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千葉泰樹「海猫の港」杉狂兒、瀧口新太郎、見明凡太朗、姫美谷接子、中野正野

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。42年、大映東京。
 翌43年には、千葉泰樹「青空交響楽」で令嬢に恋する純情青年を主演する杉狂児が、その前年、老けメイクで、年頃の娘・息子がいる、海沿いの居酒屋の親父役。
 昔の老けメイクなので、フィルム感度が低い戦前白黒フィルムでさえ、バレバレなのだが、これはいったいどういうことなのか。
 まあ、昔は、年頃の娘がいる父親・母親役を三十代前半で演じたり、ということはありがちだったが(たとえば志村喬や飯田蝶子や)。しかし年頃の娘が15、6であれば、かろうじてつじつまは合うが。
 戦後も千葉映画の脇役として多出する杉ゆえ、千葉の杉に対する信頼感ということなのか。しかし、それにしても、ほかに、誰かいなかったのか。
 というのも・・・・。

海猫の港 (93分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
『白い壁畫』の後、千葉は大映に移り、マルセル・パニョルの戯曲「マリウス」を翻案した本作を撮る。唐津港の近くで七代続く居酒屋「碇屋」を営む父親と3人の子供を中心に、彼らと近隣の人々の暮らしが、日清戦争から台湾割譲そして日露関係の緊張へと向かう時代の変化をまじえながら淡々と描かれる。
1942(大映東京)(監)千葉泰樹(脚)吉田二三夫、石田吉男(撮)長井信一(美)仲美喜雄(音)杉山長谷雄(出)杉狂兒、瀧口新太郎、見明凡太朗、姫美谷接子、中野正野、藤村昌子、五十川靜江、吉谷久雄、齋藤紫香

 というのも・・・・。
 しみじみ人生・ホームドラマとしては、杉狂児は軽すぎ。凡庸な軽演劇というか、凡庸なスラップスティック演技というか、そういうのを、チョチョチョッとやった後に、しみじみオヤジの演技をされても(笑)。
 同じことは千葉ちゃん演出にも当てはまる。おそらく千葉ちゃんには、しみじみドラマは、徹底的に資質外。だから杉狂児を「しみじみドラマ」の主人公に「あえて」起用したのだろうし、さらに彼に、あえて「程よいアチャラカ」演技を、させる。
 かくてドラマは、なんとも折り合いのつかない、ばらばらな、コント風ドラマ、というか、ドラマ風コントというか。
 ここに、千葉ちゃんドラマの特質が、現れてくる。
 コメディ寄りの通俗ドラマ。決して悲劇は、にあわない。
 逆に、はまれば、コメディ寄りの快作ドラマが、輩出する。

 なお、本作でも、地味な女優が、彼の娘とかを演じていて、本当に大映は、戦前戦後を通じて、地味な、女優オーラのない、若い娘たちを起用するなーと。
 なぜなんだろうか。

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by mukashinoeiga | 2015-01-19 00:04 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Comments(0)

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