沢島忠「江戸っ子判官とふり袖小僧」美空ひばり、片岡千惠藏、喜多川千鶴、雪代敬子、一條由美、花園ひろみ、月形龍之介、加賀邦男、徳大寺伸、片岡栄二郎、沢村宗之助
京橋にて。「日本映画史横断⑤ 東映時代劇の世界」特集。59年、東映京都。あと1回上映。
わざわざ小雨のなか出かけていったのに、既見作(笑)。
しかも、この話、何度か見ているぞ、と原作・小國英雄で探知してみると・・・・。
江戸っ子判官とふり袖小僧(86分・35mm・カラー)
「いれずみ判官」の第15作で千恵蔵とひばりが顔合わせ。遠山金四郎とふり袖小僧が知恵くらべ腕くらべの道中を繰り広げる。沢島忠監督が「わたしのもってるテクニックを全部使いました」と語り、シリーズ最高傑作の呼び声も高い1本。
1959(東映京都)(監)沢島忠(原)小國英雄(脚)鷹沢和善(撮)伊藤武夫(美)吉村晟(音)高橋半(出)片岡千惠藏、喜多川千鶴、雪代敬子、一條由美、花園ひろみ、月形龍之介、加賀邦男、徳大寺伸、片岡栄二郎、沢村宗之助、美空ひばり
まず、マキノ正博「弥次喜多道中記」 (1938日活)、遠山の金さん・片岡千恵蔵と、ねずみ小僧・杉狂児が、弥次さん喜多さん(おなじみディック・ミネら)ネーム入りの笠を被って、偽装しての珍道中。
次に、マキノ雅弘・萩原遼「女賊と判官」(1951東映)が、(遠山ではないが)町奉行の息子の金さん・片岡千恵蔵と、怪盗紅燕・宮城千賀子が、駈け落ち者の勝平とお初(高田浩吉と暁テル子)の笠を被って、偽装しての珍道中。
最初の、千恵蔵がひょっとこの仮面で踊る料亭に、義賊が逃げ込む>人のネーム入り笠を手に入れ偽装旅>千恵蔵が天狗の面で立ち回り>お江戸日本橋で約束した日時に再会し、逮捕
と、まんま、プロットは、おんなじ、使いまわし。
今回は、遠山の金さん・片岡千恵蔵と、義賊振袖小僧・美空ひばりが、お夏清十郎ならぬ、新婚旅行中のお夏清太郎(島ひろし・ミス・ワカサ、当時の上方漫才か)ネーム入りの笠を被って、偽装しての珍道中。
モチロン、通俗劇として、たいへんよく出来たプロットゆえ、どの映画も、抜群の安定感。
さすが、軽時代劇・マキノの衣鉢を継ぐ沢島忠の、伝統継続の証で。マキノののんしゃらんに対して、沢島のモダンか。
これが三度目の千恵蔵は手馴れたものだが、本作ともなるとかなりのお年だから、初期の軽快さは、いささか減じておろう。
対する相手役は、杉狂児、宮城千賀子よりは、断然ひばりちゃんのほうが華があって、楽しい。
おなじみの男装も良し、粋なお姉さんの「女装」も良し、本当に、目にも耳にも楽しい。いうまでもなく、究極のエンターティナーだ。
たいへん惜しむらくは、マキノとひばりのコラボは、もっともっともっともっと見たかったなあ。
時代は下って、健さんをあいだに挟んで、年増・ひばりと、純情娘・藤純子の三角関係メロなんて、ゼッタイいいに決まっている(笑)。
あるいは、月形黄門をあいだに挟んで(?)女助さん角さんに、ひばり・桜町とか(笑)。
ああ、ぼくのゴヒイキ桜町も、マキノとは、少ないか、ないか、かあ。ああ、マキノと桜町も、よさそう(笑)。
マキノ雅弘、監督本数少なすぎだろ(笑)。
◎追記◎ひばりの子分役に花房錦一(香山武彦)。なかなか達者な快演。もっと活躍してもよかったが、ひばりの弟、という名前に押しつぶされたか。
ところで今回、ひばり亡き後93年に歌手デヴューという、妹・佐藤勢津子という存在をはじめて知って、びっくり。確かに声はクリソツだが、歌にまったくパンチなし。歴史の闇に即消えたのも無理はないが。
Sato Setsuko 佐藤勢津子 - 風街月 - Cover by Tomby.mpg
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by mukashinoeiga | 2015-01-22 01:59 | 旧作日本映画感想文 | Comments(2)
今回の特集は、カントク云々というより、チエ・ウタなどの御大、錦ちゃん橋蔵などの若手、老青バランスをとった?東映スタア映画の、おなじみ映画・御存知映画をやりたかったのでしょう。
マキノは、東映時代劇もいくつか撮っているとは思いますが、そういうカラーシネスコのスタア映画は、あまり撮っていない印象? ですかね。
なお(笑)、ぼくが、
>マキノ雅弘、監督本数少なすぎだろ(笑)。
と、かいたのは、もっとひばりちゃんの映画を撮ってほしかった、2000年代になっても(笑)フルハタなんかに任せず、健さんの映画を撮ってほしかった、という意味のオヤジギャグでして(笑)。言葉足らずですいません。ペコリ。 昔の映画