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蔵原惟繕「春の鐘」北大路欣也三田佳子古手川祐子中尾彬芦田伸介岸田今日子岡田英次加賀まりこ藤田敏八田中隆三

 阿佐ヶ谷にて。「鉄腕脚本家高田宏治」特集。85年、東宝。
蔵原惟繕「春の鐘」北大路欣也三田佳子古手川祐子中尾彬芦田伸介岸田今日子岡田英次加賀まりこ藤田敏八田中隆三_e0178641_1563157.jpg 主人公・北大路欣也は、東京から奈良へ美術館館長として、単身赴任中。
 その妻・三田佳子は、いろいろな欲求不満から、中尾彬、藤田敏八らと、不倫三昧。妻が男と一緒にいるところを見た北大路は、奈良に引きこもり。ついでに、バツイチの古手川祐子の猛烈アタックに陥落(笑)。
 という、ぬるいメロドラマ。
 この手のやつは、渡辺淳一原作かと思えば、立原<燃える秋>正秋。ま、どちらも完全未読のまま言うと、プレ渡辺淳一ともいうべき立原正秋、文芸エロは、渡辺淳一と区別がつかない、どっちもどっち。
 エロ欲情不倫だけでなく、古代美術の薀蓄も大量、エロの言い訳に教養も、という、配慮。いらんわ、そんなもの、という。
 ま、どっちも読んでいない門外漢の戯言なれど。
◎追記◎お邪魔ビンラディンさんの下記コメントのご指摘により、「燃える秋」の原作者を、立原正秋氏から五木寛之氏に訂正いたします。
 
「春の鐘」1985年(S60)/東宝映画/カラー/128分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:蔵原惟繕/原作:立原正秋/脚本:高田宏治/撮影:椎塚彰/美術:樋口幸男/音楽:久石譲
■出演:北大路欣也、三田佳子、古手川祐子、中尾彬、芦田伸介、岸田今日子、岡田英次、加賀まりこ、藤田敏八、田中隆三
脚本家の松田寛夫が「『道成寺』の鐘の中を描いたような映画や、ありがとう」いうて褒めてくれた。大詰で、桜吹雪の中を三田佳子さんが鬼女のように現れるシーンは蔵原美学の極みやね。この春、ラピュタの画面で観てみたい。

 古手川祐子。美人。きれい。
 同じ東宝芸能所属の女優たちと違い、例外的に、本作では、乳首も露出するベッドシーン。
 東宝シンデレラの沢口靖子、斉藤由貴、長沢まさみなどとは、一線を画す「冒険」だが。
 我慢に我慢の、こらえにこらえた北大路、いざ褥を共にするや、大丈夫かいと、気遣いつつ、即ズボッ(笑)。
 すぐ腰をカクカクするのだが(笑)。こらえ性ないぞ北大路。
 しかし、これは、アイドル的女優(東宝シンデレラではないが)古手川への、深謀遠慮的配慮と見た(笑)。
 一見大胆な「即ズボッ」により、きわめてありがち(笑)な、乳首を口に含んだり、乳房を揉みまわしたりの、前戯一切を大幅100パーセントカット。アイドル女優を守りつつ、エッチシーンも充実・・・・を、狙ったのだろうが。
 しかし、そんな「いいとこ取り」は、たいてい失敗に終わる のが、世の常。
 ゆえに特に何の感慨も喚起することなく、エッチシーンも非エッチシーンも、凡庸に終始。
 もちろん、北大路も、三田佳子も、凡庸。
 上記ポスターの三田佳子、髪型が当時はかっとんでいたのかもしれないが、今見ると相当ヘン(笑)。
 高田宏治は、「大詰で、桜吹雪の中を三田佳子さんが鬼女のように現れるシーンは蔵原美学の極み」というが、桜といえば鈴木清順の神業に比べるまでもなく、凡庸。
ボーン、ボーン、と凡庸なる「春の鐘」でした。
◎追記◎鈴木清順といえば、その「ツィゴイネルワイゼン」で役者デヴューした藤田敏八も出演。妙に「世間離れした」、他の役者との波長を断絶したかのような、独特の台詞回しで。
 ついでに本作とまったく関係がないが、ロードショー時に見て、今特集では見なかった大林宣彦「姉妹坂」の、高田宏治コメントが、気になった。

『姉妹坂』1985年(S60)/東宝映画/カラー/102分 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
■監督:大林宣彦/原作:大山和栄/脚本:関本郁夫、桂木薫/撮影:宝田武久/美術:薩谷和夫/音楽:宮崎尚志
■出演:紺野美沙子、浅野温子、沢口靖子、富田靖子、尾美としのり、宮川一朗太、横山美樹、入江若葉、竹脇無我
これはぼくの別名、桂木薫で書いたんや。大林監督がぼくのホンにないセリフを撮影台本に書きよってな。それで大喧嘩になったんや。それでも、京都の四季折々、あれはよう撮れてたなあ。ほんまに美しい、大林版『細雪』やった。

 時に原作レイプとも呼ばれる原作の大幅改変をおこないもする脚本家(一般論。高田宏治がそうだというわけではない)が、 監督に改変補筆されたことで、大喧嘩するというのは、いかがなもの、かと。
 まるで、自分はレイプする権利はあるが、されたくはない、といっているのも同様かと。妄言多謝。
◎再追記◎本作の音楽:久石譲は、今ほど特徴のあるスコアでなく、凡庸な劇伴に終始。

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by mukashinoeiga | 2014-06-08 00:52 | 旧作日本映画感想文 | Comments(4)

Commented by お邪魔ビンラディン at 2014-06-09 06:31 x
「燃える秋」作者は立原正秋ではなくて五木寛之ですね。
これは、かの「女帝」に牛耳られていた時代の三越がスポンサーになった映画で、演出よし、撮影、音楽、美術すべてよし、役者も名優を揃えて、結果としてたいへんツマらない映画になった。
どうも、この時期の撮影岡崎宏三、音楽武満徹の映画には、「おそらくツマらないシャシンになるから、せめては撮影と音楽だけでも超一流を使おう」という理由からかれらを起用したと思われるフシのある作品も存在するようですね。
Commented by mukashinoeiga at 2014-06-09 22:29
蔵原惟繕「春の鐘」へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。
 おお、そうでしたか。相変わらず、当ブログの記憶力は駄目ですね(笑)。
「燃える秋」は主題歌のみ記憶に残る(たぶん武満ではないだろうけど)絵に描いた「大味」映画でした。 昔の映画
Commented by お邪魔ビンラディン at 2014-06-10 01:37 x
「燃える秋」の主題歌の作曲者は、幸か不幸か武満徹です。ハイ・ファイ・セットが歌ってヒットしています。「他人の顔」のドイツ語の歌(作詞はブレヒト研究で知られた岩淵達治さん)とか、中村登「班女」のオープニングの歌などは、なかなかのものです。晩年、武満徹の書く曲がどんどん美しいメロディーを志向するようになってから、「現代音楽ファン」の悪口の対象になっていったというのは、「現代音楽ファン」の了見の狭さ以外のなにものでもないですね。
かつて戸板康二が、小林正樹の「切腹」の宣伝文句に「『刀はタケミツ、音楽も武満』ではどうかね」と言って大笑いとなったというエピソードがあります。
Commented by mukashinoeiga at 2014-06-10 05:49
「燃える秋」へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。
 おお、武満でしたか。相変わらずテキトーなブログで。メロディー無視の武満も、嫌いではないんですが。「燃える秋」の主題歌の作曲も武満とは意外でした。   昔の映画
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