阿部毅「犯行現場」
阿佐ヶ谷にて。「ミステリ劇場へ、ようこそ。【2014】」特集。60年、大映東京。
いずれも本特集でこの前見た「襲われた手術室」阿部毅の監督による、村山三男「犯罪6号地」の、続編だか前作だか。たぶん続編か。この3作ともすべて60年、大映東京。
「犯罪6号地」どうよう、ジャズが全篇に流れ、サスペンス気分を盛り上げ、所轄たたき上げのデカ・高松英郎と、本庁から出張ってきたキャリアの友田輝は、相変わらず相性が悪い。
犯行現場 1960年(S35)/大映東京/白黒/78分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:阿部毅/脚本:阿部桂一/撮影:宗川信夫/美術:下河原友雄/音楽:池野成
■出演:高松英郎、友田輝、弓恵子、岸正子、六本木真、倉田マユミ、村上不二夫、三保まりこ、藤山浩二、土方孝哉、伊東光一
キャバレーの女給殺しに端を発した連続殺人事件。しかし容疑者少年のアリバイは白、捜査は難航する。少年犯罪を追う不屈の刑事魂が、恐るべき殺人組織をあばいていく──。高松英郎が敏腕刑事に扮した推理アクション。
味のある面々、大映脇役陣を総動員、それぞれのキャラ、マスクにあわせて、警察側、ヤクザ側、にきれいに色分け。
おそらく外部からは、誰も呼んでいないだろう。
つまり、
1 専属俳優のみの出演だから、彼らは月給制。だから、新たに発生する俳優費はゼロ。
超低予算が可能な、コスパ重視が、これほどあからさまな、作りも珍しい。
大量エキストラの、不良少年少女などは、俳優予備軍のキャメラテスト名目のノーギャラだろうし。
2 逆に言えば、専属俳優総動員で一本の映画を作りうる大映東京の厚み。
こんなことが出来る(そういう発想が出来る)のは、大映でしか、ありえない。
3 しかしそのことは同時に、華のあるスタアが不在ということであり、それらの試みは、その場限りの、併映作対策であり、約60年後のこんにちまで、「残らなかった」映画のひとつとなった。
まあ、当時はどんなに大作であっても、約60年後のこんにちまで「一般的」に「残らなかった」映画が大部分なのだから、これは言いがかりに近いのだが(笑)。
社長業の余技として、大映専属ちょい役の大山健二、一応主役を目指す?も、隠しようもないチンピラ感から、ちょい役チンピラ一筋の大川修など、ほんの数秒しか写らないのも、重厚感たっぷりに高松の上司刑事を演じる見明凡太郎も、大映ファンとしては、ほとんど見慣れた顔ばかりであり、OLD映画ファンならば、大映東京脇役陣総出演の、脇役陣オールスタアとして、見ているわけだが(笑)。
しかし準主役の見明すら、上記阿佐ヶ谷HPからもれているのは、やはり脇役の悲哀か。より出番の少ない伊東光一と、取替え可能なクレジット。
後年の一時期、刑事コロンボのパロディとして脚光を浴びる村上不二夫も、相変わらずのいい味。
そして全部専属で固めたため、いい女役として、外部から呼ぶべきセクシー女優を、この時期大映の不審者女優・倉田マユミで、よりいっそうの味わい(笑)。
なお、大山・伊東らの顧問悪徳弁護士を演じた、セリフ噛み噛みながら存在感バツグンも、やはり専属か。素人なんだか玄人なんだかの存在感、最高で。
そして、刑事役をやらせたら、やはり高松英郎、スキがない(笑)。スキだ(笑)。
今後、何らかの大映特集があるならば、この手の大映専属俳優総覧映画は、ぜひ混ぜてほしいものだ。
今回のミステリ特集で、どこぞの名画座のようなありがちな有名松本清張原作映画を廃し、清張モノとしては比較的地味な鈴木清順「影なき声」などみ2本にトドメ(ナンセ最近出た清張映画に関する本を立ち読みしたら完全無視)、大量の無名大映「無印良品」サスペンスを投入した、本特集、さすがラピュタ阿佐ヶ谷、といくら絶賛しても足りないほどだ。
なお本作の内容にはほとんど言及していないが、なじみの定食屋の日替わりB定食として、きっちり満腹いたしました。
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by mukashinoeiga | 2014-11-09 08:39 | 旧作日本映画感想文 | Comments(2)
やってましたが、いつしか消えてゆきました。
その方が却って気になりますね。
検索してみたら、
https://www.google.com/search?q=%E6%AD%A6%E5%B8%82%E5%B9%B8%E5%AD%90&hl=ja&biw=1366&bih=602&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=xmFfVKrFH6K9mgWx-4LwDQ&sqi=2&ved=0CBsQsAQで武市幸子 - Google 検索が出てきて、ああ、これが高松英郎の娘か。
あのごつい顔の親父にしては、意外に美人じゃん、とびっくりしました(笑)。最初のヤフー検索では出なくて、やはりグーグルは、隙がないなと(笑)。
情報ありがとうございました。 昔の映画