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増村保造「千羽鶴」若尾文子京マチ子平幹二朗梓英子南美川洋子船越英二

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。69年、大映東京。あと1回の上映。
 やはり奇ッ怪な傑作/怪作でありますね。
 ある意味デヴィッド・リンチであり鈴木清順。
 再見だが、その細部はほとんど忘れているのには、自分でも驚く(笑)。ナンセ、京マチの、アノでかい胸のあざ?まで、忘れているとは(笑)。
e0178641_2543772.jpg 覚えていたのは、大怪獣・若尾文子の演技のみ(笑)とは。
 それだけ、本作の彼女の演技のすばらしさと、特異さ(笑)。

 なんてったって、登場シーンすべての演技とせりふで、若尾は、ハアハアもだえて、あえいで、くねくねして、よろめいているのだから。そのせりふのすべてが、あえいでいる。
 この映画の若尾の演技の特異な点は、濡れ場だけではなく、ふつうのシーンでも、ハアハアあえいでいる点だ。それでギャグにならず、絶えずぬめぬめ、くねくね。
 こんな剛速球演技を全編にわたって、いや、超変化球演技か、やってのける女優は、世界広しといえども、若尾文子以外だれがいるだろう。
 おそらく、増村保造の要求する水準を軽く超えて、鬼気迫る演技。この映画を見たら、世界中の女優が嫉妬するか。まああまりにレヴェルが違うので、嫉妬しようもないだろうか。
 女は情動、妄執のまま、生きる。男は迷走する。まさしく、マスマスムラムラな映画だ。
 そして「ご婦人は理不尽」そのものを体現する若尾文子。あまりに素晴らしすぎる。

e0178641_256434.jpg千羽鶴 (96分・35mm・カラー) <フィルムセンターHPより>
川端康成のノーベル文学賞受賞記念映画。元々市川雷蔵による企画だが、雷蔵の体調不良により平幹二朗が起用された。増村と若尾文子の最後のコンビ作であり、若尾は終始、荒い息づかいと熱に浮かされたようなたたずまいで、かつて愛した男の息子を同様に愛してしまう女性を演じている。
'69(大映東京)(監)増村保造(原)川端康成(脚)新藤兼人(撮)小林節雄(美)渡辺竹三郎(音)林光(出)京マチ子、若尾文子、平幹二朗、梓英子、南美川洋子、船越英二、新宮信子、北林谷栄、目黒幸子、松村若代、福原真理子、三笠すみれ

 完璧なストーリー紹介は★【映画】千羽鶴 - いくらおにぎりブログ★を参照されたい。テキトーな駄文しかかけないぼくには、このブログの「苦行」はムリ(笑)。

 さて、若尾の演技は神がかっているが、京マチもまた、凄い。若尾があまりに凄いので、見劣りのするハナからの負け戦だが、「中婆」役に徹して、負け戦は負け戦なりに善戦している。
 考えてみれば、若尾を筆頭に、大映のスタア男女優は、かなりの演技巧者だ。ガラだけの日活、タイプキャストの東映、アイドル演技の東宝、何の冒険もしない松竹などにあって、チャレンジャーな大映・若尾・増村。

 市川雷蔵の代役が、平幹二朗ということだが、このヒラミキの演技から逆算して、雷蔵の演技を思い浮かべることが、ぼくにはできない。
 メロドラマ役者としてヒラミキは、ある意味完璧。しかしかくも完璧なメロドラマ「相手役」演技が、雷蔵に、出来るのか。雷蔵は「相手役」に徹することが出来るのか。
 逆に言えば、相手役が雷蔵だったら、若尾文子は、これほど振り切った、フルスロットルの演技が、出来たのだろうか。ある意味「格下」のヒラミキだから、かくも吹っ切れたのでは、ないかな。
 大映京都の大御所プリンス雷蔵に、あんな卑怯(笑)な演技をエンエンしかけられるのか。
 いや、仮に仕掛けられたとしても、雷蔵の演技は?(笑) ヒラミキは、無表情?に徹して、「やり過ごした」が?
 やはり雷蔵としても、無表情?に徹して、「やり過ごす」だろうが、なんとなくヒラミキより、「雑味」?が、あるような気がする(笑)。
 それとも「卑怯」な演技の若尾に、これまた「卑怯」な演技で対抗しただろうか、雷蔵は(笑)。いや、雷蔵は、そもそも「卑怯」な演技の引き出しは、もっていはいまい。
「ちょっと、卑怯すぎるよ若尾ちゃん。マスさん、とめてぇな」とか、弱音を吐きそう(笑)。
 いっぽう、まだ若手のヒラミキは、むっつり、つっころばしに徹して、卑怯な若尾攻撃に、ただただ耐える、と。結果、それが幸いしてか、若尾の卑怯攻撃に、ヨレることのないヒラミキなのであった(笑)。
 ヒラミキもまた、負け戦に「ほとんど勝っている」あるいは「ほとんど、負けていない」のでは、ないか。いや、負け戦は負け戦なのだが。ここまでやれば、勝ったも同然、といういいわけも成り立つレヴェルだ。

 そして、もうひとり「負け戦」を意外に「善戦」したのが若尾の娘役・梓英子。たいていは、ガチャガチャしたチンピラ姉ちゃんを得意とした彼女が、打って変わって和服姿のメロドラマに参戦。
 もともと若尾に勝てるわけがなく、特に本作の若尾にはなおさらだが、その範囲で「意外な善戦」だと思う。梓英子、その風情がケナゲで、はかなげで(巨人・若尾との対比で)、ちょっと惚れた(笑)。
 うーン、いつになく上から目線だなあ(笑)。
 あまりに破壊神か若尾と、それに耐え切った競演陣、といったところか。
 実は、破壊神・若尾に、唯一「勝った」女優がいる。ヒラミキの老女中・北林谷榮。猫背で超ウロン顔の老女。出たとたん爆笑を誘う。まあ「勝った」というより「独自の戦い」と申すべきか。

 しかしぼくなら(笑)本作の若尾や京マチは、ウザ過ぎる(笑)。最終的にヒラミキが選んだように、梓英子かな(笑)。
◎追記◎いや、こういうどろどろを危うくのところで回避した、ヒラミキの見合い相手、かわいい南美川洋子という手もある(笑)。
 ところで、若尾は父(船越)子(ヒラミキ)を、ともに愛と欲の対象にする親子丼。
 ヒラミキは母(若尾)娘(梓)ともに愛と欲の対象にする親子丼。
 ダブル親子丼という、川端の妄執も、またご立派(笑)。

 感想駄文済みの増村保造「赤い天使」で、鈴木清順との近質性を感じたが、本作でも、鈴木清順「ツィゴイネルワイゼン」との「近質性」を感じるのは、これも妄想の類だろうか。
 切通しを通って鎌倉の自宅に帰るヒラミキ・・・・同じく原田芳雄
 貸した茶碗を返してください、と迫る梓英子・・・・同じく大谷直子
 二人の男を同一視する若尾・・・・一人二役の大谷直子
 なんだか下世話な京マチ・・・・同じく大楠道代
 清順、さては、パクったな(笑)。

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by mukashinoeiga | 2014-08-25 05:42 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback | Comments(0)

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