自分の不始末と思い込んだ女たちが、ばれないようにこっそり修理しようとするが…。コント風な物語を巧くまとめあげたハートウォーミングな一篇。

 祖母・水谷八重子は、祖父・小堀誠に、絶対服従。
 母・木暮実千代は、父・上原謙に、愚痴を言いつつ、従う。
 新婚の若妻・久我美子は、夫・小泉博に甘えつつ、でも、姑・大舅・大姑に遠慮がある。
 そこから、展開するドタバタ。ああ、楽しい(笑)。
 思うに、日本的コメディは、親和的ホームドラマで、最高の微温的(笑)コメディを、獲得する。そのひとつか。
 老壮青、男と女の、各カップルの、食い違いの、楽しさ。
 原作中野実といえば、木下恵介「女の園」の原作「人工楽園」?は、あまりにド下手な/生硬な実験小説、しかしなぜか映画の原作ものも多い。生硬かつ俗情との結託、なのか。うーん。この映画の原作も、読んでみたい興味は、あるが。果たして。
◎追記◎上記記述には、事実の誤りがあります。下記コメント欄で、お邪魔ビンラディンさんからご指摘がありました。ご指摘に多謝。

 祖父・小堀誠、例によって、頑固親実父ぷりが絶品。
 祖母・水谷八重子の、ドタバタも、愛らしい。
 上原・木暮の安定感。久我の実家の母に、三宅邦子。松竹出身の、この、安定感。グッド。
 若いカップル・小泉博、久我美子の、不安定さも、それはそれで、好ましい。グッド。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
「兄さんの愛情」に次ぐ東京映画の作品で、中野実の舞台劇から「チャッカリ夫人」の長瀬喜伴が脚色、 「新婚たくあん夫婦」の瑞穂春海が監督する。撮影は「消えた中隊」の三村明、音楽は「川のある下町の話」の斎藤一郎の担当。出演者は「恋風街道」の小堀誠、「伊津子とその母」の水谷八重子、「女の一生(1955)」の上原謙、「伊太郎獅子」の木暮実千代、「恋化粧」の小泉博、「兄さんの愛情」の久我美子、三宅邦子などである。

 なんなんだ、 「新婚たくあん夫婦」 (笑)。見てみたいぞ(笑)。
 と、Movie Walkerで検索したら、大びっくり!

瑞穂春海「新婚たくあん夫婦」1954年
 間借り生活一年の末、目白三平と妻光子は、光子の女学校先輩竹内マリ子の好意で借家ながらも二人だけの新居を持つ事が出来た。ところが三平は・・・・(以下略)
 ナナなんと、笠智衆、佐野周二&望月優子の「目白三平」シリーズの、前段に、佐田啓二&桂木洋子の「目白三平」ものが、あったとは! 見てみたいぞ、佐田の目白三平モノ!
 (たとえば)阿佐ヶ谷のモーニングで、「目白三平」シリーズ、見てみたいぞ(笑)。
 しかし、なんだって、桂木洋子が望月優子?(笑)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

★にほんブログ村日本映画(邦画)★

by mukashinoeiga | 2015-11-17 23:19 | 傑作・快作の森 | Comments(4)

Commented by お邪魔ビンラディン at 2015-11-18 00:59 x
「女の園」の原作は英文学者でもあった阿部知二さんです。息子のボードレール学者阿倍良雄と親子二代にわたって翻訳には悪評がつきまといますが。
「新婚たくあん夫婦」は、当初三国連太郎主演の予定だったものの、三国連太郎が「さすがにこんな名前の映画はイヤだ」と言って出演を拒否して東宝に移籍してしまったといういわくつきの作品です。
それはともかく、ラピュタ阿佐ヶ谷に貼り出されていたこの映画のプレスシートを見ると、マキノの次郎長三国志第10部完結編の予告がしっかりと印刷されているんですね。フィルムセンターでは、第9部の後に「撮影快調」という文字が踊る予告編をみることができたので、存在しているならラッシュフィルムだけでも見てみたい。
幻のフィルムと言えば、黒澤明の「白痴」完全版のネガの行方を熊井啓が確認したという伝説を残したまま熊井啓が亡くなってしまったということがありますが、黒澤明が「東京オリンピック」の記録映画を撮る試算のために撮ったフィルムは、フィルムセンターが持っています。フィルムの褪色と権利問題と公開を前提としていない「作品以前」の存在ということで、見るのはまず不可能なんでしょうなぁ。
Commented by mukashinoeiga at 2015-11-18 07:07
瑞穂春海「明日の幸福」へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。
 相変わらずテキトーな知識?で、御迷惑おかけします。

>黒澤明の「白痴」完全版のネガの行方を熊井啓が確認したという伝説

 この御仁のエピソードは、思わず「腹案がある」と断言したルーピー氏を思い出します。

>黒澤明が「東京オリンピック」の記録映画を撮る試算のために撮ったフィルム

 いろいろあるんでしょうが、おそらく税金で撮ったフィルムでしょうから、ぜひフィルムセンターには、奮闘努力してほしいですね。   昔の映画
Commented by サセレシア at 2015-11-18 17:36 x
この特集に「乳母車」が入ってますね。
微妙な日程なのですが何とか観に行きたいです。

あと今回ムカエイさんの御贔屓千葉泰樹の「沈丁花」という作品も入っていましたが、記事になってませんね。
<ヤスキ節>にも見当たらないし。
当方はこちらの作品も行けなかったので記事になるかと期待したんですが…。

来月の「目白三平亭主のためいきの巻」は鈴木英夫なんですね、なんか意外な組み合わせっぽいですな。
三平じゃなけりゃロマンポルノのタイトルみたいで….。
Commented by mukashinoeiga at 2015-11-18 21:31
瑞穂春海「明日の幸福」へのコメント、サセレシアさん、ども。
千葉泰樹「沈丁花」は、当ブログの立ち上げ前に見たので、いにしえのパソコン通信に書いたと思いますが、記録として残していないので、まあ、ぼくも読みたいのですが(笑)。
 華やかな女優陣による婚活コメディの傑作ですね。
 鈴木英夫は、余りコメディが合わない堅物(笑)なので目白三平は「異色作」ですね。  昔の映画
名前
URL
削除用パスワード