増村保造「爛(ただれ)」若尾文子田宮二郎水谷良重船越英二弓恵子藤原礼子丹阿弥谷津子倉田マユミ殿山泰司浜村純

 京橋にて。「映画監督 増村保造」特集。62年、大映東京。
e0178641_21124966.jpg 再見だが、何度見ても素晴らしい。若尾文子のいちいちの表情、いちいちの演技、まさに絶品。
 再見した理由は実に単純。大映東京が誇る二大怪獣・若尾(ガメラ)文子VS田宮(大魔神)二郎の、激突バトルを、見たかったからだ(笑)。絶好の消夏法ではないか(笑)。
 いや、若尾のほうが菩薩と夜叉の二面を持つ大魔神のほうか。そう考えれば、びゅんびゅん飛ぶ田宮のほうがガメラか。

 終映直後、ぼくの隣の客が一言、「重い・・・・」。完全にグロッキーな、感じであった。もうこの人は、二度とこの増村特集には、来ないかもしれない。
 いやー、ぼくの映画の見方のほうがおかしいのかもしれないですけどね(笑)、成功したマスマスムラムラ映画は、ことごとく怪獣映画なんだ、と(笑)。
 マスマスムラムラ映画では、若尾も、川口浩も野添ひとみも、高松英郎(増村「巨人と玩具」)も、ことごとく怪獣と化す。
 増村映画とは、いわば怪獣プロレス、その人間ドラマ版なんだ、と。「男と女の衝突・慟哭」を、装う、怪獣バトルなのだ、と。激闘の怪獣王ゴジラこそが、若尾あややなのだ、と。じゃあ、野添ひとみは、モスラか(笑)。川口浩はミニラか(笑)。
 以下、ネタバレあり。

e0178641_21134946.jpg爛ただれ (88分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
徳田秋声の小説を新藤兼人が現代に置き換えて脚色。愛人の増子(若尾)と愛欲の日々を送る花形セールスマンの浅井(田宮)は、嫉妬に狂う妻(藤原)との離婚に成功するが、2人の新しい生活も、増子の姪(水谷)が田舎から上京してきたのを機に狂い始める。若尾文子と田宮二郎演じる男と女の爛れた関係が息詰まるほどの執拗さで描かれる。
'62(大映東京)(監)増村保造(原)徳田秋声(脚)新藤兼人(撮)小林節雄(美)下河原友雄(音)池野成(出)若尾文子、田宮二郎、水谷良重、船越英二、弓恵子、藤原礼子、丹阿弥谷津子、倉田マユミ、殿山泰司、浜村純、永田靖、十朱久雄、宮川和子

 田宮二郎。 
 羽振りのいいカー・ディーラー、というより当時の言葉で言えばブローカーか、もちろん扱うのはアメ車の中古。
 考えてみれば、国産車がハバを利かせられない時代、外国産中古が華やかだった時代というのは、今では信じられないかもしれない。まあ、今でも、アメリカ由来の軍事技術に発する、IT産業が時代の花形なんだから、ぼくたちも、この時代のことを笑えないのかもね。
 さて、この田宮、「恩人の娘」をゼヒにもと嫁にもらいながら、キャバレーのホステス・あややを愛人にし、さらには田舎から上京してきた若尾の姪・水谷良重にも、ちょっかいを出す。
 びゅんびゅん飛ぶ、ならぬ、ピュッピュッ飛ばすガメラなり(笑)。
 これを「女の直感」で知った若尾、菩薩から夜叉へ「大魔神」のごとく変身して、田宮ガメラを、攻め立てる。
 いや、その前段と、して。
 田宮の本妻・藤原礼子への、増村の演出がすごい。喘息持ちでゼエゼエいいながら、果敢に田宮に挑み続ける藤原礼子演出こそ、まさに怪獣描写そのもの。特技監督(笑)マスマスムラムラの本領発揮の名バトルシーン。田宮も、ただただタジタジ。
 続く、蔵の座敷牢(笑)に閉じ込められた藤原礼子が、実母に襲い掛かり、助けに来た兄・殿山泰司に抵抗していくさなか、絶命するところも、まさに怪獣の最後というような様相を呈す。

 そして怪獣王(笑)あやや。いや、もう、アヤラと呼ぼう(笑)。
 アヤラ(笑)が、冷徹に(対藤原礼子比180パーセント)田宮や良江を追い詰めていくサマの、その表情、その演技の絶品さ。
 鬼のような形相でありつつ、同時にスタア女優としてのセクシーさも十分兼ね備えている、というまさに「国宝級」というか「重要無形文化財」というべきか、どこかひとつバランスが狂ってもすべて台無しの、タイトロープ上の絶妙さ(笑)。その絶対バランス。
 これがもし新劇女優だったり、非スタア女優であったりすれば、「鬼の形相」をそのまま体現して、文字通り観客をドン引きにするのだが、アヤラは、違う。
 スタア女優として欠かせない、ある甘さを残すのだ。もちろん、甘い演技ではない、ある甘さを。

 蛇足だが、若尾の友人たち、丹阿弥谷津子(もとキャバレー同僚、船越の妻)、倉田マユミ(増村映画ではいつもいい、愛人アパートの人)もいいのだが、超年上元大将の愛人・弓恵子がキュート。
 なお、元大将が永田靖とは、気づかず。いつもと演技が違うもの。
 いつもはクールな田宮も、アヤラの凄みを前にして、いささかたじたじの体。ただ、田宮、マスマスムラムラなメロドラマに、もっと、出てほしかった。

★Movie Walker★および★所蔵映画フィルム検索システム★のタイトル検索で、詳細な作品情報あり。ただし、簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)は、前者のみ。後者はスタッフ・キャストが超詳細。

 なお前者で「水谷良重」を「二代目水谷八重子」と表記するのは、いかがなものか。過去消去の「上書き」のみは、共産主義者特有の悪弊であろう(笑)。

★若尾文子、増村保造監督とは「以心伝心」 三島由紀夫主演作の秘話も明かす : 映画ニュース - 映画.com★

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by mukashinoeiga | 2014-08-05 09:49 | マスマス増村保造ムラムラ | Trackback(2) | Comments(6)

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増村保造「爛(ただれ)」若尾文子田宮二郎水谷良重船越英二弓恵子藤原礼子丹阿弥谷津子倉田マユミ殿山泰司浜村純 : 昔の映画を見ています... more
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Commented by サセレシアH at 2014-08-05 10:50 x
弓恵子...いいっすねー。小生も何気に興味ありです。ただ「これが青春だ」の時は魅力が出ませんでした。製作サイドは当初マドンナ役として起用したのではないかと思うのですが(全くの当てずっぽうです)....。

倉田マユミという人をググったら意外な展開の人でした。

最近東映の古いヤクザ映画を久しぶりに観て藤純子の魅力を再確認いたしました。なるほど上戸彩とかいうアイドルと角度によっては似ていました(インパクトは全然違いますが)。

Commented by mukashinoeiga at 2014-08-05 21:56
増村保造「爛(ただれ)」へのコメント、サセレシアHさん、ども。
 弓恵子...イマまで関心外でしたが、本作ではなかなかよかった。「これが青春だ」は映画版は見たと思いますが、弓恵子に対する粒だった意識はなかったなあ。
 倉田マユミ...ぼくもヤフって見ましたが、「ノンちゃん雲にのる」監督倉田文人の娘で、同作にも出演とか。最初の夫が大泉晃で、二度目の夫がアメリカ人で渡米。大泉もたしかハーフだから、外人ウケするのか。うーん。   昔の映画
Commented by なご壱 at 2014-08-06 05:32 x
「これが青春だ」の先生役の印象が強い弓恵子ですが、この映画ではキュートでしたね。老人の愛人役だったので増村組の常連の弓の実父の潮万太郎は、遠慮してこの作品には出なかったみたいですね。
Commented by mukashinoeiga at 2014-08-06 20:55
増村保造「爛(ただれ)」へのコメント、なご壱さん、ども。
 うーん、「これが青春だ」の弓恵子そんなにいいのか(笑)。
 本作の彼女は、よかったですねー。おお潮万太郎弓恵子親子でしたか。しりませんでした。
 本作にも、十朱久雄のわかい愛人役で出てくる宮川和子(別名・三宅川和子)を、見るたびに、潮万太郎の顔がおもいうかぶので(笑)むしろこっちのほうがなにか潮の縁戚か隠し子かと、邪推していましたが、ちがうんでしょうか(笑) 昔の映画
 
Commented by サセレシアH at 2014-08-09 13:41 x
mukashinoeigaさん、ども。
いやいや「これが青春だ」の弓恵子は、小生的にはあまり魅力が出なかったと思ったんですが、なご壱様の「この映画ではキュート.....」のこの映画とは「爛(ただれ)」を指しているのではないかと.....。
また「これが青春だ」の映画版はややこしいのですがTV版「青春とはなんだ」の夏木陽介が主演ですね。なんやこんがりコーンですな。
関係ありませんが、夏木陽介のNHKドラマ「明智探偵事務所」はよろしおましたなー。
Commented by mukashinoeiga at 2014-08-10 08:52
増村保造「爛(ただれ)」へのコメント、サセレシアHさん、ども。

>なご壱様の「この映画ではキュート.....」のこの映画とは「爛(ただれ)」を指しているのではないかと

 ぼくの書き方つたなくてすいませんでした。
>NHKドラマ「明智探偵事務所」
  TVドラマのいいやつでも、なかなか再見の機会がありません。おしいなあ。   昔の映画
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