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斉藤貞郎「子どものころ戦争があった」梶芽衣子樫山文枝斉藤優一キャサリン三益愛子中原ひとみ栗田ひろみ山谷初男

 渋谷にて。「デビュー50周年記念 女優・梶芽衣子」特集。81年、文校プロ、配給松竹。
 本作と、同時上映2本立ての豊田四郎・市川崑「妻と女の間」76年、東宝(感想駄文済み)、の2本は、期せずして?日本映画の一ジャンルを形成し、最近もその現代系として是枝裕和「海街diary」として結実した、いわゆる四姉妹モノの変形、ないし変奏として共通している。好きだなあ、四姉妹モノ。
 あるいはシネマヴェーラとしては、この共通点を承知した上で、この2本立てを組んだのか。だとすれば、シネマヴェーラの、このめったにない(笑)映画的聡明さを称揚せねばなるまい(笑)。
 兄嫁に中原ひとみ、長女に樫山文枝、次女に梶芽衣子、縁戚の娘に栗田ひろみ、母(女当主)は三益愛子。
まあ、カンペキな四姉妹モノではないことは、お邪魔ビンラディンさんご指摘のとおりだが、変奏としては、ぎりぎり?許容範囲と思う(笑)。

斉藤貞郎「子どものころ戦争があった」梶芽衣子樫山文枝斉藤優一キャサリン三益愛子中原ひとみ栗田ひろみ山谷初男_e0178641_4443477.jpg『子どものころ戦争があった(35mm)』(35mm)公開:1981年 <渋谷シネマヴェーラHPより>
監督:斉藤貞郎
主演:樫山文枝、斉藤優一、梶芽衣子、キャサリン、三益愛子、中原ひとみ、栗田ひろみ、椎谷建治、山谷初男
母親の実家に疎開した小二の太郎は、蔵に近づくことを禁じられる。その後、蔵に幽閉されているハーフの少女・エミと仲良くなった太郎は…。梶芽衣子は、戦時中に産んだエミを愛しながらも、旧弊な社会にあらがえず娘を幽閉する悲しい母親を演じる。戦争によって犠牲になる子どもたちの悲劇が胸にしみる、反戦映画の佳作。©1981松竹株式会社

 ムーヴィーウォーカーによれば、「日本児童文学者協会と日本子どもを守る会が編集した「語りつぐ戦争体験」の中の“泥血の少女の死”を中心に映画化したもの」とのことだが、明らかに、このエピソードが選ばれたのは、「アンネの日記」と同一視して、日本をナチスドイツと同様の人種差別犯罪を犯したもの、と糾弾しようとする、左翼的意図があったことは、明らかだろう。

 映画は、左翼に対する偏見を抜きにしても、凡庸な展開で、「主人持ちの文学」そのもの。
 ただ、凡作というのには、あまりに捨てがたい子役ふたりの好演である。
 斉藤優一、キャサリン、この圧倒的素晴らしさ。ふたりとも、いわゆる、子役の演技を超えていると、思う。斉藤の顔ぢから、キャサリンの笑顔、素晴らしい。

 ところが、このふたりが、時は夏とて、川で水遊び。ま、時代が時代だから、児童水着とてなく、当然、すっぽんぽんになりますワナ。これは、あくまで自然現象。
 この、当時としても、当事者の子供としても「自然現象」なのだが、映画を見ているのは、全員大人である(笑)。しかも、自分の娘でも息子でもない。
 さらに当代にあっては、単純所持もアウトとされる、児童ポルノ禁止法なんてぇのが跋扈?している時代である。
 映画マニアというものは、スクリーンのありとあらゆるところを「凝視」するものであり、あらゆる「好悪」や「禁忌」も乗り越えて(笑)スクリーンを見つめるものなのだが、児ポ法なんてものがなくても、小児性愛趣味がない者にとっては、これは、きつすぎる(笑)。
 「いかにもナチュラルそうな描写」が即「きまづい描写」に「窯変」する。下手を打ったなあ。
 まあ、この映画自体、クライマックスで、感極まった、安っぽい、泣かせ音楽を過剰に流す三流作ではあるのだが。
 三益愛子は、例によって、息子や娘のうまみ、面白みがない、凡庸な演技。
 中原ひとみ、栗田ひろみは、往時のはつらつさが摩滅し、ファンとしては、見るに耐えず。ひとみは、よりおばあちゃんになってからは、やや回復した。ひろみは、これが映画最終出演作というが、かつての魔法は、消えうせている。
 樫山文枝は、若いときから、はつらつさのはの字もない、フェロモンのフの字もない、特殊女優なので、毎度何の感慨もない。感想もない。
 モンダイは梶芽衣子。アクション・ヒロインとしてはあれほど輝く彼女も、「フツーの女」を演じる際には、その強烈な個性が邪魔に。子供たちはよいのに、大人の俳優はダメ、という。うーん。
 旬を過ぎた女優による擬似四姉妹モノという結果に。

★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

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by mukashinoeiga | 2015-08-09 04:48 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

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