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渋谷実、原研吉「をぢさん」河村黎吉、飯田蝶子、伊藤進介、大塚正義、桑野通子、山路義人、若水絹子、河野敏子、文谷千代子、藤野秀夫、岡村文子、坂本武

阿佐ヶ谷にて。「庶民の笑いと日常と 松竹大船撮影所」特集。43年、松竹大船。
渋谷実、原研吉「をぢさん」河村黎吉、飯田蝶子、伊藤進介、大塚正義、桑野通子、山路義人、若水絹子、河野敏子、文谷千代子、藤野秀夫、岡村文子、坂本武_e0178641_00195080.jpg 十数年前にフィルムセンターで見たときは、体調ゆえか爆睡して、半分は見逃した状態。
 いつもの、おなじみの、たのしい戦前松竹ご近所コメディ。ただし、スーパーでは、ない。
 明らかに映画的リズム感を欠き、戦前松竹における新人監督二人の共同作業ゆえか、連携感が希薄であり、こりゃあ、体調が悪けりゃ寝るかぁ、という(居眠りの自己弁護)。
 ラピュタ阿佐ヶ谷HPがコピペできないので、

★をぢさん(60分・35mm・白黒)<フィルムセンターHPより>
世話好きで好人物のおじさんを演じるのは河村黎吉。町内の人気者のおじさんにとって気がかりなのは、近くに住む未亡人の幼い子供。亡くなった主人に世話になった関係で、なにくれとなく世話を焼くのだが、ある日、おじさんが持ちかえった土産の饅頭を食べた子供が病気になってしまった。おじさんは責任を感じて必死に祈りはじめるのだが……。飯田蝶子、坂本武、藤野秀夫、岡村文子など馴染みの面々が、戦時体制下の庶民をいつものように演じている。桑野通子は女児(桑野みゆき)出産後の復帰作でもある。渋谷実監督はこのあとの作品「激流」の途中で召集された。
'43(松竹)(監)澁谷実、原研吉(製)磯野利七郎(脚)池田忠雄(撮)長岡博之、武富善男(編)杉原芳子(美)江坂実(録)大村三郎、熊谷宏(音)仁木他喜男(出)河村黎吉、飯田蝶子、伊藤進介、大塚正義、桑野通子、山路義人、若水絹子、河野敏子、文谷千代子、藤野秀夫、岡村文子、坂本武、角秀夫、西村青兒、仲英之助、岩田龍子、縣秀介、長尾寛、遠山文雄、砂田光夫、水原弘志、青山万里子、山名佳津子、朝見英子、三笠朱実、中村実、安岡京子、森知美、村木幸子、倉内文子、中道操、加藤美枝子、井上喜美子

 今回、阿佐ヶ谷では、渋谷実・原研吉「をぢさん」山田洋次「二階の他人」生駒千里「赤ちゃん台風」を続けて見た。
 43年「をぢさん」には桑野通子が出演、58年「赤ちゃん台風」には桑野みゆきが出演。
 この幸薄い母娘が、同じ日同じスクリーンに続けて映されるのは、珍しいし、なんだか、好ましい。
 あいだに文字通りの赤の他人の?「二階の他人」が、挟まるのは、ご愛嬌?

  タイトルロールの河村黎吉は、なんだか、自身のスーパー素晴らしいレイキチ節を自己模倣しているかのような、「間の悪さ」を、感じた。
 主役での出ずっぱりのせいか、やはり脇役でこそ光り輝くレイキチか。戦時下もだいぶ押し詰まって、美男美女の恋愛メロも、自粛気味、ここはおじさんメインの一本も、というところで、フィーチャーされたのだろうが。

 未亡人役の桑野通子の、やわらかな柔らかな話し方のすばらしさ。数年後に亡くなってしまう彼女の「晩年」の、輝き。
 桑野通子が仲人になって、飯田蝶子・レイキチ夫妻の弟が婚約。この婚約カップルの新人たちが、まったくオーラなし。クワミチの和裁教室の生徒・河野敏子のほうが、よっぽど目立っている。
 なお河野敏子は、のちの井川邦子。井川邦子時代が、あまりに地味なので、河野敏子って、なんて名前に改名したんだっけ、といつも迷って、思い出せない。まあ、どちらの名前とも極めて地味なのも、珍しい。

★所蔵映画フィルム検索システム★のタイトル検索で、詳細なスタッフ・キャスト一覧あり。
◎追記◎をぢさん 1943年(S18)/松竹大船/白黒/60分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:渋谷実、原研吉/脚本:池田忠雄/撮影:武富善男、長岡博之
■出演:河村黎吉、飯田蝶子、伊藤進介、桑野通子、大塚正義、山路義人、若水絹子、河野敏子、岡村文子、坂本武、文谷千代子
工場で指導する世話好きおじさん・河村黎吉が未亡人の子どもにお饅頭をあげるが、それが原因で子どもが寝込んでしまい…。妻役の飯田蝶子とのユーモラスなやりとりが秀逸。戦時中の作品ながら、あたたかい人情にあふれた一篇。国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

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by mukashinoeiga | 2014-09-16 23:53 | 旧作日本映画感想文 | Comments(2)

Commented by お邪魔ビンラディン at 2014-09-19 02:01 x
  この映画や千葉泰樹の「煉瓦女工」、青柳信雄の「愛の世界:山猫とみの話」、マキノ正博「ハナコサン」あたりを見ると、「戦時中が真っ暗な世相だった」というはなしは、少なくとも空襲が激しくなる以前に限って言えば、マユツバものとしか思えなくなります。
  戦争自体が悲惨であること、特に最前線の兵隊さんが(無能な戦争指導者のおかげで)大変な思いをしたことは、誰にも否定できないのですが、「当時の国民がそれをどう感じていたか」ということのみに限って言えば、お先真っ暗と感じていた人の方が少数派だったのではないかと思います。縮刷版を見ると、昭和18年いっぱいまでは、新聞の論調もそんなに狂信的ではなかった。
  「戦時中が真っ暗」という印象が強いのは、おそらく以下の三つが原因となっていると思います。① 戦争末期に非戦闘民相手の攻撃が多発したこと ② 戦争末期から戦後数年の間食糧難が続いたこと ③ 占領軍により、マスメディアを駆使して徹底した情報統制と「洗脳」に近い教育プログラムが実行されたこと。
  「反戦」は大いに結構なのですが、こうした事実をちゃんと認めたうえで話をしないと恥をかきますね。
Commented by mukashinoeiga at 2014-09-19 22:06
渋谷実、原研吉「をぢさん」へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。
>「戦時中が真っ暗な世相だった」というはなしは、少なくとも空襲が激しくなる以前に限って言えば、マユツバものとしか思えなくなります。

 まったく同意。
 とはいえ、時に「現実逃避」とも揶揄される映画が、その証拠というのも。というのは、ぼくの記憶では、「煉瓦女工」は千葉にしては、ひたすら暗く(間違った印象ならごめんなさいね。びしばしご指摘を)マキノ正博「ハナコサン」は、まるで共産主義国の映画かとも思える群舞シーンが珍妙で(北朝鮮そっくり)、軍部独裁体制とは、まさに共産主義とイコールなのだ、と実感させる「珍作」と思っているからですが。

>「反戦」は大いに結構なのですが

 日本の「反戦」主義者は、しばしば共産主義を否定・揶揄・攻撃している共産主義者に見えてしまいます。無意識過剰の自家撞着。
 なぜなら軍事独裁体制というのが、共産主義そのものなんですから。   昔の映画
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